次に成果の想定です.
先ず画像処理について考えると,医用画像に適用されている画像処理技術はアーチファクトの発生を嫌い古典的なものが多いです.そのため,非線形処理となるが最新の画像処理技術を医用画像に適用すると通常処理に比べて良好な結果が出る傾向にあり,芽が出る種が沢山あります.
また,画像解析で取り扱う AI の基本は自動化ですので,AI を用いていない既存の枠組を AI に置き換えることで課題になります.
AI を用いた課題で重要なのは成果ではなくデータセットの客観性と妥当性だと考えます.
実際に何かできそうなことを思いついた時は非侵襲的な研究であればとりあえずやってみれば良いと思います.
CV/AI の研究に限らずですが,研究を開始する前に想定される結果を考え,出力されている結果を客観的に評価することが重要だと考えています.
残念ながら AI 関連の発表に関しては検討が不完全なものが多い印象です.
評価する方も AI 関連の課題が適切なデータセットを用い検討されている課題なのかを判断すべきだと考えます.
次に学術活動のデザインについてです.
私の研究テーマの一つである画像処理はモダリティに依存することなく手を動かせば結果の出る課題が沢山あります.
私は放射線画像の中でも核医学画像を対象とした発表が多かったのですが,いくつか理由があります.
核医学画像は他のモダリティの画像と異なり撮像したままの生データが簡単に取り扱えます.また,核医学画像は他のモダリティに比べて低解像度なので高性能な処理端末を必要としません.更に核医学画像は古典的な処理が多く,伸びしろが多いので課題に困ることは少ないためです.
次に画像解析についてです.AI を用いた画像解析の医用応用は臨床適応期にあり,様々な課題が考えられます.
AI の課題でフルスクラッチでコーディングを行うことは少ないので,画像のビット数を無視すれば環境構築ができ,データセットの作成ができれば形になりますので,課題に相応しい偏りのないデータセットを作成することが課題です.
CV/AI のどちらの課題もモダリティに依存することなく手を動かせば結果の出る課題が沢山あります.
実装して終わった課題ですが,数年前に自動運転のタスクで天下一品のマークが車両進入禁止マークと誤認される現象が話題になりました.
医療で同様のことが起こらないかを考えて試そうと思いましたが,私が行っているような AI を用いた病気の検出では病気の画像パターンを学習させるのでデータセットの作成ができていれば誤認識することは少ないということに気づきここから課題を広げることができませんでした.
この様に研究テーマは医療に限定する必要はなく広い範囲の論文を見ることで新たな気付きがあると思います.