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高槻病院NICUにおける
極低出生体重児の初期栄養管理
愛仁会高槻病院
総合周産期母子医療センター
新生児小児科
菊池 新
1
第17回 新生児栄養フォーラム
利益相反状態の開示
筆頭演者氏名: 菊池 新
所 属: 高槻病院 新生児小児科
私の今回の演題に関連して、開示すべき利益相反状態はありません。
高槻病院における
極低出生体重児の栄養管理
当院における極低出生体重児の栄養管理
? Early aggressive parenteral and enteral strategy
現在は原則としてVLBW児にはアミノ酸投与と(超)早期授乳に
よる出生当日からの積極的な栄養管理を実施している
栄養の種類 使用製剤や内容 使用対象
経静脈
栄養
アミノ酸 プレアミンP?
ELBWでは全例に
日齢0より開始
脂肪製剤 イントラリポス?
長期間絶食管理と
なる児のみ
経腸
栄養
超早期
授乳
①Own Mother’s
Milk
②もらい乳
③人工乳
②は適応を限定
(後述)
経静脈栄養
? 当院では2011年以降ELBW児に対するEarly aggressive
nutrition(EAN)の方針を以下の通り変更した
? 主な変更理由として、EAN導入による発育や神経学的予後の
改善が報告されたことや、NICU責任医長の変更があった
Wilson DC, et al. Arch Dis Child 77, 1997 F4-11
Dinerstein A, et al. J Perinatol 26, 2006, 436-42
Maggio L, et al. J Pediatr Gastroenterol Nutr 44, 2007, 124-9
Tan MJ, et al. Arch Dis Child Fetal Neonat Ed 93, 2008, F337-41
Stephens BE, et al. Pediatrics 2009;123(5): 1337-43.
5
EAN 開始日齢 開始投与量 最大投与量
導入前 1~2 0.5g/kg/day以上 2.5g/kg/day
導入後 0 3.0g/kg/day以上 4.0g/kg/day
超早期授乳
? 当院ではELBWを含む早産児について、搾母乳が届き次第
授乳を開始している。理学所見や腹部X線を観ながら問題が
なければ、表に示す計画に準じて積極的に増量している。
? 授乳回数
生後早期は1日4~8回、順調なら日齢3以降は12回に変更
? 残渣の取り扱い
血性?胆汁様でなければ指示範囲でそのまま戻し、状況に則
して合計量が指示量+1~2ml程度は許容している。
6
出生体重 0-24時間 24-48時間 48-72時間 72-96時間 96時間以降
400~599 g 0.3ml 0.5ml 0.5ml 0.5ml 0.5ml/回ずつ
600~799 g 0.5ml 1.0ml 1.0ml 1.0ml 1.0ml/回ずつ
800~999 g 1.0ml 1.5ml 1.5ml 2.0ml 1.0ml/回ずつ
授乳回数→ 4回 4回 8回 12回
症例
在胎25週4日 出生体重 790g 男児 Apgarスコア 5 / 6 / 7
〔母体情報〕
34歳 2G1P 自然妊娠 感染症は陰性(CMVは既感染)
妊娠20週に頸管長短縮を認め、入院管理、リトドリン投与開始。
その後持続的出血と子宮内感染徴候を認めたため、妊娠25週
4日に緊急帝王切開にて出生。母体リンデロン投与済。
〔分娩時状況〕
出生後刺激で啼泣あり。自発呼吸続かずマスク換気に続いて、
生後5分で気管挿管。S-TA1V投与で圧需要と酸素化が改善。
母に面会、タッチング実施後NICU入院。
7
症例:中心静脈栄養と経腸栄養の推移
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母乳(ml/kg) アミノ酸(g/kg/日) GIR
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症例:中心静脈栄養と経腸栄養の推移
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母乳(ml/kg) アミノ酸(g/kg/日) GIR
アミノ酸
開始
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症例:中心静脈栄養と経腸栄養の推移
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母乳(ml/kg) アミノ酸(g/kg/日) GIR
初回
授乳
アミノ酸
開始
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母乳(ml/kg) アミノ酸(g/kg/日) GIR
初回
授乳
アミノ酸
開始
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症例:中心静脈栄養と経腸栄養の推移
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母乳(ml/kg) アミノ酸(g/kg/日) GIR
初回
授乳
12回
注入
アミノ酸
開始
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症例:中心静脈栄養と経腸栄養の推移
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母乳(ml/kg) アミノ酸(g/kg/日) GIR
初回
授乳
12回
注入
アミノ酸
開始
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症例:中心静脈栄養と経腸栄養の推移
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ED
挿入
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12回
注入
アミノ酸
開始
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症例:中心静脈栄養と経腸栄養の推移
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母乳(ml/kg) アミノ酸(g/kg/日) GIR
ED
挿入
初回
授乳
12回
注入
アミノ酸
開始
アミノ酸
終了
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症例:中心静脈栄養と経腸栄養の推移
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母乳(ml/kg) アミノ酸(g/kg/日) GIR
ED
挿入
初回
授乳
12回
注入
アミノ酸
開始
アミノ酸
終了
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症例:中心静脈栄養と経腸栄養の推移
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母乳(ml/kg) アミノ酸(g/kg/日) GIR
ED
挿入
初回
授乳
12回
注入
アミノ酸
開始
アミノ酸
終了
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PI
抜去
EAN導入前後の比較検討
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EAN導入の発育に対する効果検討
【目的】
在胎22?23週のELBW児に対するEANが生後早期の成長に
与える影響について検討する。
【対象】
2006年1月1日~2012年12月31日に当院NICUに入院した
在胎22~23週児56例のうち以下を除外した32例
※除外症例
新生児死亡10例、消化器疾患7例、SGA児4例、転院2例、入院中1例
【方法】
前期群:2006-2010年、後期群:2011-2012年
在胎週数、出生時身体計測値、栄養に関する主要な指標、
在胎40週時点の身体計測値について、電子カルテから収集
し、各群ごとに集計して比較検討した。
菊池新ら:第49回日本周産期?新生児学会学術集会, 2013.
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結果:在胎週数と出生時計測値
導入前群
n=21
導入後群
n=11
P
在胎週数 23.3±0.4 23.4±0.3 N.S.
体重(g) 563±54 553±49 N.S.
身長(cm) 29.8±1.9 29.6±1.2 N.S.
頭囲(cm) 21.5±2.6 21.5±2.7 N.S.
胸囲(cm) 20.2±3.1 19.0±0.5 N.S.
結果:栄養に関する指標
導入前群
n=21
導入後群
n=11
P
ア
ミ
ノ
酸
開始日齢 1.7±1.1 0.2±0.4 P<0.05
終了日齢 12.4±4.4 11.6±3.7 N.S.
開始量(g/kg/day) 0.79±0.57 1.87±0.50 P<0.05
最大量(g/kg/day) 1.72±0.92 3.25±0.57 P<0.05
経
腸
栄
養
開始日齢 1.6±0.9 1.2±0.6 N.S.
WQ100到達日齢 11.9±4.2 11.2±3.7 N.S.
強化母乳開始日齢 21.3±7.6 19.9±6.0 N.S.
日齢30???量(ml/kg) 132±31 149±19 N.S.
結果:修正40週の身体計測値
導入前群
n=21
導入後群
n=11
P
体重(g) 2227±343 2634±344 P<0.01
身長(cm) 44.4±2.9 45.3±2.3 N.S.
頭囲(cm) 33.3±1.7 34.9±1.3 P<0.01
胸囲(cm) 29.7±2.0 31.4±1.5 P<0.05
考察
? VLBWやELBWに対するEANにより発育が改善する。
Wilson DC, et al. Arch Dis Child 77, 1997 F4-11
Dinerstein A, et al. J Perinatol 26, 2006, 436-42
Maggio L, et al. J Pediatr Gastroenterol Nutr 44, 2007, 124-9
Tan MJ, et al. Arch Dis Child Fetal Neonat Ed 93, 2008, F337-41
Can E, et al. Pediatr International 54, 2012, 869-74
滝元宏ら: 周産期新生児誌47(2), 2011, 318
? 生後早期の経静脈的アミノ酸投与は体内の窒素貯蔵
を増加させ、蛋白合成を促進する。またインスリン分泌
を増加させ、蛋白質の蓄積や耐糖能の改善が得られ
る可能性がある。
van den Akker CH, et al. Pediatr Res 2006;59:732–5.
Thureen PJ, et al. Pediatr Res 2003;53:24–32.
Ibrahim HM, et al. J Perinatol 2004;24:482–6
超早期授乳の実際
24
超早期授乳実施上の主な課題
① Own Mother’s Milk(OMM)の確保
② OMM不足時の栄養方法
? CMV感染防止に配慮したもらい乳
? 院内母乳バンク整備(将来)
25
Own Mother’s Milkの確保
産後早期から搾母乳を得るための支援
1. 産前訪問における積極的な情報提供
2. 産科病棟での搾乳支援
3. NICU/GCU病棟での搾乳支援
26
Own Mother’s Milkの確保
産後早期から搾母乳を得るための支援
1. 産前訪問における積極的な情報提供
新生児科医とNICU看護師がペアで実施
「母乳が赤ちゃんを育て、治し、強くしてくれる」
2. 産科病棟での搾乳支援
3. NICU/GCU病棟での搾乳支援
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Own Mother’s Milkの確保
産後早期から搾母乳を得るための支援
1. 産前訪問における積極的な情報提供
新生児科医とNICU看護師がペアで実施
「母乳が赤ちゃんを育て、治し、強くしてくれる」
2. 産科病棟での搾乳支援
出産直後から産科病棟助産師が搾乳を直接支援
早期から自動搾乳機(ダブルポンプ)+手搾乳
3. NICU/GCU病棟での搾乳支援
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Own Mother’s Milkの確保
産後早期から搾母乳を得るための支援
1. 産前訪問における積極的な情報提供
新生児科医とNICU看護師がペアで実施
「母乳が赤ちゃんを育て、治し、強くしてくれる」
2. 産科病棟での搾乳支援
出産直後から産科病棟助産師が搾乳を直接支援
早期から自動搾乳機(ダブルポンプ)+手搾乳
3. NICU/GCU病棟での搾乳支援
面会時に搾乳方法を確認、母乳管理方法も説明
面会時はいつでも自動搾乳機が利用可能
搾乳ダイアリーをつけてもらって搾乳状況を把握
母乳綿棒、カンガルーケア→モチベーション向上
29
超早期授乳に必要となる搾乳の支援
産後時期 効果があると証明されたこと
初乳分泌
のころ
? 産後1時間以内に搾乳実施
? 痛みを伴わない頻回授乳
(手による搾乳±電動搾乳器で24時間に8~11回)
? 産後48時間は手による搾乳の方が電動搾乳器より搾乳量が多い
日齢4頃
~2週
? 快適な搾乳方法で7回以上
? 電動搾乳器を使うときは手による搾乳を追加
2週~
? 搾乳回数は5回以上
? 搾乳方法はお母さんが快適な
ものを
? 時間毎ではなく、生活のリズムで
? 搾乳前にリラックスできる工夫を
(20分の音楽、場所、飲み物など)
? 睡眠時間は十分に(7時間前後)
すべての
時期
? 痛みがないこと
? リラックスしていること
? 搾乳記録を
30
搾乳量を十分に保つポイント
大山牧子. 第35回母乳育児勉強会 in 東京. 2014.
Hands on pumping (HOP)
Dr. Jane Morton (Stanford University)
超早産児における超早期授乳状況
【対象】
2012年1月~2014年12月に当院NICUに入院した
在胎28週未満の児112名
【方法】
在胎週数、出生体重、初回哺乳※の生後時間を
電子カルテより収集
※口腔内塗布のみは除外
【結果】(平均±標準偏差)
在胎週数:25±2週
出生体重:742±205g
初回哺乳:生後30±18時間
32
21%
26%38%
15%
~12時間
13~24時間
25~48時間
49時間~
生後72時間以内の栄養法
33
81.8
100.0 95.5 100.0
44.4
73.3
24.5 29.7
11.3
20.0
44.4
20.0
68.5 53.1
74.2
63.3
18.2
4.5
11.2 6.7 7.0
17.2 14.5 16.7
0%
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20%
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40%
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60%
70%
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100%
2013 2014上 2013 2014上 2013 2014上 2013 2014上 2013 2014上
22-23週 24-27週 28-31週 32-36週 37-41週
人工
混合
母乳
もらい乳の実施基準(高槻病院)
【レシピエントの適応】
以下の症例で、児自身の母親の母乳が入手できない
場合に、主治医からもらい乳の利点と注意点を家族に
説明し同意を得られた症例。
① 超低出生体重児の急性期
② 消化管手術後の新生児で腸管機能不全のある児
③ 母乳以外の栄養で腸管原性の感染症(腸炎、壊死
性腸炎、敗血症)を繰り返した児
④ アレルギー等で消化管症状のある児
⑤ その他主治医が必要と判断した場合
34
もらい乳の実施基準(高槻病院)
【ドナーの基準】
以下基準を満たす母親で、医師が母乳の無償提供を依頼し、
同意を得られた場合。
① 妊娠中血液検査で梅毒?HBV?HCV?HTLV-1?HIVがすべ
て陰性であること。
② 妊娠中血液検査でCMV抗体がlgG/lgMとも陰性であるこ
と。(未実施の場合は産科に検査を依頼する)ただしレシピ
エントが在胎≧35週の場合、CMVlgG(+)、lgM(-)でも可。
(ドナーがCMVlgM抗体(+)の場合母乳中のウイルス量が多い)
③ 直近3か月以内に輸血歴がないこと。
④ もらい乳開始時点で喫煙や授乳禁忌となる薬剤を内服して
いないこと。
35
当院でのもらい乳実施状況調査
【目的】
当院でのもらい乳の現状と安全性、課題について検討
【対象】
2011年1月1日~2016年12月31日に当院NICU?GCUに
入院した児で、当院でもらい乳の提供を受けた15例
【方法】
在胎週数、出生体重、もらい乳の適応、開始日齢、
終了日齢、実施期間、終了後の栄養方法、転帰、
臨床経過について電子カルテより後方視的に調査
菊池新ら:第52回日本周産期?新生児学会学術集会, 2016 (症例を追加)
36
もらい乳実施症例一覧
37
開始
日齢
開始
週数
終了
日齢
終了
週数
期間 適応
肝
障
害
敗
血
症
23w 1d - 534 0 187 25 26w 5d 61 31w 6d 37 分泌不全のみ × × 生存
24w 2d - 728 0 156 4 24w 6d 26 28w 0d 23 分泌不全のみ × × 生存
22w 4d - 494 0 189 10 24w 0d 46 29w 1d 37 分泌不全のみ × × 生存
24w 3d - 626 0 44 2 24w 5d 42 30w 3d 41 分泌不全のみ × ○ 死亡
25w 1d - 464 0 150 3 25w 4d 3 25w 4d 1 分泌不全のみ × × 生存
23w 4d 品胎 701 0 141 2 23w 6d 2 23w 6d 1 分泌不全のみ × × 生存
23w 4d 品胎 616 0 141 2 23w 6d 2 23w 6d 1 分泌不全のみ × × 生存
23w 4d 品胎 586 0 141 2 23w 6d 2 23w 6d 1 分泌不全のみ × × 生存
24w 0d - 704 0 195 2 24w 2d 63 33w 0d 62 母抗がん剤使用中 ○ × 生存
24w 0d - 622 0 161 2 24w 2d 49 31w 0d 48 母CM Vキャリア × × 生存
24w 1d - 477 0 173 90 37w 0d 121 41w 3d 32 敗血症罹患後 × × 生存
22w 2d - 480 0 - 55 30w 1d 77 33w 2d 23 FIP術後 × × 生存
25w 0d - 630 8 187 34 29w 6d 53 32w 4d 20 FIP術後 ○ × 生存
24w 0d - 692 15 169 45 30w 3d 69 33w 6d 25 NEC術後 × × 生存
29w 1d - 618 21 224 31 33w 4d 105 44w 1d 75 小腸閉鎖術後 × × 転院
合併症
転帰
院内
院外
もらい乳実施状況
出生
場所
在胎 多胎
出生
体重
入院
日齢
退院
日齢
もらい乳実施症例一覧
38
開始
日齢
開始
週数
終了
日齢
終了
週数
期間 適応
肝
障
害
敗
血
症
23w 1d - 534 0 187 25 26w 5d 61 31w 6d 37 分泌不全のみ × × 生存
24w 2d - 728 0 156 4 24w 6d 26 28w 0d 23 分泌不全のみ × × 生存
22w 4d - 494 0 189 10 24w 0d 46 29w 1d 37 分泌不全のみ × × 生存
24w 3d - 626 0 44 2 24w 5d 42 30w 3d 41 分泌不全のみ × ○ 死亡
25w 1d - 464 0 150 3 25w 4d 3 25w 4d 1 分泌不全のみ × × 生存
23w 4d 品胎 701 0 141 2 23w 6d 2 23w 6d 1 分泌不全のみ × × 生存
23w 4d 品胎 616 0 141 2 23w 6d 2 23w 6d 1 分泌不全のみ × × 生存
23w 4d 品胎 586 0 141 2 23w 6d 2 23w 6d 1 分泌不全のみ × × 生存
24w 0d - 704 0 195 2 24w 2d 63 33w 0d 62 母抗がん剤使用中 ○ × 生存
24w 0d - 622 0 161 2 24w 2d 49 31w 0d 48 母CM Vキャリア × × 生存
24w 1d - 477 0 173 90 37w 0d 121 41w 3d 32 敗血症罹患後 × × 生存
22w 2d - 480 0 - 55 30w 1d 77 33w 2d 23 FIP術後 × × 生存
25w 0d - 630 8 187 34 29w 6d 53 32w 4d 20 FIP術後 ○ × 生存
24w 0d - 692 15 169 45 30w 3d 69 33w 6d 25 NEC術後 × × 生存
29w 1d - 618 21 224 31 33w 4d 105 44w 1d 75 小腸閉鎖術後 × × 転院
合併症
転帰
院内
院外
もらい乳実施状況
出生
場所
在胎 多胎
出生
体重
入院
日齢
退院
日齢
結果
? 全症例がELBW児であった。
? 母乳分泌不全に伴う経腸栄養開始目的でもらい乳を
実施した症例は15例中8例(53%)であった。
? 開始日齢は2~90(中央値4)、終了日齢は2~105(中
央値49)、使用期間は1~75日(中央値25日)であった。
? もらい乳終了後はOMMが充足した4例を除く全例
で、人工乳に変更され、その後も問題なく経過した。
? もらい乳開始後の合併症として、1例に胆汁鬱滞性
肝障害、1例に敗血症を認めたが、もらい乳との因果
関係は不明であった。
39
考察
? 全国のNICUにおけるもらい乳の実施状況について、
2014年に水野らは126施設中32施設(25%)と報告
? 同じ調査で母乳バンク整備を必要と思うと回答した
施設は全体の7割以上
水野克己, 板橋家頭夫:未熟児新生児誌 26(3): 673, 2014.
水野克己:第59回日本未熟児新生児学会学術集会, 松山, 2014.
? 早産児のサイトメガロウイルス感染に対する懸念等
から経年的にもらい乳を実施する施設は減少傾向
? 早産児の後天性CMV感染は多数報告あり(資料)
? 今回の検討からはドナーをCMV抗体陰性の女性に
限定すれば、もらい乳は比較的安全に実施可能
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課題
① ドナー確保の問題
? CMV未感染の妊婦が全体の30%と報告されており、必要な
ときタイムリーにドナーが確保できない可能性
? 現状ではもらい乳が必要な時以外にもドナーに提供を依頼
し、凍結母乳を長期間冷凍保存→使用期限の課題
? 現状の打開策としてドナー候補をNICU?GCUに入院してい
ない母親にも拡大して提供を依頼する方法も検討が必要
? 恒久的なドナー確保のためにも母乳バンクの整備が急務
② 実施後の感染症検査
? もらい乳実施15例中、CMV抗体価を確認したのは2例のみ
41
まとめ
? 当院ではELBW児に経腸栄養確立までアミノ酸投与を実施
し、可能な限り早期から母乳栄養を実施している。
? 在胎22~23週児では急性期の栄養管理変更により修正40
週時点の発育が有意に改善していた。
? 超早期授乳を実施する上で搾母乳の確保が最大の課題であ
り妊娠中からの継続的な母乳育児支援が不可欠である。
? 当院では急性期に母乳が不足しているELBW児に対しても、
ドナーを限定したもらい乳を実施しており、現在のところ概ね
安全であると考えられるが、今後症例を増やして検討を重ね
る必要がある。
? Own Mother’s Milkを含め母乳を介した早産児の後天性
CMV感染症が多数報告されており、低温殺菌した母乳を提供
できる公的な母乳バンクの整備が急務である。
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ご静聴ありがとうございました!
ついに明日、新病棟に移転します!
高槻で働いてみたいドクター?ナースの見学大歓迎!
菊池 新 kikuchi-nicu@umin.ac.jp

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