2012年度卒业论文 アルミサンドイッチパネルで建てる仮设住宅について―オールインワンパネルの普及を目指して―/漆原卓也
- 2. -研究背景-
震災の様子
2011年3月11日に発生した東日本大震災では仮設住宅は53,316戸の建設が予定され
3年後(厚生労働省発表)には入居期限を迎える。
必要戸数: 53,316戸
完成戸数: 52,620戸
しかし過去の震災を振り返ると居住前?居住時?退去後には多くの問題が起きている。
- 6. 内侧の表面材)
芯材の断熱性もかねて
木材のバルサを使用する。
バルサ)比重:0.17
熱抵抗値 R=0.044W/m?K
外側の表面材)
せん断に対する強さ
2400
輻射熱の反射を期待、
1mmのアルミ板を配置する。
パネルモデル一枚の寸法は
幅1000×高さ2400
厚さは60~90mmとする。
0 基本形:アルミ1尘尘+バルサ60~90尘尘
1 00
- 7. -アルミと木材の异种接合の热応力について-
~アルミとバルサ(繊維方向)~ ~アルミとバルサ(直角方向)~
条件)繊維方向ではアルミの線熱膨張係数の方 条件)直角方向では木材の線熱膨張係数の方
が大きいため、木材にかかる力は表面の が大きいため、木材にかかる力は表面の
厚み1cmとする。 厚みは1cmとする。
L=2400、a=1000、ha=アルミ厚、hw=木材厚(表面) L=1000、a=2400、以下上記の条件と同じ。
λa、λw=変位、Δt=温度変化(10℃の変化とする) αα<αwより木材にPの圧縮、
αα>αwより木材にPの引張、 アルミにPの引張がかかる。
アルミにPの圧縮がかかる。
λα-λw=L?(αw-αα)Δt
λw-λa=L×(αα-αw)×Δt
λw=-L?P/A?hw?Ew
λw=L?P/A?hw?Ew、
λa=L?P/A?hα?Eαより
λa=-L?P/A?hα?Eα
L?(αw-αα)Δt=
L?(αα-αw)Δt=
(L?P/α?hw?Ew)+(L?P/α?hα?Eα)
(L?P/α?hw?Ew)+L?P/α?hα?Eα)
L?(αw?αα)Δt/
α(αα?αw)Δt P=
P= 1/hw?Ew)+(1/hα?Eα)
(1/hw?Ew)+(1/hα?Eα)
σα=P/α?hα σw=-P/α?hα
σα=-P/α?hα σw=P/α?hα
P=1000?(23.6-3)?10?6 -6?10/(1/10?4.5?103 ) P=2400?(60-23.6)?10?6 ?10/(1/10 ?4.5?10 3 )+(1/1?
+(1/1?7.03?104 ) 7.03?104 )
=7022.33N/??2 =29781.83N/??2
σα=-P/1000=5.56N/??2 , σα=P/2400?1=9.96N/??2 ,
σw=P/10000=0.57N/??2 となり σw=P/2400?10=0.99N/??2 となり
許容応力以下となる。 許容応力以下となる。
- 8. -パネルの性能評価-
性能は4項目
?重さ?,?厚さ?,?断熱性?,?遮音?吸音性?でこれを5段階で評価する。
重さ 厚さ 断熱性 熱抵抗値R 遮音?吸音性
(?2 ??/?)
5 30kg以下 70mm以下 2.5以上 ?異種材の二重壁のた
め透過損失の計算がで
4 31kg~35kg 71~80mm 2.0~2.5 きない。
音に関しては材料やそ
3 35kg~40kg 81~90mm 1.5~2.0
の配置の吸音データな
どから評価する。
2 40kg~45kg 91~100mm 1.0~1.5
1 45kg以上 100mm以上 1.0以下
?断熱性については
熱抵抗値R=2.5[?2 ??/?]の一般的な壁体と
R=2.0[?2 ??/?]のアルミ板を表面材に配置した壁体
が等しいとして性能評価ではR=2.0を基準の3とする。
- 9. 基本形:アルミ1尘尘+バルサ60~90尘尘 模型:幅100×高さ300
厚さ=80のとき
重さ
5
外壁側 断面 室内側 4
3
2
アルミ1mm+バルサ90mmのとき 1
遮音?吸
0 厚さ
重さ=41kg(パネル一枚1000×2400) 音性
熱抵抗値R=2.22㎡?K/W
?音に関しては単純な板の積層のため
遮音?吸音性は悪い。
断熱性
- 10. タイプ1)
アルミ1mm+バルサ60mm
+中空層(杉胴縁10本)10mm+綿布+杉孔あき板10mm(開口率40%)
厚さ90mmのとき
重さ=43.8kg(パネル一枚1000×2400)
熱抵抗値R =1.9㎡?K/W
?孔あき板の裏に多孔質材を挿入し、
中空層を設けることで吸音率が向上する。
重さ
5
4
3
2
遮音?吸音 1
0 厚さ
性
バルサのみ
断熱性
中空+綿布+孔あき板
- 11. タイプ2)
アルミ1mm+バルサ40mm+防振ゴム10mm+バルサ40mm
重さ
5
厚さ90mmのとき 4
3
重さ=37.92kg(パネル一枚1000×2400) 2
熱抵抗値R=1.9㎡?K/W 遮音?吸 1
0 厚さ
音性
防振ゴムの層を入れることで絶縁 バルサのみ
することができ、独立二重壁に近づくため
防振ゴム層あり
遮音性は向上する。
断熱性
- 13. 7200 S
30
1000
庭
400
1000
1000
居室 居室
6000
(9.34㎡) (5.34㎡)
DK
4000
1000
1000
Y方向
玄関
1000
600
65 2335 2335 65
2400 2400 2400
X方向 平面図1/40
住戸プランは2DKの28.8㎡。規模は仮設住宅の基準である9坪(29.7㎡)を下まわるが、
半屋外空間として10㎡の庭が設けられている。
- 14. 7200
2400
400 120
GL
400
1167.5 1167.5 1200 1200 1167.5 1167.5
2335 2400 2335 X-X'断面図1/20
リビング?キッチン
2400
400 120
断面図 1000 400 600 1000 1000 1000 400 600
1000 1000
- 15. -工事の流れ-
?基礎は施工性を考え、 ?基礎の上に土台を設置。
木材の杭基礎とする ?土台の寸法はパネルが90mmで
あると想定し、床の30mmを加えた
120mm角とする。
外壁
内壁
?土台の上に壁パネルをまず設置。
?床、天井パネルを設置し完成 仮設住宅の完成
- 16. -完成した仮设住宅イメージ-
パネルの一面はアルミだが、もう一方
の面はバルサであるため天井をずらし
半屋外空間を作ることで木材も見えて
くる。
- 18. -各種接合部について- 壁と壁の例
接合例 1
10
シーリング
外
10
空気層 バルサ
バルサ
ビス
バルサ
内 50 50
?外側のアルミ側に1mmのアルミ板
を雇いのように挿入する。
?内側はバルサに切れ込みを入れておき、
木板をはめ込みボルトで接合
- 19. 接合例 30
シーリング
10 10 10
外
30
H型のガスケット
バルサ
ビス
空気層
内 20 55 55 20
150
?外側はアルミ板を10mm出しておき、
H型のガスケットを差し込む
?内側はバルサを75mmづつ切れ込みを
入れておき150mmの木板をはめ込む
- 21. 結論
?アルミを表面材としたときの有効性
構造 ???有効性が確認できた
断熱性 ???有効性が確認できた
遮音?吸音性 ???未着手
?芯材としてのバルサの有効性についても比重小さく(0.17),
断熱性が高い(0.044W/m?K)ことから適していることが確認できた。