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“パソコンが使えない大学生”の実態に迫る ―立命館大学6学部の横断調査に基づいて―
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Syuhei KIMURA
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2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC 発表スライド(6/Aug/2017)
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“パソコンが使えない大学生”の実態に迫る ―立命館大学6学部の横断調査に基づいて―
1.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) “パソコンが使えない大学生”の実態に迫る ―立命館大学 5
6 学部の横断調査に基づいて― 木村修平 立命館大学生命科学部生命情報学科 准教授 kimuras@fc.ritsumei.ac.jp Twitter: @syuhei 近藤雪絵 立命館大学薬学部薬学科 講師 kondoyu@fc.ritsumei.ac.jp
2.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) アウトライン 1. 調査の背景 2.
「パソコンが使えない大学生」問題の背景 3. 調査の概要 4. 主な調査項目 5. 調査結果(抄) 6. 結果の考察 7. これまでの成果と今後の展望 8. 参考文献 9. 謝辞 2
3.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 調査の背景 ? BYODが事実上の前提となった英語授業「プロジェクト 発信型英語プログラム」=
Project-based English Program, PEP。詳しくは pep-rg.jp で公開中。 ? 2015年度より、木村を中心に学生の情報端末の利用実態 調査を複数学部にわたり実施(2016PCCで発表(1)) 3 総合心理学部 2008年 2010年 2016年 生命科学?薬学部 スポーツ健康科学部
4.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 調査の背景 ? 複数のPEP教員の実感:ここ数年、学生のパソコン活用 スキルが落ちてきているのではないか? ?
タッチタイピングのできない新入生が多い印象 ? データの作成や受け渡しに手間取る学生が増えている印象 ? 授業にパソコンを持ち込んでいるのにスマホを使う学生が増えて いる印象 ? 「パソコンが使えない大学生」問題を取り上げる報道が 増えている? ? スマホをメイン端末とする世代の立命館大学生が情報端 末をどのように活用しているのか、その実態を探るため 2015年度調査よりも対象学部を増やして横断的な実態調 査を実施してみよう! 4
5.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 「パソコンが使えない大学生」問題の背景 ? 2000?2007年:ケータイ大国ニッポンの黄金期 ?
フィーチャーフォン(いわゆるガラケー)市場が拡大し、成熟する。 ? ガラケーは使えるがパソコンは使えない若年層が「デジタルプア」(2)「親 指族」「高齢世代かと見紛うような退化」(3)とネガティブに称される。 ? 余談:2001年ミシガン州立大学で新入生のノートパソコン購入が義務化。 ? 2008年?2017年:スマホ移行期 ? 2008年7月、日本でiPhone 3Gがソフトバンクより発売される。 ? 現在の学部生=高校生時代は2010年?2014年ごろ。 ? 2010年:iPhone 4発売 ? 2011年:iPhone 4s発売(auも発売) ? 2012年:iPhone 5発売 ? 2013年:iPhone 5s/5c発売(ドコモも発売) ? 2014年:iPhone 6/6 Plus発売 ? 2015年:iPhone 6s/6s Plus発売 ? 2016年:iPhone SE/7/7 Plus発売 5
6.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 「パソコンが使えない大学生」問題の背景 ? PISA(Programme
for International Student Assessment)の2009年 調査(4):15歳生徒に対して自分自身のパソコンスキルの自己評定を求 める設問において日本は45カ国中最下位。 ? 2013年の内閣府による調査(5):7カ国の満13歳から満29歳までの男女 が所有するデジタル端末について、日本はノートパソコンでは6位、 デスクトップパソコンでは最下位。 ? 2013年の総務省による調査(6):情報端末の平均利用時間の比較にお いて、10代の携帯電話の平均利用時間が最大で約6倍の大差でパソコ ンを上回った。 ? 2016年の国立青少年教育振興機構の調査(7):日本の高校生が米中韓 と比べて「パソコンの利用、プログラミング、インターネットを利 用して勉強することなど情報通信技術の活用が少ない」という指摘。 ? 2017年のNECによる調査(8):「大学生のほとんど全員が、PCスキル を必要だと思っている。しかし、全体の7割の学生がPCスキルに自信 がない」という報告。 6
7.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 調査の概要 ? 実施時期:
2016年12月13日?2017年1月23日 ? 調査方法:学内LMS(manaba+R)の掲示板を通じて回 答フォームを学生に通知。回答は任意とした。 ? 主な調査対象:6学部の学部生 ? 設問数:42 ? 有効回答数:568 ? 調査結果の詳細は itwp.pep-rg.jp で公開中。 7 学部 回答者数(%) 生命科学部 191(33.6) 薬学部 61(10.7) スポーツ健康科学部 231(40.7) 総合心理学部 72(12.7) 法学部 3( 0.5) 文学部 10( 1.8) 学年別回答者数(%) 1 回生 335(59.0) 2 回生 217(38.2) 3 回生 12( 2.1) 4 回生 3( 0.5) 5 回生以上または大学院生 1( 0.2) 男女別回答者数(%) 男子:326(57.4) 女子:242(42.6) 表 1 アンケート調査の回答者内訳 本調査は立命館大学社会システム 研究所の助成を得て行われました。
8.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 主な調査項目 ? 所有する情報端末の種類 ?
大学に持ち込む情報端末の種類 ? 授業で使用する情報端末の種類 ? 情報端末を使用する授業の種類 ? 学内Wi-Fiの使用頻度と満足度 ? 情報端末での文字入力メソッド ? 家族や友人との連絡手段 ? スケジュールの管理方法とデータの保存方法 ? ICT活用レベルの自己評価 8
9.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 調査結果(抄) 9 端末の種類 回答者数(%) スマートフォン
557(98.1) ノートパソコン 474(83.5) デジタル音楽プレイヤー 235(41.4) 携帯ゲーム機 180(31.7) タブレット 79(13.9) 電子書籍専用リーダー 29( 5.1) フィーチャーフォン 9( 1.8) いずれも所有せず 0( 0.0) 表 2 所有する情報端末の種類
10.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 10 表
4 授業で使用する情報端末の種類 端末の種類 回答者数(%) ノートパソコン 503(88.6) スマートフォン 471(82.9) タブレット 22( 3.9) デジタル音楽プレイヤー 9( 1.6) 電子書籍専用リーダー 9( 1.6) 携帯ゲーム機 6( 1.1) フィーチャーフォン 3( 0.5) いずれも使用せず 8( 1.4) 表 3 大学に持ち込む情報端末の種類 端末の種類 回答者数(%) スマートフォン 555(97.7) ノートパソコン 493(86.8) デジタル音楽プレイヤー 130(22.9) タブレット 33( 5.8) 携帯ゲーム機 14( 2.5) 電子書籍専用リーダー 13( 2.3) フィーチャーフォン 7( 1.2) いずれも持ち込まず 2( 0.4)
11.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 11 表
6 学内Wi-Fi利用エリアの満足度(択一式) 頻度 回答者数(%) とても満足している 21( 3.8) 満足している 81(14.5) やや不満である 260(46.4) 不満である 198(35.4) 表 7 学内Wi-Fi接続速度の満足度(択一式) 頻度 回答者数(%) とても満足している 28( 5.0) 満足している 128(22.8) やや不満である 212(37.8) 不満である 193(34.4) 表 5 学内Wi-Fiに接続する頻度(択一式) 頻度 回答者数(%) 大学に来るとほぼ必ず接続する 352(62.9) 2 日に 1 回程度 107(19.1) 3?4 日に 1 回程度 61(10.9) ほとんど接続しない 40( 7.1)
12.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 12 表
8 パソコンのタッチタイピング習熟度(択一式) (詳細は長澤直子氏の2017PCカンファレンス論文を参照) 習熟レベル 回答者数(%) ほとんどキーを見ずに入力できる 82(14.4) たまにキーを見ながら入力できる 220(38.7) 頻繁にキーを見ながら入力する 202(35.6) ほぼずっとキーを見ながら入力する 64(11.3) 連絡手段 回答者数(%) LINE 555(98.1) Twitter 291(51.4) Facebook メッセンジャー 50( 8.8) メール 41( 7.2) SnapChat 20( 3.5) 表 9 親しい友人との文字を用いた連絡手段 連絡手段 回答者数(%) LINE 492(87.2) メール 145(25.7) その他の SNS 32( 5.7) Twitter 17( 3.0) Facebook メッセンジャー 9( 1.6) 表 10 家族との文字を用いた連絡手段
13.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 13 表
11 スケジュール管理の主たるメディア メディア 回答者数(%) 紙のスケジュール帳 415(73.1) スマホやパソコンのソフトやアプリ 236(41.5) 紙のカレンダー 64(11.3) 特に管理していない 47( 8.3) 家族や秘書など他者に任せている 3( 0.5) メディア 回答者数(%) 入力端末のみ(ローカルのみ) 245(70.0) クラウド型カレンダー 48(13.7) 質問の意味がわからない 57(16.3) 表 12 スケジュール電子データの管理方法(択一式) ※前問「スマホやパソコンのソフトやアプリ」選択者のみが対象だが 質問の意味が理解されていない疑いが強い。
14.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 14 表
13 学業的なICTリテラシーの自己評価(択一 式) 表 14 非学業的なICTリテラシーの自己評価(択一式) 自己評価 回答者数(%) 十分に活用できている 97(17.1) 問題のないレベルで活用できている 304(53.5) あまり活用できていない 123(21.7) まったく活用できていない 44( 7.7) 自己評価 回答者数(%) 十分に活用できている 116(20.4) 問題のないレベルで活用できている 294(51.8) あまり活用できていない 113(19.9) まったく活用できていない 45(7.9)
15.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 結果の考察 ? 2015年度調査との比較 ?
スマホの勢い衰えず。 ? 所有端末:95% → 98.1% ? 大学持ち込み端末:96% → 97.7% ? ノートパソコンも増加。総合心理学部の影響か? ? 所有端末:78% → 86.8% ? 大学持ち込み端末:64% → 82.9% ? タッチタイピングの習熟度はあまり変わらず? ? できる:49% → 53.1% ? できない:50% → 46.9% ? 詳しくは本調査グループのメンバーである長澤直子氏のPCカン ファレンス2017での発表「大学生のスマートフォンとPCでの文字 入力方法」に譲る。(?2017PCC学生論文賞受賞!) 15
16.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 結果の考察 ? スケジュール管理の主たるメディアでは、紙の手帳 (73.1%)がスマホ(41.5%)を上回る。 ?
スケジュール電子データの管理ではローカル(70%)が クラウド(13.7%)を上回る。 ? にも関わらずICTリテラシーの自己評価は2015年度に引 き続き高い水準を示す。 ? 肯定的自己評価(学業面):72% → 70.6% ? 肯定的自己評価(非学業面) :75% → 72.2% ? このアンビバレンツな結果をどう解釈すればいいのか? 16 (C)Magica Quartet/Aniplex?Madoka Partners?MBS That just doesn’t make sense to me.
17.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 結果の考察 ? カレンダーに代表されるクラウドサービスを所有端末 (スマホ、パソコン)で連携する方法を単純に知らない だけではという疑念。 ?
そもそも立命館大学の学年暦が再利用性の低いデータ形 式で提供されている実態。 ? 立命館大学 学年暦 ? 有志の手で共有Googleカレンダーが作成されている ? スケジュール管理しようと授業中にスマホを取り出すと先生に怒 られるので使ってないという学生の声も…。 ? スマホ=特定のアプリの利用端末になっている可能性。 ? LINE, Twitter, Instagram, ゲーム… 17
18.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 結果の考察 ? 「パソコンが使えない大学生」問題とは「パソコンを適 切に使わせる環境を整備できない大人」問題かも? 18 参考:データとして役立たない「神エクセル」問題に解決の兆し
河野太郎议员が文科省へ全廃を指示(ねとらぼ)
19.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 他にも思い当たる節がいろいろと 19 参考:内閣府の「国民の祝日」のCSVがひどい。(Twitterモーメント: 2017年2月)
20.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 悲しくなったツイート 20
21.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 21 自分のつらが曲がっているに、鏡を責めて何になろ ニコライ?ゴーゴリ『検察官』より
22.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) これまでの成果と今後の展望 ? 2015年度、2016年度の調査結果を公表する。 →
「立命館大学 学びとICT活用白書」としてwebで公開 ? 本調査の対象をさらに全学規模に拡大し、より詳細な実 態把握を行う。 ? おかげさまで2017年度も継続調査を助成していただけることにな りました!? ? 2017年度は特に、具体的なサービスやアプリの利用実態を把握す るべく設問項目を改善する。 ? 調査結果を学内のしかるべき部署に提出し、学内の情報環境の改 善に役立てる。 22
23.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 参考文献 ? (1)
木村修平?近藤雪絵:“学生が大学に持ち込む携帯情報端末と学内電子リソースの活用に関する 実態調査”,PC Conference論文集(2016),pp. 177-180(2016). ? (2) 有吉由香:“デジタルプアの見えない壁 携帯オンリーが陥る下流スパイラル”,週刊アエラ, 2007年5月28日号,pp. 14-17(2007). ? (3) 阿部重夫:“パソコン見放す20代「下流」携帯族”,FACTA ONLINE,2007年3月号,ファクタ出 版株式会社(2007).https://facta.co.jp/article/200703060.html ? (4) OECD:“Students On Line: Digital Technologies and Performance”,PISA 2009 key findings, Vol. VI,OECD Publishing,pp. 171(2011). ? (5) 内閣府政策統括官(共生社会政策担当):“第4部 資料編”,平成25年度 我が国と諸外国の若者 の意識に関する調査,内閣府,pp. 181(2014). http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/thinking/h25/pdf/b4_1.pdf ? (6) 総務省情報通信政策研究所:“2 主な機器の利用時間と利用割合”,平成25年情報通信メディアの 利用時間と情報行動に関する調査報告書,総務省,pp. 35-52(2015). ? (7) 独立行政法人国立青少年教育振興機構:“高校生の勉強と生活に関する意識調査報告書-日本?米 国?中国?韓国の比較-”,国立青少年教育振興機構(2017). http://www.niye.go.jp/kenkyu_houkoku/contents/detail/i/114/ ? (8) NECパーソナルコンピュータ株式会社:大学生(1年生~3年生)?就職活動経験者(大学4年 生)、人事採用担当者を対象とするPCに関するアンケート調査.(2017).http://nec- lavie.jp/common/release/ja/1702/0704.html 23
24.
2017PCカンファレンス@慶應義塾大学SFC (6/Aug/17) 謝辞 ? 祐伯敦史先生(スポーツ健康科学部) ?
大石衡聴先生(総合心理学部) ? 田原憲和先生(法学部) ? 山中司先生(生命科学部) ? 山下美朋先生(生命科学部) ? 今回の調査は、立命館大学社会システム研究所の2016年 度社会システム研究プロジェクトの助成により行われま した(採択名:立命館大学生の携帯情報端末の活用に関 する実態調査)。 24
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