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産総研オープンラボ2013第6会場講演会 10月31日(木)10:00~12:00

「現場で実践する福祉工学~成果を研究室で眠らせないために
~」

ケアサービスへの技術普及戦
略
産総研 知能システム研究部門
梶谷 勇
産総研オープンラボ2013第6会場講演会 10月31日(木)10:00~12:00

この講演について
? この講演で扱う「ケアサービス」
– 対人的なケアに関するサービス
? 例:高齢者、障害者サービス、教育(特別支援教
育等)

– 個別の話題よりも、一般論を。

? この講演の内容について
– 産総研内部プロジェクトの途中経過
– フィールド調査+文献調査
(多くの資料を参考にしていますが、この講演資料では参考文献の情報を割愛しま
す)

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産総研オープンラボ2013第6会場講演会 10月31日(木)10:00~12:00

背景:自動車の普及
? 「自動車」自体の進化だけではない
– 道路網の整備
– 交通ルールの整備
– ガソリンスタンドの整備
– 車検制度
– 教習所、運転免許証
– マーケティング
– コマーシャル
– カーレース
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産総研オープンラボ2013第6会場講演会 10月31日(木)10:00~12:00

開発フェーズ
活用フェーズ
安全性検証
実証?社会実験
拡散?定着フェーズ
市場、コスト、消費者、
社会システム、ビジネス

研究室

新技術(例:ロボット)開発の
フェーズ

社会

生活支援ロボット安全検証センター

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産総研オープンラボ2013第6会場講演会 10月31日(木)10:00~12:00

講演会のテーマの分析
? 『市場原理に合わない成果物をどうやっ
て 普及させるか?』
– 普及
? 言葉のニュアンス:「バーン」と広がる感じ?
? 『定着』させることが重要。

– 市場原理
? アダム?スミスの「神の見えざる手」に必要なの
は:
– 商品の同質性(誰でも同じ質の商品を提供できる)
– 情報の完全性(誰もが十分な情報を持っている)
– 所有権の確立と保護(誰のものであるか明確である)
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産総研オープンラボ2013第6会場講演会 10月31日(木)10:00~12:00

商品(ケアサービス)の同質性
? 「技術」は同質性を担保可能
? 技術を活用して提供されるサービスは?
– サービスの特性
? 無形性(Intangibility)
– 形がないこと。物理的な存在がないこと。

? 同時性(Simultaneity)不可分性(Inseparability)
– 生産と消費が同時に発生すること

? 異質性(Heterogeneity)
– 提供者によって品質が異なること

? 消滅性(Perishability)
– 保存できないこと
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産総研オープンラボ2013第6会場講演会 10月31日(木)10:00~12:00

情報の完全性?対称性
? サービス提供者と受ける側の情報格差
– サービス提供者 > 受ける側 (逆の場合
も)

? サービス提供者が十分な情報を持つか?
– 正しいケアとは?絶対的真理があるか?

? 「情報コスト」
– 情報供給コスト(お金、時間)
? 情報を作り、信頼性を確保し、拡散するコスト

– 情報消費コスト(お金、時間)
? 情報を入手し、理解し、活用するコスト
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産総研オープンラボ2013第6会場講演会 10月31日(木)10:00~12:00

オープンラボに来る行動を分析
【現在から過去に】
? オープンラボに参加
– つくばに移動
情報コスト
? 具体的なスケジューリング

– 出張の承認
? 出張申請 情報コスト
情報コスト
? 「上司or同僚or部下をどうやって説得するか」
? オープンラボに参加したいと思う
? オープンラボについて調べる 情報コスト
? オープンラボの情報を得る情報コスト

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産総研オープンラボ2013第6会場講演会 10月31日(木)10:00~12:00

技術導入行動を分析
【現在から過去に】
? オープンラボに参加
? 新しい技術を導入
– つくばに移動
– 新しい技術を購入

情報コスト

? 具体的なスケジューリング
? 具体的な使い方を計画する

– 出張の承認
– 購入の承認
? 出張申請
? 購入申請 情報コスト
情報コスト
? 「上司or同僚or部下をどうやって説得するか」
? 「上司or同僚or部下をどうやって説得する
か」
? オープンラボに参加したいと思う
? オープンラボについて調べる 情報コスト
新しい技術を購入したいと思う
? オープンラボの情報を得る
新しい技術について調べる
情報コスト
? 新しい技術の情報を得る
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産総研オープンラボ2013第6会場講演会 10月31日(木)10:00~12:00

情報消費コスト(1)
? 情報探索コスト
– 必要な情報を入手するために必要なコスト
– ケアサービスについて調査中
? 習慣的問題解決(例:立ち上がりセンサ)
? なじみのある製品。容易に意思決定可能。

? 包括的問題解決(例:浴室リフト)
? 高価格、購買頻度低い、商品に対する知識豊富でな
い。専門家や経験者からの情報で意思決定。

? 限定的問題解決(例:パロ)
? 「包括的」より低価格。過去の経験をもとに意思決
定。
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情報消費コスト(2)
? 学習コスト
– 理解するためのコスト。
– セミナー参加。専門書。説明書。教育を受け
る。

? 活用コスト

(※意外に無視されているのでは)

– 使い方を検討(見通しを立てる)
? ○○さんのケアにこの技術を使うと、~~が期待
できる。
? ○○さんのケアにこの技術を使うと、××な悪影
響があるので、使わないほうがいい。
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産総研オープンラボ2013第6会場講演会 10月31日(木)10:00~12:00

情報供給コスト(1)
? 情報伝達(拡散)コスト
– 情報の伝達経路は何か?
? インターネットが有効か?
? マスメディアがあるか?
? カリスマ伝道師がいるか?

– キービヘイビア(情報に接するきっかけとなる行
動)は?
? 展示会(福祉機器展など)は最初のきっかけ(参加した人だ
け)
? 使用場面を他の人が見る機会がない ?携帯電話、スマホ、タブ
レット

– ケアサービスの場合
? インターネットが主要な媒体になっていない
? 同業者(近所の施設、学会、研修会など)、代理店

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産総研オープンラボ2013第6会場講演会 10月31日(木)10:00~12:00

情報供給コスト(2)
? 信頼性の確保
– 交絡因子が多い点に注意。
? サービスの異質性 (人、インフラ)
? 被験者バイアス (いい人が多い)

– 業務計画に依存する。
? これまでの業務計画の中では使えないこと
も
– 例:リフト?「時間がない」という意見が出る

? どのように業務計画を変更すべきか
? 有効な使用場面、状況を明確に。

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産総研オープンラボ2013第6会場講演会 10月31日(木)10:00~12:00

情報供給コスト(3)
? 開発段階の課題
– 「いつ」「誰が」情報を作るか
? 技術の開発者:横の視点
– アレにもコレにも使えますよ。(ビジネスの広がり)

? 技術の利用者:縦の視点
– 誰に使えるのか。誰に使えないのか。

– 開発後の情報供給コストを意識して
? いいものを作るだけでは広まらない。

– 補足:開発時の情報消費コストの課題
? コミュニケーションチャネルが狭い
– 例:「○○先生に聞きました」

? 特徴的な事象の情報に偏る
– 例:認知症の周辺症状の苦労話はたくさん入る。周辺症状には理由が
ある。
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産総研オープンラボ2013第6会場講演会 10月31日(木)10:00~12:00

情報供給コスト(4)
? 技術の属性を意識して
– 相対的優位性(よりよいと知覚される度合い)
? わかりやすい優位性を見せる。
? その場でフィードバック。?モチベーション(ケアされる側、する
側)
? 予防的な技術は知覚されるのが遅い。

– 両立可能性(既存の価値観などに反しない)
? 価値観を意識した説明を。(価値観は変わるもの?)

– 複雑性(使用、理解するのが困難と知覚)
? 「これなら自分でも使えそう」と感じる。(感じさせる)

– 試行可能性(体験できる度合い)
? 体験する機会が圧倒的に少ない。(機会を増やす)

– 観察可能性(他人の目に触れる度合い)
? 使っているところが他人に見えない。(他人に見えるようにする)

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産総研オープンラボ2013第6会場講演会 10月31日(木)10:00~12:00

まとめ
? 情報コストの解析中心とした技術導入
(普及?定着)戦略の考察
? この講演の前提
– 「いい製品」が開発されている。

? 技術導入を加速するには
– 定着には時間がかかることを前提に対処法を
? 空気が変わるには10年くらい必要な場合も

– 情報コストを下げる
– 「あたりまえ」のことを。福祉は特別ではな
い。

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産総研オープンラボ2013第6会場講演会 10月31日(木)10:00~12:00

ご意見いただければ幸いで
す。
isamu.kajitani@aist.go.jp
オープンラボ2013期間中は、
第2会場D2-14パネル前へ

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