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Modelica Standard LibraryのExamples調査活動の紹介
2016/11/26 オープンCAEシンポジウム
植田 惠法*(株式会社ISIDエンジニアリング)
西 剛伺(オープンCAE学会モデルベースデザイン委員会)
酒井 秀久(オープンCAE学会モデルベースデザイン委員会)
福江 高志(岩手大学)
目次
1.活動の背景、目的
2.Modelica Standard Libraryについて
3.Modelica Standard LibraryのExamples調査
3-1.Thermal-Motor解説例
3-2.Thermal-OneMass解説例
3-3.Mechanics-Oscillator解説例
3-4.MSLのExamples調査活動の形式
4.まとめと今後の活動
1.本活動の背景、目的
背景
MSLのExamplesを(日本語で)解説し、Modelica初心者への技術的な補助や
Modelicaへの動機づけとなるような活動を行う
概念?構想設計の必要性増加
解析技術
(1DCAE、DAEの解法 etc.)
解析モデル作成の考え方
(MBD、機能エンジニアリング etc.)+
性能向上
手戻り削減
試作レス
製品開発全体の俯瞰How to?
Modelica
(OpenModelica,Dymole)
Matlab/Simulink その他???
無償オープンソースライブラリ
Modelica Standard Library(MSL)
各有償ライブラリ
目的
解析ライブラリ
様々なExample付
(英語)
CAEツール
*上記は本資料の中でのみの分類
2. MSLについて
MSL(Modelica Standard Library)とは
Modelica Associationが提供する様々な物理現象の解析や数値処理のためのブロックを
集約したライブラリ。1280個のモデル、910個の関数が用意されている。
The Modelica License2に基づいておりオープンソースかつ複製,改変や商用利用が可能。
一般に1DCAEではMSLや商用のライブラリを活用することで所望の解析モデルを作成する
名称 概要 Eamplesの例
Blocks 様々な入出力を表す部品 PID制御、信号処理
ComplexBlocks 複雑な信号を与えるための部品 複素数を考慮した応答
StepGraph 様々なステップ信号処理部品 ステップ応答
Electrical 電子回路などの制御解析部品 ローパスフィルターの回路
Magnetic 磁気解析用部品 電磁誘導
Mechanics 1次元及び3次元機構解析部品 バネの振動、ピストンの変位
Fluid 1次元流体解析部品 タンクの水位
Media 流体の物性定義部品 理想気体の状態量
Thermal 熱の移動現象に関わる部品 熱交換器、冷却器
表 MSL(Ver3.2.1)の一部
2-1. MSLの例-Thermal.HeatTransfer
上記のブロックの使用例がExamplesに入っている
1次元の熱移動現象に
関する物理式ブロック
Componentsに境界条件
(温度、熱量)を入力するブロック
Componentsで計算された
物理量を測定するブロック
ブロック間で受け渡す物理量
(温度、熱量などの)を定義するブロック
温度の単位を変換するブロック
(ケルビンから摂氏に変換など)
各ライブラリには物理式、境界条件や結果の処理に応じたブロックが用意されている
2-2. Thermal.HeatTransfer.Examplesの例
日本語の解説を作成
?モデルの概要
?構成(セグメント分けや各ブロックの役割)
?入力値や定数の整理
?結果の評価
?計算プログラム
?理論解との比較
?気づいた事やTips etc.
Examplesには「どんな物理現象をどのようにモデル化し計算するか」という例がある。
モーターの熱損失による伝熱解析のExamples
サンプルの説明物理モデル
解説が英語で読めない
結果評価の仕方が分からない
ブロックの意味が分からない
etc.
目次
1.活動の背景、目的
2.Modelica Standard Libraryについて
3.Modelica Standard LibraryのExamples調査
3-1.Thermal-Motor解説例
3-2.Thermal-OneMass解説例
3-3.Mechanics-Oscillator解説例
3-4.MSLのExamples調査活動の形式
4.まとめと今後の活動
3-1. Thermal-Motor解説例1
参考URL:http://www.slideshare.net/KojiNishi1/modelicathermalheattransferexamplesmotor20160907
?モデルの概要
?構成 ?入力値や定数の整理
モーターの熱損失による伝熱解析モデル
初期温度を20℃として、鉄損と銅損(モーター駆動時に導線に発生する
熱)に相当する発熱が与えられ、その熱が熱伝導および熱伝達の経路を通
って、周辺環境に流れていく
発熱
鉄心とコイルの熱伝導
大気への熱伝達
で構成される
鉄心とコイルに与えられる熱量
3-1. Thermal-Motor解説例2
参考URL:http://www.slideshare.net/KojiNishi1/modelicathermalheattransferexamplesmotor20160907
?結果の評価
コイルと鉄心の温度の時刻歴応答が解析できた
3-2. Thermal-OneMass解説例1
?モデルの概要 ?構成、入力値や定数
参考URL:http://www.slideshare.net/ssusere33bfb/161029-open-caestudygroupopenmodelicaexampleonemass2upver1-67930836
高温の物体を冷却水で冷やすという現象
3-2. Thermal-OneMass解説例2
?結果の評価
参考URL:http://www.slideshare.net/ssusere33bfb/161029-open-caestudygroupopenmodelicaexampleonemass2upver1-67930836
3-2. Thermal-OneMass解説例3
?計算プログラム
流体部分の温度計算方法を解説
参考URL:http://www.slideshare.net/ssusere33bfb/161029-open-caestudygroupopenmodelicaexampleonemass2upver1-67930836
3-3. Mechanics-Oscillator解説例1
?モデルの概要
Mechanics(機械)→Translational(並行移動)→Oscillator(発振: 強制振動)
ブロック図は下記↓:2つのモデルがあるが、上はダンパー無し、下はダンパー無し
3-3. Mechanics-Oscillator解説例2
?結果の見方、理論解との比較
ダンパー有りの強制振動の応答
簡単なバネ?マスモデルの荷重挙動に対する振動モデルの理論解と
数値解を比較し、一致することを確認した
3-4. MSLのExamples調査活動の形式
1.ExamplesをまとめたExcelファイルに
希望のモデルの担当欄に名前を記入
2.解説資料作成&共有
活動メンバーが編集可能なExcelファイルに名前を記入
3.ExamplesをまとめたExcelファイルに
(済)のマークを記入
解説ファイルを作成し、狠狠撸Shareなどにアップロード
オープンCAE勉強会で発表したり、MBD委員会のメーリングリス
トで流してもよい
4.まとめと今後の活動
まとめ
MSLのExamples調査の活動について詳細を報告した
これまでの活動により、MSLの様々なExamplesの解説資料が作
成された。
また、活動を通じて以下のようなメリットが確認できた
?委員会メンバーが自らExamplesを検証し,勉強会で報告を行
うことによる不明瞭部分の明確化
?モデル作成のヒントやOpenModelicaの使い方の共有
今後の活動
MBDに関わるエンジニアに向けて,本活動を継続していく.参加
者は随時受け付けており,一緒に活動していただけると幸いで
ある.
161126 Introduction of the investigative action about Examples of Modelica Standard Library
补足资料
用語の定義1
定義が各企業、個人で定まったものではないのであんまり分けるものでもないが、
この資料の中では以下のような定義でMBDに関する用語を使っている
言葉 概要 解説
MBD モデルベースデザインの略
(モデルベースディベロップメントと同義)
設計対象全体を抽象化したモデルとして捉え、
モデルを元に数値解析を実行し設計を行う考え
方
MBDは設計時に対象をどのように簡略化?抽
象化して捉え、解析するかの考え方のよう
な気がする。特に偏微分方程式か常微分方
程式かは問われていないし、設計対象も制
御系だったり、ある種のシステムだったり
と幅が広そう。
一方、1DCAEはある程度自然現象を対象に、
偏微分方程式(3DCAE)を簡略化したものと
いう印象が強い。あくまで印象ですが。
機能エンジニアリング MBDで設計する際にモデルの作り方を対象の
「機能(役割)」で分割する考え方
水を循環させる装置の場合、装置ごとに分
割すると「ポンプ」「配管」などと分割で
きるが、機能で捉えると「液体に圧力を加
える役割を持つもの」「液体の流れ方向を
規定するもの」と定義できる。
装置ごとで捉える事に比べ機能エンジニア
リングの方が抽象化の度合いが高い。
1DCAE 主に物理現象の支配方程式を常微分方程式また
は代数方程式に簡略化し、数値解析すること。
MBDの解説の通り。
あまり制御系では1DCAEという言葉は聞か
ないので3DCAEと対比するために作られた言
葉のような気がする。
DAE 微分代数方程式 1DCAEはDAEを解くことが前提になっている
と思う。
用語の定義2
言葉 概要 解説
概念設計 設計対象の役割や機能を極限まで抽象
化し、制御対象を明確にする設計方法
エンジンの概念は
「化学エネルギーを熱エネルギーに変換
し、運動エネルギーを取り出す装置」と
言える。上記のエネルギーのバランスを
設計するのが概念設計
構想設計 設計対象の役割や機能を抽象化し、形
状や寸法を詳細に定義せずに制御パラ
メータを決定する設計方法
エンジンの構想設計は、概念設計で決め
られたエネルギーバランスを達成するた
めに、ものの形状や寸法を決めずに「エ
ンジンオイルの噴霧形態」「ピストンの
摩擦損失」を決めていく方法
2. MSLの説明
MSL(Modelica Standard Library)とは
Modelica Associationが提供する様々な物理現象の解析や数値処理のためのブロックを
集約したライブラリ。オープンソースかつ複製,改変や商用利用が可能。
一般に1DCAEではMSLや商用のライブラリを活用することで所望の解析モデルを作成する
名称 概要 Eamplesの例
Blocks 様々な入出力を表す部品 PID制御、信号処理
ComplexBlocks 複雑な信号を与えるための部品 複素数を考慮した応答
StepGraph 様々なステップ信号処理部品 ステップ応答
Electrical 電子回路などの制御解析部品 ローパスフィルターの回路
Magnetic 磁気解析用部品 電磁誘導
Mechanics 1次元及び3次元機構解析部品 バネの振動、ピストンの変位
Fluid 1次元流体解析部品 タンクの水位
Media 流体の物性定義部品 理想気体の状態量
Thermal 熱の移動現象に関わる部品 熱交換器、冷却器
Math 数学関数(三角関数etc.)部品 ―
ComplexMath ベクトルやマトリックス部品 ―
Utilities ファイルの操作 ―
Constands 様々な定数の部品 ―
icons ブロック作成時のアイコン部品 ―
SI Units 変数などに単位を付与する部品 ―
MSL3.2.1

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