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【解説2】
データセンターのエネルギーコントロールの仕组み
白井データセンターキャンパスでのエネルギー削減の取り組み(外気冷却とAI制御)
リチウムイオン蓄電池によるエネルギーのピークカット/ピークシフト制御の取り組み
株式会社インターネットイニシアティブ
2020年12月17日
データセンター技術部 加藤佳則
IIJ Technical WEEK 2020 DAY 4
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自己紹介
加藤 佳則 (かとう よしのり)
所属
基盤エンジニアリング本部 データセンター技術部 技術課
主な業務
白井データセンターキャンパスの電気設備をはじめとする各設備の運用
略歴
2007年度 IIJ新卒入社、IIJサービス基盤のサーバ構築?運用
2009年度 北陸支店技術部(現?北信越支店技術課)へ異動、サービス導入?サポート、SI、などなど
2019年度 白井データセンターキャンパス着任、電気主任技術者
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白井データセンターキャンパスの空調と課題
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白井データセンターキャンパスの空調と課題
外気冷却空調を採用
PUE=
IT機器の消費電力量
空調等の消費電力量+IT機器の消費電力
※PUE (Power Usage Effectiveness): データセンターの電力使用効率の指標
白井データセンターキャンパスの空調のイメージ
サーバ室 空調機械室
排気ファン
天井上
(ホットエリアチャンバー)
天井下
(サーバ室)
サーバラック
設計PUEは1.2台
給気ファン
外気と還気を混合
サーバの冷却に必要な最低限の風量をサーバ室に供給
外気取込口
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白井データセンターキャンパスの空調と課題
外気冷却空調の課題と対応
空調電力事前シミュレーション結果
? 夏季は外気冷却空調は厳しい
? 高温はともかく多湿がよくない
? 除湿のためにもチラー運転が必要
夏場に電力ピークが発生
蓄電池によりピークカットを行い、夏場の電力ピーク削減を試みる
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白井データセンターキャンパスの空調と課題
リチウムイオン蓄電池の採用
テスラ社製産業用リチウムイオン蓄電池(Powerpack)の採用
2019/11/1 稼動開始。空調用蓄電池としての機能に加えて、ピークカット/ピークシフトを実現
DCの空調電力の約15%の削減を目指す。
テスラ社製産業用リチウムイオン蓄電池 Powerpack
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データセンターの電力負荷と電気料金
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データセンターの電力負荷
データセンターの負荷とピークカット/ピークシフト
IT電力
IT機器(サーバなど)の電力
負荷はほぼ一定
IT機器用の無停電電源装置(UPS)経由で給電
空調電力
IT機器を冷却するための空調の電力
外気温等によりIT機器の冷却に必要な電力が増減
照明等電力
IT負荷、空調負荷以外の電力
館内照明や管理設備など
ピークカット
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電気料金の仕組み(参考情報)
基本料金 + 電力量料金
※資源エネルギー庁 月々の電気料金の内訳
(https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/spec.html)
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電気料金の仕組み(参考情報)
東京電力エナジーパートナー社 特別高圧需給約款 電気料金
特別高圧季節別時間帯別電力B 単価(60kV契約) 税込み
基本料金 1kW 1,606円00銭
電力量料金 ピーク時間(夏季平日13:00-16:00) 1kWh 17円49銭
昼間時間
(平日08:00-22:00)
夏季(7月~9月) 1kWh 16円89銭
その他季 1kWh 15円74銭
夜間時間 1kWh 12円31銭
※東京電力エナジーパートナー社 Webサイトより抜粋して転記 2020年11月現在
(https://www.tepco.co.jp/ep/corporate/plan_h/plan01.html)
特別高圧季節別時間帯別電力B 電気料金計算式
料金単価 料金単価 × 契約電力 × (185-力率) / 100
電力量料金 料金単価 × 使用電力量 ± 燃料費調整額
料金 基本料金 + 電力量料金 + 再生可能エネルギー発電促進賦課金
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電力のピークカット/ピークシフトの検証と評価
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電力のピークカット/ピークシフトの検証と評価
蓄電池の検証?評価
Powerpackが持つ2つの制御モードにて機能及び性能確認
1.SITEモード
蓄電池の充放電を行う閾値(kW)を設定し、これに基づき制御(静的制御)
負荷電力が設定値を下回れば充電、上回れば放電
2.OPTICASTERモード
実測負荷から機械学習し、充放電タイミングを自動的に判断し制御(動的制御)
季節別時間帯別の電気料金メニューも設定して考慮
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電力のピークカット/ピークシフトの検証と評価
検証?評価スケジュール
蓄電池稼働開始
2019/11/01
令和1年11月 令和2年01月 令和2年03月 令和2年05月 令和2年07月 令和2年09月 令和2年11月
高圧電力
06/24 - 08/30
特別高圧季時別電力
08/30 -
高圧電力
01/29 - 03/25
特高季時別
(その他季)
03/25 - 05/25
特高季時別
(夏季)
05/25
- 06/24
OPTICASTERモード検証
2020/01/29 - 2020/06/24
OPTICASTERモード運用
2020/06/24 -
SITEモード検証
2019/11/01 -
2020/01/29
閾値都度見直し
1.SITEモード検証期間
負荷電力を見つつ閾値を都度見直し
2.OPTICASTERモード検証期間
設定する電気料金メニューを切り替えながら挙動確認
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電力のピークカット/ピークシフトの検証と評価
OPTICASTERモード - ピークカット/ピークシフト動作
評価
? 設定した最低容量を常時確保し制御されている
? 電気基本料金の算出条件(30分平均値)に基づき充放電制御されている。
? 蓄電池の停止や、過電流発生など構内設備への影響、系統への逆潮流発生による逆電力継電器動作は無し
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電力のピークカット/ピークシフトの検証と評価
OPTICASTERモード – 特高季時別料金を考慮した動作
評価
? 電気料金メニューの季節別時間帯別電力量料金の単価差を考慮して、充放電が制御されている。
特別高圧季節別時間帯別電力B(夏季)設定にて確認
②単価の高い時間帯に放電①単価の低い時間帯に充電
③単価切替前に充電量に余力があれば放電
(ピーク帯~16時、昼間帯~22時)放電
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電力のピークカット/ピークシフトの検証と評価
夏場のピークカット効果 2020/06/24~ OPTICASTERモード運用期間
2020/07 2020/08 2020/09
2020/08 負荷電力比で10.8%削減
=年間ピーク
ピークカット効果による受電削減量
2020/09
特別高圧への受電昇圧工事に伴い前半は蓄電池停止
また、8月に比べ気温も落ち着き負荷電力が減ったことから
ピークカット効果がほぼゼロとなった。
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電力のピークカット/ピークシフトの検証と評価
2020年8月のある日の電力推移
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14:00
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18:00
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22:00
22:30
23:00
23:30
受電電力 負荷電力 空調電力(蓄電池効果含む) 空調負荷 IT負荷
負荷電力ピーク
受電電力ピーク
受電ピークカット効果 10.8%
(空調電力の約27%に相当)
空調のみの
ピークカット効果
空調負荷ピーク
空調電力ピーク
IT負荷はほぼ一定
受電
IT負荷
空調負荷
負荷電力ピーク時の空調電力削減分
(=負荷電力ピークの削減分)
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電力のピークカット/ピークシフトの検証と評価
効果の考察
? ピークカット/ピークシフト制御及び負荷傾向はほぼ想定通り
? 負荷電力と受電電力のピークタイミングは異なることがある
? 受電点でのピークカット実績は10.8%
? 空調負荷の割合から、単純計算で約27%分に相当 (目標値15%)
? 蓄電池容量に比べて負荷がまだ少ないため目標より大きな実績 (目標はフル実装時)
? 動作がほぼ想定通りのため、空調電力15%削減は達成見込み
? 空調負荷の事前シミュレーション結果による
? IT負荷割合も想定通りの場合
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まとめ
20
まとめ
蓄電池でピークカット効果があることが確認できた
? 裏方である電気設備の利活用ができた
? データセンターの電力負荷パターンでもピークカット/ピークシ
フトは動作した
? 负荷电力比10.8%のピークカット効果があった
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中長期の計画
ICTサービスインフラ最適化の追求、環境対策の推進
外気冷却空調や
高効率設備の導入で
電力使用量を削減
DC電力需要の平準化
により
ピーク電力を抑制
DCのエネルギー
リソースとして蓄電池
の活用シーンを拡大
これまで 今回 将来
ICTサービスインフラ最適化の追求、環境対策の推進
新しい概念のデータ
センターの実現
電力をただ消費するだけのデータセンターにおける「静」なる電源
システムから、「動」なる電源システムへの改革に向けて取り組む
蓄電池の特性とノウハウを活用して新たなサービスやビジネスモデルを計画していく
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IIJ-BKLT999-0001
ご清聴いただきありがとうございました。

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