2. 発表内容
① 事例研究の質のお話
② 「RoBiNT Scale」による一事例実験の評価
ポイント9選
③ 行動療法研究の事例論文を「RoBiNT Scale」
で評価してみよう
3. 「事例」研究の質????
事例報告の読者は何を得ているのか?
① 治療経過の疑似体験
「△△性障害と××性障害を併発した人の治療って、
こんな経過をたどるのか」
② 対応のハウツーを学ぶ
「○○訓練法って、こんなふうに使うのか。こんな
ホームワークがあったか!」
③ 治療効果の確認
「△△性障害の人には○○法が効果的なんだな」
8. External validity and interpretation
治療効果エビデンスとして事例研究を読むときのポイント
ベースライン時点の特徴(第8項目)
標的行動の維持要因や維持条件が、実験(介入)実施
前に評価されていること。機能分析もその方法の一つ
である。
– Baseline characteristics (item 8)
Recommended practice is that these conditions
and variables (which serve to maintain the
target behaviour) should be considered and
evaluated prior to commencing the experiment.
/// A functional analysis is one way of achieving
this end, and ///
11. External validity and interpretation
治療効果エビデンスとして事例研究を読むときのポイント
標的行動(第10項目)
標的行動の操作的定義を行った上で(評価点1点)、
標的行動の測定が精確かつ再検証可能な方法で行われ
ており、何が適切な反応で何が不適切な反応なのかが
特定されていること(すべて満たすと評価点2点)。
– Target behavior (item 10)
Many reports provide an operational definition of
the target behavior (score 1 point), but fail to
describe and/or to use a precise and repeatable
measure of the target behavior, nor specify what
constitutes a correct/incorrect response. All
three elements are required to score 2 points.
13. External validity and interpretation
治療効果エビデンスとして事例研究を読むときのポイント
ローデータでの記録(第12項目)
各セッション単位で収集された全てのローデータと、
圧縮されたデータ(例:平均値)が、区別されている
こと。
– Raw data record (item 12)
A natural division occurs between those reports
which provide a complete record of the raw data
at a session-by-session level, versus those
which provide incomplete data (e.g. aggregated
data).
15. External validity and interpretation
治療効果エビデンスとして事例研究を読むときのポイント
追試(第14項目)
ここでいう追試とは、実験全体の再現のことであり、
研究参加者間/体系的な追試のことである。第1項目が
カバーしている治療効果の再現(e.g. ABAB法)のこ
とではない。
– Replication (item 14)
In the context of this item, replication refers to
the repetition of the entire experiment, which
may be direct intersubject and/or systematic
replication.
17. External validity and interpretation
治療効果エビデンスとして事例研究を読むときのポイント
般化(第15項目)
反応般化および刺激般化を引き起こすための介入が組
み込まれていること。すべてのフェイズで評価される
ことが望ましく、介入前後のみの評価でも許容される。
– Generalisation (item 15)
Genaralisation measures, whether response
generalisation to other behaviours or stimulus
response to other settings, need to be
intentionally programmed into the design of the
study, rather than a passive expectation of a
“train and hope” approach.
20. Internal validity
治療効果エビデンスとして事例研究を読むときのポイント
研究デザイン(第1項目)
3つ以上のフェイズを用いて治療効果が示されている
こと(例:ABAB法、6フェイズ多層ベースライン法)。
– Design (item 1)
At least three demonstrations of the treatment
effect (e.g. A-B-A-B; 6-phase multiple-baseline).
行動の測定(第3項目)
各フェイズで、5つ以上のデータポイントがあること。
– Sampling of behaviour (item 3)
At least 5 data points in every phase.
22. Internal validity
治療効果エビデンスとして事例研究を読むときのポイント
評価者の盲検化(第5項目)
治療者と独立した評価者が設けられる単一事例研究
(評価点は1点)は増えてきているものの、評価点が
2点与えられるためには、評価者は治療フェイズにつ
いても知らされずに評価を行う必要がある。
– Blinding of assessor (item 5)
Increasingly, single-case reports use an assessor
who is independent of the therapist (score 1
point), however, to score 2 points the assessor
needs to be blind to the phase of intervention.
24. Internal validity
治療効果エビデンスとして事例研究を読むときのポイント
評価者間信頼性(第6項目)
人間の判断が関与せず機械的に収集されたデータであ
れば2点、「十分に客観的な測定方法」(RoBiNT
scaleのマニュアルを参照)で収集されたデータであれ
ば1点が加算される。
– Inter-rater reliability (item 6)
Use of machine-generated data, free from
human judgement, or “reasonably objective
measures” (as defined in the manual) are
awarded 2 and 1 points, respectively.
30. 事例「研究」の質
ガイドラインがわかると付加価値がわかる
① 治療経過の疑似体験
「△△性障害と××性障害を併発した人の治療って、
こんな経過をたどるのか」
② 対応のハウツーを学ぶ
「○○訓練法って、こんなふうに使うのか。こんな
ホームワークがあったか!」
③ 治療効果の確認
「△△性障害の人には○○法が効果的なんだな」
31. Take Home Message
? 事例報告を、①「治療経過の疑似体験」や②
「対応のハウツーを学ぶ」ための教材として読
むことに加えて、③「治療効果の確認」をする
一事例実験研究として読んでみよう。
? 研究デザインや従属変数の評価方法など、RCT
の論文を読むつもりで事例報告を読んでみよう。
? 困ったら竹林先生に聞いてみよう。