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植物生理学 第5回
絵とき植物生理学入門(オーム社)より
  3.3 植物ホルモンと遺伝子応答
  3.4 植物の生活環と       
     形態形成にかかわる遺伝子発現
  3.5 生体防御の分子構造
      

                 2012/5/15
                 担当:山口
3.3 植物ホルモンと遺伝子応答
●
    植物ホルモンが遺伝子発現を誘導する
    一般的な道筋
    植物ホルモンとホルモン受容体(タンパク質)が結合
    ↓
    結合体が核内へ移動
    ↓
    核内で転写活性化させる(転写因子化)
    ↓
    遺伝子発現を促進させる
3.3.1 ホルモン結合タンパク質
●
    オーキシンの場合
    ●   受容体が細胞膜上などにある
        →細胞内に入らなくても遺伝子発現を促進する

    ●   仮説
        –   細胞膜上で受容体とホルモン結合
            →シグナルが核へ
                →遺伝子発現
        –   細胞膜上で受容体とホルモン結合
            →膜のイオン透過性変化
                →細胞質内イオン環境変化→核内の遺伝子発現へ
3.3.2 ユビキチンの結合
オーキシンの場合
 あるタンパク質Aが転写因子Bの邪魔をする
 →Aにユビキチンを付ける酵素Xを発現
 →XによりAにユビキチンがつく
 →ユビキチン付着タンパク質破壊機関に運ばれ、
 Aが分解される
 →Bが転写因子として動き出す

実際は高濃度時などはAタンパク質発現遺伝子も促進
(でないとOn-Offできない)
3.3.2 ユビキチンの結合
サイトカイニンの場合
受容体に結合
↓
タンパク質Aにリン酸基 
(図中P)付着
↓
転写因子Bにリン酸基転移
↓
遺伝子転写
3.4 植物の生活環と形態形成に
             かかわる遺伝子発現
●
    植物の生長?分化に及ぼす外的因子
    ●   水
    ●
        温度
    ●   塩
    ●   光
    ●   大気成分
    ●   物理的刺激(風?圧力?重力など)
    ●   微生物(共生?羅病性細菌など)
    ●   動物(昆虫など)
●
    これらの環境変化に応じて遺伝子が発現
3.4.1 光環境
●
    光???フィトクローム(色素タンパク質)で吸収

●
    遺伝子発現までの流れ
    ●   フィトクローム+赤色光→活性体へ
        →活性体が核へ移動
        →遺伝子発現  ←しくみや経路は不明

●   オーキシン作用と結びついて光の作用が発揮され
    る可能性も
3.4.2 日長条件
●
    花芽形成ルート(右図)
    ●   花芽形成にはFTとDが必要
    ●   FTは日長検知するCOによって発現
    ●   FT発現にはFLC抑制も必要
    ●   結果:遺伝子A,B,Cが必要

●
    長日植物と短日植物
    ●   CO遺伝子の発現が日長により増減
        –   夜の長さが一定以上でFT発現???短日植物
        –   夜の長さが一定以下でFT発現???長日植物
3.4.3 温度
●   40℃以上になると、熱ショックタンパク質発現
●
    発現までのプロセス
    ●   熱を感知(どう感知するかは不明)
    ●   細胞質内の熱ショック因子が核へ移動
    ●   熱ショック因子が遺伝子のプロモータ領域に結合
    ●   転写促進
    ●
        熱ショックタンパク質発現
         ↑タンパク質の安定化や構造回復に役立つ
3.4.4 水
●
    乾燥による遺伝子発現
     乾燥
     ↓
     アブシジン酸レベル上昇
     ↓
     転写因子が翻訳される(どのような方法かは不明)
     ↓
     乾燥に対応する遺伝子群が発現
     (どの遺伝子が直接必要かは不明)
3.5 生体防御の分子機構
●
    植物と病気のおさらい
●
    第1段階
    ●   胞子が付着し発芽
●   第2段階
    ●
        菌糸が細胞壁(図だとク
        チクラ層)を破壊し侵入
        ↑このとき、ペクチン分
        解酵素を分泌

植物は次の2つの戦略で
 侵入したカビに対し            ピシャッと効かせる農薬選び便利帳(農文協)
  生体防御を行う             17ページの図(第3段階は割愛しています)
戦略1:自分の細胞壁の分解物を利用
●   ペクチン分解酵素  
    (以下酵素P)で分解
    ↓
●   ペクチン断片形成
    ↓
●
    受容体がペクチン検知
    ↓
●   ファイトアレキシン生成
    ↓
●
    菌糸の生長阻害
戦略2:病原体の細胞壁成分を利用
●
    植物の細胞壁内に菌
    糸の細胞壁を壊す酵素
    Gを分泌しておく
●   菌糸が侵入すると、酵
    素Gの攻撃により菌糸
    細胞壁破壊
●
    菌糸細胞壁断片を契
    機にファイトアレキシン
    生成
●   菌糸の生長抑制
病原菌(カビ)の対抗策:
         ファイトアレキシン生成遅延
●
    菌糸がサプレッサー分
    泌
●   ファイトアレキシン合成
    を3時間遅らせる

●   その他
    ●   感染した細胞とその周
        囲を強制的に死滅させ
        る(サリチル酸合成)

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  • 2. 3.3 植物ホルモンと遺伝子応答 ● 植物ホルモンが遺伝子発現を誘導する 一般的な道筋 植物ホルモンとホルモン受容体(タンパク質)が結合 ↓ 結合体が核内へ移動 ↓ 核内で転写活性化させる(転写因子化) ↓ 遺伝子発現を促進させる
  • 3. 3.3.1 ホルモン結合タンパク質 ● オーキシンの場合 ● 受容体が細胞膜上などにある →細胞内に入らなくても遺伝子発現を促進する ● 仮説 – 細胞膜上で受容体とホルモン結合 →シグナルが核へ     →遺伝子発現 – 細胞膜上で受容体とホルモン結合 →膜のイオン透過性変化     →細胞質内イオン環境変化→核内の遺伝子発現へ
  • 4. 3.3.2 ユビキチンの結合 オーキシンの場合 あるタンパク質Aが転写因子Bの邪魔をする →Aにユビキチンを付ける酵素Xを発現 →XによりAにユビキチンがつく →ユビキチン付着タンパク質破壊機関に運ばれ、 Aが分解される →Bが転写因子として動き出す 実際は高濃度時などはAタンパク質発現遺伝子も促進 (でないとOn-Offできない)
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  • 8. 3.4.2 日長条件 ● 花芽形成ルート(右図) ● 花芽形成にはFTとDが必要 ● FTは日長検知するCOによって発現 ● FT発現にはFLC抑制も必要 ● 結果:遺伝子A,B,Cが必要 ● 長日植物と短日植物 ● CO遺伝子の発現が日長により増減 – 夜の長さが一定以上でFT発現???短日植物 – 夜の長さが一定以下でFT発現???長日植物
  • 9. 3.4.3 温度 ● 40℃以上になると、熱ショックタンパク質発現 ● 発現までのプロセス ● 熱を感知(どう感知するかは不明) ● 細胞質内の熱ショック因子が核へ移動 ● 熱ショック因子が遺伝子のプロモータ領域に結合 ● 転写促進 ● 熱ショックタンパク質発現  ↑タンパク質の安定化や構造回復に役立つ
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