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購買意欲促進のための
複数指標からの
種類間比較に基づく衣服の推薦
Recommendation for Cloth Sales Promotion ?
with Comparison of Multiple Features over Categories

◎吉田?拓也??近藤 司§ 原田 史子??島川 博光?	

??

!

?立命館大学大学院?情報理工学研究科	

§ヤフー株式会社	

?立命館大学?情報理工学部
1
研究背景
衣服の購入
Webサイト !
時間と場所を選ばず
気軽に衣服を購入できる

近年,Webサイトを利用
した衣服購入が増加

一方で
Webサイト上では膨大な量の衣服が販売されている
消費者が購入したい衣服を探すのは困難
流行や季節を考慮した衣服を全ての消費者に一様に提示

Webサイトで衣服を販売している企業
個々の消費者が購入したいと思う衣服の推薦
消費者の購入を支援し,購買意欲をより促進させる
2
消費者の購入につながる衣服の条件
1. 消費者の嗜好に合致する!
?消費者は複数の観点から,自分の嗜好に合う衣服を購入する
2. 消費者が所持している衣服にはない指標群を持つ!
?所持衣服のコーディネートの種類を増やすことを考える!
!
?所持衣服にはない指標群を持つ衣服が必要

研究目的
条件1,2の双方を満たした衣服 = 購買候補衣服
を消費者に推薦

購買候補衣服を推薦することで,消費者の購入を支援し,購買意欲を向上させる
3
提案手法
購買候補衣服を推薦するために消費者の所持衣服から指標群を抽出する

消費者の所持衣服
ボタンダウン

パーカー

Tシャツ

① 所持衣服で共通の指標群を持つ衣服

{無地,紫} {無地,青}
{縞,白,赤} {縞,白,黒}

③ 購買候補衣服
パーカー

{縞,白,青} {無地,白}

{無地,黒}

{縞,白,赤}

{縞,白,黒}

{縞,白,青} {無地,白} {無地,黒}

② パーカーではまだ持っていない
指標群を持つ衣服の指標群=購買候補指標群
4
手法の全体像

消費者
①所持衣服の指標群を入力

システム
③購買候補衣服の推薦

②購買候補指標群を取得
パーカー

パーカー?{縞,白,青}

嗜好の類似

{縞,白,赤} {縞,白,黒}

Tシャツ

{縞,白,赤} {縞,白,黒}

{縞,白,青}
購買候補指標群

5
購買候補衣服の推薦に使用する指標
消費者の衣服に対する嗜好 !
!

??消費者は衣服の良し悪しを決めるとき,一つの観点だけではなく
??いろいろな面から決める

Tシャツやポロシャツは
白か黒のボーダーが好き

赤い服なら
どんな服でもいい

ボーダーなら
どんな服でもいい

パーカーは
無地の暖色系

ボタンダウンは
紺のストライプ

したがって、!
?消費者の衣服に対する嗜好を複数の指標を使って取得する

6
購買候補衣服の推薦に使用する指標(1/2)
衣服種類+色,柄の2つの指標を使用!
1. 衣服種類(上着のアイテムの名称)
????Tシャツ?カットソー,ポロシャツ,ボタンダウン,
????ニット?セーター,パーカー,カーディガン,スウェット,
????タンクトップ,チューブトップ,キャミソール,
????ベスト,シャツ?ブラウス,ワンピース,チュニック
!

2. 衣服の柄
無地,ボーダー,ストライプ,チェック,花柄
ドット,ワンポイント,プリント(アニマル/ロゴ/キャラクタ)!
!

??!
7
購買候補衣服の推薦に使用する指標(2/2)

?3. 衣服の色

???ベース色:衣服のメインとなる色!

?????占める割合が1番多い色!

???アクセント色:衣服のアクセントカラーとなる色!

?????衣服を占める割合が2番目に多い色!

?????衣服の柄が無地などで1色の場合,アクセント色は「なし」と?

?????して扱う

8
BCI(Cx ) = Is  Ix
節の図 1 の例のように,T シャツに対する購
節の図 1 の例のように,T シャツに対する購買候補衣服
て、種類が Cy2である所持衣服の指標値の集合を Iy とする。 T シャ
,ある衣服種類の購買候補衣服を推薦するために,ある衣服種類と嗜好が似ている
· |Ix Iy
の特徴を抽出するには,
提案手法の詳細|
の特徴を抽出するには,T シャツと嗜好が近く, T シャツと嗜好が近
S(Cx , Cy ) =
(3.1)
ツには存在しない指標値を持っている衣服の
ただし I) は,次式で定義される衣服種類 …,に対する所持衣服の指標値の集合で
|Ix | ??で定義する. {C , C , Cs C } とする.例えば
似度 S(Cx , Cyツには存在しない指標値を持っている衣服の種類を発見C = {C1 , C2
s を式+ |Iy |
を抽出する.衣服種類の集合を C :=
1
2
n
消費者の所持衣服の種類の比較によって購買候補指標群を抽出する
する必要がある.つまり,任意の衣服の種類
する必要がある.つまり,任意の衣服の種類に対して購
買候補衣服の特徴を抽出するには,任意の衣
x パーカ に従って抽出する.
{) を式 3.2 ”“ T シャツIy | ,…, ジャケット ” となる. , C )???(3)
“ S(C , C )買候補衣服の特徴を抽出するには,任意の衣服の種類と
, = 2 · |Ix ” “
}
(3.1)
???(1) Cs = argmaxCy ∈C S(Cx y
x
y
|Ix | + |Iy |
の嗜好の類似度だけでなく,非類似度も評価
の嗜好の類似度だけでなく,非類似度も評価する必要が
ある.
ある. (∈ C) に対して,購買候補特徴を抽出することを考える.消
で,ある衣服種類s CxIx???(2)
BCI(Cx )に従って抽出する.
=I 
(3.2)
(Cx ) を式 3.2x ) の要素である各指標値を、 x に対する購買候補特徴として取り出す.
BCI(C まず消費者の手持ちの衣服の総数を a,手持ちの衣服
C
まず消費者の手持ちの衣服の総数を a,手
持衣服のなかで、種類が CxC{C1 , C2 , の種類の集合を )) である衣服を消費者に推薦
消費者の所持衣服 C3 , I(∈, BCI(Cx {C1 C とする。同様に衣服
の種類の集合を x で指標値が . . . Ca } とする.任意の衣
品群の中から、種類が である衣服の指標値の集合を ,Ix2 , C3 , . . . , Ca } とする
衣服種類 Cs に対する所持衣服の指標値の集合である. (3.2)と I とし
BCI(Cx ) = Is  Ix x と Cy の持つ指標値をそれぞれの持つ指標値をそれぞれ
服の種類 C :パーカーCy服の種類 Cx と Cy Ix
:Tシャツ
y
C)(Cy ≠ Cx) に対して、種類が
である所持衣服の指標値の集合を Iy とする
て,
C
を式
て, x と Cy の嗜好の類似度 similarity を式 (1) で定義
C
柄
ベース アクセント
柄
ベース アクセント x と Cy の嗜好の類似度 similarity3.5 で
ここで例として,ある消費者の所持衣服が図 3.5 の場合を考える.図
する. 服1 ボーダー
4
4
y に対応する嗜好の類似度 73
る衣服種類 CsCy服1 S(Cx , Cy
に対する所持衣服の指標値の集合である. (3.3)
Cs = argmaxする. ボーダー) S(Cx , Cy ) を式 3.1 で定義する. 73
∈C
75
服2 ボーダー
73
75
は Cx =“服2 ボーダー y =“T シャツ ”
パーカ ” C 73
と
を所持しており,指標値はそれぞれ,x =
I
服3 ストライプ
73
192 · |Ix 服3 |∩ Iy |
2?|Ix ボーダー 73
Iy
522?|Ix ∩ Iy |
CC =73, 4},“ y ∈C S(Cx ,73, ) x,“,ストライプ ”73, 19},“2, C (1) なし }} (3
argmax服4
(3.3)
>?
similarity(C y =
を、s x,に対する購買候補特徴として取り出す.推薦対象の商x73 y )”1, |I | + ” |,
{ C ボーダ ”CS(C 1, { x ) Cy ) = similarity(C 無地 = “
,
{
,なし
無地 y 75} C
なし
服4| |Iy |
無地
|Iy I
|I |I
x
|Ix | + x | y+
無地
ダ”
, (1) は I と 75}, ボーダ ”73, I と{ に共通する指標値が多
{
73,
{
“ 式 (1),服5 52} “ 75 , C
“
} {
“
値が I(∈ , 73, 4}式“ ボーダ ” I に共通する指標値が多いほど,なしなし ” , 無
BCI(Cx )) である衣服を消費者に推薦する.,Iy無地 ”73,
は x
値を、 x に対する購買候補特徴として取り出す.推薦対象の商
C
y
x
する購買候補特徴 BCI(Cxx を式 3.2 に従って抽出する.
)
購買候補指標群
と C , y ) の値が高くなる.つ C
と Cy
C
購買候補衣服
し ” パーカーの類似度 similarity(Cxy の類似度 similarity(Cx , y ) の値が高
}} となっている.
標値が I(∈ BCI(Cx の場合を考える.図 , では,消費者 C と C C ) が高い場
パーカー
の所持衣服が図 3.5)) である衣服を消費者に推薦する.
まり,類似度 similarity(C y
まり,類似度 similarity(Cx 3.5y ) が高い場合, x x , y
C
服3 ボーダー
75
52
BCI(CxC = Is  Ix
(3
が近いと言える.次に, x に対する Cy の嗜
C
が近いと言える.次に,) x に対する Cy の嗜好の非類似
73
なし
ャツ服4 そこで,T シャツのみに存在していて,パーカに存在してない指標値 BCI(Cx
” 無地
を所持しており,指標値はそれぞれ,x = {{ ボーダ ”
“
者の所持衣服が図 3.5 の場合を考える.図I3.5 では,消費者
度 unsimilarity を以下の (2) 式で定義する
度 unsimilarity を以下の (2) 式で定義する.
服5
無地
75
なし
{無地,73,なし}
ダ を所持しており,指標値はそれぞれ, { {ボーダー,75,52} “ なし }} {無地,75,なし}
””73, 19}““ 無地,73, “ s に対する所持衣服の指標値の集合である.
,73,52},{, 無地 ””1, なし ” , “ {{ {{ ,75,
“
} }} = = ” ボー
Is は,次式で定義される衣服種類 Cなし ” Ix,y無地 ボーダ ” ” を購買候補特
ストライプ ,
{
,
I “ “
シャツ ”
9
実験
? 実験の目的
? 購買候補衣服は消費者の購入につながるか
? 本手法は正確に購買候補衣服を推薦できるか
? 被験者
? 18歳~40代までの女子大生,女性社会人:13名
? 手順
(1)被験者の所持衣服の登録

被験者に30枚を目安に所持衣服の情報を入力してもらった
(2)購買候補指標群の抽出
提案手法に基づいて,衣服種類の比較によって購買候補指標群を取得
(3)購買候補衣服の取得
? 購買候補指標群を満たしていると考えられる衣服をWebサイトから取得
(4)購買候補衣服の推薦と評価
手順(3)で取得した衣服を推薦しアンケート形式で評価

10
購買候補衣服の取得
!

? 1つのサイトだけを用いると特徴を満たした衣服が見つからないかも
しれないので3つのサイトから探す!
!

? ZOZOTOWN!
? YAHOO!ショッピング!
? google画像検索!
? 類似度の高い衣服種類間の購買候補指標群から優先的に検索!
!

11
評価項目
? 被験者に2択の質問を用いて,推薦した衣服1枚1枚に対して?
アンケートを実施
(1) 提示した衣服が好みに合っているか(条件1)
(2) 提示した衣服は購入することで手持ちの衣服のバリエーション?
が増えたり,コーディーネートの種類が増えますか?(条件2)
(3) 提示した衣服を購入したいか
また,いいえと答えた場合その理由もそれぞれ記述してもらう

12
評価結果(1/2)
評価項目

評価項目(1)(2)で“はい”と答えた割合:平均32%
購買候補衣服を32%の適合率で推薦できる

評価項目(1)(2)で“はい”+評価項目(3)で“はい”:平均68%
購買候補衣服を推薦できれば約7割が購入につながる

13
評価結果(2/2)+考察
手法の総合評価
推薦した衣服のうち平均で25%の衣服を3項目全て“はい”と評価
? 一般的なWebサイトで1ページあたりに提示される?
衣服の枚数15~20着を推薦すれば3~4着は購入につながる

! 嗜好に合致する衣服の推薦精度改善に対する考察
!
?評価項目(1)で“いいえ”と評価した理由として,“袖の形が好みじゃない”や,

?“襟の形が好みじゃない”という意見が多かった
!

衣服の部分的な形状(例:袖の形/襟の形)を考慮していなかった?
? 色?柄に加えて新たな指標として 衣服の部分的な形状 ?
??の考慮が必要
!
14
まとめと今後
?消費者の衣服購入を支援し,購買意欲を向上させるために?
購買候補衣服を推薦する手法を提案!
!

?購買候補衣服=消費者の嗜好に合致+所持衣服にはない指標群!
?所持衣服の衣服種類の比較により購買候補指標群を発見!
!

?手法の有用性の検証実験から!
?本手法は購買候補衣服を32%の適合率で推薦できる!
?購買候補衣服を推薦できればそのうち68%が購入につながる!
?本手法によって1ページあたり3~4着の衣服が購入につながる!
?今後!
?消費者間の類似性による協調フィルタリング等の他手法との精度を?
比較し,本手法の有用性を評価する
15

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