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Gs 02 yamaha golf cart G30E
- 1. YAMAHA MOTOR TECHNICAL REVIEWYAMAHA MOTOR TECHNICAL REVIEW 技 術 紹 介技 術 紹 介 Abstract There are approximately 2,400 golf courses in Japan today and about 90% of them use golf cars. Beginning about ten years ago, the courses providing golf car fleets have started introducing golf cars with electromagnetic-guidance systems as a means to attract customers and save on fleet operating costs at the same time. Yamaha Motor Co., Ltd. (YMC) has met the needs of these golf courses initially by supplying gasoline engine golf cars with electromagnetic- guidance systems. Then from 2001, YMC released its first battery-powered electric golf car with an electromagnetic-guidance system. This year, as the time has come for many of these initial golf cars to be traded in to update the course fleets, there is a market for golf cars that offer improved convenience and environmental measures, along even higher levels of functionality, comfort and advanced features. There has also been a rush of new golf courses opening in South Korea. Almost all of these have a demand for electric golf cars with electromagnetic-guidance systems and YMC released a special Korean market golf car model in 2006. Amidst these market conditions, YMC has developed the new model “Turf Liner G30E” for release in 2007 as our second-generation electric golf car with electromagnetic-guidance system that meets the needs of today’s customers. For this model YMC has also developed a new controller unit, as one of the vital components of the electric golf car. In this report we focus primarily on the main control technologies employed in the Turf Liner G30E. 進化する電磁誘導ゴルフカー「エレキ車」 の制御技術 Control technologies in the evolving electric golf cars with electromagnetic- guidance systems 山本 聡 三木 将行 図 1 ターフライナー G30E 2007.11.20
- 2. YAMAHA MOTOR TECHNICAL REVIEWYAMAHA MOTOR TECHNICAL REVIEW 技 術 紹 介技 術 紹 介 .1 はじめに 国内には約2,400ヵ所のゴルフ場があり、このうち乗用ゴルフカー（以下GC）を導入しているコースは 全体の約90%にもなる。導入されているGCの中でも“電磁誘導タイプ”は、ゴルフ場の「集客力の向上」と 「経営合理化」の手段として導入されはじめ、早10年が経過した。ヤマハ発動機（以下、当社）は、当初、ガ ソリンエンジンで駆動する電磁誘導GC（エンジン車）を発売し、さらに2001年にはバッテリーとモーター で駆動する本格的電磁誘導GC（エレキ車）を発売し、ゴルフ場のニーズに合せてきた。昨今、それらのモ デルの代替時期になり、GCの利便性の向上や、環境への配慮など、さらに一段上の機能性、快適性、先進 性が求められるようになってきている。 また、昨今、ゴルフコースの新設が盛んな韓国では、ニーズのほぼ100%近くが電磁誘導GC（エレキ 車）であり、当社は韓国専用モデルを2006年から発売している。 そうした状況の中、お客様のニーズを着実に反映させるため、エレキ車の主要コンポーネントであるコ ントローラーを新規開発した「ターフライナーG30E（2007年モデル）」（図1：写真は韓国向けモデル）を 開発した。本稿では、ターフライナー G30Eの主要制御技術を中心に紹介する。 2 開発のねらい ターフライナーシリーズのエレキ車は、2001年に発売された「G17E」が初代モデルである。その後、 2005年にフルモデルチェンジを行い、ロングキャビン、ダブルウィッシュボーンフロントサスペンション、 スライド開閉式ウインドシールド、ハイルーフ、ローフロアデザインなどを採用した「G30E」を発売した。 そのG30Eの2007年モデルは、お客様のニーズを着実に反映させるため、走行性能やバッテリーマネジ メントにこだわって開発している。キーコンポーネントであるEVコントローラーを、ハードウェア、ソフト ウェアとも新規開発し、以下のような機能?性能の向上をねらった。 ?微速走行時のアクセル応答性のさらなる向上 ?より滑らかな坂道発進?停止（マニュアル運転時） ?よりスムーズなコーナリング（自動運転時） ?充放電制御や残量表示など、バッテリー管理精度向上 ?韓国向け、国内向けモデルの2ラウンド対応 ?2ラウンドに対応するための高精度なバッテリーマネジメント開発 ?電池状況を見やすくした新ダイアグシステム開発 ?音声ガイダンス、システムオプションへの対応充実 進化する電磁誘導ゴルフカー「エレキ車」の制御技術 Control technologies in the evolving electric golf cars with electromagnetic-guidance systems
- 3. YAMAHA MOTOR TECHNICAL REVIEWYAMAHA MOTOR TECHNICAL REVIEW 技 術 紹 介技 術 紹 介 図2にフィーチャーマップを示す。 3 主な特徴?概要について 3.1 バッテリー（高容量鉛蓄電池） 国内向けモデルの開発では、当初から使用している制御弁式鉛蓄電池（通称：メンテナンスフリー鉛 蓄電池）の長寿命化を図ってきた。この電池は液式鉛蓄電池に比べて、補液不要というメリットがあるも のの、電池自体の長寿命、高耐久品質が求められるうえに、高精度で緻密なバッテリーマネジメントが要 求される。 鉛蓄電池の寿命は、ゴルフ場の起伏、GCの稼動状況により異なる。当社では、日本と韓国で代表的な コースを選択し、電池寿命の調査を行っている。その調査とともに、台上試験機による走行シミュレーショ ンを繰り返し行うことで、メンテナンスフリー鉛蓄電池の特性を最大限に引き出す充放電制御を取り入れ、 バッテリーマネジメントのノウハウを取得してきた。 昨今では、調査コース毎のラウンド数や電池寿命年数などのデータが揃ってきた。ある他社モデルと の混走コースでは、電池寿命の実績は3年7ヶ月、1,000ラウンド以上で、他社比ほぼ1.5倍もの実績とな るコースもでてきている。 3.2 新EVコントローラーの仕様 新型EVコントローラー（図3）の筐体は、実績のある基本構成を踏襲し、さらに今後、増加するであろう 高容量鉛蓄電池への対応を前提に、充電電流、走行電流アップに耐え得るよう70mm大きくした。ファン も取り付け、放熱性能を上げ、それに伴う湿度、埃対策を施し、高信頼性を図った。 また、ユニットをできるだけまとめてワイヤーハーネスを削減し、部品の見直しによるコストダウンも対 応した。 さらに、厳しい代替顧客の要望に対応するため、頭脳であるCPU（コンピュータの中央処理装置）も 進化する電磁誘導ゴルフカー「エレキ車」の制御技術 Control technologies in the evolving electric golf cars with electromagnetic-guidance systems ★印は主な変更点 ?スライド式2分割ウインドシールド ★ロック機構変更による容易なシールド開閉 ?軽快なハンドル操作を実現する ?ライトステアリング ?ダブルウィッシュボーンサスペンション ★フロントフロアパネルに ?ゴムマット装着 ?ゴルフカー専用 ?大径幅広タイヤ ?イージーバックキャリア ★新世代EVコントローラー ★充電コンセント位置変更による ?容易な充電操作 ★バッテリーのメンテナンス性向上 ?快適な居住性のロングキャビン ?ハイルーフ、ローフロアで開口部も ?ゆったりウォークインアクセス 図 2 フィーチャーマップ
- 4. YAMAHA MOTOR TECHNICAL REVIEWYAMAHA MOTOR TECHNICAL REVIEW 技 術 紹 介技 術 紹 介 16bit処理から32bit処理が可能なものに変更した。この結果、ソフトウェアの処理スピードは現行比の3 ～4倍になり、当社ならではの繊細な走行、加減速、停止フィーリングの実現が可能となった。 バッテリーマネジメントシステムは、完全に新規開発し、多種の鉛蓄電池を最適に使用できるように充 電回路の高機能化、高精度化に対応した。 また、開発要求品質の確実な実現のために、開発者自ら製造ラインに赴き、製造品質への落とし込みを 行った。さらに、製造品質を継続して確保するために、生産立ち上がり２ヶ月間の初期流動管理を行った。 4 おわりに エレキ車の需要は、世界レベルでますます伸張していくと予想される。昨年発売したYamaha Motor Manufacturing Corporation（米国子会社）製2人乗りGC「THE DRIVE」も販売好調である。 お膝元である国内、韓国のエレキ車需要も顕著になる中、エレキ車のシェア拡大に向けて、有用な武 器となるターフライナーG30Eへの期待も大きい。努力が実り、発売後約半年経過した現時点では、ター フライナーG30Eに対するお客様の評判は、非常に好評である。 今回の開発にあたり御協力頂いた社内外の関係各位に御礼申し上げます。 ■著者 山本 聡 Satoshi Yamamoto RVカンパニー ゴルフカー事業推進部 三木 将行 Masayuki Miki RVカンパニー ゴルフカー事業推進部 進化する電磁誘導ゴルフカー「エレキ車」の制御技術 Control technologies in the evolving electric golf cars with electromagnetic-guidance systems 図 3 EV コントローラー