颜面神経麻痺の検査と贰狈辞骋の基础
- 1. E N o G
颜面神経麻痺の検査と贰狈辞骋の基础
JR東京総合病院 耳鼻咽喉科 鴨頭 輝
2022-07-26
E l e c t r o n e u r o g r a p h y
- 5. 01 顔面神経麻痺の障害部位や予後の推定のための検査
麻痺スコア
? 柳原法(40点法)
? House-Brackmann法
? Sunnybrook法
電気生理学的検査
? Electroneurography (ENoG)
? 神経興奮検査 (Nerve excitability test: NET)
? 最大興奮性検査 (Maximal stimulation test: MST)
? 瞬目反射 (Blink Reflex)
電気味覚検査
アブミ骨筋反射 (Stapedial reflex: SR)
- 8. 01 麻痺スコア - 柳原法 -
耳喉頭頸 82(5) :137-143, 2010
? 1976年柳原 et al.
? 10項目を評価し、40点満点中20点以上を伝導ブロック(軽症)、18~12点を部分脱神経(中等
症)、10点以下を完全脱神経(重症) (点数の重症度分類にはいくつかある)
? 自動判定のための携帯アプリの開発に関する報告がある
- 9. 01 麻痺スコア - House-Brackmann法 -
? 1983年House et al.
? 病的共同運動,拘縮や痙攣などの麻痺後遺症も考慮した 6 段階のgross system
耳喉頭頸 82(5) :137-143, 2010
- 10. 01 麻痺スコア - Sunnybrook法 -
? 1996年Ross et al.
? 随意運動の回復、安静時非対称性、病的共同運動(随意運動時の顔面非対称性)の 3 つの要素から構成されており、
随意運動の回復点から安静時非対称点と病的共同運動点を引き算した複合点を求める
耳喉頭頸 82(5) :137-143, 2010
- 12. 01 神経障害の重傷度
Stewart CE, J Biol Eng (2020)
伝導ブロック
Waller変性
Bell麻痺、Huntでは
起きない
Sunderland分類
(Grade)
Seddon分類
Neurapraxia 神経無動作
Axonotmesis 軸索断裂
Neurotmesis 神経断裂
? Grade IIでは神経は完全に再生するが
Grade IIIでは過誤支配やエファプス形成が
起こり、病的共同運動、拘縮などの後遺症
を生じる。
? Grade IIとGrade IIIの鑑別が重要であるが、
正確に予測する方法はない。
- 17. 02 ENoG -記録電極- (瞬目反射等も含め)
通常の誘発筋電図検査では関電極(-) 筋腹、基準電極(+) 腱とするが、
眼輪筋?口輪筋にはっきりとわかる腱は存在せず、筋に近い方を関電極(-)とする。
電極の装着位置は施設によって若干異なる。
- 18. 02 ENoG -記録電極- (正中法)
左右別の電極の代わりに正中に置く方法があり、従来法と比較して優位性があるとする報告が複数ある。
ANL 48 (2021); 566
正中法
標準的
な方法
- 19. 02 ENoG -計測条件-
? 刺激持続時間 0.2ms
? 出力限度を設定
? 本施設では50mAを使用している
? 周波数 20-1.5kHz
? 感度 200?V
- 20. 02 ENoG -刺激電流について-
Supramaximal stimulation 最大上刺激
? 筆者の所属する大学の顔面神経外来での採用値
? もともと山形大学 戸島均先生が立ち上げられた
検査セットに基づくとのこと
ANL 48 (2021); 568
何度も行うと痛いので、
ほぼ飽和していると考えられる値で
数回程度のみ行うことが多い
施設により異なる値が使われている
確定した電流量ではない
本施設での採用値:50mA
正中法
通常の方法
- 21. 02 ENoG -刺激電流について-
完全な100%刺激はできないことを念頭に置く
? 正中法では健側35mA以上、麻痺側30mA以上であれば有意な上昇はない
? 通常の方法では健側35mA以上、麻痺側25mA以上であれば有意な上昇はない
(Ayani 2021)
強すぎる刺激では、三叉神経の刺激による
咬筋の活動が見られることがあることに注意する
? 21mAを超えると咬筋の活動が見られると報告されている (Coker 1990)
正中法では通常の方法に比べて低い刺激電流でも良いとされている
- 24. 02 複合筋活動電位 –CMAP (compound muscle action potential)-
複数の神経活動の総和としての波形
耳喉頭頸 82(5) :149-154, 2010
- 25. 02 ENoG 計測例
? ENoG値は、患側振幅 / 健側振幅 X 100 (%) を計算
? 計測条件によって陰性波?陽性波が逆になることがある
左 1.29 mVpp
右 2.50 mVpp
ENoG 51.9 %
左 4.26 mVpp
右 1.59 mVpp
ENoG 37.4 %
症例1 症例2
- 26. 02 ENoG 計測例
? 障害が強い場合は、患側の反応の判読が困難なことがある。
? 基本的には患側の潜時は健側より遅い。
顔面神経 - ENoG
左 Postauricular
50.0mA
1.1
200?V 2ms
顔面神経 - ENoG
右 Postauricular
50.0mA
2.2
500?V 5ms
左 0.2 mVpp
右 2.5 mVpp
ENoG 6.1 %
L R
症例3
- 27. 02 ENoG 計測例
? 障害が強い症例等で、初期陽性波が混入し判読が困難なことがある。
? 電極位置をずらしたりして改善を試みるが、難しい場合は参考値として判読することもある。
左 0.03 mVpp
右 0.61 mVpp
ENoG 4.2 %
R
顔面神経 - ENoG
左 Postauricular
50.0mA
1.1
右 Postauricular
5ms 50.0mA
2.2
200?V 2ms
症例4
- 31. 02 NET 計測方法 基準値例
NED (nerve excitability difference) = (患側電流量)-(健側電流量)
報告者 刺激 正常値
(ms) (mA) 完治 部分変性 完全変性
Campbellら 2 3-8 <2 ≦2 NR
Leclaireら 1 0.9-11.0 <2 ≦2
Laumansら 0.3 2.4-16.2 <3.5 3.5≦, ≦20 20<
羽藤ら 0.1 <3.5 grade1: 3.5≦, ≦10
1 grade2: ≦10
NR: no response
grade 2は0.1ms, 10mA刺激で無反応
NED (nerve excitability difference) (mA)
(JOHNS 2000 16(3) 335)
? NEDは3.5mAを変性の判断閾値とすることが多い
? スケールアウトは20mAとすることが多い
- 32. 02 瞬目反射
? ENoGと同様の条件
? 周波数 20-1.5kHz
? 感度 200?V
? 刺激持続時間 0.2ms
? 出力限度を設定
? 本施設では18mAを使用している
? 閾値は3-4mA、記録には閾値の3-4倍(9-12mA)が
良いとされている(顔面神経麻痺診療の手引)
- 33. 02 瞬目反射
? 眼窩上切痕付近を刺激
? 陰極は眼窩上切痕に、陽極はでき
るだけ外側におき、
反対側への刺激アーチファクトが
小さくなるようにする
耳鼻臨床 95(10) 985
? 眼輪筋?口輪筋の両方を同時計測する
- 34. 02 瞬目反射
病的共同運動がある場合、口輪筋に迷入再生電位が見られる。
左 眼輪筋
左 口輪筋
右 眼輪筋
右 口輪筋
R2
R1
R2
右 眼窩上神経 - Nasalis, Orb Oculi, Orb Oris
Lt.Oculi
25.0mA
1.1
Lt.Oris
25.0mA
1.2
Rt.Oculi
25.0mA
1.3
Rt.Oris
25.0mA
1.4
200?V 10ms
R1 R2
R2
左 眼窩上神経 - Nasalis, Orb Oculi, Orb Oris
Lt.Oculi
25.0mA
1.1
Lt.Oris
25.0mA
1.2
Rt.Oculi
25.0mA
1.3
Rt.Oris
25.0mA
1.4
100?V 10ms
- 37. 02 表面筋電図
左 眼輪筋
左 口輪筋
右 眼輪筋
右 口輪筋
左 眼輪筋
左 口輪筋
右 眼輪筋
右 口輪筋
顔面神経 - (2 Ch L+R) Nasalis, Orb Oculi
Lt-Ocri
2.63mA
1.1
Lt-Oris
2.63mA
1.2
Rt-Ocri
2.63mA
1.3
Rt-Oric
2.63mA
1.4
2.63mA
2.1
2.63mA
2.2
2.63mA
2.3
2.63mA
2.4
500?V 1s
麻痺側
麻痺側
慢性期では病的共同運動の
有無を確認する
- 40. 保険の算定について
ENoG
D239 2 誘発筋電図 200点+1神経追加につき150点加算
瞬目反射
D239 2 誘発筋電図 200点+1神経追加につき150点加算
表面筋電図
D239 1 筋電図検査 300点
一連の検査に対し
D241 神経?筋検査判断料 180点
02
NET
D239-2 電流知覚閾値測定 200点