16. 事例1:イギリス
? 取り組みの概要
‐ 1998年まで、イギリスでは、ばら売りの錠剤とブリスター包装の
錠剤とが販売されていた
‐ ばら売りを禁止し、ブリスター包装で販売するよう、
法整備が行われた
‐ 1996から1999年までの期間中に、過量服薬による死亡数が減少
自殺方法へのアクセスを難しくすることは自殺予防になる
● Hawton, K., Townsend, E., Deeks, J., Appleby, L., Gunnell, D., Bennewith, O., & Cooper, J. (2001). Effects of
legislation restricting pack sizes of paracetamol and salicylate on self poisoning in the United Kingdom: before
and after study. BMJ, 322(7296), 1203.
17. 事例1|イギリス
? 取り組みの概要
‐ 1998年まで、イギリスでは、ばら売りの錠剤とブリスター包装の
錠剤とが販売されていた
‐ ばら売りを禁止し、ブリスター包装で販売するよう、
法整備が行われた
‐ 1996から1999年までの期間中に、過量服薬による死亡数が減少
自殺方法へのアクセスを難しくすることは自殺予防になる
● Hawton, K., Townsend, E., Deeks, J., Appleby, L., Gunnell, D., Bennewith, O., & Cooper, J. (2001). Effects of
legislation restricting pack sizes of paracetamol and salicylate on self poisoning in the United Kingdom: before
and after study. BMJ, 322, 1203.
18. 事例2|スリランカ
? 取り組みの概要
‐ 1995年および1998年に服毒自殺によく用いられていた農薬の輸入、
販売に関する制限が実施された
‐ 1995~2005年までに自殺率は半減した
‐ 低所得国の農村部での自殺は農薬によるものが多い
‐ 日本でも昭和30年代はパラコートという除草剤の服毒自殺が最も
ポピュラーだった(今は違うが)
→ 日本では、毒性低減等の工夫により自殺率↓
自殺方法へのアクセスを難しくすることは自殺予防になる
● Gunnell, D., Fernando, R., Hewagama, M., Priyangika, W. D. D., Konradsen, F., & Eddleston, M. (2007). The
impact of pesticide regulations on suicide in Sri Lanka. International Journal of Epidemiology, 36, 1235-1242.
19. 事例3|香港?日本
? 取り組みの概要
‐ 2002年までは香港のMTRの駅のホームには線路への人身落下を防ぐ
仕切りがなかった
‐ 設置後MTRの駅での地下鉄自殺は38件(1997~2001年)から
7件(2003~2007年)へと81.6%減少
‐ ホームドアの効果については、日本においても検討されており、
やはり効果があるとの報告あり(Ueda et al., 2015)
自殺方法へのアクセスを難しくすることは自殺予防になる
● Law, C. K., Yip, P. S., Chan, W. S., Fu, K. W., Wong, P. W., & Law, Y. W. (2009). Evaluating the effectiveness of
barrier installation for preventing railway suicides in Hong Kong. Journal of Affective Disorders, 114, 254-262.
● Ueda, M., Sawada, Y., & Matsubayashi, T. (2015). The effectiveness of installing physical barriers for preventing
railway suicides and accidents: evidence from Japan. Journal of Affective Disorders, 178, 1-4.
20. 事例4|香港
? 取り組みの概要
‐ 食料雑貨品店の商品棚から木炭を取り除き、木炭購入時に客が店員に
声を掛けることが義務化された
‐ 木炭燃焼自殺による死亡が対照地域に比べ統計的に有意に減少し
(66%減少)、他の手段への代替効果も認められなかった
‐ 販売方法の変更による購入コストの増加が、自殺方法へのアクセス
可能性を低減させ、自殺率を減少させた
自殺方法へのアクセスを難しくすることは自殺予防になる
● Yip, P. S., Law, C. K., Fu, K. W., Law, Y. W., Wong, P. W., & Xu, Y. (2010). Restricting the means of suicide by
charcoal burning. British Journal of Psychiatry, 196, 241-242.
21. 事例5|アメリカ
? 取り組みの概要
‐ Brady Handgun Violence Prevention Act(ブレイディ法)の実施に
よる変化を検討した(1994年2月施行)
‐ 法律により、銃の購入希望者に待機期間(5日間)の設定と身元調査
が義務化
‐ 結果、法による介入を受けた州とそうでない州(対照)との間で、
殺人率および自殺率の変化量に有意差は認められなかった
自殺方法へのアクセスを難しくすることは自殺予防になる?
● Ludwig, J., & Cook, P. J. (2000). Homicide and suicide rates associated with implementation of the Brady Handgun
Violence Prevention Act. JAMA, 284, 585-591.
22. 事例6|オーストリア
? 取り組みの概要
‐ 新聞報道の過熱化で、オーストリアでは地下鉄への飛び込み自殺が
流行した
‐ メディア向けの報道ガイドラインの制定した
‐ 結果、ウィーンの自殺率(地下鉄自殺?総自殺)が低下した
(地下鉄による自殺および自殺未遂の件数が80%以上減少)
‐ 詳細は、メディアの回にやります
自殺方法への認知的アクセスを難しくすることは
自殺予防になる
● Etzersdorfer, E., & Sonneck, G. (1998). Preventing suicide by influencing mass-media reporting. The Viennese
experience 1980–1996. Archives of Suicide Research, 4, 67-74.
24. 事例7|スウェーデン
? 取り組みの概要
‐ ゴットランド?プログラムとして有名 c.f. 魔女の宅急便
‐ 一般開業医向けに、うつ病や自殺念慮の治療に関する教育プログラム
を実施
‐ その結果、うつ病および自殺念慮の発生率および自殺率が有意に低下
‐ ゲートキーパー教育の効果を明らかにしたものは、本件を含めて
準実験が二件、その他、いくつかのコホート研究あり
ゲートキーパー教育は自殺を予防する
● Rutz, W., Knorring, L. V., & W?linder, J. (1992). Long-term effects of an educational program for general
practitioners given by the Swedish Committee for the Prevention and Treatment of Depression. Acta Psychiatrica
Scandinavica, 85, 83–88.
● Knox, K. L., Litts, D. A., Talcott, G. W., Feig, J. C., & Caine, E. D. (2003). Risk of suicide and related adverse
outcomes after exposure to a suicide prevention programme in the US Air Force: cohort study. BMJ, 327, 1376–1380.