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スクールソーシャル ワーカーの 出番です! ~スクールソーシャルワーカーを広めていくために~ ソーシャルワークオフィス テディ (独立型社会福祉士事務所) 社会福祉士  芦田 正博 (神奈川県教委?横須賀市教委スクールソーシャルワーカー)
私の経歴 1968 年川崎市(中原区)生まれ 日本社会事業大学社会福祉学部卒業 日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科(専門職大学院)修了 学位:福祉マネジメント修士 ずっと神奈川で育ってきました
私の職歴   1990 年 横浜市役所入庁(社会福祉職)。以降, 知的障害者施設(生活指導員:介護職) 区役所(生活保護以外の福祉関係) 本庁(福祉の電算化や成年後見制度関係等)  で勤務し, 2007 年退職しました。  その後前述の大学院にて再度学んだ後, 2008 年 7 月より「独立型社会福祉士事務所」を立ち上げました。 資格:社会福祉士,介護支援専門員,教員(中学校?高校社会科,養護学校)
本日の流れ これから14時20分頃までをめどにお話しさせていただきます。 その後,会場の皆様からのご質問を受けたいと思います。 10 分程度の休憩の後,ワークショップとして 「弘前市(青森県)でスクールソーシャルワーカーを導入し広めていくためには」 を議論できたらと思っています。
1 不登校 って「問題」?  ~問題とは何かを考える ~
突然ですが??? 「不登校」 って問題ですか? まずは一人で考えてください(1分) その後お隣同士の方で,ご自身が考えたことを話し合ってください(3分) 会場を回って考えたこと,話し合われたことを何人かの方に伺います
話されたことをまとめます それぞれの立場から見た問題:学級のこどもが不登校になったら,「勉強ができない「体裁が悪い」 不登校そのものは悪くない,環境や疾患等があるのでは 基本的には「原則として」不登校は問題ではなく,こども一人一人が不登校に至った理由は様々。そのことを考えるフィールドを広げていくことが大切。 不登校という行為=結果の受け取り方は異なる。 理由の一つにいじめがある。本音を語り合えない。建前だけの社会が原因では? 手段の一つ。問題か否かといえば損失は大きい。ただ抱えている問題が大きいときに逃れることはあってよいが,こなかったことによる損失も一方でおおきい。そうせざるを得ない。 いずれ社会に出ることを考えた時に,学校は一番大きい。不登校はいい状態ではないが,命を守るため,という観点からは正常。
こうして議論してみると  不登校って 義務教育だから行かないのは「問題」 さぼるクセがついている いや「親」とか「学校」に問題がある  様々出そうです。  そもそも不登校は,なぜ「問題」とされるのでしょうか?
「私論」 問題 を考える 携帯電話をお持ちですか? お持ちでしたら,今スイッチはどうなっていますか? 切っている,サイレントモードになっている,等の対応をしていますか? 携帯電話がなかった時代には,こんなことで神経を使わなかったですよね?
 ここで申し上げたいことは??? 「問題」は,何かの「枠組み」「制度」(法律等や「慣習」等も含む)があり,そこにある「規範」に「当てはまらない」から「問題」に見える もし「不登校」が「問題」というのであれば,何か「枠組み」等から「不登校」という現象を捉えているのではないか? 「こども」という「枠组み」から「不登校」を见直すと,「问题」は违うところにあるかもしれない,ということが见えてくるかもしれません
「不登校」をこう見たら??? 「義務教育」だから学校に行くのは当然 学校に行けないのは,気持ちが弛んでいるからだ 学校に行かないと将来困る 「義務」は親と行政に課せられた役割。こどもは権利主体 学校に行けないのは,気持ちが学校に向かない理由がある 将来のことを考えている余裕が今はない これまでの枠組み ちょっと見方をかえると
ちなみに義務教育は, こどもに 課せられた義務ではありません 【義務教育の根拠法令】 憲法第26条第2項   すべて国民は,法律の定めるところにより,その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は,これを無償とする。 教育基本法第5条第1項   国民は,その保護する子に,別に法律に定めるところにより,普通教育を受けさせる義務を負う。 同第3項   国及び地方公共団体は,義務教育の機会を保障し,その水準を確保するため,適切な役割分担及び相互協力の下,その実施に責任を負う。
2  スクールソーシャルワーカーとは何か? ~「環境」からこどもを 捉える视点について~
もういちど「問題」について 不登校は問題か?  「問題」は見る角度によっては問題ではないかもしれません。ただ日本という国が,「法律」に基づいて運営される以上,制度から外れるのは不都合も多い 「問題」はこども達からのサイン  制度から外れてでも「問題」を表現してくれていることは,私たちに「何かがおかしい」と気付かせてくれている。 ???不登校という「問題」は,こどもに関わる大人からみると, 感謝すべきこと だと思います。
不登校を「問題」と考えた時  学校に行けない理由は何か? お子さん自身の課題  障がいや病気等 親御さんとの関係や課題  親御さんの病気,親御さんの経済的な状態,親御さんとの心理的距離等 学校生活上の課題  学業不振,クラス内での関係,教師との関係等 その他  
これまでの不登校のとらえ方 学校に行けないのは心の問題 一度休む癖がついたら「サボり癖がつく」から,楽をさせてはいけない 「学校にいかなくてもよい」という発想の親にも指導しなくてはいけない  等「内面」に注目していました。 「心の鍵」をどうあけるか,が不登校支援の中心であったと思います。
スクールカウンセラーの配置  1995(平成7)年度に文部科学省の委託事業として都道府県?政令指定都市で始まった,学校外の心理専門職を学校に派遣し,学校におけるカウンセリング等教育相談体制の充実を図ることを目的とした事業。  2001(平成13)年度からは「子どもたちの心の問題の多様化?複雑化という状況を踏まえ」「すべての子どもがスクールカウンセラーに相談できる機会を設けていく」として,「スクールカウンセラー活用事業」として国庫補助事業として大幅に拡大し,現在に至っています。 (ここまで「 児童生徒の教育相談の充実について-生き生きとした子どもを育てる相談体制づくり- 平成21 年3月 児童生徒課を参照して作成しました)  現在審議中の平成 23 年度予算においては,小学校への配置拡大(平成 22 年度10,000->12,000校へ,中学校は約10,000校への配置継続)される予定です。
 スクールカウンセラーは,学校の教育相談体制,児童?生徒指導体制の中で,学校外の専門会として,児童?生徒?保護者?教職員に対し,心理に関する専門的見地から,カウンセリングやアセスメント(情報収集?見立て),コンサルテーション(専門家による指導?助言を含めた検討)等を行うことが求められています。主な業務内容は,次のとおりです。 (1)児童?生徒に対する相談?助言 (2)保護者に対する相談?助言 (3)教職員に対するコンサルテーション (4)児童?生徒に関するアセスメント (5)緊急時の対応 (6)心理に関する研修等の実施 (7)学校課題への対応 (8)校内教育相談体制についての助言 (スクールカウンセラー業務ガイドライン 神奈川県教育委員会 P.2より抜粋)
SSW「登場」の背景  もともとは,1986年~1998年にかけて埼玉県所沢市教育委員会での,山下英三郎(現:日本社会事業大学教授)の活動が最初,と言われています。  その後,大阪府や群馬県,香川県,熊本県等で独自に取り組まれ,2008(平成20)年に文部科学省の調査研究事業として事業化されました。翌2009(平成21)年度からは国庫補助事業として,都道府県及び政令指定都市に対して,スクールソーシャルワーカーの人件費の1/3を補助する事業となっています。  事業化の背景としては,「児童生徒の心の問題とともに、家庭、友人関係、地域、学校など児童生徒の置かれている環境の問題がある。その環境の問題は、複雑に絡み合い、特に、学校だけでは問題の解決が困難なケースも多く、積極的に関係機関等と連携した対応が求められて」きたからであると言えます。 (括弧内は「 児童生徒の教育相談の充実について-生き生きとした子どもを育てる相談体制づくり- 平成21 年3月 児童生徒課 P.25より引用)
エコロジカル視点(環境)から不登校を考える こどもの「問題(行動)」はこども自身に原因があるのではなく,その環境(エコロジー)とこどもとの「不調和」から起きているととらえます。 こどもと環境との「不調和」を調整するために,こども達や親御さん?教師等との面接等の対話や,関係機関との連携等「環境」への働きかけを通じて,調和がとれるような働きかけをすることが,不登校支援にとって大切なのではないか では,お子さんの「环境」って何が考えられるでしょうか?
 こどもを取り巻くすべてが「環境」であると言えます。 自分の体(心):身体的,精神的健康 親御さん:(核)家族 その他の家族 地域 学校(教師,クラス,友達,部活動等) 自治体,国家(施策や制度等)  等があげられます ソーシャルワーカーから見た「こどもの環境」 「システム理論」から考えていただければ,容易にご理解いただけると思います。
NPO 法人 日本スクールソーシャルワーク協会のホームページより抜粋
ソーシャルワーカーの働きかけ 親 学校 地域 政府 (政治) 課題を抱えている人(こども)
 こうした働きかけの「基礎的基盤」は,ソーシャルワークの定義にあります。    ソーシャルワークの専門職は、人間の福利(ウェルビーイング)の増進を目指して、社会の変革を進め、 人間関係における問題解決を図り、人々のエンパワーメントと解放を促していく。  ソーシャルワークは、人間の行動と社会システムに関する理論を利用して、人びとがその環境と相互に影響し合う接点に介入する。  人権と社会正義の原理は、ソーシャルワークの拠り所とする基盤である。( IFSW2000.7.) (NPO法人 日本ソーシャルワーカー協会HPより抜粋)
教師?親?カウンセラー?ソーシャルワーカーはどれも欠かせない 教師?親の役割   「今」をとらえる  学力のこと,友達関係のこと,部活のこと等 カウンセラーの役割   「深さ」をとらえる  心の内面を理解する ソーシャルワーカーの役割   「広がり」をとらえる  こども達の環境(家族?学校?地域やそれらに付随すること)を理解する
こうすることで???  これまでは,ある「一面」からしかこどもをとらえることができず,「問題」が本当にこどもが引き起こしている「問題」であるかを理解できず,時に不適切な対応になっていました。  スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーが「こどもを見る」ことに加わることで,「問題」はどの角度から見た時に「問題」で,「問題」に直接的に働きかけることや,間接的に働きかけること等様々な方法で「問題」解決に臨むことができます。
ではなぜ ソーシャルワーカーが必要か? こどもを「広がり」からとらえる役割として こども自身,親,学校,地域,行政等,複雑に絡み合っている「システム」の間に立ち,その調整をする役割を果たす役割として 相談が必要と思われる方のところへ出向いて,相談を聴き,一緒に課題解決を図る(アウトリーチする)役割として そして何より,「こどもの最善の利益」を守り,こども達の人権を守る役割として(ソーシャルワークの定義)
~過去に出会った生徒さん~ 3 どんなお手伝いができるのか
ある中学1年生の女の子の お話をします 2学期に入って3週間ほどした頃,学校に来られなくなりました。 担任の先生は,電話連絡や家庭訪問を数回行いましたが,なかなか生徒さんは顔を出してもらえませんでした。 そこでわたしが一緒に対応することにいたしました。
まずはお母さんと面接し,お母さん自身が体調が悪く,通院が欠かせないことがわかりました。 お子さんのこれまでの生活の歴史を伺いました。その中で,小学校時代にもいじめられていたことが判明しました。 またお父さんがずっと単身赴任で,一緒に生活していないことがわかりました。  ここまで判明したところで,次のように「想像」をした上で,スライドのように学校内での役割を分けて対応することにしました。 (ケース会議を開いて決めます)
【お母さん】  自分自身の体調のこと,お子さんが学校に行けていないこと,お父さんが単身赴任で相談相手がいないこと等が重なり,不安が非常に強い状態になっているのではないか? 【お子さん】  お母さんの不安感が伝わっていて,心配になってしまっているのではないか?また学校でもいじめがあり行きにくくなったのではないか? 私たちが考えたこと
 そこで, お母さんの不安を取り除くこと お子さんの過去の対応についてアドバイスをもらい,一緒に考えていくこと  が今必要ではないか,と考えました。  その理由は, 家族は「システム」であり,その相互関係によって影響しあっています このため,お母さんの不安がお子さんに影響し,お子さんがお母さんを心配していることが不登校の引き金を引いているのではないか  と思われたからです。
 このため,以下のような役割を分けて,それぞれが対応していくこととしました。 【担任の先生】 週1日の家庭訪問(プリント等を持って行く) クラスの様子を各教科担当の先生から話しを聴く 【スクールカウンセラー】 お母さんとの面接 【スクールソーシャルワーカー】 お母さんが通院している病院(特にMSW)との関係を築く お子さんの小学校時代の担任から小学校時代のお話しを伺う
 その後ソーシャルワーカーが, お母さんの病気は,時間をかけて治療すれば治癒する可能性が高い(という主治医の診断をMSWに伺う) 小学校時代のいじめについては,クラス全体で考えることでその都度解決した  ことを確認しました。  そしてケース会議でそのことを伝え,次のように教師とカウンセラーが対応しました。 担任の先生:クラスでお子さんへのいじめがあったということを確認し,いじめはいけないことという授業を行いました カウンセラー:お母さんが「不安の錯綜」から,自分自身の気持ちを整理できていないまま,いらいらしてお子さんに大きな声を出してしまったことがあると話してくれました
 その結果, お子さんは年明けの1月から,再び学校に戻ることができました。 お母さんが学校にいらした際に,「こどもは大きく変わってはいません。でも家の中に笑顔が戻ってきました」とお話ししてくれました。  なぜでしょう?
 最初に推測したとおり,お母さんの不安やいらだちがお子さんに伝わり,お子さんも不安を感じていたところに,クラスでのいじめが加わって,お子さんが学校にいきにくくなったのだろうと考えました。  そのため, お母さんの不安をやわらげること お子さんのこれまでの生活から,解決する方法がないかを探ること  という,お母さんの 気持ちの調整 , お子さんの過去からの「調整」 をそれぞれの専門職が役割を果たし,「家族」というシステムが機能するようになった結果,学校復帰,家庭での「笑顔の回復」につながったのではないか,と思っています。
 スクールソーシャルワーカーは,お子さんのために必要があれば,高齢者のこと(介護のこと等),障がい者のこと,医療のこと,夫婦間のこと,経済的なこと等も含めたご相談への対応をすることが求められます。  また関係する専門機関との調整や連携をとって,お子さんだけでなくご家族全体が少しでも生活を送れるよう,お手伝いすることも要求されます。  そうして家族を支えるネットワークを形作ることで,一緒に家族やお子さんのことを考える「チーム」を形成する,ことも役割だと思っています。
「SSWの仕事を行うためには, 数多く の,しかも 多様な社会資源を知って 」いること,そして「 状況やニーズに応じてそれらを活用 」できるスキルと,「 その力を借りながら生徒と学校双方の関係がスムーズに展開するように調整をし,改革していく能力 が必要」です。 そして「子どもたちに寄り添うということは, 側で話を聴くということだけでなく,そこからさらに社会資源を活用しながら,子どものニーズに応えていくという役割 」を果たすことができる実践こそ,SSW実践です。 ※  かっこ内は,  「スクールソーシャルワークと社会資源」(加藤彰彦 「スクールソーシャルワーク論 歴史?理論?実践」学苑社 第7章 P.87~88)より引用
4  スクールソーシャルワークの可能性 ~弘前市(青森県)での導入に向けて~
こども達を取り巻く環境を統計的に見ると??? 【こどものいる世帯の相対的貧困率】(2009年11月 厚生労働省) 大人1人の世帯:54.3% 大人2人以上の世帯:10.2% 「こどもがいる現役世帯」平均:12.2% 【不登校率】青森県教育委員会「青森県教育データブック [ データ編 ] 」(2010年7月)より 小学校:0.23%(全国:0.32%) 中学校:2.84%(全国:2.77%) 【発達障害がある児童?生徒の割合】(長野県教委調査 2010年12月発表) 2.05%:医師の診断や臨床心理士、児童相談所等の専門機 関の判定を受けている児童生徒数
統計学的に,勝手に合算して 考えてはいけませんが???  これらの統計から推測されることとして,貧困,不登校,発達障害等課題のあるお子さんが,中学校段階ではクラスの15%~20%を占めるという状況ではないか?  こうした状况から派生してくる,こどもの「问题」について,教师だけで対応することはもちろん,スクールカウンセラーによる心理的侧面からの支援だけでは,残念ながら対応は难しい???ゆえにスクールソーシャルワーカーが导入されたことは,冒头にお话ししたとおりです。
 今回は「不登校」からスクールソーシャルワーカーの必要性をお話ししましたが,今のこども達をとりまく課題として 虐待:学校が気付いてこどもが保護されたケース,逆に死に至ったケースがあることは,すでにご承知かと思います いじめ:残念ながらいじめによる事件や自殺が頻発しています 非行:警察庁統計では,少年非行の件数は減少していますが,窃盗等は増えています。(平成21年1月~12月) 高校中退:経済的理由等による学業継続困難,発達障害等による不登校継続等  等があげられます。  不登校の裏に虐待(特にネグレクト)があることもしばしばです。  またいじめの関係者(加害児童?被害児童とも)にも虐待が隠れていることもあります。
虐待について少し触れます  厚生労働省「全国児童相談所長会」(平成22年8月26日開催)の資料によると,青森県の虐待通告件数は 平成21年度:475件 (平成20年度は445件) ※  平成21年度は速報値  つまり県内では1日1.3件前後の虐待通告が児童相談所にある,ということになります。
 しかしながら青森県では,児童相談所児童福祉司の配置数が減少しています。 平成22年4月1日現在:37人(平成21年4月1日現在では43人)  児童心理司が1名増えているものの,残念ながら虐待対応体制については,果たしてどうなのか,という疑問があります。 (数値は同前より)  またそもそも,虐待はなかなか外から見えにくいものであり,身近な地域や学校(保育園?幼稚園も含め)での発見,初期対応等が大切であると考えています。
昨年1月の江戸川区小学校 1年生虐待死事件では??? 【行政:区役所】 アセスメントの甘さ 虐待への認識の甘さ 進行管理の甘さ 安全確認の未実施 【学校】 虐待への認識の甘さ 情報提供の不足  等が虐待死を防げなかった要因であるとし,区役所?学校とも虐待の初期対応段階からネットワークを構築することが大切である,としています。
 広く「子育て支援」行政において,ソーシャルワーカーがもっと活躍する必要はもちろん,学校現場において虐待(のみならず広く環境への働きかけを要するケース)対応を的確に行えるのは,ソーシャルワークの教育?訓練を受けてきた者,すなわち社会福祉士や精神保健福祉士であると言えます。  国会でも,衆議院の委員会でこのような答弁を参考人が行っています。  社会福祉士はソーシャルワーカーの国家資格ですけれども、ソーシャルワークの専門の力としては、先ほどのアセス メント能力もありますけれども、コーディネートをする力、さまざまな機関を結び合わせていく、また、自分の方からSOSを出せない方、そのSOSを酌み取って、その方を人々や制度に結びつけていくという役割が担わされています。その役割が本当に必要で、この活躍の場は、さまざまなところで活用できるだろうと思います。  今、更生保護の分野でも社会福祉士を置くという動きがございます。また、学校にスクールソーシャルワーカーを置くということになった場合、ぜひ社会福祉士を充てていただきたいというふうに思います。せっかく学び、トレーニングをした人をそういったところに充てなければ、それこそ損失であろうと考えております。 (平成22年4月22日 衆議院青少年問題に関する特別委員会における宮島参考人:宮島清日本社会事業大学専門職大学院准教授の証言 衆議院HPより抜粋)
最後に???  ソーシャルワークの必要性がようやく社会的に認知されつつあります。ご承知のとおり,司法福祉分野においてもソーシャルワーカーの活用を進める動きがありますし,成年後見制度においては社会福祉士が果たしている役割について,とても大きいと弁護士会では認めているところです。  今がチャンスであると思っています。  そして何より,高齢者?障がい者?こども等の分野に関わらず,一人ひとりのソーシャルワーカーが「伦理と価値」に基づく実践を地道に行い,その必要性がより浸透してきた时に,これまでの努力が実を结ぶ时がくる,と思っています。
一人ひとりの丁寧な実践 ソーシャルワークに理解ある人によるソーシャルアクション  によって,学校にソーシャルワーカーを導入(もちろんソーシャルワークの教育?訓練を受けた人)し,こども達の権利を守り,その実践が結果として親も教師も守ることになれば,「 Win - Win 」になると考えています。
 長時間にわたりご静聴いただき,ありがとうございました。  これからも,いろいろとお世話になると思います。何卒よろしくお願いします。

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