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抜粋版



        『电子雑誌の近未来』
      ~電子書籍先進国米国の実態データから見た
           雑誌業界活性化のヒント



                             2012.3.8
                             谷内ススム

          株式会社イノベーティブプラットフォーム

        ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved.   Page 1
背景、問題意識
?   米国はタブレットや電子ブックリーダーの普及が成人のほぼ20%に及び、電子書籍や電子雑誌の流
    通も普及期を迎えつつある、電子書籍の先進国です。【データ:4-1※】

?   米国雑誌協会(MPA:The Association of Magazine Media)が、2011年11~12月に、雑誌アプリ
    のユーザーに対する調査結果、雑誌に関するファクトブックで、現在の雑誌市場に関する詳しいデー
    タを提供しています。

?   日本と米国の基本的な雑誌購読スタイルの違い等はあるものの、上記のデータを分析?考察すること
    で、日本の今後の電子雑誌市場の行方を考える示唆や仮説が得られるのではないかと考えました。
    私は、これまで雑誌業界の周辺で仕事をし、電子絵本事業を推進している立場なのですが、上記
    のデータは個人的にも非常に参考になりました。

?   私見ですが、日本の雑誌市場は、編集系コンテンツの優位性を持ちながらも、過度の悲観論から業
    績の低迷に悩んでいる様に感じます。

?   私の経験及び本書で行った分析だけでは、米国の実態を語るには、まだまだ不足していることは明ら
    かですが、日本の雑誌の新しい価値創造、雑誌市場再生に向け日々実践をしておられる方々の何
    らかのヒント、議論のたたき台になれば幸いです。


                 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved.   Page 2
DATA   4-1:タブレット、電子ブックリーダーの普及状況




       ※




           資料: Pew_Tablets and e-readers double 1.23.2012.pdf   2012年 Pew Research Center

                     ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved.         Page 3
ご利用上の注意
?   本書で引用しているデータについては以下の点から取り扱いに注意して下さい。

    -   調査結果の国際比較は、背景となる生活者の行動、産業構造、メディア環境の違い等を読み込む必要が
        あるため、そもそも非常に難しいものです。
    -   今回の執筆にあたり、できるだけ一次データとその仕様を確認する様にしましたが、時間の制約もあり不明な
        点も残っています。
    -   また、著者は近年の米国雑誌事情について十分にデータを読み込めるだけの現地経験はありませんので、ご
        注意願います。
    -   さらに、日本語と英語では言葉の定義が同じではないため、調査段階、翻訳段階での認識の誤差は必ず存
        在します。

    ※「このデータは注意が必要」、「このデータはこう読むべき」という
     ご意見がありましたら、最後にありますコンタクトか、下記のウェブサイトでの
     本書紹介記事のコメント欄に書き込みをお願いします。
     確認の後、是非読者の方と共有をさせていただきたいと考えます。


?   記述に関する訂正、重要な更新情報がある場合は、弊社ウェブサイト http://ipfm.jp/ にて情報
    を提供します。




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ご利用上の注意 (続き)
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    負いません。

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    本書は著作権法上の保護を受けています。
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    また、その際、必ず出所を明記してください。

    新聞や雑誌、ニュース?サイトなどの商業メディアに引用される場合は、
    contact@ipfm.jp まで、ご一報ください。




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目次
?   【考察】                   この抜粋版には「考察」のデータ?ページがありません

?   【提言】

?   【データ1】 米国電子雑誌アプリユーザー調査トピックス

?   【データ2】 米国雑誌事情                                                       この抜粋版にはありません

?   【データ3】 日本と米国の雑誌市場の比較

?   【データ4】 その他

?   資料一覧、その他




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詳細目次
【考察】

電子雑誌は、紙の雑誌の敵ではない
ユーザーは使いやすくポータブルな電子版に期待
2009~2010年日米に生じた雑誌広告売上業績の差とその理由①②
米国の電子雑誌の課題
電子雑誌の将来課題を解決するのは誰か
※番外編① 「電子雑誌の第一法則」
※番外編② 「電子デバイスが紙を越える日」

【提言】

雑誌出版社の3つの課題①~③
課題解決のための主要アクション仮説(出版社)
課題解決のための主要アクション仮説(業界団体、サポート事業者)




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詳細目次
【データ1】米国電子雑誌アプリユーザー調査トピックス MPA The Mobile Magazine Reader より

1-1:利用したことのある電子雑誌ジャンル(複数回答)
1-2:1週間に電子雑誌を読む時間
1-3:紙の利用雑誌数の増減
1-4:1年前と比較した、紙とデジタルの両方で読んでいる雑誌数の変化
1-5:雑誌アプリを知るきっかけ(複数回答)
1-6:電子版を利用する理由(複数回答)
1-7:電子版利用後の行動(複数回答)
1-8:電子版をデバイス上で友人、同僚、家族と見るか
1-9:雑誌アプリのダウンロード数
1-10:最新号、バックナンバーの利用
1-11:特定の号の電子版を何回読むか
1-12:電子雑誌の広告に対する反応(読む、クリックする)
1-13:電子雑誌の購入スタイル(複数回答)
1-14:電子雑誌の選び方
1-15:電子ニューススタンドの訪問経験(複数回答)
1-16:電子ニューススタンドの店頭立ち読み時間への影響(ニューススタンド利用者、647名)
1-17:電子ニューススタンドで重視すること(複数回答)
1-18:電子雑誌のダウンロードとナビゲーションについて(※強く同意と、やや同意の合計)
1-19:電子雑誌のコンテンツについて(※強く同意と、やや同意の合計)
1-20:電子雑誌の広告について(※強く同意と、やや同意の合計)



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詳細目次
【データ2】米国雑誌事情 MPA Magazine Media Factbook などから

2-1:単品売上と定期購読売上の比率(2010)
2-2:売上の小売チャネル別構成(2010)
2-3:公的な場所での雑誌閲覧(2008)
2-4:雑誌の持ち歩き(2010)
2-5:メディア利用の変化(2006対2010)
2-6:検索エンジン利用のきっかけとなるメディア(2010)
2-7:消費者の認知~購買プロセスで
2-8:雑誌広告が喚起する様々なアクション(2010)
2-9:雑誌ヘビーユーザーの特徴①(2010)
2-10:雑誌ヘビーユーザーの特徴②(2010)
2-11:雑誌ヘビーユーザーの特徴③(2010)
2-12:電子雑誌の魅力(2010)
2-13:電子雑誌の広告評価①(2010)
2-14:電子雑誌の広告評価②(2010)
2-15:電子雑誌の広告評価③
2-16:電子雑誌の広告評価④(2010)
2-17:今後のメディア別広告売上の予測
2-18:今後の雑誌広告売上の予測




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詳細目次
【データ3】日本と米国の雑誌市場の比較

3-1:日米の販売売上推移(2005~2010、2005を100%とする)
3-2:日米の広告売上推移(2005~2010、2005を100%とする)
3-3:米国の販売売上推移(1990~2010)
3-4:日米の雑誌売上と構成(2010)
3-5:日米の4媒体広告売上比率(2010)
3-6:日米の基礎データ及び雑誌売上等の比較(2010)



【データ4】その他

4-1:タブレット、電子ブックリーダーの普及状況
4-2:電子雑誌のフォーマット
4-3:電子雑誌に求めるもの
4-4:広告、EC連携
4-5: 「紙」 対 「デジタル」
4-6:電子雑誌に対する不満
4-7:電子雑誌アプリの見つけ方
4-8:主要出版グループ別のリーチ(2011秋)
4-9:主要出版グループ別の読者割合(2011秋)
4-10:時間帯別タブレット、電子書籍リーダー、主なメディアの利用


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考 察




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電子雑誌は、紙の雑誌の敵ではない
?   今回の分析を通じて、最も明確に分かったことは、

    「電子雑誌は、紙の雑誌の敵ではない」

    ということです。

?   米国の利用実態を見ても、電子雑誌を評価する声がある一方で、紙の雑誌の価値も評価されてい
    ます。 【データ:1-19※1】【データ:4-5】

?   当面は、電子版と紙を併用するというのが、雑誌利用のスタンダードになると考えられます。
     -   出版社サイドもその方向に舵を切っている様子がうかがえます。 【データ:4-8,9】
     -   より具体的には、Wired誌の様に、紙の定期購読者には無料で電子版を配布すると言った流れが一般的に
         なりつつあると考えられ、これはユーザー側での実態とも符合します。 【データ:1-13※】


?   念のため確認をしておきますと、コンテンツ制作レイヤーでは、電子版をコアにベンチャー企業が業界
    構造を大きく変えるような流れは米国では起こっていない様です。日本も同じだと思いますが、雑誌の
    ブランド力、編集系コンテンツのライティング力、取材ネットワークなどを考えると、なかなか新しい勢力
    が波乱を起こすことの難しい業界なのではないでしょうか。

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ユーザーは使いやすくポータブルな電子版に期待
?   次に確認をしたいことは、

    「ユーザーは、
     タブレットや電子書籍リーダーの性能を活かした独自のインタラクティブなコンテンツや
     従来に無い新しい付加価値を加えることよりも、
     シンプルに紙の雑誌を使いやすくポータブルにして欲しいと考えている」

    ということです。

     -   ユーザーは電子版の簡単に見ることができてポータブルであることを評価しています。 【データ:1-6※】
         また電子版への期待を聞くと、シンプルに紙版を電子化したものが良いというニーズが強いのです。
         【データ:4-3】
     -   一方でインタラクティブな魅力を加えても、追加料金を支払ってもらうことは難しそうです。 【データ:1-19※2】




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使いやすくポータブルな电子版の生み出す価値は
                売上増につながる
?   さて、「使いやすくポータブルなものにする」のは良いとして、それをしても増収がなければ、
    出版側としては単なる費用の持ち出しが増えるだけでメリットがありません。

?   ただ、米国の動向を見ると、電子版に取り組むことを通じて、新しい顧客価値が生まれ、
    出版側の増収につながっていると考えられる点が3つあります。それは、

        ①雑誌を読む経験が、よりリッチなものになること
        ②広告がユーザーにとってより良いものとなること(ウェブ広告よりも電子雑誌広告!)
        ③物販や予約といった雑誌を読んだ後の行動とのスムーズな連携

    です。
    -    ①については、 調査結果で確認できます。 【データ:1-19※3】【データ:2-12】
         こうした経験は雑誌コンテンツとの接触時間の増加、雑誌記事?広告によるインパクトの向上につながります。
    -    ②については、 詳しい調査結果が参考になります。【データ:2-13~16】
         (やや素晴らし過ぎる調査結果には、微妙な部分も感じますが、基本的にポテンシャルは大きいと考えられま
         す。最近のディスプレイ広告見直し論の背景にもつながっていると考えられます)。
    -    ③は、 雑誌本来の行動喚起、需要喚起の機能を活かすことにつながると考えられます。 【データ:2-6,8】
         一方で、ユーザーのニーズも明確です。 【データ:1-20※1】【データ:2-14】 【データ:4-4】
         従来、日本ではマガシーク(www.magaseek.com)の様な企業が、雑誌社の代わりに、こうした機能を補完し
         ていたのです。

?   こうした新しい顧客価値は、裏を返せば広告スポンサーにとっての価値につながることから、
    電子版に上手く取り組めば、広告売上での増収の機会が拡大するということになります。

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2009~2010年日米に生じた雑誌広告売上
              業績の差とその理由①
?   次に、過去数年の日米の雑誌業界売上に目を向けましょう。

?   2005~2010年の雑誌販売売上は日米共に低下傾向にあります。【データ:3-1】
    これはインターネット上のウェブ?サイトやブログ、SNSなど無料コンテンツが増加した中期的なトレンド
    の反映と考えられます。

?   一方、雑誌広告売上を見ると、2008年9月のリーマン?ショック以降、日米共に急激に減少しました
    が、米国は2009年、2010年と売上を下げることなく持ちこたえており、引き続き減少傾向に甘んじて
    いる日本とは対照的です。【データ:3-2】

?   この日米の雑誌広告売上の推移の違いは何が原因なのでしょう?

?   まず米国の雑誌業界は広告売上の比率が高くなっており日本とは逆です。【データ:3-4】

?   また米国ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌という4広告媒体の中で、雑誌は売上比率で第2位の位
    置にあります。【データ:3-5】 系列下にTV局を有する新聞が力を持つ日本とは、媒体としての存
    在感がやや違う印象です。米国は多民族かつ多様化した社会であり、フラグメントした市場では雑
    誌が有効な広告媒体であったことも原因かも知れません。

?   業界上のポジションが影響したのか、再販制度下の販売売上に依存し続けたことが本質的な広告
    販売の力を衰えさせてしまったのかは、業界の皆様のご判断にお任せしたいと思います。

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2009~2010年日米に生じた雑誌広告売上
              業績の差とその理由②
?   2009~2010年の雑誌広告売上の日米の大きな違いを考えるにあたって、もう1つ忘れてはならない
    のは、この2年間、米国では電子書籍、電子雑誌に関する様々な積極的な取り組みがあったという
    点です。

?   そうした結果、現時点で米国のタブレット、電子ブックリーダー利用者は成人のほぼ2割に達しており、
    一般的な生活者の日常生活に浸透し始めています。 【データ:4-1】

?   この間、電子雑誌についても、各社で様々な実験的な取り組みが展開されると共に、雑誌とウェブ?
    サイトを連携させ、雑誌の新しい価値創造に向けた取り組みが進んできました。

?   さらには、今回、米国雑誌協会の調査報告書やファクトブックをみて驚いたのは、雑誌の
    根本的な価値やウェブ?サイト、電子版の価値について、広告スポンサーの立場に立った
    調査が多数行われているということでした。 雑誌のヘビーユーザーに関する分析などは非常に意欲的
    な調査だと感じます。 【データ:2-9~11】

?   こうした雑誌の顧客価値向上、広告スポンサー価値向上に向けた出版社、業界団体の
    前向きな取り組みが、この2年間の日本でどれ程見られたでしょうか?

?   スキャナーの販売やレンタルが急拡大するほど自炊市場が拡大してきたことは、デバイスの普及に伴
    い「使いやすくポータブル」を望むユーザー?ニーズの反映だったのに…


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米国の電子雑誌の課題
?   最後に見ておきたいのは、今後の電子雑誌に求められることがらです。

?   日本の場合は、これから電子雑誌が本格化するわけですが、米国で一歩先に見えている課題をあら
    かじめ織り込むことができれば、米国に早く追いつき追い越すことが可能になります。

?   米国ユーザーのニーズや不満を見ると、以下の3つへの対応が重要と考えられます。
    それは、
     ①各誌で統一されたナビゲーション
     ②雑誌と出会う仕組み(欲しい雑誌を探す、新しい雑誌との出会いを提案する)
     ③広告のパーソナライズ
    です。
    -   ①については、 敢えて有力な調査機関の2つが同じような調査項目を調査している背景には、需要側の不
        満と共に、供給側の問題意識があるということではないでしょうか。 【データ:1-18※】【データ:4-2】
    -   ②については、特に新しい雑誌との出会いを提案するという部分では履歴に基づくリコメンドやソーシャルメディ
        アとの連携など、チャレンジが必要な領域です。 【データ:1-17※】【データ:4-6】
    -   ③ついては、 まず単純な広告に対する不満が感じられます。 【データ:1-20※2】
        一方でパーソナライズ広告に対する興味も確認できます。で確認できます。 【データ:4-4】
        電子雑誌広告の受容度が高いという強みをさらに伸ばす取り組みであり、最強の電子広告媒体としての
        地位を確立し、売上を伸ばせる可能性があります。


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電子雑誌の将来課題を解決するのは誰か
?   さて、先の①~③の課題解決を考えるにあたって重要なのは、出版社が取り組むのか、
    電子雑誌の配信プラットフォームなどが取り組むのかという論点です。

?   具体的には、App Store や Kindle Store 、モバイルキャリアの電子マガジンスタンド(例.ビューン)
    などが、こうした仕組みをとりまとめるか、出版社サイドが業界団体等で取り組むか、という大きな2つ
    の考え方があるということです。

?   特に米国では Appleのマガジンスタンドや App Store のプレゼンスが非常に大きいので、Appleの配
    信プラットフォームがこれらの課題解決に乗り出す可能性も考えられます。 【データ:1-5※,15※】
    【データ:4-6】

?   もちろん、大手書店のバーンズアンドノーブル(日本で言えばTSUTAYA)や、パブリッシング?ソフトの
    Adobe、サムソンの様なシェアの高い端末メーカーなども、プレーヤーとしては見逃せません。

?   出版社の本業が配信では無いとすれば、複数の有力な配信プラットフォームが無茶な手数料を要
    求せずに①~③の解決を取りまとめてくれれば、ユーザーも出版社もハッピーな仕組みが実現できる
    可能性があります。これこそ机上の空論かも知れませんが…

?   この論点は、流通の覇権を巡る戦いそのものでもあり、これからの各社の動きに注目です。


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考察 ※番外編①
?   ここ数日、雑誌と電子雑誌の良い関係を上手く表現するメタファーをあれこれ考えていた
    のですが、無い知恵を絞った結果が、

      雑誌 : 電子雑誌 = ラーメン : インスタント?ラーメン

     ※雑誌と電子雑誌の関係は、ラーメンとインスタント?ラーメンの関係に同じ(電子雑誌の第一法則)


    というものです。

?   インスタント?ラーメンは、ラーメン屋に行けない時や旅先などで便利に楽しめます。
    一方、時間の有る時や店の近くにいる時に、決してインスタント?ラーメンは食べませんよね。
?   雑誌についても同様で、部屋でゆっくり読みたい時に電子雑誌は読まないでしょう。
    一方で、外出中の隙間時間や、移動中?旅行中などは電子雑誌があるとすぐに読めるし、雑誌を持
    ち歩かなくてもすみ、とても便利です。

?   また、コンビニ等で売っている名店のインスタント?ラーメンは、当初提案した際、店主達に
    「こんなのを出したら店の客が減ってしまう!」と怒られたそうですが、結局それは無用の心配に終わり
    、むしろ来店客を増やす効果があったそうです。
?   雑誌もラーメンの名店の様な、しっかりした「味」があれば、電子雑誌はプラスに作用する
    のではないでしょうか。

               ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved.   Page 19
考察 ※番外編②
    「電子デバイスが紙を越える日」

?   これは、やがてやってくるのかも知れません。

?   新しいメディアは、時に不可逆な移行をします。

     8mmビデオ → ホームビデオ → DVD → Blu-ray
     低解像度のテレビ → 高解像度のテレビ

    などが、その例でしょうか。コストの差が小さくなった段階で、一旦新しいものを経験すると、
    もうユーザーが元には戻れない、という状態が生じることがあります。

?   現在のタブレット、電子書籍リーダーは便利ですが、上記の様な不可逆な移行を実現できるほどの
    デバイスではありません。

?   一方で、タブレット、電子書籍リーダーは、従来の紙では容易にできなかった価値、友人や家族との
    情報の共有や、コンテンツ保管の容易さ、ポータビリティなどを実現したのも事実です。


               ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved.   Page 20
考察 ※番外編② (続き)

       紙                                                           紙
       の                                                           の
       価                                                           価          電子デバイス
       値                                                           値            の価値
       電子デバイスの価値



?   上の左の状態(現在)が、右の状態になった時、思い出だとか愛着、歴史的な価値などを
    除いて合理的に考えれば、紙が電子デバイスに置き換わる日が来るでしょう。

?   ただ、こんなデバイスが世界中に拡がるのは、少なくとも5年以上先のことではないかと。

?   少し気になるのは、国策でタブレットを配ろうとしているインドの様な国の子供達が、タブレット当たり前
    で読書をして成長した場合、紙の雑誌を見て「紙ってクールだね」と言うのかどうかです。上左の図で
    オレンジ色の領域の価値で育った子供が青色の価値をどう評価するのか…

             ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved.            Page 21
資料一覧、その他




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資料一覧
<引用した主なもの>

?   “The Mobile Magazine Reader” MPADigitalStudyReport.pdf 2011年 MPA
?   “Magazine Media Factbook ” 2011-12-MPA-factbook.pdf 2011年 MPA
?   Magazines and Tablets, Part 2 (http://bcove.me/8hu5zh4w) 2012年 Gfk MRI
?   “Tablet and E-book reader Ownership Nearly Double Over the Holiday Gift-Giving Period”
    2012年 Pew Research Center
?   “Affinity Reports Dramatic Shifts in Magazine”
    Readershiphttp://www.affinityresearch.net/images/PR_Publishing_Cos.pdf 2011年 Affinity
?   “A DAY IN THE LIFE: TRACKING E-READER AND TABLET OWNERS‘ ACTIVITIES AND
    PATTERNS OF USE” 2011年 Gfk MRI
?   「雑誌でリーチできる限界」 (http://www.is.nri.co.jp/data/analysis/091001.html)
    2009年 野村総合研究所

<その他の参考資料>

?   「米国iPad利用実態調査」概要 2011年 電通総研
?   http://thefutureofpublishing.com/industries/the-future-of-magazines/
?   http://wired.jp/2012/01/30/future-of-reading-kobayashi-hiroto/
                      ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved.   Page 23
著者略歴?コンタクト

谷内ススム tan@ipfm.jp

?   1987年3月、大阪大学工学部応用物理学科卒業
?   住友生命保険のシステム部門勤務を経て、約10年間、経営コンサルタントとして、事業戦略立案?実行支援、マ
    ーケティング戦略立案?実行支援を中心に、中堅~大企業の幅広い経営課題の解決を支援。
?   その後、ベンチャー企業経営(インターネット?リサーチ事業、成長力を回復しYahooに事業売却)、ベンチャー?キャピ
    タルを経験。
?   2006年12月ツタヤオンライン(現、カルチュア?コンビニエンス?クラブ)に入社、07年4月より執行役員として、メディア
    事業部長、経営戦略室長などを歴任。特に、ネット広告事業の売上と利益を大きく拡大させると共に、オンライン
    ショッピング?レンタル、モバイル?コンテンツ販売、TV向け配信事業など、グループ内インターネット事業の事業戦略
    の検討?実行支援で成果を残した

?   2010年1月に(株)イノベーティブプラットフォームを設立、ベンチャー企業のアドバイザリー、大企業の新規事業立ち上
    げ支援及び自社事業を展開
?   2010年12月よりビートレンド株式会社取締役(非常勤)
?   2011年6月より株式会社アイフリーク取締役(非常勤)
     ※電子絵本「こえほん」事業 http://www.pict-box.com/app を推進中

?   日本行動計量学会会員(※消費者行動を数量的に分析する学会)




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弊社のミッション




       活力ある持続可能な社会を作るため
人、生物、モノ、コンテンツが、持てる力を十二分に発揮できるような
       プラットフォーム型の事業を創造すること
    または、その創造をしようとする組織を支援すること


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『电子雑誌の近未来』

  ~电子书籍先进国米国の実态データから见た雑誌业界活性化のヒント

2012年3月8日 抜粋版 第1.0版発行

著者    : 谷内ススム
発行人   : 谷内ススム
発行?販売 : 株式会社イノベーティブプラットフォーム http://ipfm.jp

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电子雑誌の近未来

  • 1. 抜粋版 『电子雑誌の近未来』 ~電子書籍先進国米国の実態データから見た 雑誌業界活性化のヒント 2012.3.8 谷内ススム 株式会社イノベーティブプラットフォーム ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 1
  • 2. 背景、問題意識 ? 米国はタブレットや電子ブックリーダーの普及が成人のほぼ20%に及び、電子書籍や電子雑誌の流 通も普及期を迎えつつある、電子書籍の先進国です。【データ:4-1※】 ? 米国雑誌協会(MPA:The Association of Magazine Media)が、2011年11~12月に、雑誌アプリ のユーザーに対する調査結果、雑誌に関するファクトブックで、現在の雑誌市場に関する詳しいデー タを提供しています。 ? 日本と米国の基本的な雑誌購読スタイルの違い等はあるものの、上記のデータを分析?考察すること で、日本の今後の電子雑誌市場の行方を考える示唆や仮説が得られるのではないかと考えました。 私は、これまで雑誌業界の周辺で仕事をし、電子絵本事業を推進している立場なのですが、上記 のデータは個人的にも非常に参考になりました。 ? 私見ですが、日本の雑誌市場は、編集系コンテンツの優位性を持ちながらも、過度の悲観論から業 績の低迷に悩んでいる様に感じます。 ? 私の経験及び本書で行った分析だけでは、米国の実態を語るには、まだまだ不足していることは明ら かですが、日本の雑誌の新しい価値創造、雑誌市場再生に向け日々実践をしておられる方々の何 らかのヒント、議論のたたき台になれば幸いです。 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 2
  • 3. DATA 4-1:タブレット、電子ブックリーダーの普及状況 ※ 資料: Pew_Tablets and e-readers double 1.23.2012.pdf 2012年 Pew Research Center ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 3
  • 4. ご利用上の注意 ? 本書で引用しているデータについては以下の点から取り扱いに注意して下さい。 - 調査結果の国際比較は、背景となる生活者の行動、産業構造、メディア環境の違い等を読み込む必要が あるため、そもそも非常に難しいものです。 - 今回の執筆にあたり、できるだけ一次データとその仕様を確認する様にしましたが、時間の制約もあり不明な 点も残っています。 - また、著者は近年の米国雑誌事情について十分にデータを読み込めるだけの現地経験はありませんので、ご 注意願います。 - さらに、日本語と英語では言葉の定義が同じではないため、調査段階、翻訳段階での認識の誤差は必ず存 在します。 ※「このデータは注意が必要」、「このデータはこう読むべき」という ご意見がありましたら、最後にありますコンタクトか、下記のウェブサイトでの 本書紹介記事のコメント欄に書き込みをお願いします。 確認の後、是非読者の方と共有をさせていただきたいと考えます。 ? 記述に関する訂正、重要な更新情報がある場合は、弊社ウェブサイト http://ipfm.jp/ にて情報 を提供します。 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 4
  • 5. ご利用上の注意 (続き) ? 本書の内容によって生じる、直接または間接の被害について、著者ならびに弊社は一切の責任を 負いません。 ? 商標の表記について 本書の記述にある、企業名、製品名、サービス名などは、一般に各社の登録商標または商標 ですが、商標を表す記号は付けておりません。 ? 著作権等 本書は著作権法上の保護を受けています。 社内文書などに引用する際には、著作権法で認められた引用の範囲内でご利用ください。 また、その際、必ず出所を明記してください。 新聞や雑誌、ニュース?サイトなどの商業メディアに引用される場合は、 contact@ipfm.jp まで、ご一報ください。 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 5
  • 6. 目次 ? 【考察】 この抜粋版には「考察」のデータ?ページがありません ? 【提言】 ? 【データ1】 米国電子雑誌アプリユーザー調査トピックス ? 【データ2】 米国雑誌事情 この抜粋版にはありません ? 【データ3】 日本と米国の雑誌市場の比較 ? 【データ4】 その他 ? 資料一覧、その他 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 6
  • 8. 詳細目次 【データ1】米国電子雑誌アプリユーザー調査トピックス MPA The Mobile Magazine Reader より 1-1:利用したことのある電子雑誌ジャンル(複数回答) 1-2:1週間に電子雑誌を読む時間 1-3:紙の利用雑誌数の増減 1-4:1年前と比較した、紙とデジタルの両方で読んでいる雑誌数の変化 1-5:雑誌アプリを知るきっかけ(複数回答) 1-6:電子版を利用する理由(複数回答) 1-7:電子版利用後の行動(複数回答) 1-8:電子版をデバイス上で友人、同僚、家族と見るか 1-9:雑誌アプリのダウンロード数 1-10:最新号、バックナンバーの利用 1-11:特定の号の電子版を何回読むか 1-12:電子雑誌の広告に対する反応(読む、クリックする) 1-13:電子雑誌の購入スタイル(複数回答) 1-14:電子雑誌の選び方 1-15:電子ニューススタンドの訪問経験(複数回答) 1-16:電子ニューススタンドの店頭立ち読み時間への影響(ニューススタンド利用者、647名) 1-17:電子ニューススタンドで重視すること(複数回答) 1-18:電子雑誌のダウンロードとナビゲーションについて(※強く同意と、やや同意の合計) 1-19:電子雑誌のコンテンツについて(※強く同意と、やや同意の合計) 1-20:電子雑誌の広告について(※強く同意と、やや同意の合計) ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 8
  • 9. 詳細目次 【データ2】米国雑誌事情 MPA Magazine Media Factbook などから 2-1:単品売上と定期購読売上の比率(2010) 2-2:売上の小売チャネル別構成(2010) 2-3:公的な場所での雑誌閲覧(2008) 2-4:雑誌の持ち歩き(2010) 2-5:メディア利用の変化(2006対2010) 2-6:検索エンジン利用のきっかけとなるメディア(2010) 2-7:消費者の認知~購買プロセスで 2-8:雑誌広告が喚起する様々なアクション(2010) 2-9:雑誌ヘビーユーザーの特徴①(2010) 2-10:雑誌ヘビーユーザーの特徴②(2010) 2-11:雑誌ヘビーユーザーの特徴③(2010) 2-12:電子雑誌の魅力(2010) 2-13:電子雑誌の広告評価①(2010) 2-14:電子雑誌の広告評価②(2010) 2-15:電子雑誌の広告評価③ 2-16:電子雑誌の広告評価④(2010) 2-17:今後のメディア別広告売上の予測 2-18:今後の雑誌広告売上の予測 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 9
  • 10. 詳細目次 【データ3】日本と米国の雑誌市場の比較 3-1:日米の販売売上推移(2005~2010、2005を100%とする) 3-2:日米の広告売上推移(2005~2010、2005を100%とする) 3-3:米国の販売売上推移(1990~2010) 3-4:日米の雑誌売上と構成(2010) 3-5:日米の4媒体広告売上比率(2010) 3-6:日米の基礎データ及び雑誌売上等の比較(2010) 【データ4】その他 4-1:タブレット、電子ブックリーダーの普及状況 4-2:電子雑誌のフォーマット 4-3:電子雑誌に求めるもの 4-4:広告、EC連携 4-5: 「紙」 対 「デジタル」 4-6:電子雑誌に対する不満 4-7:電子雑誌アプリの見つけ方 4-8:主要出版グループ別のリーチ(2011秋) 4-9:主要出版グループ別の読者割合(2011秋) 4-10:時間帯別タブレット、電子書籍リーダー、主なメディアの利用 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 10
  • 11. 考 察 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 11
  • 12. 電子雑誌は、紙の雑誌の敵ではない ? 今回の分析を通じて、最も明確に分かったことは、 「電子雑誌は、紙の雑誌の敵ではない」 ということです。 ? 米国の利用実態を見ても、電子雑誌を評価する声がある一方で、紙の雑誌の価値も評価されてい ます。 【データ:1-19※1】【データ:4-5】 ? 当面は、電子版と紙を併用するというのが、雑誌利用のスタンダードになると考えられます。 - 出版社サイドもその方向に舵を切っている様子がうかがえます。 【データ:4-8,9】 - より具体的には、Wired誌の様に、紙の定期購読者には無料で電子版を配布すると言った流れが一般的に なりつつあると考えられ、これはユーザー側での実態とも符合します。 【データ:1-13※】 ? 念のため確認をしておきますと、コンテンツ制作レイヤーでは、電子版をコアにベンチャー企業が業界 構造を大きく変えるような流れは米国では起こっていない様です。日本も同じだと思いますが、雑誌の ブランド力、編集系コンテンツのライティング力、取材ネットワークなどを考えると、なかなか新しい勢力 が波乱を起こすことの難しい業界なのではないでしょうか。 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 12
  • 13. ユーザーは使いやすくポータブルな電子版に期待 ? 次に確認をしたいことは、 「ユーザーは、 タブレットや電子書籍リーダーの性能を活かした独自のインタラクティブなコンテンツや 従来に無い新しい付加価値を加えることよりも、 シンプルに紙の雑誌を使いやすくポータブルにして欲しいと考えている」 ということです。 - ユーザーは電子版の簡単に見ることができてポータブルであることを評価しています。 【データ:1-6※】 また電子版への期待を聞くと、シンプルに紙版を電子化したものが良いというニーズが強いのです。 【データ:4-3】 - 一方でインタラクティブな魅力を加えても、追加料金を支払ってもらうことは難しそうです。 【データ:1-19※2】 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 13
  • 14. 使いやすくポータブルな电子版の生み出す価値は 売上増につながる ? さて、「使いやすくポータブルなものにする」のは良いとして、それをしても増収がなければ、 出版側としては単なる費用の持ち出しが増えるだけでメリットがありません。 ? ただ、米国の動向を見ると、電子版に取り組むことを通じて、新しい顧客価値が生まれ、 出版側の増収につながっていると考えられる点が3つあります。それは、 ①雑誌を読む経験が、よりリッチなものになること ②広告がユーザーにとってより良いものとなること(ウェブ広告よりも電子雑誌広告!) ③物販や予約といった雑誌を読んだ後の行動とのスムーズな連携 です。 - ①については、 調査結果で確認できます。 【データ:1-19※3】【データ:2-12】 こうした経験は雑誌コンテンツとの接触時間の増加、雑誌記事?広告によるインパクトの向上につながります。 - ②については、 詳しい調査結果が参考になります。【データ:2-13~16】 (やや素晴らし過ぎる調査結果には、微妙な部分も感じますが、基本的にポテンシャルは大きいと考えられま す。最近のディスプレイ広告見直し論の背景にもつながっていると考えられます)。 - ③は、 雑誌本来の行動喚起、需要喚起の機能を活かすことにつながると考えられます。 【データ:2-6,8】 一方で、ユーザーのニーズも明確です。 【データ:1-20※1】【データ:2-14】 【データ:4-4】 従来、日本ではマガシーク(www.magaseek.com)の様な企業が、雑誌社の代わりに、こうした機能を補完し ていたのです。 ? こうした新しい顧客価値は、裏を返せば広告スポンサーにとっての価値につながることから、 電子版に上手く取り組めば、広告売上での増収の機会が拡大するということになります。 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 14
  • 15. 2009~2010年日米に生じた雑誌広告売上 業績の差とその理由① ? 次に、過去数年の日米の雑誌業界売上に目を向けましょう。 ? 2005~2010年の雑誌販売売上は日米共に低下傾向にあります。【データ:3-1】 これはインターネット上のウェブ?サイトやブログ、SNSなど無料コンテンツが増加した中期的なトレンド の反映と考えられます。 ? 一方、雑誌広告売上を見ると、2008年9月のリーマン?ショック以降、日米共に急激に減少しました が、米国は2009年、2010年と売上を下げることなく持ちこたえており、引き続き減少傾向に甘んじて いる日本とは対照的です。【データ:3-2】 ? この日米の雑誌広告売上の推移の違いは何が原因なのでしょう? ? まず米国の雑誌業界は広告売上の比率が高くなっており日本とは逆です。【データ:3-4】 ? また米国ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌という4広告媒体の中で、雑誌は売上比率で第2位の位 置にあります。【データ:3-5】 系列下にTV局を有する新聞が力を持つ日本とは、媒体としての存 在感がやや違う印象です。米国は多民族かつ多様化した社会であり、フラグメントした市場では雑 誌が有効な広告媒体であったことも原因かも知れません。 ? 業界上のポジションが影響したのか、再販制度下の販売売上に依存し続けたことが本質的な広告 販売の力を衰えさせてしまったのかは、業界の皆様のご判断にお任せしたいと思います。 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 15
  • 16. 2009~2010年日米に生じた雑誌広告売上 業績の差とその理由② ? 2009~2010年の雑誌広告売上の日米の大きな違いを考えるにあたって、もう1つ忘れてはならない のは、この2年間、米国では電子書籍、電子雑誌に関する様々な積極的な取り組みがあったという 点です。 ? そうした結果、現時点で米国のタブレット、電子ブックリーダー利用者は成人のほぼ2割に達しており、 一般的な生活者の日常生活に浸透し始めています。 【データ:4-1】 ? この間、電子雑誌についても、各社で様々な実験的な取り組みが展開されると共に、雑誌とウェブ? サイトを連携させ、雑誌の新しい価値創造に向けた取り組みが進んできました。 ? さらには、今回、米国雑誌協会の調査報告書やファクトブックをみて驚いたのは、雑誌の 根本的な価値やウェブ?サイト、電子版の価値について、広告スポンサーの立場に立った 調査が多数行われているということでした。 雑誌のヘビーユーザーに関する分析などは非常に意欲的 な調査だと感じます。 【データ:2-9~11】 ? こうした雑誌の顧客価値向上、広告スポンサー価値向上に向けた出版社、業界団体の 前向きな取り組みが、この2年間の日本でどれ程見られたでしょうか? ? スキャナーの販売やレンタルが急拡大するほど自炊市場が拡大してきたことは、デバイスの普及に伴 い「使いやすくポータブル」を望むユーザー?ニーズの反映だったのに… ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 16
  • 17. 米国の電子雑誌の課題 ? 最後に見ておきたいのは、今後の電子雑誌に求められることがらです。 ? 日本の場合は、これから電子雑誌が本格化するわけですが、米国で一歩先に見えている課題をあら かじめ織り込むことができれば、米国に早く追いつき追い越すことが可能になります。 ? 米国ユーザーのニーズや不満を見ると、以下の3つへの対応が重要と考えられます。 それは、 ①各誌で統一されたナビゲーション ②雑誌と出会う仕組み(欲しい雑誌を探す、新しい雑誌との出会いを提案する) ③広告のパーソナライズ です。 - ①については、 敢えて有力な調査機関の2つが同じような調査項目を調査している背景には、需要側の不 満と共に、供給側の問題意識があるということではないでしょうか。 【データ:1-18※】【データ:4-2】 - ②については、特に新しい雑誌との出会いを提案するという部分では履歴に基づくリコメンドやソーシャルメディ アとの連携など、チャレンジが必要な領域です。 【データ:1-17※】【データ:4-6】 - ③ついては、 まず単純な広告に対する不満が感じられます。 【データ:1-20※2】 一方でパーソナライズ広告に対する興味も確認できます。で確認できます。 【データ:4-4】 電子雑誌広告の受容度が高いという強みをさらに伸ばす取り組みであり、最強の電子広告媒体としての 地位を確立し、売上を伸ばせる可能性があります。 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 17
  • 18. 電子雑誌の将来課題を解決するのは誰か ? さて、先の①~③の課題解決を考えるにあたって重要なのは、出版社が取り組むのか、 電子雑誌の配信プラットフォームなどが取り組むのかという論点です。 ? 具体的には、App Store や Kindle Store 、モバイルキャリアの電子マガジンスタンド(例.ビューン) などが、こうした仕組みをとりまとめるか、出版社サイドが業界団体等で取り組むか、という大きな2つ の考え方があるということです。 ? 特に米国では Appleのマガジンスタンドや App Store のプレゼンスが非常に大きいので、Appleの配 信プラットフォームがこれらの課題解決に乗り出す可能性も考えられます。 【データ:1-5※,15※】 【データ:4-6】 ? もちろん、大手書店のバーンズアンドノーブル(日本で言えばTSUTAYA)や、パブリッシング?ソフトの Adobe、サムソンの様なシェアの高い端末メーカーなども、プレーヤーとしては見逃せません。 ? 出版社の本業が配信では無いとすれば、複数の有力な配信プラットフォームが無茶な手数料を要 求せずに①~③の解決を取りまとめてくれれば、ユーザーも出版社もハッピーな仕組みが実現できる 可能性があります。これこそ机上の空論かも知れませんが… ? この論点は、流通の覇権を巡る戦いそのものでもあり、これからの各社の動きに注目です。 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 18
  • 19. 考察 ※番外編① ? ここ数日、雑誌と電子雑誌の良い関係を上手く表現するメタファーをあれこれ考えていた のですが、無い知恵を絞った結果が、 雑誌 : 電子雑誌 = ラーメン : インスタント?ラーメン ※雑誌と電子雑誌の関係は、ラーメンとインスタント?ラーメンの関係に同じ(電子雑誌の第一法則) というものです。 ? インスタント?ラーメンは、ラーメン屋に行けない時や旅先などで便利に楽しめます。 一方、時間の有る時や店の近くにいる時に、決してインスタント?ラーメンは食べませんよね。 ? 雑誌についても同様で、部屋でゆっくり読みたい時に電子雑誌は読まないでしょう。 一方で、外出中の隙間時間や、移動中?旅行中などは電子雑誌があるとすぐに読めるし、雑誌を持 ち歩かなくてもすみ、とても便利です。 ? また、コンビニ等で売っている名店のインスタント?ラーメンは、当初提案した際、店主達に 「こんなのを出したら店の客が減ってしまう!」と怒られたそうですが、結局それは無用の心配に終わり 、むしろ来店客を増やす効果があったそうです。 ? 雑誌もラーメンの名店の様な、しっかりした「味」があれば、電子雑誌はプラスに作用する のではないでしょうか。 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 19
  • 20. 考察 ※番外編② 「電子デバイスが紙を越える日」 ? これは、やがてやってくるのかも知れません。 ? 新しいメディアは、時に不可逆な移行をします。 8mmビデオ → ホームビデオ → DVD → Blu-ray 低解像度のテレビ → 高解像度のテレビ などが、その例でしょうか。コストの差が小さくなった段階で、一旦新しいものを経験すると、 もうユーザーが元には戻れない、という状態が生じることがあります。 ? 現在のタブレット、電子書籍リーダーは便利ですが、上記の様な不可逆な移行を実現できるほどの デバイスではありません。 ? 一方で、タブレット、電子書籍リーダーは、従来の紙では容易にできなかった価値、友人や家族との 情報の共有や、コンテンツ保管の容易さ、ポータビリティなどを実現したのも事実です。 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 20
  • 21. 考察 ※番外編② (続き) 紙 紙 の の 価 価 電子デバイス 値 値 の価値 電子デバイスの価値 ? 上の左の状態(現在)が、右の状態になった時、思い出だとか愛着、歴史的な価値などを 除いて合理的に考えれば、紙が電子デバイスに置き換わる日が来るでしょう。 ? ただ、こんなデバイスが世界中に拡がるのは、少なくとも5年以上先のことではないかと。 ? 少し気になるのは、国策でタブレットを配ろうとしているインドの様な国の子供達が、タブレット当たり前 で読書をして成長した場合、紙の雑誌を見て「紙ってクールだね」と言うのかどうかです。上左の図で オレンジ色の領域の価値で育った子供が青色の価値をどう評価するのか… ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 21
  • 22. 資料一覧、その他 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 22
  • 23. 資料一覧 <引用した主なもの> ? “The Mobile Magazine Reader” MPADigitalStudyReport.pdf 2011年 MPA ? “Magazine Media Factbook ” 2011-12-MPA-factbook.pdf 2011年 MPA ? Magazines and Tablets, Part 2 (http://bcove.me/8hu5zh4w) 2012年 Gfk MRI ? “Tablet and E-book reader Ownership Nearly Double Over the Holiday Gift-Giving Period” 2012年 Pew Research Center ? “Affinity Reports Dramatic Shifts in Magazine” Readershiphttp://www.affinityresearch.net/images/PR_Publishing_Cos.pdf 2011年 Affinity ? “A DAY IN THE LIFE: TRACKING E-READER AND TABLET OWNERS‘ ACTIVITIES AND PATTERNS OF USE” 2011年 Gfk MRI ? 「雑誌でリーチできる限界」 (http://www.is.nri.co.jp/data/analysis/091001.html) 2009年 野村総合研究所 <その他の参考資料> ? 「米国iPad利用実態調査」概要 2011年 電通総研 ? http://thefutureofpublishing.com/industries/the-future-of-magazines/ ? http://wired.jp/2012/01/30/future-of-reading-kobayashi-hiroto/ ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 23
  • 24. 著者略歴?コンタクト 谷内ススム tan@ipfm.jp ? 1987年3月、大阪大学工学部応用物理学科卒業 ? 住友生命保険のシステム部門勤務を経て、約10年間、経営コンサルタントとして、事業戦略立案?実行支援、マ ーケティング戦略立案?実行支援を中心に、中堅~大企業の幅広い経営課題の解決を支援。 ? その後、ベンチャー企業経営(インターネット?リサーチ事業、成長力を回復しYahooに事業売却)、ベンチャー?キャピ タルを経験。 ? 2006年12月ツタヤオンライン(現、カルチュア?コンビニエンス?クラブ)に入社、07年4月より執行役員として、メディア 事業部長、経営戦略室長などを歴任。特に、ネット広告事業の売上と利益を大きく拡大させると共に、オンライン ショッピング?レンタル、モバイル?コンテンツ販売、TV向け配信事業など、グループ内インターネット事業の事業戦略 の検討?実行支援で成果を残した ? 2010年1月に(株)イノベーティブプラットフォームを設立、ベンチャー企業のアドバイザリー、大企業の新規事業立ち上 げ支援及び自社事業を展開 ? 2010年12月よりビートレンド株式会社取締役(非常勤) ? 2011年6月より株式会社アイフリーク取締役(非常勤) ※電子絵本「こえほん」事業 http://www.pict-box.com/app を推進中 ? 日本行動計量学会会員(※消費者行動を数量的に分析する学会) ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 24
  • 25. 弊社のミッション 活力ある持続可能な社会を作るため 人、生物、モノ、コンテンツが、持てる力を十二分に発揮できるような プラットフォーム型の事業を創造すること または、その創造をしようとする組織を支援すること ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 25
  • 26. 『电子雑誌の近未来』 ~电子书籍先进国米国の実态データから见た雑誌业界活性化のヒント 2012年3月8日 抜粋版 第1.0版発行 著者 : 谷内ススム 発行人 : 谷内ススム 発行?販売 : 株式会社イノベーティブプラットフォーム http://ipfm.jp 本書は著作権法上の保護を受けています。 社内文書などに引用する際には、著作権法で認められた引用の範囲内でご利用ください。 また、その際、必ず出所を明記してください。 新聞や雑誌、ニュース?サイトなどの商業メディアに引用される場合は、contact@ipfm.jp まで、ご一報ください。 ?Copyright Innovative Platforms Co., Ltd. All rights reserved. Page 26