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University	of	Shiga	prefecture.	School	of	Human	CultureUniversity	of	Shiga	prefecture.	School	of	Human	Culture
反社会的な「問題?動」をおこす
?徒のレジリエンスを育てる
松嶋秀明
(滋賀県??学)
?本発達?理学会第27回?会
関連団体企画シンポ「レジリエンスを育成するナラティヴ?
レッスンー負の体験からしなやかに復活する?法」
?時:2016年5?1?(9:30-11:30)
場所:北海道?学N302教室
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resilience
? 困難あるいは脅威的な状況にもかかわらず、う
まく適応する過程、能?、または結果 (Masten,
Best & Garmezy, 1990)
? 重?な逆境のもとで、?らの幸福を維持するた
めの?理的、社会的、?化的、そして?体的資
源に舵をとる能?、およびそれらの資源が?化
的に意味のある仕?で提供されるよう個?的に
も、集団的にも意味を交渉する能? (Ungar, 2011)
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レジリエンシー/レジリエンス
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レジリエンスを導くプロセス、適切な介?の
デザインを?えなくする(Luther, Cichetti & Becker. 2000)
平野 (2010)による
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リジリアンス概念が隠すもの
? リジリアンス概念がもつ主たる限界のひとつは、それが特定
の結果についての規範的判断に結びついているということに
ある。もし、結果として出てきたものが望ましいものでなけ
れば、リスク要因に直?した際にとられる対処?動はリジリ
アンスとはみなされない。社会的に規定された望ましい結果
は主観的には望ましいとはみなされないだろうし、社会的に
規定された望ましからぬ?動が、主観的には望ましいという
こともありえる。つまり、社会的観点からみれば個?は脆弱
性をあらわしているかもしれないが、主観的にみれば、個?
はリジリアンスを表しているかもしれないということだ。
Kaplan, H. B. (1999). Toward an understanding of resilience: A critical review of definitions and models. In M.
D. Glantz & J. L. Johnson (Eds.), Resilience and development: Positive life adaptations (pp. 17-84). New York:
Kluwer Academic/Plenum.
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Michael Ungar
? ナラティブ実践に影響をうけた、社会構成主義
的なリジリアンス研究/実践
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リジリアンスを導く8つの戦略
1. (?らのバイアスを意識しつつ)他者に好奇?を抱く
2. ?脈化した査定を?う*
3. 脱ー中?化実践
4. 複雑な問題には、複雑な(多次元の)解決が必要だとい
うことを認識する
5. 周辺に?きる?々には、典型的ではない結果(解決)が
?じることを尊重する
6. ?々の?化的妥当性と?化的コンピタンスを証明する
7. ?々が資源にアクセスできるよう「舵取り」する
8. ?々が資源を利?できるよう「交渉」するのを助ける
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cultural
adherence
relationships
identity
power &
control
social justice
access to
material
resources
cohesion
Seven “Tensions” to be Resolved
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荒れた中学校の
フィールドワークから
? ある「荒れ」た中学校への3年間の実践関与的観察。
– 都市部にある中学校。全校?徒、約700?で、この地域の
?規模校にあたる。 ?活環境が厳しいなかで育つ?ども
が多い地区を学区にもつ。
– 1年時、対教師暴?や授業妨害、授業エスケープなどがあ
り、騒然とした雰囲気。2年時からは次第に落ち着いてき
た。
? 1年当初から上記?動をおこしたアキをとりあげる。
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廊下
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アキらが
たまっていたところ
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カイトの径路
コウヘイの径路
アキオの径路
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2年?になり、授業エス
ケープする?徒は減少した。
?般?徒から教室に誘う動
きもあらわれ、教室に?り
はじめる?徒もでてきた。
??、アキオは孤?感をふ
かめていく。
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①校内で疎外感を感じて、校
外の??集団とつきあう
↓
②?めるのではなく、何でも
話せる関係を維持する。
↓
③??集団のネットワークを
モニターしつつ関わる。
↓
④後輩のトラブル解消を?助
けし、よいことをして感謝さ
れるという体験
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授業に?らないアキオに対して
教師は、
①無理に授業に?れるよりも、
校舎の補修や、庭?の世話など
の活動に誘った。
↓
②そこでの?先の器?さをみい
だしてほめた。
↓
③アキオに?信をもたせ、進路
の具体化に結びついた。
↓
④学校にくることの意味が深化
し、これまでの(??集団で
の)?活を批判的にみはじめる。
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レジリエンスの協働的達成
? アキが学校に対してとった「反抗」という表現
は、教師の「学校外の??仲間の容認」や「授
業外での関わり」をひきだした。
? そのことはアキに「反抗」にかわる教師とのつ
ながりを提供し、結果として「よいことをして
感謝される」「進路の明確化」を導いた。
? そのことは卒業後の世界を具体化させることに
つながった。
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まとめ
? ?般的に「不適応」とみなせる?動の維持され
る過程に、ある種の「適応」がみいだせる。
– 廊下にいることは簡単ではない。
? ある?動の意味は、連続するプロセスのなかで
再?脈化され、変遷していく。
? ?動への規範的な判断のみならず、当事者にも
たらされる意味をみることが、?援につながる。
引??献
? 平野真?. (2010).レジリエンスの資質的要因?獲得的要因の分類の試み―?次元
レジリエンス要因尺度(BRS)の作成. パーソナリティ研究, 2, 94-106
? Kaplan, H. B. (1999). Toward an understanding of resilience: A critical
review of definitions and models. In M. D. Glantz & J. L. Johnson (Eds.),
Resilience and development: Positive life adaptations (pp. 17-84). New
York: Kluwer Academic/Plenum.
? Luther,S.S., Cichetti, D. & Becker,B. (2000). The Construct of Resilience: A
Critical Evaluation and Guidelines for Future Work. Child Development,71,
543–562.
? Masten,A., Best,K., & Garmezy,N. (1990). Resilience and
development:Contributions from the study of children who overcome
adversity. Development and Psychopathology. 2, 425–444.
? Ungar, M. (2015/2006). リジリアンスを育てようー危機にある若者との対話を
すすめる6つの戦術. 松嶋秀明、奥野光、?森康永(訳). ?剛出版.
? Ungar, M. (2011). Counseling in challenging contexts: Working with
individuals and families across clinical and community settings. Belmont,
CA: Brooks/Cole.

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