研修会攻めのガバナンスに贡献する役员报酬(柴田)12162016
- 4. 時期 最近の動き 概要
平成27年6月1日 コーポレートガバナンス?コード適用 役員報酬に関するインセンティブ設計
及び開示の規律
平成27年7月24日 経済産業省「コーポレート?ガバナンス?システムの在り
方に関する研究会」報告書別紙「法的論点に関する解
釈指針」の公表
Performance Share及びRestricted Stock
と同様の仕組みを導入するための法
解釈を提示
平成28年4月1日 平成28年度税制改正
「所得税法等の一部を改正する法律」施行
一定の譲渡制限付株式(リストリクテッ
ドストック)について所得税法上の課税
時期と法人税法上の損金算入要件を
明確化
平成28年4月28日 「『攻めの経営』を促す役員報酬~新たな株式報酬(い
わゆる『リストリクテッド?ストック』)の導入等の手引~」
を公表
株式報酬?業績連動報酬を導入する際
の税務、会社法、会計上の論点等に関
するQ&A等を掲載
平成28年12月8日 自民党?公明党「平成29年度税制改正大綱」の公表 役員報酬の損金算入要件の大幅な見
直し
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- 11. ? 役員報酬に関する損金算入要件が大幅に見直されている
? ストックオプションや株式付与信託を含め整合性を図る
? 業績連動報酬は「利益連動給与」に該当しない限り損金算入できない
? 業績により譲渡制限が解除される譲渡制限付株式は、「事前確定届出給与」と
して損金算入が認められなくなる
? 施行時期
?退職給与に係る部分、譲渡制限付株式に係る部分及び新株予約権に係る部分は平成29
年10月1日以後に支給又は交付に係る決議をする給与について適用
?その他の部分は同年4月1日以後に支給又は交付に係る決議をする給与について適用
? 報酬プランの検討にあたっては、法務面だけでなく税制改正の動向に注意
? 経済産業省「平成29年度経済産業関係 税制改正について」41~43頁も参照
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- 13. 名称?略称 概要 目的
Stock option (SO) 株式を予め決められた一定の価格で購入できる
権利を付与する
株価上昇へのインセンティブ
Restricted stock (RS) あらかじめ株式を交付した上で一定期間の譲渡
制限を付する
役員のリテンション
Restricted stock unit (RSU) あらかじめ定めた一定期間が経過してから株式
またはそれと同等の現金が交付される
役員のリテンション
Performance share (PS) 一定期間における業績目標の達成度合いに応
じて株式を交付する
業績目標達成へのインセンティブ
Performance share unit (PSU) 基本的にはPSと同じ仕組みによって交付される
株式数が決定されるが、現物株式の交付に代え
て同等の価値を有する金銭が交付される
業績目標達成へのインセンティブ
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- 18. ? 信託を利用
? 信託内株式の議決権は不行使とするのが一般的
? 株式交付規程に従い、役員には役位や経営計画の達成度に応じてポイ
ントが付与される
? 役員は付与ポイントに応じた株式が交付される
? 市場買付けによる株式取得が可能である
? 信託による管理のため導入企業の管理負担は軽減される
?ポイント制による一括管理、期間中の役員の変動にも柔軟な設計が可能
? 口座分離により株式譲渡制限の実効性が確保できる
? 他方で信託組成?管理コストがかかる
? プラン廃止時の取り扱い?
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- 21. 譲渡制限株式報酬 1円ストックオプション 株式交付信託
総会決議の要否 必要 必要 必要
キャッシュアウト 不要 不要 受託者への取得資金の拠出
が必要(市場からの株式取得
の場合)
コスト 低(プラン設計費用のみ) 中(プラン設計費用に加えて
新株予約権の価値算定費用)
高(プラン設計費用に加えて信
託の組成?運営費用)
継続開示 有価証券報告書 有価証券報告書
(発行回ごとの開示が必要)
有価証券報告書
損金算入 可能 可能 不可(在任時給付の場合)
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- 22. 譲渡制限株式報酬 1円ストックオプション 株式交付信託
期中の議決権 あり なし なし
期中の配当 あり なし 信託からの交付後(但し設計
次第では信託報酬が控除され
ることもある)
有価証券報告書上の
所有株式数
最初から増加 行使後にはじめて増加 信託からの交付後に初めて増
加
所得税課税時期 譲渡制限解除時 権利行使時 株式交付時
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- 23. 1. Performance Share(業績連動発行型)
① 役員に業績等に連動した金銭報酬債権を付与する。
② 業績等の連動期間として定めた一定期間経過後、当該金銭報酬債権を、現物出資財産(会社法199条1項3号)として
払い込み、役員に対して株式を発行する。
③ 取締役会設置会社では、払込金額を「特に有利な金額」(会社法199条3項)ではない金額に設定して、取締役会の決
議で発行することができる。
2. Performance Share(初年度発行―業績連動譲渡制限解除型)
① 役員に対して金銭報酬債権を付与する。
? いわゆる労務出資が認められるか明らかでないため、金銭報酬債権を付与して、当該金銭報酬債権を払い込む方法をとる必要があ
る。金銭報酬債権の弁済期が到来している場合等の会社法の規定する要件を満たせば、検査役の調査は不要となる(会社法207条
9項各号)。
② 当該金銭報酬債権を、現物出資財産として払い込み、役員に対して株式を発行する(初年度発行)。
③ 取締役会設置会社では、払込金額を「特に有利な金額」(会社法199条3項)ではない金額に設定して、取締役会の決
議で発行することができる。
④ 上記②で付与した株式に譲渡制限を付す。譲渡制限を付す方法については、下記3参照。
⑤ 業績等の連動期間として定めた一定期間経過後、種類株式(普通株式を対価とする取得請求権?取得条項)又は会社
と役員との間の契約により譲渡制限を解除する(譲渡制限解除)。
3. Restricted Stock
? 株式に譲渡制限を付ける方法として、種類株式を用いる方法(譲渡制限付株式+取得請求権?取得条項)と会社と役員と
の間の契約により譲渡制限を付す方法が考えられる
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- 27. ? 「法人が無償で取得することとなる事由(「無償取得事由」)が定められているこ
と」
? 無償取得事由(以下の2つの事由に限る)
① 役員等の勤務の状況に基づく事由: 役員等が「譲渡制限期間内の所定の期間勤務を継
続しないこと」、「勤務実績が良好でないこと」など
② 法人の業績等の指標の状況に基づく事由: 「法人の業績があらかじめ定めた基準に達
しないこと」など→業績の達成度に応じて一部のみ譲渡制限を解除し、残部は無償取得
することでパフォーマンスシェアとして活用
?【注意】与党「平成29年度税制改正大綱」: 平成29年10月1日以後に支給又は交付に係る
決議をするものについて、利益その他の指標を基礎として譲渡制限が解除される数が算定
される譲渡制限付株式については、事前確定届出給与の対象から除外される予定
? 無償取得の手法としては、種類株式を用いるほか、普通株式を用いた上で、法
人とその役員等との契約において無償取得事由を定めることが考えられる
?振替株式は別途振替手続が必要→契約で取締役の関与なく実施できるよう手当て
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- 32. ① 株主総会において取締役全体に対する報酬総額を決議
? 会社法361条1項1号に基づく
? 金銭報酬債権が譲渡制限付株式と引換えに現物出資されるという実質を踏まえ、既存の金銭報酬の枠を
利用するのではなく、改めて金銭報酬としての株主総会決議による承認を得ることとし、その際には、その
金銭報酬債権が譲渡制限付株式と引換えに現物出資されることや、その譲渡制限付株式の概要について
も説明することが望ましい
② 取締役会において取締役個人に対する金銭報酬債権の付与を決議
? 損金算入するには職務執行開始日(株主総会決議の日)から1か月以内に報酬債権額の決議が必要
③ 取締役会において株式の第三者割当てを決議
? 公開会社は有利発行でないかぎり取締役会決議で可能
? 発行価額総額1億円以上の場合に有価証券届出書(但し、開示府令改正により「第三者割当の場合の特記
事項」の記載は不要)
④ 会社と各取締役との間で割当契約を締結
⑤ 払込期日において、各取締役による上記②の金銭報酬債権の現物出資と引換えに、各取締
役に特定譲渡制限付株式を交付
? 損金算入するには②の決議から1か月以内に特定譲渡制限付株式の交付が必要
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- 45. ? 新木伸一「『業績連動発行型』の株式報酬の導入-シンプルで透明性の高いパフォーマンス?シェアの普及のために-」旬刊商事法務2119号
? 松尾拓也「4種型でメリット?デメリットを考える 業績連動型株式報酬を導入する際の選択ポイント」旬刊経理情報No.1458
? 神田秀樹?武井一浩?内ヶ﨑茂編著「日本経済復活の処方箋 役員報酬改革論」〔増補改訂版〕商事法務、2016年9月
? 田辺総合法律事務所、至誠清新監査法人、至誠清新税理士法人編著「役員報酬をめぐる法務?会計?税務」〔第3版〕清文社、2016年8月
? 髙木弘明「役員報酬改革における自社株報酬の選択肢と実務上の留意点」旬刊商事法務2108号
? 石綿学ほか「日本版リストリクテッド?ストックの導入〔上〕 〔下〕-譲渡制限付株式報酬導入に係る実務上の留意点-」旬刊商事法務2102、2103号
? 黒田嘉彰ほか「攻めの経営」を促すインセンティブ報酬-新たな株式報酬(いわゆるリストリクテッド?ストック)を中心に-」旬刊商事法務2100号
? 大石篤史ほか「インセンティブ報酬の設計をめぐる法務?税務の留意点〔上〕 〕 〔下〕」旬刊商事法務2077、2078号
? 伊藤靖史ほか「座談会 役員報酬の再検証-コーポレートガバナンス?コードを踏まえて-」旬刊商事法務2075号
? 阿部直彦「役員報酬ガバナンス見直しのアプローチ-コーポレートガバナンス?コード対応を踏まえて-」旬刊商事法務2073号
? 阿部直彦「コーポレート?ガバナンスの視点からみた経営者報酬のあり方」旬刊商事法務2048号
? 一般財団法人比較法研究センター「役員報酬の在り方に関する会社法上の論点の調査研究業務報告書」(2015年1月)
? 経済産業省(経済産業政策之b業組織課)委託調査「日本と海外の役員報酬の実態及び制度等に関する調査報告書」(2015 年3月)
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