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ドキュメンテーション作業の
オートメーション化に伴う
プライベート?プラクティスのゆくえ
~欧米での議論を踏まえて~
2017年10月5日(木)
法務&知財系ライトニングトーク2017 <リーガルテック祭>
弁護士 柴田 堅太郎
(shibaken_law)
1
? 大手法律事務所を経て、そのときの同僚たちと小さい法律事務所を
やっています(現在弁護士6名)
? M&A、ベンチャーファイナンスなどのいわゆるコーポレート案件が中
心です(なので今日は少しアウェイ感あり!)
? Blog(ほとんど更新してませんが…): bizlaw_style
(http://blog.livedoor.jp/overbody_bizlaw/)
? Twitter: shibaken_law (@overbody_bizlaw)
? 法務系LTは第2回、第3回、第4回に続いて4度めの参加です
2
? 法律事務所は、クライアント企業から、より低価格で(※)、より早い、
よりクオリティの高いリ-ガルサービスの提供圧力にさらされている
?(※)タイムチャージ制から固定報酬?報酬キャップ設定への移行
? そこで効率性向上のため、法律事務所は、その業務の中心であるド
キュメンテーションのオートメーション化を目指している
?Document Automation(契約書等の自動作成)
?Robotic Process Automation(RPA)(デジタルレイバー)
3
① 顧客満足度の向上だけではなく、事務所側にも以下のメリットが
② 弁護士はルーチン業務から解放され、より付加価値の高い業務や、顧客獲得
活動に集中できる
③ ヒューマンエラーを減らすことができる(プルーフリードの代行など)
④ 人件費等のコストを減らすことができる
⑤ ノウハウ集中により弁護士移籍に伴うノウハウ流出を防ぐことができる
? 良いことづくめのようだが、次の3つの課題が考えられる(ここから先は私見)
4
? そもそも、法律事務所は、(AIが容易に代替できるような)定型的?典
型的な業務は徐々に依頼されなくなってきている
?例えば一定の情報を入力すれば完成するようなCommercial Contractの作成
などという業務は実際には少ない
?コモディティ業務はないではないが少なくとも「主戦場」ではない
? 専門性が進化し、複雑になっていくドキュメンテーション業務におい
て、オートメーション化はどこまで通用するのか?
5
? 例えば、M&A等のプロジェクト関連契約の作成?修正業務
? 弁護士自ら行うべき当該案件プロパー事情の反映作業の前提として、当該案
件に必要となる膨大な所内類似案件サンプルと「脳内の経験知」の集約作業
?ノウハウが最も現れる場面だが、これらの抽出?組み合わせに相当の時間がかかる
?オートメーション化は可能なのか?>RPAによる所内サンプル読み込み?
? 所内で一からドラフトを作成するのではなく、相手方が提示するドラフトのマーク
アップ作業で、適切な修正を差し込めるのか?
?構成や用語設定を先方ドラフトに適合させつつ適切に修正しなければならない
6
? オートメーション化で付加価値の高い業務への集中が可能と言うけれど…
? 企業法務系法律事務所は、大手法律事務所を中心として、タイムチャージ報酬のもと、
多数のジュニアアソシエイト?パラリーガルの(長時間)稼働による「人海戦術」によりレ
バレッジを得るという収益モデル
? ノウハウよりも手間に要する対価を得てきた
? これまでジュニアアソシエイト?パラリーガルが担ってきた業務がRPAなどのLegal Techに
代替されるとき、現行の組織体制はどう変わっていくのか、どう変えていくべきなのか?
? 少数精鋭体制へ移行するか>リストラの実施?Legal Industry人口の縮小?
? 雇用を守りつつ新たな需要(業務)を創出するか>ブルーオーシャンはどこに?
7
? オートメーション化により収益向上というメリットは果たしてとれるのか?
?タイムチャージ制を前提として実現できるのか?>稼働時間の激減
?時間単価を上げるにも限界がある(See. グローバルスタンダードとの比較)
? Alternative Fee Arrangements(AFAs)への移行
?Fixed or Flat Fee(固定報酬)
?当該業務のfair valueの評価は?案件中止時の精算方法は?
?Success Fee(成功報酬)
?弁護士の取引クロージングへの貢献とは?クロージングへの不適切なインセンティブを持つ
可能性はないか?
?Task or Unit-Based Billing(作業単位ごとの値決め)
?作業単価メニューの策定をどうするか?
8
? Alternative Fee Arrangements(AFAs)への移行(Cont.)
?Percentage Fee(取引規模等に一定料率を乗じて算定)
?取引規模と案件への貢献との関連性?
?Retrospective Fee Based on Value(案件終了後、貢献度から事後的に決定)
?予見可能性が課題
? AFAsの普及にとってKeyとなるのは…
?タイムチャージが普及した現在、顧客企業による理解
?「作業」ではなく「ノウハウ」そのものに対価を払うことへの理解>極端な話、日本で「私のこ
の口頭アドバイス一言100万円」は理解が得られるか
?何よりも、法律事務所による適切な価値算定と報酬設計?提案に向けた努力
?それは、オートメーション化による、より高い価値の提供とセットでなければならない
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