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第52回周产期新生児学会
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Shin Kikuchi
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高槻病院におけるもらい乳の现状调査
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第52回周产期新生児学会
1.
ドナーとレシピエントを限定した 当院NICUのもらい乳の 実施状況と安全性について 高槻病院 総合周産期母子医療センター 新生児小児科 菊池 新
北原 光 南原利彦 郷間 環 田村 誠 今出 礼 武井安津子 片山義規 池上 等 南 宏尚 1
2.
第52回日本周産期?新生児医学会学術集会 利益相反状態の開示 筆頭演者氏名: 菊池 新 所
属: 高槻病院 新生児小児科 私の今回の演題に関連して、開示すべき 利益相反状態はありません。
3.
はじめに ? 母乳育児を推進するNICU/GCUも多い一方で、 年々もらい乳は減少していると報告されており、 母乳銀行の普及が待ち望まれている。 3
4.
目的 ?当院でのもらい乳の現状と安全 性、課題について検討する。 4
5.
もらい乳:レシピエントの適応(高槻病院) ? 以下のうちで、母親自身の母乳が十分な支援を行っても 不足する場合、もらい乳の利点と注意点を医師から 家族に説明し、書面で同意を得た場合にのみ実施する。 1. 極低出生体重児の急性期:胎便栓症候群や壊死性腸 炎予防目的 2.
極低出生体重児の消化管手術後 3. 母乳以外の栄養で腸管原性の感染症(主に腸炎、壊死 性腸炎、敗血症)を繰り返した場合 4. その他主治医が必要と判断した場合 (例:母が抗がん剤投与中、活動性結核罹患中など) ※極低出生体重児は1000g未満の児も含みます。
6.
もらい乳:説明书と同意书
7.
もらい乳:ドナーの適応(高槻病院) 以下の基準を満たす母親で、医師から提供を依頼し、 同意を得られた場合に母乳の無償提供を依頼する。 ① 妊娠中血液検査で梅毒?HBV?HCV?HTLV-1?HIVが すべて陰性であること。 ② 妊娠中血液検査でCMV抗体がlgG/lgMともに陰性(未 実施の場合は産科に検査を依頼する)であること。 ただしレシピエントが在胎≧35週の場合、CMVlgG(+)、lgM(-)でも可。 (ドナーがCMVlgM抗体(+)の場合母乳中のウイルス量が多い) ③
直近3か月以内に輸血歴がないこと。 ④ もらい乳開始時点で喫煙や授乳禁忌となる薬剤を内 服していないこと。
8.
方法 ? 2013年1月1日~2014年12月31日に当院 NICUに入院した新生児 ? そのうちもらい乳を実施した患者10名 ?
在胎週数、出生体重、もらい乳の適応、開始 日齢、終了日齢、実施期間、終了後の栄養方 法、転帰、臨床経過について、電子カルテより 後方視的に調査した 8
9.
実施症例一覧 出生 場所 在胎 出生 体重 入院 日齢 退院 日齢 もらい乳 胆汁 鬱滞性 肝障害 敗血症 終了 後の 栄養 転帰開始 日齢 終了 日齢 終了 週数 期間 院 内 24-0 622
0 161 2 49 31 48 × × 人工生存 24-0 704 0 195 2 63 33 62 ○ × 人工生存 24-3 626 0 44 2 42 30 41 × ○ 人工死亡 25-1 464 0 - 3 3 25 1 × × 母乳生存 24-2 728 0 156 4 26 28 23 × × 人工生存 22-4 494 0 189 10 46 29 37 × × 人工生存 23-1 534 0 187 25 61 31 37 × × 人工生存 院 外 29-1 618 21 - 31 105 44 75 × × 人工生存 25-0 630 8 187 34 53 32 20 ○ × 人工生存 24-0 692 15 169 45 69 33 25 × × 人工生存
10.
もらい乳開始から終了まで 48日間 62日間 41日間 1日間 23日間 37日間 37日間 小腸閉鎖 75日間 消化管穿孔 20日間 壊死性腸炎
25日間 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 ??? 44週 10 出生 実施期間
11.
在胎週数ともらい乳の適応 在胎週数 もらい乳の適応 10% 10% 50% 20% 10% 22週 23週
24週 25週 29週 50% 30% 10% 10% 母乳分泌不全のみ 消化管疾患合併 母CMVキャリア 母抗癌剤使用中 全例が超低出生体重児 消化管疾患合併3例のみが院外出生
12.
実施期間と終了時修正週数 実施期間 終了時修正週数 10% 30% 40% 20% 1週間未満 1か月未満 2か月未満
2か月以上 20% 60% 10% 10% 25-28週 29-32週 33-36週 37週以降
13.
まとめ ? 2013~2015年の3年間に10例でもらい乳を実施した。 ? 全例が超低出生体重児で、その多くを在胎22~25週児 が占めていた。 ?
もらい乳の適応は消化器疾患の予防またはその術後が 多く、それ以外に授乳禁忌の薬剤使用例も1例あった。 ? 実施期間は最短1日、最長で75日間であった。 ? 経過中に胆汁鬱滞性肝障害が2例、敗血症が1例あった が、いずれももらい乳との因果関係は不明であった。 ? もらい乳終了後は母の母乳が充足した1例を除く全例で 人工乳に変更され、変更後特に問題なく経過した。 13
14.
課題 1. ドナー確保 近年の報告でCMV未感染の妊婦は全体の30%のみであり、 必要なときにすぐもらい乳が実施できるよう、日ごろからドナー 候補の母親を見つけ、予め提供依頼するなど、ドナー確保上の 課題がある。また母乳銀行のシステム構築が待ち望まれる。 2. もらい乳実施症例に対するCMV検査の必要性 退院前にCMV抗体価を確認したのは10例中2例のみで、 不顕性感染を含めて、もらい乳によりCMV感染がなかったか 確認検査を実施する必要がある。 (輸血例は最終輸血から3か月以内に感染症検査を実施) 14
15.
結論 ? もらい乳はドナーになる母親を限定して 実施することでより安全性が高まるが、 特に早産児の実施例には輸血と同様に CMV等の感染症検査を行い、安全性の 確認が必要である。 15