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「 かぜ 」の 診療

         2012.3.7
     日立総合病院内科
         千勝紀生
今日の話
? かぜの細分类
? 抗生 剤 を誰に使うのか?
? 高 齢 者 ? 基礎疾患もちに注
  意
? 急性胃腸炎
? インフルエンザ
? 風邪 薬 の話
症例 1 : 32 歳女性
? 2~3日前から鼻汁出現。鼻汁は徐々
  に 増 加するが、膿性ではない。鼻閉あ
  り。 軽 度の咽頭痛あり。咳 ? 痰も少し
  あり。 37℃ 台の 発 熱を伴っている。
? 所見:体温 37.5℃ 、咽頭 発 赤 軽 度、扁
  桃腫大なし。鼻腔は 軽 度の 発 赤あり。
  頸部リンパ節 触 知せず。肺野 清 。
症例 2 : 70 歳男性
? 4 日前より咳 ? 痰が出現し、次第に 増
  強 。 発 熱を伴い、喀痰が 黄 色粘稠にな
  ってきたため 来 院。咽頭痛、鼻汁、鼻
  閉なし。
? 所見:体温 38℃ 、脈拍 90 、呼吸回数
  14 回、咽頭正常、扁桃腫大なし、頸部
  リンパ節 触 知せず。肺野 清 。
かぜっぽいけど …
どうしたらいいだろうか?
診療のポイント
? 抗生 剤 の必要性を判 断
? 対 症療法の程度を見極める
? 地雷の 発 見


     !手早く!
手早く、的确に考える
    方法

   分类
(=パターン化)
分类
   ① 非特異性上 気 道炎型
   ② 鼻炎型《急性鼻 ? 副鼻腔炎型
    》
   ③ 咽頭炎型《急性咽頭 ? 扁桃炎
    型》
ACP (気 管支炎型
   ④ American College of Physician) による分类
問診(いちばん重要)
せき     「咳はでますか?」
はな     「鼻水はでますか?鼻づまり
 は?」
のど     「のどは痛いですか?」
熱    「熱はありますか?」
下痢     「下痢してますか?」
そのほか   「なにか他に症 状 はあります
 か?」
大事なこと:
  「治療している病 気 がありますか?」
問診による分类
せき  メイン     気 管支炎型
はな  メイン     急性鼻 ? 副鼻腔炎型
のど  メイン     咽頭炎型
3つともある      非特異型

あとは付加的な情報
  発 熱 ? 下痢 ? 基礎疾患 ? 頭痛 ? etc.
非特異性上気道炎型
? 急性の 経 過
? 以下の3領域症 状 が同時に同程度に存
  在
    ? 鼻炎症状
     ○ くしゃみ ? はなみず ? はなづまり
    ? 咽頭炎症状
     ○ 咽頭痛 ? イガイガ感
    ? 下 気 道炎症 状
     ○ 咳、喀痰の有無は問わない
?   ウイルス性
非特異性上気道炎型


ウイルス性である以上、
   デフォルトは
  「抗生 剤 不要」
鼻炎型(急性鼻?副鼻腔炎型
)
? 鼻炎症 状 (くしゃみ、鼻汁、鼻づまり)主
  体
? 発 熱の有無は問わない


?   大部分はウイルス性
細菌性副鼻腔炎
 (≒抗生剤投与が必要)
? 鼻炎症 状 が 7 日以上持 続 し、かつ 頬 部(特に
  片側性)の自 発 痛 ?圧 痛と、膿性鼻汁が見ら
  れる場合
 ? Double sickening, 7 ~ 10 日後の再増悪
? 非常に 強 い片側性の 頬 部の疼痛 ? 腫脹 ?発 熱
  がある場合(症 状 の持 続 時間は問わない)
? 鼻炎型全体の 0.2 ~2%とされる
? 膿性鼻汁はウイルス性でも生じる
 ? これのみでは抗生 剤 の必要はない
咽頭炎型(急性咽頭?扁桃炎
型)
? 咽頭痛が主症 状 。 発 熱の有無は問わず
? 咽頭の 発 赤、咽頭後壁リンパ濾胞の腫脹
? 扁桃炎の併発

? 大部分はウイルス性
? A 群 β 溶連菌性(約 10 %)が、細菌性の殆
  どである 、とアメリカでは言われている
? 扁桃の白苔はウイルス性でも生じる
 ? それだけでは抗生 剤 の適 応 とはいえない
Centor’s strategy
 ① 発熱
 ② 白苔を伴う扁桃の 発 赤
 ③ 咳嗽なし
 ④ 圧 痛を伴う前頸部リンパ節腫脹

咽頭炎における溶連菌の有病率を 10 %と仮定して
 ポイント数 溶連菌感染の可能性          作戦
   0        2%            0~1 溶連菌の可能性低い→対症療法
   1        3%            2~3 可能性微妙→迅速検査で陽性なら抗生剤
   2        8%
   3        19%
                          4 可能性高い→検査とばして抗生剤
   4        41%


   (
   (Centor, R M. et al. Med Dicis Making, 1:239-246, 1981)
写真でみる咽頭炎




ウイルス性でも白苔はつく
  JOHNS Vol.23 No.12 (2007) p.1779-1802 より
気管支炎型
? 咳嗽が主体。喀痰 ?発 熱の有無は問わない。
? 65 歳 以下の場合 、 90 %が非細菌性

? 肺炎の鑑別が重要
 ? バイタルサインの異常 
  ○ 脈拍>100 , 呼吸 数 > 24, 体 温 > 38℃
 ? 呼吸音の左右差  雑 音          ? 胸部
  Xp
? 抗生 剤 が必要な場合 5 ~ 10%
 ? マイコプラズマ、クラミジア、百日咳
余談ですが…
? 呼吸回数を測りましょう
? 20 ~ 30 秒の観察で計測可能
? 10 ~ 18 回/分 あたりが普通
? 頻呼吸:呼吸回数> 24 回/分
? 1 呼吸プロセスが 2.5 秒以内に終了すれ
  ば頻呼吸
鼻汁 ? 鼻閉   咽頭痛       咳 ? 痰 抗菌 剤 と注意
 点


非特異的       △       △           △   不要
   上 気 道炎
急性鼻?   ◎           ×           ×   細菌性では必要
   副鼻腔炎
急性咽頭炎      ×       ◎           ×   溶連菌では必要



急性 気 管支炎   ×       ×           ◎   肺炎を除外できれば
                                        不要


(◎:主要症状、 × :原則としてなし、△:際立たず複数にあり)
はな       のど       せき   抗菌 剤 と注意
 点


非特異的       △        △        △   不要
   上 気 道炎
急性鼻?       ◎        ×        ×   細菌性では必要
   副鼻腔炎
急性咽頭炎      ×        ◎        ×   溶連菌では必要



急性 気 管支炎   ×        ×        ◎   肺炎を除外できれば
                                      不要

(◎:主要症状、 × :原則としてなし、△:際立たず複数にあり)
病型による抗菌剤の適応
( ACP )
? 非特異的上 気 道炎
 ? すべて抗菌 薬 の適 応 ナシ
? 急性鼻 ? 副鼻腔炎
 ? 顔面自 発 痛や 圧 痛がある場合
? 急性咽頭炎
 ? 溶連菌性の場合
? 急性 気 管支炎
 ? 肺炎が除外できない場合
問題:
次の症例について、か
ぜの細分类を答えよ
症例 3 : 16 歳男性
? 前日より咽頭痛と 39℃ 台の 発 熱に 気
  づいた。咽頭痛が 増強 し 来 院。
? 咳 ? 痰 ? 鼻汁 ? 鼻閉なし
? 所見:体温 39.3℃ 、咽頭 発 赤著明、右
  扁桃は白苔を伴い腫大。前頸部リンパ
  節を 数 個 触 知し、 圧 痛を伴う。肺野 清

         急性咽頭炎
抗生剤、どうする?
Centor’s strategy
 ① 発熱
 ② 白苔を伴う扁桃の 発 赤
 ③ 咳嗽なし
 ④ 圧 痛を伴う前頸部リンパ節腫脹

咽頭炎における溶連菌の有病率を 10 %と仮定して
 ポイント数 溶連菌感染の可能性          作戦
   0        2%            0~1 溶連菌の可能性低い→対症療法
   1        3%            2~3 可能性微妙→迅速検査で陽性なら抗生剤
   2        8%
   3        19%
                          4 可能性高い→検査とばして抗生剤
   4        41%


   (
   (Centor, R M. et al. Med Dicis Making, 1:239-246, 1981)
症例 4 : 20 歳男性
? 2 日前より 発 熱とともに咳嗽が 続 くた
  め 来 院。 黄 色い喀痰が出る。咽頭痛や
  鼻汁、鼻閉はなし。
? 所見:体温 37.5℃ 、脈拍 84 、呼吸数
  14 回、咽頭正常、扁桃腫大なし、頸部
  リンパ節 触 知せず。肺野 清 。

        急性気管支炎
症例 2 : 70 歳男性
? 4 日前より咳 ? 痰が出現し、次第に 増
  強 。 発 熱を伴い、喀痰が 黄 色粘稠にな
  ってきたため 来 院。咽頭痛、鼻汁、鼻
  閉なし。
? 所見:体温 38℃ 、脈拍 90 、呼吸回数
  14 回、咽頭正常、扁桃腫大なし、頸部
  リンパ節 触 知せず。肺野 清 。
       急性気管支炎
この2例、抗生剤どうする
?
高齢者の場合
 ? 症 状 が非典型的
 ? 二次感染の危険
 ? 細菌感染 だった場合リスクが高い

「抗生剤を使用しない」ポリシーには、より注意が必要
「なにかあったらすぐまた来院してください」


     「高齢者には抗生剤をだしとく」?「あ
     り」
基礎疾患がある場合
? 免疫不全?低免疫が想定される疾患?状況
  ? 血液悪性腫瘍
  ? 固形がん治療中
  ? 慢性肝疾患
                 状況次第で
  ? 透析患者
              翌日までに急変しうる
  ? 糖尿病
  ? ステロイド治療中
  ? バセドウ病で抗甲状腺薬内服中→無顆粒球症
? COPD ?気管支喘息
                         etc.
 病歴をチェックする(問診?カルテ)
 自信がなければ、夜中でも担当科オンコールと相談
 することを考える
採血も必要な「かぜ」症状
抗癌剤治療中      ?骨髄抑制期?
抗甲状腺薬内服中    ?無顆粒球症?

複数回来院
 「かぜ」診断は正しいか?
後で「何度も来たのに採血もされなかった」と言われるのを防
ぐ
=防御的医療 defensive medicine
今のご時世、ディフェンスを軽んじるのは危ない(個人的意見
)
なんとなくやばそう ?高い経験値が必要
  ※ なんでも採血       ?やりすぎ
「かぜ」
:特別なサブタイプ
分类
① 非特異性上 気 道炎型
② 鼻炎型《急性鼻 ? 副鼻腔炎型》
③ 咽頭炎型《急性咽頭 ? 扁桃炎型》
④ 気 管支炎型
⑤ 高熱のみ型《インフルエンザ型》
⑥ 微熱 ? 倦怠感型《急性 ? 慢性》
⑦ 特 徴 的所見のある型:
 発 疹型、急性胃腸炎型、 髄 膜炎型、その
 他

     (田坂佳千 レジデントノート  Vol 7, No.10 (2006
高熱のみ型
? 突然 発 症の 発 熱
? かつ、局所症 状 なし
    ? 局所症 状 とは?
    鼻汁、咽頭痛、咳、腹痛、下痢、激しい頭痛
     など
高熱のみ型は、
 要注意!

      なぜか?
高熱のみ型
? インフルエンザ
? その他のウイルス性疾患




    これらが多いことは事実


         でも…
こんな病気もありうる =地雷
    原
?   細菌感染症
    ? 肺炎         ? リケッチア病
    ? 髄 膜炎
                 ? 悪性腫瘍
    ? 急性腎盂腎炎
    ? 急性前立腺炎     ? 膠原病
    ? 肝膿瘍 ? 化膿性胆管炎
    ? 感染性心 内 膜 炎

     etc.
微熱?倦怠感 型 は難問
? 急性ウイルス感染( HIV や肝炎ウイルスも含
  む)
? 膠原病
? 悪 性腫瘍
? 感染症(特殊な細菌、リケッチア、結核、…
  )
? うつ
? 慢性疲 労 症候群
? 不定愁訴
特徴的所見:髄膜炎型
? 今までに感じたことのない頭痛
? 頭を下げたり、咳をすると頭痛が増強
? 嘔吐を伴う
? Neck Flexion Test
? Jolt accentuation
? 副鼻腔炎 も頭痛を起こします
特徴的所見:発疹型
? 多くはウイルス性疾患= self limiting
? リケッチアの可能性
? 薬 疹(前 医 のクスリ)も要注意


?   表面のぴりぴりする痛みで 発 症し、1
    ~ 7日後に神 経 支配に一致した赤 黒 い
    、水疱を伴う 発 疹出現 = 帯状 疱疹
特徴的所见:急性胃肠炎型
    ? ロタウイルス     ? サポウイルス
    ? ノロウイルス     ? アストロウイルス
    ? アデノウイル
      ス
?   病原性大腸菌 O157 の問題があり、抗生剤?
    止痢 剤 の使用についてはコンセンサスがな
    い
    ? 当 院消化器 内 科の方針
     ○ 抗生 剤 :ホスミシン
     ○ 止痢 剤 :使わない(ロペミン ? タンナルビンなど
       )
     ○ 整腸 剤 : 乳酸菌製剤
参考文献
?   レジデントノ ー ト Vol.7-No.10(2006.1)
               V
    ● 特集●“かぜ”を 読 む!

?   レジテントノ ー ト 増 刊 Vol.13-
    No.14(2011.12)
    いつもの治療を見直す!かぜ診療パ ー フェ
    クト
インフルエンザ
インフルエンザ
? 別名 「流行性感冒」
? インフルエンザウイルスによる感染症


?   学 校保健法 の規定
    ? 解熱後 2 日後からの登校
    ? (症 状発 症後 5 日目以降) これから加わる
    条件
インフルエンザ:自然経過
? 潜伏期:約 3 日(1~7日)
? 突然の 悪 寒 ?発 熱 ?関 節痛
? 引き 続 いて起こる鼻汁、咳
? 全 経 過約 1 週間


?   かぜ症候群より全身症 状 が 強 い
インフルエンザ○ × 問題
(1) 診断に抗原検査は必須である
(2) 臨床症状、疫学的状況だけで診断してよい
(3) 臨床診断だけで抗ウイルス剤を処方してもよ
  い
(4) 抗ウイルス剤は感染力を低下させる



答   (1)   (2)   (3)   (4)
インフルエンザ 迅速診断キ
    ット
?   当 院採用: プロラスト Flu (三菱化 学 メディエン
    ス)
    ? 希望 価 格  12000 円 /10 回用


?   陽性率 について( HP 上 Q&A より)
    ? プロラスト Flu を含む迅速診断キットにおいて陽性を示すためには
     、採取検体中にある量以上のウイルスが存在することが必要です。
     個々の症例にもよりますが、発熱などの症状が出てから 12 時
     間以内の症例では、感染があっても迅速診断キットで陰性
     を示すことがあると言われております。臨床症状から感染
     が疑われる場合は、問診などによる総合的な判断をお願い
     します。なお、インフルエンザの潜伏期間(感染から発症
     まで)は約 1 日と言われております。
インフルエンザ 迅速検査の
性能
                              感度                               62.3 %
                              特異度                              98.2 %
内訳
                       成人                         小児                             A                         B
感度                     53.9%                      66.6%                      64.6%                     52.2%
特異度                    98.6%                      98.2%                      99.1%                     99.8%
                             Accuracy of Rapid Influenza Diagnostic Tests
                             A Meta-analysis   (Ann Intern Med 2012)
                             First published February 27, 2012 on annals.org.

http://www.annals.org/content/early/2012/02/27/0003-4819-156-7-201204030-00403.full?sid=3284e797-f58c-49c3-bff0-85d39a28445e
迅速キットは
     いつ、何回まで使用できる?

?   医 療保 険 上のル ー ル
    ? 病名「インフルエンザ」「インフルエンザの疑い」
    ? 原則 1 回
    ? レセプト摘要欄に記載して 2 回まで
      ○ 検 査 実 施料インフルエンザウイルス抗原精密測定   150 点
      ○ 判 断 料「免疫 学 的 検 査」               144 点
?   医学的な事実
    ? 気道のウイルス量のピーク:発症 24-48 時間後
    ? その後急速に低下
    ? 5 -10 日後には検出不能という報告もある
迅速キット適応(提案)
? 発症 12 時間以前は施行しない
? 発症 72 時間以降は基本施行しない
? 2 回まで OK
? 保険病名をつける


?   抗ウイルス剤は迅速キット結果にかかわ
    らず処方できる
インフルエンザ のピット
  フォール
?   一部の NSAIDs は小 児 ( 15 歳 未 満 )に禁
    忌
    ?   ジクロフェナク(ボルタレン)
    ?   メフェナム酸(ポンタ ー ル)
    ?   PL顆粒( サリチルアミド 含有)
? 抗ウイルス 剤 を服用して解熱しても、ウ
  イルス排泄は 続 く( 発 症後 7 日程度)
? 治癒を「証明」する手段はない
? 「インフルエンザではない」ことを証明
  する手段もない
インフルエンザワクチン
? 不活化 HA ワクチン
? 接種株の選定: 毎 年 WHO が世界的趨勢をみな
  がら推 奨 株を選定、それを 参 考に厚 労 省で決
  定
? 有効性
 ? 成人( 65 歳 以下)の 発 症予防 効 果: 70 ~ 90 %(ア
   メリカ)
 ? 65 歳 以上の健常な高 齢 者
        発 病阻止 効 果:約 45%  
        死亡阻止 効 果:約 80%   (日本)
 ? 集 団 で接種することで、その集 団 に 属 するハイリス
   クグル ー プの死亡率を下げる 効 果(
        重症化を防ぐ効果と考える
   New Engl J Med 388:889-896(2001) )
インフルエンザワクチンの適応
? 基本的に、卵アレルギー例以外は接種して
  よい。
? 妊婦:アメリカのガイドラインでは、シー
  ズンに妊娠がかかるすべての妊婦に接種を
  推奨している。
? ただし、 37.5℃ 以上の発熱がある場合な
  どの急性疾患に罹患している場合は除く。
抗インフルエンザウイルス
薬
?   タミフル(オルセタミビル)        309.1×2×5=3091

    ? 内服薬( 5 日間)
    ? 10 ~ 19 歳は「原則禁忌」
?   リレンザ(ザナミビル)          168.7×2×2×5=3374

    ? 吸入薬( 5 日間)
?   イナビル(ラニナミビル)         2080.5×2×1=4161

    ? 吸入薬( 1 回)
?   ラピアクタ(ペラミビル)         5634×1=5634

    ? 注射薬( 1 回)
インフルエンザ○ × 問題
(1) 抗原検査は必須である
(2) 臨床症状、疫学的状況だけで診断してよい
(3) 臨床診断だけで抗ウイルス剤を処方してもよ
  い
(4) 抗ウイルス剤は感染力を低下させる


          ×         ○         ○         ×
答   (1)       (2)       (3)       (4)
症例2: 32 歳女性
? 2~3日前から鼻汁出現。鼻汁は徐々
  に 増 加するが、膿性ではない。鼻閉あ
  り。 軽 度の咽頭痛あり。咳 ? 痰も少し
  あり。37℃台の 発 熱を伴っている。
? 所見:体温 37.5℃ 、咽頭 発 赤 軽 度、扁
  桃腫大なし。鼻腔は 軽 度の 発 赤あり。
  頸部リンパ節 触 知せず。肺野 清 。

       非特異的上気道炎
かぜで使う薬
「使わない」
早く治すクスリはないし、数日で治るから
、
理には適っている
でも、患者さんは納得しないかも
消炎鎮痛剤
 アセトアミノフェン
 NSAID s
アセトアミノフェン
? カロナ ー ル アンヒバ ピリナジン  etc.
? 保険適応
    ? 鎮 痛: 300 ~ 1000mg/ 回を4~6時間 毎 、 4000mg/ 日まで
    ? 上 気 道炎の解熱: 300 ~ 500mg/ 回、原則 1 日 2 回まで、 1500mg/
     日まで
? 通常成人 400mg/ 回( 200mg 錠 2錠)
? 大量投 与 すると、アスピリン喘息を誘 発 し得
                  (1000mg/ 回以上)
  る。
                              これらは少ない
? 末梢での抗炎症作用                   (殆どない)
? 血小板凝集抑制
NSAIDs(Non-Steroidal Anti-
Inflamatory Drugs)
非ステロイド系抗炎症薬
 ? 副作用
   ○ 胃腸障害
   ○ 腎障害
   ○ 血小板凝集抑制
   ○ NSAIDs 喘息   etc.
有名な NSAID s
ポンタ ー ル     R
                  4回/日    シロップあり 消化器系 ? 溶血性貧血に注
 意
      (メフェナム酸)
ブルフェン       R
                          3回/日
      (イブプロフェン)
ナイキサン       R
                 3回/日     腫瘍熱に 効 く?

      (ナプロキセン)

ロキソニン       R
              3回/日        胃腸障害少ない?
      (ロキソプロフェンナトリウム)
ボルタレン       R
              3回/日        癌 鎮 痛の長期投 与 には向かない
      (ジフロフェナクナトリウム)
インダシン       R
              3回/日        強 いが、腎障害などの可能性も高い。
      (インドメタシン)
ハイペン    R
                     2回/日 COX2 選 択 阻害 剤  胃腸障害 ? 腎障害少な
 い。
      (エトドラク)
モ ー ビック     R
                          1回/日 COX2 阻害 剤  1回投 与 のため、
総合感冒薬: PL 顆粒
? 内 容物(1g中)
 ? サリチルアミド:270mg(アスピリン類似物質
   )
 ? アセトアミノフェン:150mg
 ? 無水カフェイン:60mg
 ? プロメタジンメチレンジサリチル酸塩:13.5m
   g
     ( H1 ブロッカ ー :ピレチア、ヒベルナと同じ)
? 注意事項
 ?   アスピリン喘息に 禁止
 ?   15 歳 未 満 の水痘、15 歳 未 満 のインフルエンザに 原則禁止
 ?   咳止めは入ってない
 ?   胃腸炎にださないこと
私家版?かぜで使う薬
使わない        却ってめんどくさいかも…
解熱 鎮 痛 剤       だすならカロナ ー ルを
            NSAIDs は避けた方が無難
咳止め         あまり 効 かない 気 がする…
            リンコデは 効 くけど便秘必 発
   しつこい咳 はきちんと 原因 疾患 を考え る
   百日咳 咳喘息 マイコプラズマ 気 管支炎(肺炎)   GERD   など
去痰 剤        基本不要。乾いた咳が止まらないフェ ー ズなら…
抗生 剤        必要な人に
総 合感冒 薬     当 院では「 PL 顆粒 」のみ
漢方          僕が使っているのは 4 剤
              葛根湯 (ぞくっときたら)  
              麻 黄 湯 ( 強 い症 状 、汗がでてない)
              麦 門冬湯 (せき)
              小 青竜 湯(鼻炎症 状 )
今日のまとめ
?   かぜの細分类
    ? 4つの分类+ α
?   抗生 剤 を誰に使うのか?
    ? 高 齢 者 ? 基礎疾患もちに注意
?   インフルエンザ
    ? 自然 経 過を頭にいれておく
?   急性胃腸炎
    ? 抗生 剤 は FOM 、止痢 剤 はださない
?   風邪 薬 の話
    ? PL 顆粒にも要注意
    ? いわゆる NSAIDs に要注意
咳
「先生、ずっとせきが止
 まらないんです」

咳を鑑別していくポイント、
それは…
原因をいくつ思いつける
 か
長引く乾性咳の鑑別
? Post-infectious chronic cough
  ? 成人の百日咳が含まれている
? 咳喘息 ? アトピ ー 咳嗽
? 好酸球性 気 管支炎
? 薬剤 性 ( ACE 阻害 剤 )
? GERD
? 心不全
? 耳あか
? その他の呼吸器疾患
  ? 結核 ? 肺癌 ? 間質性肺炎 ? etc.
「彼を知り、己を知
れば百戦殆うからず
」(孫子)
  あやう

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かぜ症候群2012 FINAL

  • 1. 「 かぜ 」の 診療 2012.3.7 日立総合病院内科 千勝紀生
  • 2. 今日の話 ? かぜの細分类 ? 抗生 剤 を誰に使うのか? ? 高 齢 者 ? 基礎疾患もちに注 意 ? 急性胃腸炎 ? インフルエンザ ? 風邪 薬 の話
  • 3. 症例 1 : 32 歳女性 ? 2~3日前から鼻汁出現。鼻汁は徐々 に 増 加するが、膿性ではない。鼻閉あ り。 軽 度の咽頭痛あり。咳 ? 痰も少し あり。 37℃ 台の 発 熱を伴っている。 ? 所見:体温 37.5℃ 、咽頭 発 赤 軽 度、扁 桃腫大なし。鼻腔は 軽 度の 発 赤あり。 頸部リンパ節 触 知せず。肺野 清 。
  • 4. 症例 2 : 70 歳男性 ? 4 日前より咳 ? 痰が出現し、次第に 増 強 。 発 熱を伴い、喀痰が 黄 色粘稠にな ってきたため 来 院。咽頭痛、鼻汁、鼻 閉なし。 ? 所見:体温 38℃ 、脈拍 90 、呼吸回数 14 回、咽頭正常、扁桃腫大なし、頸部 リンパ節 触 知せず。肺野 清 。
  • 6. 診療のポイント ? 抗生 剤 の必要性を判 断 ? 対 症療法の程度を見極める ? 地雷の 発 見 !手早く!
  • 7. 手早く、的确に考える 方法 分类 (=パターン化)
  • 8. 分类 ① 非特異性上 気 道炎型 ② 鼻炎型《急性鼻 ? 副鼻腔炎型 》 ③ 咽頭炎型《急性咽頭 ? 扁桃炎 型》 ACP (気 管支炎型 ④ American College of Physician) による分类
  • 9. 問診(いちばん重要) せき 「咳はでますか?」 はな 「鼻水はでますか?鼻づまり は?」 のど 「のどは痛いですか?」 熱 「熱はありますか?」 下痢 「下痢してますか?」 そのほか 「なにか他に症 状 はあります か?」 大事なこと: 「治療している病 気 がありますか?」
  • 10. 問診による分类 せき メイン 気 管支炎型 はな メイン 急性鼻 ? 副鼻腔炎型 のど メイン 咽頭炎型 3つともある 非特異型 あとは付加的な情報   発 熱 ? 下痢 ? 基礎疾患 ? 頭痛 ? etc.
  • 11. 非特異性上気道炎型 ? 急性の 経 過 ? 以下の3領域症 状 が同時に同程度に存 在 ? 鼻炎症状 ○ くしゃみ ? はなみず ? はなづまり ? 咽頭炎症状 ○ 咽頭痛 ? イガイガ感 ? 下 気 道炎症 状 ○ 咳、喀痰の有無は問わない ? ウイルス性
  • 12. 非特異性上気道炎型 ウイルス性である以上、 デフォルトは 「抗生 剤 不要」
  • 13. 鼻炎型(急性鼻?副鼻腔炎型 ) ? 鼻炎症 状 (くしゃみ、鼻汁、鼻づまり)主 体 ? 発 熱の有無は問わない ? 大部分はウイルス性
  • 14. 細菌性副鼻腔炎 (≒抗生剤投与が必要) ? 鼻炎症 状 が 7 日以上持 続 し、かつ 頬 部(特に 片側性)の自 発 痛 ?圧 痛と、膿性鼻汁が見ら れる場合 ? Double sickening, 7 ~ 10 日後の再増悪 ? 非常に 強 い片側性の 頬 部の疼痛 ? 腫脹 ?発 熱 がある場合(症 状 の持 続 時間は問わない) ? 鼻炎型全体の 0.2 ~2%とされる ? 膿性鼻汁はウイルス性でも生じる ? これのみでは抗生 剤 の必要はない
  • 15. 咽頭炎型(急性咽頭?扁桃炎 型) ? 咽頭痛が主症 状 。 発 熱の有無は問わず ? 咽頭の 発 赤、咽頭後壁リンパ濾胞の腫脹 ? 扁桃炎の併発 ? 大部分はウイルス性 ? A 群 β 溶連菌性(約 10 %)が、細菌性の殆 どである 、とアメリカでは言われている ? 扁桃の白苔はウイルス性でも生じる ? それだけでは抗生 剤 の適 応 とはいえない
  • 16. Centor’s strategy ① 発熱 ② 白苔を伴う扁桃の 発 赤 ③ 咳嗽なし ④ 圧 痛を伴う前頸部リンパ節腫脹 咽頭炎における溶連菌の有病率を 10 %と仮定して ポイント数 溶連菌感染の可能性 作戦   0 2% 0~1 溶連菌の可能性低い→対症療法   1 3% 2~3 可能性微妙→迅速検査で陽性なら抗生剤   2 8%   3 19% 4 可能性高い→検査とばして抗生剤   4 41% ( (Centor, R M. et al. Med Dicis Making, 1:239-246, 1981)
  • 18. 気管支炎型 ? 咳嗽が主体。喀痰 ?発 熱の有無は問わない。 ? 65 歳 以下の場合 、 90 %が非細菌性 ? 肺炎の鑑別が重要 ? バイタルサインの異常  ○ 脈拍>100 , 呼吸 数 > 24, 体 温 > 38℃ ? 呼吸音の左右差  雑 音          ? 胸部 Xp ? 抗生 剤 が必要な場合 5 ~ 10% ? マイコプラズマ、クラミジア、百日咳
  • 19. 余談ですが… ? 呼吸回数を測りましょう ? 20 ~ 30 秒の観察で計測可能 ? 10 ~ 18 回/分 あたりが普通 ? 頻呼吸:呼吸回数> 24 回/分 ? 1 呼吸プロセスが 2.5 秒以内に終了すれ ば頻呼吸
  • 20. 鼻汁 ? 鼻閉 咽頭痛 咳 ? 痰 抗菌 剤 と注意 点 非特異的 △ △ △ 不要    上 気 道炎 急性鼻? ◎ × × 細菌性では必要    副鼻腔炎 急性咽頭炎 × ◎ × 溶連菌では必要 急性 気 管支炎 × × ◎ 肺炎を除外できれば 不要 (◎:主要症状、 × :原則としてなし、△:際立たず複数にあり)
  • 21. はな のど せき 抗菌 剤 と注意 点 非特異的 △ △ △ 不要    上 気 道炎 急性鼻? ◎ × × 細菌性では必要    副鼻腔炎 急性咽頭炎 × ◎ × 溶連菌では必要 急性 気 管支炎 × × ◎ 肺炎を除外できれば 不要 (◎:主要症状、 × :原則としてなし、△:際立たず複数にあり)
  • 22. 病型による抗菌剤の適応 ( ACP ) ? 非特異的上 気 道炎 ? すべて抗菌 薬 の適 応 ナシ ? 急性鼻 ? 副鼻腔炎 ? 顔面自 発 痛や 圧 痛がある場合 ? 急性咽頭炎 ? 溶連菌性の場合 ? 急性 気 管支炎 ? 肺炎が除外できない場合
  • 24. 症例 3 : 16 歳男性 ? 前日より咽頭痛と 39℃ 台の 発 熱に 気 づいた。咽頭痛が 増強 し 来 院。 ? 咳 ? 痰 ? 鼻汁 ? 鼻閉なし ? 所見:体温 39.3℃ 、咽頭 発 赤著明、右 扁桃は白苔を伴い腫大。前頸部リンパ 節を 数 個 触 知し、 圧 痛を伴う。肺野 清 急性咽頭炎
  • 26. Centor’s strategy ① 発熱 ② 白苔を伴う扁桃の 発 赤 ③ 咳嗽なし ④ 圧 痛を伴う前頸部リンパ節腫脹 咽頭炎における溶連菌の有病率を 10 %と仮定して ポイント数 溶連菌感染の可能性 作戦   0 2% 0~1 溶連菌の可能性低い→対症療法   1 3% 2~3 可能性微妙→迅速検査で陽性なら抗生剤   2 8%   3 19% 4 可能性高い→検査とばして抗生剤   4 41% ( (Centor, R M. et al. Med Dicis Making, 1:239-246, 1981)
  • 27. 症例 4 : 20 歳男性 ? 2 日前より 発 熱とともに咳嗽が 続 くた め 来 院。 黄 色い喀痰が出る。咽頭痛や 鼻汁、鼻閉はなし。 ? 所見:体温 37.5℃ 、脈拍 84 、呼吸数 14 回、咽頭正常、扁桃腫大なし、頸部 リンパ節 触 知せず。肺野 清 。 急性気管支炎
  • 28. 症例 2 : 70 歳男性 ? 4 日前より咳 ? 痰が出現し、次第に 増 強 。 発 熱を伴い、喀痰が 黄 色粘稠にな ってきたため 来 院。咽頭痛、鼻汁、鼻 閉なし。 ? 所見:体温 38℃ 、脈拍 90 、呼吸回数 14 回、咽頭正常、扁桃腫大なし、頸部 リンパ節 触 知せず。肺野 清 。 急性気管支炎
  • 30. 高齢者の場合 ? 症 状 が非典型的 ? 二次感染の危険 ? 細菌感染 だった場合リスクが高い 「抗生剤を使用しない」ポリシーには、より注意が必要 「なにかあったらすぐまた来院してください」 「高齢者には抗生剤をだしとく」?「あ り」
  • 31. 基礎疾患がある場合 ? 免疫不全?低免疫が想定される疾患?状況 ? 血液悪性腫瘍 ? 固形がん治療中 ? 慢性肝疾患 状況次第で ? 透析患者 翌日までに急変しうる ? 糖尿病 ? ステロイド治療中 ? バセドウ病で抗甲状腺薬内服中→無顆粒球症 ? COPD ?気管支喘息 etc. 病歴をチェックする(問診?カルテ) 自信がなければ、夜中でも担当科オンコールと相談 することを考える
  • 32. 採血も必要な「かぜ」症状 抗癌剤治療中  ?骨髄抑制期? 抗甲状腺薬内服中 ?無顆粒球症? 複数回来院 「かぜ」診断は正しいか? 後で「何度も来たのに採血もされなかった」と言われるのを防 ぐ =防御的医療 defensive medicine 今のご時世、ディフェンスを軽んじるのは危ない(個人的意見 ) なんとなくやばそう ?高い経験値が必要 ※ なんでも採血 ?やりすぎ
  • 34. 分类 ① 非特異性上 気 道炎型 ② 鼻炎型《急性鼻 ? 副鼻腔炎型》 ③ 咽頭炎型《急性咽頭 ? 扁桃炎型》 ④ 気 管支炎型 ⑤ 高熱のみ型《インフルエンザ型》 ⑥ 微熱 ? 倦怠感型《急性 ? 慢性》 ⑦ 特 徴 的所見のある型: 発 疹型、急性胃腸炎型、 髄 膜炎型、その 他 (田坂佳千 レジデントノート  Vol 7, No.10 (2006
  • 35. 高熱のみ型 ? 突然 発 症の 発 熱 ? かつ、局所症 状 なし ? 局所症 状 とは? 鼻汁、咽頭痛、咳、腹痛、下痢、激しい頭痛 など
  • 38. こんな病気もありうる =地雷 原 ? 細菌感染症 ? 肺炎 ? リケッチア病 ? 髄 膜炎 ? 悪性腫瘍 ? 急性腎盂腎炎 ? 急性前立腺炎 ? 膠原病 ? 肝膿瘍 ? 化膿性胆管炎 ? 感染性心 内 膜 炎 etc.
  • 39. 微熱?倦怠感 型 は難問 ? 急性ウイルス感染( HIV や肝炎ウイルスも含 む) ? 膠原病 ? 悪 性腫瘍 ? 感染症(特殊な細菌、リケッチア、結核、… ) ? うつ ? 慢性疲 労 症候群 ? 不定愁訴
  • 40. 特徴的所見:髄膜炎型 ? 今までに感じたことのない頭痛 ? 頭を下げたり、咳をすると頭痛が増強 ? 嘔吐を伴う ? Neck Flexion Test ? Jolt accentuation ? 副鼻腔炎 も頭痛を起こします
  • 41. 特徴的所見:発疹型 ? 多くはウイルス性疾患= self limiting ? リケッチアの可能性 ? 薬 疹(前 医 のクスリ)も要注意 ? 表面のぴりぴりする痛みで 発 症し、1 ~ 7日後に神 経 支配に一致した赤 黒 い 、水疱を伴う 発 疹出現 = 帯状 疱疹
  • 42. 特徴的所见:急性胃肠炎型 ? ロタウイルス ? サポウイルス ? ノロウイルス ? アストロウイルス ? アデノウイル ス ? 病原性大腸菌 O157 の問題があり、抗生剤? 止痢 剤 の使用についてはコンセンサスがな い ? 当 院消化器 内 科の方針 ○ 抗生 剤 :ホスミシン ○ 止痢 剤 :使わない(ロペミン ? タンナルビンなど ) ○ 整腸 剤 : 乳酸菌製剤
  • 43. 参考文献 ? レジデントノ ー ト Vol.7-No.10(2006.1) V ● 特集●“かぜ”を 読 む! ? レジテントノ ー ト 増 刊 Vol.13- No.14(2011.12) いつもの治療を見直す!かぜ診療パ ー フェ クト
  • 45. インフルエンザ ? 別名 「流行性感冒」 ? インフルエンザウイルスによる感染症 ? 学 校保健法 の規定 ? 解熱後 2 日後からの登校 ? (症 状発 症後 5 日目以降) これから加わる 条件
  • 46. インフルエンザ:自然経過 ? 潜伏期:約 3 日(1~7日) ? 突然の 悪 寒 ?発 熱 ?関 節痛 ? 引き 続 いて起こる鼻汁、咳 ? 全 経 過約 1 週間 ? かぜ症候群より全身症 状 が 強 い
  • 47. インフルエンザ○ × 問題 (1) 診断に抗原検査は必須である (2) 臨床症状、疫学的状況だけで診断してよい (3) 臨床診断だけで抗ウイルス剤を処方してもよ い (4) 抗ウイルス剤は感染力を低下させる 答 (1) (2) (3) (4)
  • 48. インフルエンザ 迅速診断キ ット ? 当 院採用: プロラスト Flu (三菱化 学 メディエン ス) ? 希望 価 格  12000 円 /10 回用 ? 陽性率 について( HP 上 Q&A より) ? プロラスト Flu を含む迅速診断キットにおいて陽性を示すためには 、採取検体中にある量以上のウイルスが存在することが必要です。 個々の症例にもよりますが、発熱などの症状が出てから 12 時 間以内の症例では、感染があっても迅速診断キットで陰性 を示すことがあると言われております。臨床症状から感染 が疑われる場合は、問診などによる総合的な判断をお願い します。なお、インフルエンザの潜伏期間(感染から発症 まで)は約 1 日と言われております。
  • 49. インフルエンザ 迅速検査の 性能 感度 62.3 % 特異度 98.2 % 内訳 成人 小児 A B 感度 53.9% 66.6% 64.6% 52.2% 特異度 98.6% 98.2% 99.1% 99.8% Accuracy of Rapid Influenza Diagnostic Tests A Meta-analysis   (Ann Intern Med 2012) First published February 27, 2012 on annals.org. http://www.annals.org/content/early/2012/02/27/0003-4819-156-7-201204030-00403.full?sid=3284e797-f58c-49c3-bff0-85d39a28445e
  • 50. 迅速キットは いつ、何回まで使用できる? ? 医 療保 険 上のル ー ル ? 病名「インフルエンザ」「インフルエンザの疑い」 ? 原則 1 回 ? レセプト摘要欄に記載して 2 回まで ○ 検 査 実 施料インフルエンザウイルス抗原精密測定   150 点 ○ 判 断 料「免疫 学 的 検 査」 144 点 ? 医学的な事実 ? 気道のウイルス量のピーク:発症 24-48 時間後 ? その後急速に低下 ? 5 -10 日後には検出不能という報告もある
  • 51. 迅速キット適応(提案) ? 発症 12 時間以前は施行しない ? 発症 72 時間以降は基本施行しない ? 2 回まで OK ? 保険病名をつける ? 抗ウイルス剤は迅速キット結果にかかわ らず処方できる
  • 52. インフルエンザ のピット フォール ? 一部の NSAIDs は小 児 ( 15 歳 未 満 )に禁 忌 ? ジクロフェナク(ボルタレン) ? メフェナム酸(ポンタ ー ル) ? PL顆粒( サリチルアミド 含有) ? 抗ウイルス 剤 を服用して解熱しても、ウ イルス排泄は 続 く( 発 症後 7 日程度) ? 治癒を「証明」する手段はない ? 「インフルエンザではない」ことを証明 する手段もない
  • 53. インフルエンザワクチン ? 不活化 HA ワクチン ? 接種株の選定: 毎 年 WHO が世界的趨勢をみな がら推 奨 株を選定、それを 参 考に厚 労 省で決 定 ? 有効性 ? 成人( 65 歳 以下)の 発 症予防 効 果: 70 ~ 90 %(ア メリカ) ? 65 歳 以上の健常な高 齢 者 発 病阻止 効 果:約 45%   死亡阻止 効 果:約 80%   (日本) ? 集 団 で接種することで、その集 団 に 属 するハイリス クグル ー プの死亡率を下げる 効 果( 重症化を防ぐ効果と考える New Engl J Med 388:889-896(2001) )
  • 54. インフルエンザワクチンの適応 ? 基本的に、卵アレルギー例以外は接種して よい。 ? 妊婦:アメリカのガイドラインでは、シー ズンに妊娠がかかるすべての妊婦に接種を 推奨している。 ? ただし、 37.5℃ 以上の発熱がある場合な どの急性疾患に罹患している場合は除く。
  • 55. 抗インフルエンザウイルス 薬 ? タミフル(オルセタミビル) 309.1×2×5=3091 ? 内服薬( 5 日間) ? 10 ~ 19 歳は「原則禁忌」 ? リレンザ(ザナミビル) 168.7×2×2×5=3374 ? 吸入薬( 5 日間) ? イナビル(ラニナミビル) 2080.5×2×1=4161 ? 吸入薬( 1 回) ? ラピアクタ(ペラミビル) 5634×1=5634 ? 注射薬( 1 回)
  • 56. インフルエンザ○ × 問題 (1) 抗原検査は必須である (2) 臨床症状、疫学的状況だけで診断してよい (3) 臨床診断だけで抗ウイルス剤を処方してもよ い (4) 抗ウイルス剤は感染力を低下させる × ○ ○ × 答 (1) (2) (3) (4)
  • 57. 症例2: 32 歳女性 ? 2~3日前から鼻汁出現。鼻汁は徐々 に 増 加するが、膿性ではない。鼻閉あ り。 軽 度の咽頭痛あり。咳 ? 痰も少し あり。37℃台の 発 熱を伴っている。 ? 所見:体温 37.5℃ 、咽頭 発 赤 軽 度、扁 桃腫大なし。鼻腔は 軽 度の 発 赤あり。 頸部リンパ節 触 知せず。肺野 清 。 非特異的上気道炎
  • 61. アセトアミノフェン ? カロナ ー ル アンヒバ ピリナジン  etc. ? 保険適応 ? 鎮 痛: 300 ~ 1000mg/ 回を4~6時間 毎 、 4000mg/ 日まで ? 上 気 道炎の解熱: 300 ~ 500mg/ 回、原則 1 日 2 回まで、 1500mg/ 日まで ? 通常成人 400mg/ 回( 200mg 錠 2錠) ? 大量投 与 すると、アスピリン喘息を誘 発 し得 (1000mg/ 回以上) る。 これらは少ない ? 末梢での抗炎症作用 (殆どない) ? 血小板凝集抑制
  • 62. NSAIDs(Non-Steroidal Anti- Inflamatory Drugs) 非ステロイド系抗炎症薬 ? 副作用 ○ 胃腸障害 ○ 腎障害 ○ 血小板凝集抑制 ○ NSAIDs 喘息 etc.
  • 63. 有名な NSAID s ポンタ ー ル R 4回/日  シロップあり 消化器系 ? 溶血性貧血に注 意 (メフェナム酸) ブルフェン R 3回/日 (イブプロフェン) ナイキサン R 3回/日  腫瘍熱に 効 く? (ナプロキセン) ロキソニン R 3回/日 胃腸障害少ない? (ロキソプロフェンナトリウム) ボルタレン R 3回/日 癌 鎮 痛の長期投 与 には向かない (ジフロフェナクナトリウム) インダシン R 3回/日 強 いが、腎障害などの可能性も高い。 (インドメタシン) ハイペン R 2回/日 COX2 選 択 阻害 剤  胃腸障害 ? 腎障害少な い。 (エトドラク) モ ー ビック R 1回/日 COX2 阻害 剤  1回投 与 のため、
  • 64. 総合感冒薬: PL 顆粒 ? 内 容物(1g中) ? サリチルアミド:270mg(アスピリン類似物質 ) ? アセトアミノフェン:150mg ? 無水カフェイン:60mg ? プロメタジンメチレンジサリチル酸塩:13.5m g ( H1 ブロッカ ー :ピレチア、ヒベルナと同じ) ? 注意事項 ? アスピリン喘息に 禁止 ? 15 歳 未 満 の水痘、15 歳 未 満 のインフルエンザに 原則禁止 ? 咳止めは入ってない ? 胃腸炎にださないこと
  • 65. 私家版?かぜで使う薬 使わない 却ってめんどくさいかも… 解熱 鎮 痛 剤 だすならカロナ ー ルを NSAIDs は避けた方が無難 咳止め  あまり 効 かない 気 がする… リンコデは 効 くけど便秘必 発 しつこい咳 はきちんと 原因 疾患 を考え る 百日咳 咳喘息 マイコプラズマ 気 管支炎(肺炎)   GERD   など 去痰 剤   基本不要。乾いた咳が止まらないフェ ー ズなら… 抗生 剤   必要な人に 総 合感冒 薬   当 院では「 PL 顆粒 」のみ 漢方  僕が使っているのは 4 剤 葛根湯 (ぞくっときたら)   麻 黄 湯 ( 強 い症 状 、汗がでてない) 麦 門冬湯 (せき) 小 青竜 湯(鼻炎症 状 )
  • 66. 今日のまとめ ? かぜの細分类 ? 4つの分类+ α ? 抗生 剤 を誰に使うのか? ? 高 齢 者 ? 基礎疾患もちに注意 ? インフルエンザ ? 自然 経 過を頭にいれておく ? 急性胃腸炎 ? 抗生 剤 は FOM 、止痢 剤 はださない ? 風邪 薬 の話 ? PL 顆粒にも要注意 ? いわゆる NSAIDs に要注意
  • 67.
  • 70. 長引く乾性咳の鑑別 ? Post-infectious chronic cough ? 成人の百日咳が含まれている ? 咳喘息 ? アトピ ー 咳嗽 ? 好酸球性 気 管支炎 ? 薬剤 性 ( ACE 阻害 剤 ) ? GERD ? 心不全 ? 耳あか ? その他の呼吸器疾患 ? 結核 ? 肺癌 ? 間質性肺炎 ? etc.

Editor's Notes

  1. ちなみに、市中肺炎の6大起因菌:肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、モラキセラ、マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラ
  2. 頭を振ると痛い= jolt accentuation