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車両の移動特性を用いて安定した通信経路を実現する車車間通信プロトコル孫　為華修士前期課程 2 年生谷口研究室

車車間通信とは車載情報機器間での直接無線通信路車間通信とは異なって，いつでもどこでも通信相手が存在すれば通信が可能（インフラ不要）他の車両（ノード）のデータ中継により，通信範囲外のノードと送受信することが可能（マルチホップ）あっちの車と通信したいけど，直接届かないじゃ私が中継してあげよう

研究の動機車車間通信を用いて，リアルタイム情報を特定の位置から特定の位置へ継続的に送信したい例：交通情報，駐車場情報などのリアルタイム情報経路を作る必要がある大量なメッセージを一気に送信することは好ましくない車が移動するため，経路が不安定になりかねない経路の再構築を頻繁にやらざるを得ないことは好ましくない * 事故時，付近の道路へ交通情報を送信し，車両を誘導する応用例 X X X X

研究内容車両の位置情報を利用した車車間通信ルーティングプロトコル GVGrid の提案車両の移動特性を考慮し，道路に沿った安定な経路を構築する経路が切断した場合でも，少ないメッセージ数で再構築する SRC DEST *SRC （送信者）から DEST （受信区域）へ構築した経路の例 SRC DEST *SRC （送信者）から DEST （受信区域）へ構築した経路の例

GVGrid の動作概要 GVGrid 経路探索プロセス： SRC から DEST 領域への経路候補を発見経路確定プロセス経路候補から経路を決定経路維持プロセス経路が切断した場合，全体または部分的に経路を再構築し， SRC から DEST までの経路を保つ前提ノードは自分と隣接するノードの位置情報を知っていると仮定

経路探索プロセス目標：道路に沿った経路を探すなるべく探索メッセージを減らしたい　経路探索範囲を制限　　　出たメッセージは破棄　探索範囲を一定サイズのグリッドに区切り， 1 グリッドから 1 ノードのみ選択 DEST SRC DEST SRC

道路の推定方法隣接ノードの位置情報から，現実の道路を推測する隣接ノードの位置情報を取る手段：定期的な Hello メッセージの交換 * 地図情報の使えるノードはそれを使ってもよい * 現実道路の推測例隣接ノード情報を収集する前隣接ノード情報を収集した後隣接ノード情報から推測した道路

グリッドの決め方グリッドに関して一意に分割し，各ノードはグリッドの情報を記憶する必要がない各ノードは，自分の位置情報（緯度経度）からどのグリッドに属すことを把握できるグリッド番号は，北西頂点の軽度緯度を用いる D1 C1 B1 A2 A1 A3 A4 A5 B5 C5 D5 E5 E4 E3 E2 E1 B4 B3 B2 C2 C3 C4 D4 D3 D2 グリッドサイズ w は，各ノードが隣接グリッドのノードと通信できるサイズに設定ノードノードの無線範囲分割した Grid w= 　　　 d/4 (w ：グリッドサイズ　 d ：無線範囲 )

手順： SRC は探索範囲を決めて探索メッセージに格納して他のノードに知らせるメッセージを受信したノードは車の流れが存在すると予想される各隣接グリッドの１ノードを選んでメッセージを転送範囲外へ行ったメッセージは捨てられる結果：道路と予測されるグリッド列に経路が形成 S （ SRC ）は発信源 D （ DEST ）は宛先領域経路探索プロセス * 複数経路候補が見つかった例　矢印はグリッド間の接続関係を表す D S D S D S D S D S D S D S D S D S

経路確定プロセス DEST 領域内のノードは最初に到達した経路探索メッセージに対し，返信メッセージを送信し，それが SRC に到達すれば，経路が確定される経路はノード番号とグリッド番号の列で表される経路上のノード D S D S

経路維持プロセスの概要経路が切断されたとき，経路を再構築する方針：少ないメッセージ数で経路を維持探索メッセージを転送するノードを絞る初期発見経路に近い範囲のみで探索前提条件経路の各ノードは経路情報を記憶している経路情報：ノード ID とグリッド ID の列

初期発見経路のグリッド列で経路を再構築経路維持プロセスリンク切断のリンクノード初期経路ノード異常ノード新?経路ノード初期経路グリッド経路外グリッド SRC DEST 1. 最初に作った経路

初期発見経路のグリッド列で経路を再構築経路維持プロセスリンク切断のリンクノード初期経路ノード異常ノード新?経路ノード初期経路グリッド経路外グリッド SRC DEST 2. ノードが経路から外れた場合

初期発見経路のグリッド列で経路を再構築経路維持プロセス SRC DEST 3-1. 経路グリッド上のリンクが切断 x リンク切断のリンクノード初期経路ノード異常ノード新?経路ノード初期経路グリッド経路外グリッド SRC DEST 3-2. 経路グリッド上のリンクが切断?維持開始 SRC DEST 3-3. 経路グリッド上のリンクが切断?維持終了

初期発見経路のグリッド列で経路を再構築経路維持プロセスリンク切断のリンクノード初期経路ノード異常ノード新?経路ノード初期経路グリッド経路外グリッド SRC DEST 4-4. 経路グリッド外のリンクが切断?維持開始 SRC DEST 4-5. 経路グリッド外のリンクが切断?維持 SRC DEST 4-6. 経路グリッド外のリンクが切断?維持 SRC DEST 4-7. 経路グリッド外のリンクが切断?維持 SRC DEST 4-8. 経路グリッド外のリンクが切断?維持 SRC DEST 4-9. 経路グリッド外のリンクが切断?維持完成 SRC DEST 4-1. 経路グリッド外のリンクが切断 x SRC DEST 4-2. 経路グリッド外のリンクが切断 x SRC DEST 4-3. 経路グリッド外のリンクが切断 x

シミュレーション設定シミュレータ： NETSTREAM ＋ GloMoSim 道路空間 : 2000m * 2000m 無線範囲 d: 200m~400m グリッドサイズ w = d / 4 シミュレーション時間 : 600s ノード数 : 100 ～ 300 パケットロスやパケット衝突を考慮しない比較対象： RandomGVGrid 道路の推定をせず，ランダムにノードを選択して経路を構築経路情報を用いず，全探索範囲内で経路を再構築

評価結果経路発見率ノード数の増加につれ， GVGrid は RandomGVGrid に接近する RandomGVGrid GVGrid ノード数経路発見率

評価結果経路探索メッセージ数 GVGrid は自身の道路と接続している道路にのみ転送するためメッセージ数が少ない RandomGVGrid GVGrid ノード数メッセージ数

評価結果経路コストノード数の増加につれ， GVGrid は RandomGVGrid と接近する GVGrid RandomGVGrid ノード数経路コスト経路ノード数

評価結果リンクの平均生存時間 GVGrid のリンクの平均生存時間は RandomGVGrid よりかなり長い GVGrid RandomGVGrid 無線範囲リンクの生存時間

評価結果経路維持メッセージ数 RandomGVGrid の大量な維持メッセージ数に対して， GVGrid は非常に少ない RandomGVGrid GVGrid 無線範囲メッセージ数

評価結果経路維持率ノード数の増加につれ，両者とも高い経路維持率を達成している GVGrid RandomGVGrid 維持率パケットの到達率ノード数

考察 GVGrid の性能は端末から取得できる情報量と関係する端末の速度?方向情報を取得できれば道路の推定精度が上昇するリンクの生存時間が長くなる経路に改善の余地がある初期発見した経路は必ずしも最適な経路とは限らない維持率に影響を与える初期経路グリッドを中心に限定した範囲で経路の再構築を行うことで，経路の改善が可能と考えられる

まとめ車両の位置情報を利用し，車車間通信ルーティングプロトコル GVGrid を提案した車両の移動特性を考慮し，道路に沿った安定な経路を構築する経路が切断した場合でも，少ないメッセージ数で再構築する

博士後期課程での研究計画（短期） GVGrid の改良と拡張道路推定精度を向上させる手法，転送ノードを選別する手法の考案複数宛先領域を対象としたマルチキャストルーティングに拡張他のルーティングプロトコルとの比較実際の交通状況データを用いた性能評価

博士後期課程での研究計画（長期）異種通信インフラが混在するもとでの情報伝達プロトコルの提案広域無線：　携帯電話狭域無線基地局：　 DSRC 車車間：　無線 LAN など

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2005-02-18GVGrid-Japanese

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