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第7回 土壌学
第10章
土壌肥沃度と作物生産
平成23年12月26日
髙木 俊輔
1 耕地の作物生産力と土壌
<作物生産力が決まる要因>
土壌肥沃度?気温?地形?栽培技術?
栽培する品目など???多数あり
土壌肥沃度が最も重要という訳ではない!
2 土壌肥沃度
「地力」の解釈にはバラつきがあるが、
一般的には「地力」≒「土壌肥沃度」
と考えて良い
さらに、この本では
土壌肥沃度=作物生産力決定要因の1つ
とする
3 土壌肥沃度維持のための養分補給方法
☆化学肥料が誕生したのは160年ほど前
に過ぎない
→それまでは、様々なものが養分維持に利
用された。
ヨーロッパでは輪作が編み出された。
二圃式農法 三圃式農法
作付 休耕
耕起
越冬作物 夏作物
豆類
休耕
消極的な方法
家畜
ふん尿
※冬期の飼料不足
穀草式農法
ノーフォーク式農法
(輪栽式農法)
作付
赤クローバ コムギ
休耕
牧草地を作り
飼料を確保?家畜増
飼料用根菜類やマメ科
牧草の導入で飼料生産量↑
コムギ収量も大幅↑
冬穀
夏穀
夏穀
牧草
牧草
牧草
オオムギ 飼料用
カブ
一方、日本の主要作物?イネでは???
連作可能なイネでは、輪作は行われない
堆肥?草木灰?し尿など堆きゅう肥が
養分として供給されており、肥沃度は
保たれていた!
堆きゅう肥は永い間土壌肥沃度を支えてき
たのは事実だが、施与すれば良いという訳
ではない。
耕地の環境や栽培作物によって、
堆きゅう肥の効果の大小は変わって
くる
堆きゅう肥の効果
1 養分の供給源
?窒素、リン、カリ
?微量要素
?緩効性肥料
?植物ホルモン
←増収効果
←増収効果
←水田は期待薄
←栽培歴のある圃場
では不明
2 安定腐植効果
?土壌の物理性を改善
?陽イオン保持力アップ
?有害物質の抑制
?微量要素の溶解
?緩衝物質
※効果が期待できるのは腐植が5%くらいまで
3 生物の供給源
堆きゅう肥に含まれる土壌生物や微生物が、
土壌改良を行う
通常の土壌では効果はあまり期待できない
数年かけて施与すれば効果が現れるかも
1843年に化学肥料が誕生してから???
化学肥料ばかりやると土壌肥沃度が下がるのでは?
そもそも堆きゅう肥と化学肥料っ
て何か違いがあるの?
<化学肥料しか使わないコムギ畑の実験>
1843年~現在、
化学肥料のみ用いたコムギ栽培が行われている
(英?ローザムステッド農業試験場)
115年間の結果
化学肥料区と堆きゅう肥区で、コムギ子実収量に差
は無い!
※ただし、施与量は適切でなければならない
<化学肥料しか使わないと土が死ぬ?>
という噂
化学肥料区?堆きゅう肥区で収量に大差なし!
結論
※ただし、多量に施与すると、塩類集積や急激な
酸性化を促すなど悪影響が発生。
これが「化学肥料は土を殺す」
と思われた原因かも。
一方、日本では???
畑や水田で堆きゅう肥連用試験が実施された
堆きゅう肥と化学肥料の差は無い
また、水田では、堆きゅう肥と化学肥料
(硫安)を併用するとイネの窒素吸収量
が同じなら収量はほぼ同じとなる。
施与量が適切なら、
堆きゅう肥と化学肥料は養分としての
効果に特別な差は無い
どちらが優れているかということは無い。
土壌条件や栽培作物に応じて、
両者を組み合わせたり、堆きゅう肥を優先して
使用するなど、柔軟に対応することが大事である

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