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Screening of forest decline risk  –  South Kanto 酸性化問題の根本的な解決策は, 原因物質の排出削減 . 削減目標の設定などには 総合評価の枠組み が必要. 原因物質の排出量, 酸性物質の大気沈着量, 排出と沈着との量的な関係(発生源寄与), 大気沈着に対する受容域の感受性の定量的な情報. ④ には 臨界負荷量 ( critical load )の概念が適用可能. 現在の知見では,特定の感受性をもつ環境要素に対して重大な有害効果を生じさせない,一つ以上の汚染物質の暴露量の定量的な推計値. 目的は,土壌酸性化に伴う森林衰退の可能性がある地域を絞り込む手法( スクリーニング手法 )の開発. 南関東を対象としたケーススタディ.図化単位は第 3 次メッシュ系. 背景と目的. これらの空間分布も重要
Screening of forest decline risk  –  South Kanto 酸性沈着量が森林衰退の臨界負荷量を上回る地域を,森林衰退の可能性がある地域として抽出すること. 酸性沈着量( acid deposition) . 大気由来の酸( H + )の負荷量.湿性沈着および乾性沈着の双方を考慮し,大気沈着由来の NH 4 + の硝化に伴う酸の生成も加味する. 臨界負荷量( critical load ). 土壌酸性化に伴う森林衰退が長期的に生じないとみられる最大の酸性沈着量,と再定義する. 森林衰退の多様な原因のうち, Al の植物毒性に着目する. Al の植物毒性の指標は,土壌溶液中の K + , Mg 2+ および Ca 2+ と単核の無機態 Al イオンとのモル濃度比( BC/Al 比)とする. 超過負荷( exceedance ). 酸性沈着量が臨界負荷量を上回る状態. スクリーニング.
Screening of forest decline risk  –  South Kanto 酸性沈着量は チャージバランス より計算. 沈着した NH 4 + の完全硝化を仮定すると, 酸性沈着量の計算. 湿性沈着 と 乾性沈着 に区分して 1997 年度の各月の H + 沈着量を推計し,その合計を年間沈着量とした. 湿性沈着: 降水量および降水濃度の積を沈着量として図化. 降水量: アメダス局の観測データを用いて,地形要因などを説明変数とした降水量重回帰式により図化. 降水濃度: 大気沈着局の観測データを用いて,距離の 2 乗分の 1 を重みとした加重平均により図化. 乾性沈着: 降水濃度と同一の方法により図化.
Screening of forest decline risk  –  South Kanto 1997 年度の年降水量.
Screening of forest decline risk  –  South Kanto 1997 年度の酸性沈着量(湿性沈着+乾性沈着).
Screening of forest decline risk  –  South Kanto Main processes in forest ecosystem Foliage interception  Ion exchange Chemical weathering N immobilization Nitrification Ad-desorption equilibrium Leaching – Mass balance in leachate Wet deposition Root  zone depth Nutrient uptake Litter fall Stem flow Translocation Evapotranspiration Surface runoff Lateral flow Volatilization N fixation Leaching Denitrification Rainfall Throughfall Processes with water flow. Processes without water flow. Processes considered in CL calculation at steady-state. Net  uptake Dry deposition
Screening of forest decline risk  –  South Kanto CL ( acidity ) : 臨界負荷量 ( molc ha -1  yr -1 ,以下同), BC we : 土壌鉱物の化学的風化による塩基生成量( Na,K,Mg,Ca ) , Bc gu : 植物による正味の塩基吸収量( K,Mg,Ca)  , N gu : 植物による正味の窒素吸収量, N im : 安定な有機物としての窒素不動化量, 臨界負荷量の計算. 森林に該当するメッシュのみを対象として計算. 欧州で開発された定常物質収支モデル( Posch ほか  1995 )に改良を加えたモデルを適用. 基本式は,土壌浸出水のイオンバランスに各イオンの長期的に安定な物質収支過程を組み込んだもの. N de : 脱窒量, Al le ( ml ) :  負荷が閾値にある際の単核無機 Al イオン浸出量,  H le ( ml ) : 同様に水素イオン浸出量, HCO 3le ( ml ) : 同様に炭酸水素イオン浸出量, RCOO le ( ml ) : 同様に有機酸イオン浸出量.
Screening of forest decline risk  –  South Kanto 臨界負荷量(1). BC/A l比は,日本の樹種(針葉樹:アカマツ,広葉樹:ブナ)を用いた実験より得られた値(伊豆田  2002 )を適用.
Screening of forest decline risk  –  South Kanto 臨界負荷量(2). BC/A l比は,ドイツトウヒを用いた実験より得られた値( Sverdrup and Warfvinge 1993 ;欧州で一般に持ちられる値)を適用.
Screening of forest decline risk  –  South Kanto 超過負荷の計算. 超過負荷  =  酸性沈着量  -  臨界負荷量 超過負荷は,それが長期的に継続した場合に影響が顕在化する可能性があることを意味し,現状あるいは近い将来の森林衰退と必ずしも対応しない.
Screening of forest decline risk  –  South Kanto 超過負荷(1): 臨界負荷量(1)との対比.
Screening of forest decline risk  –  South Kanto 超過負荷(2): 臨界負荷量(2)との対比.

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