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第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会 2019年11月21日
チュートリアル8 (G会場(国際会議場3階?会議室303))
日本語版RECORD/RECORD-PEから学ぶLearning Healthcare System時代の研究報告
Learning Healthcare System時代に求められる
実務者と研究者の連携
国立国際医療研究センター 国立看護大学校 人間科学 情報学/
日本医療情報学会 看護部会 次世代研究者育成ワーキンググループ
友滝 愛 1
第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
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私が発表する今回の演題について
開示すべきCOIはありません。
演題名:日本語版RECORD/RECORD-PEから学ぶ
Learning Healthcare System時代の研究報告
筆頭演者名:友滝 愛
第39回医療情報学連合大会
COI開示
第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
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研究者側実務者側
H
?研究者のオーダーを
実務者側に伝える仕事
?研究者の立場での仕事
?実務者の立場での仕事
?実務者のオーダーを
研究者側に伝える仕事
大規模臨床試験?疫学研究?症例登録事業の研究支援に従事
EDCのセットアップ支援,データマネジメント?解析
データの質検証,論文投稿?学会発表支援
自己紹介
Learning Healthcare System時代に求められる
実務者と研究者の連携
× 実務者と研究者の関係が
「指示を出す人?受ける人」
の関係に留まっている
○ 実務者と研究者は
互いに専門性をもつ研究
プロジェクトのパートナー
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研究チームの基盤を強めることが,
“データの質と再現性の担保”につながる
第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
「データの質の担保と再現性の骨子」を作る
基本的な考え方が,RECORD/RECORD-PE
データの質の担保
? 既存の医療情報を用いた研究は,研究目的のデータ収集では
ないため,バイアスが入りやすいことに注意が必要
? 「研究の目的と実際のデータとの乖離」が,
どこで?なぜ?どの程度発生しているかの把握を!
再現性の担保
? データ収集~論文報告のプロセスを文書化
×「プログラムを見ればわかる」
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第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
データ収集~論文報告のプロセス
医療機関
データ定義書の作成
研究プロトコルの
作成
他のデータとの結合
研究チーム
解析データセットの作成
データクリーニング
データ解析
6
診療データの蓄積
日々の診療に伴う
データの記録
既存データの抽出 既存データの受領
論文報告
項目6 参加者
項目7 変数
項目8 データ源/測定方法
項目12 データアクセス
項目12
データクリーニング方法
項目12 リンケージ
項目19 限界第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
データ収集~論文報告のプロセス
医療機関
データ定義書の作成
研究プロトコルの
作成
他のデータとの結合
研究チーム
解析データセットの作成
データクリーニング
データ解析
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診療データの蓄積
日々の診療に伴う
データの記録
既存データの抽出 既存データの受領
論文報告
項目6 参加者
項目7 変数
項目8 データ源/測定方法
項目12 データアクセス
項目12
データクリーニング方法
項目12 リンケージ
項目19 限界
?
?
?
?
?第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
データ収集~論文報告のプロセス
医療機関
データ定義書の作成
研究プロトコルの
作成
他のデータとの結合
研究チーム
解析データセットの作成
データクリーニング
データ解析
8
診療データの蓄積
日々の診療に伴う
データの記録
既存データの抽出 既存データの受領
論文報告
項目6 参加者
項目7 変数
項目8 データ源/測定方法
項目12 データアクセス
項目12
データクリーニング方法
項目12 リンケージ
項目19 限界
?
?
?
?
?第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
論文で報告しなければならない内容は,
誰が知っているのか?
項目番号 項目
項目6
参加者
? 参加者の母集団(対象母集団)の選定方法,例えば対象者を
特定するために用いたコードやアルゴリズムを詳細に記載すべき
である.これができない場合は,説明をすべきである.(RECORD6.1)
? 参加者(対象)の選択に用いたコードあるいはアルゴリズムの
妥当性研究は,引用文献に含めるべきである.もし妥当性に
ついて研究の中で実施され,かつ他に公表されていない場合は,
詳細な方法と結果を提供すべきである.(RECORD6.2)
? もしデータベースの結合(リンケージ)をした研究であれば,
各段階でデータに結合(リンク)された個々の対象数を含め
データ結合(リンケージ)の過程を実証するためにフローダイア
グラムあるいはほかの図表的な表示を用いることを考慮する.
(RECORD6.4)
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第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
※RECORD-PE声明 日本語訳 表1より抜粋(医療の質 ? 安全学会誌. 2019;14(2):230-233.)
論文で報告しなければならない内容は,
誰が知っているのか?(続き)
チェックリスト 内容
項目7
変数
? 曝露,アウトカム,交絡因子,効果修飾因子を分類するために
用いたコードやアルゴリズムの完全なリストを提供すべきである.
もしこれらが報告できない場合は,説明をするべきである.
(RECORD7.1)
項目8
データ源/
測定方法
? 関連する各因子に対して,データ源,測定?評価方法の詳細を
示す.二つ以上の群がある場合は,測定方法の比較可能性を明記
する.(STROBE8)
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第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
※RECORD-PE声明 日本語訳 表1より抜粋(医療の質 ? 安全学会誌. 2019;14(2):230-233.)
論文で報告しなければならない内容は,
誰が知っているのか?(続き)
チェックリスト 内容
項目12
データアクセ
スとクリーニ
ング方法
? 著者らは,研究対象を作成するために用いたデータベース集団
へ研究者がどの程度アクセス権をもっていたのかを記述するべき
である.(RECORD12.1)
? 著者らは,研究で用いたデータクリーニング方法の情報を提供
するべきである.(RECORD12.2)
項目12
リンケージ
? 研究が,個人レベル,施設レベル,あるいは 2 つ以上のデータ
ベースと結合(リンク)されたデータなのかどうかを述べること.
結合(リンケージ)の方法や結合(リンケージ)の質の評価方法
は,提供されるべきである.(RECORD12.3)
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第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
※RECORD-PE声明 日本語訳 表1より抜粋(医療の質 ? 安全学会誌. 2019;14(2):230-233.)
論文で報告しなければならない内容は,
誰が知っているのか?(続き)
チェックリスト 内容
項目19
限界
? 潜在的なバイアスや精度の問題を考慮して,研究の限界を議論する.
(STROBE19)
? 特定の研究疑問に答えるために作られたまたは収集されたわけでは
ないデータを用いる影響について議論すること.報告されている研
究に付属するものとして,誤分類によるバイアス,測定できなかっ
た交絡因子,欠損データ,時間を超えて変化する適格性についての
議論を含めること.(RECORD19.1)
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第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
※RECORD-PE声明 日本語訳 表1より抜粋(医療の質 ? 安全学会誌. 2019;14(2):230-233.)
研究データ源
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データの質が研究の質を支える
研究結果の再現は可能か?
H
実務者と研究者の連携なくして論文報告はできない!
第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
データはあっても2次利用が難しい
<研究者側の立場>
? 研究者自身が既存データに詳しいとは限らない
? 立派な企画書があっても,実際に収集されている
データと整合性が取れていないことも
? データが存在することと,解析可能なデータセットに
落とし込めるかは別
? 研究結果に与える要因(データの精度?バイアス)と
常に隣り合わせ
? “○○の目的で研究利用するならば”を意識しないと,
データの精度やバイアスは評価できない
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第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
データはあっても2次利用が難しい
<実務者側の立場>
? 実務者側として必要なことを研究者側に伝えても,
その意図を汲んでもらえないことも…
? その研究の臨床分野に精通していないと,
研究者の指示が誤っていても or 自分が行った作業に
誤りがあっても,気づきにくい
? 研究班の体制が整っていないと,データ定義書がない
? 実務者側がヒアリングして文書化しなければならない
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第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
実務者は研究者から疑義照会があるたびに,
各工程の見直しや作業の繰り返しが発生
医療機関
データ定義書の作成
研究プロトコルの
作成
他のデータとの結合
研究チーム
解析データセットの作成
データクリーニング
データ解析
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診療データの蓄積
日々の診療に伴う
データの記録
既存データの抽出 既存データの受領
論文報告
項目6 参加者
項目7 変数
項目8 データ源/測定方法
項目12 データアクセス
項目12
データクリーニング方法
項目12 リンケージ
項目19 限界
?
?
?
?
?
?
第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
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連携不足は
作業の工数を増やす
最大の原因
H
第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
どのデータがなぜ必要なのかを理解する
? 臨床的なアウトカム(結果)と関連する要因(原因)の
関係を,できる限り正確?精密に推定したい
? そのためには,必要な症例数のもとで,交絡やバイアスを
最小限にした研究を行いたい
? すでにわかっている交絡やバイアスはできるだけ制御
? 基本的な考え方はRECORDから学ぶ
? 薬剤疫学の場合はRECORED-PEが役に立つ
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第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
データの質や再現性を担保するために①
データマネジメントの計画や過程を文書に残す
? 論文で報告する結果だけではなく,データ収集~報告に
至るまでの事前の計画と経過も重要
? どのような作業手順で実施し、なぜその作業手順になったのか
? 業務上は「いつ?誰の決定でその作業手順が決まったのか」も重要
? 事前に決定可能な方針はできるだけ詰めておくと,研究者?実務者の連携が
スムーズ
? 論文報告のときの”Methods”と“Strength &Limitation”に
つながる
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第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
データの質や再現性を担保するために②
複数の人が関わってもスムーズにデータを
連携し,分析できる体制を整える
? 単発の研究ではなく経時的にデータを取り続ける
プロジェクトでは,とくに注意が必要
? 期間が?いと…担当者が変わる,収集するデータの定義が
変わる,データの収集方法が変わる
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第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
LHS時代における実務者?研究者連携への期待
? 質の高いデータから最短で
研究成果を報告
? 日本発のreal-world dataの
研究結果から,国内外の
エビデンスのupdateに貢献
? 個々の患者の診療に還元し
QOLの向上へ
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第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
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第39回 医療情報学連合大会/第20回 日本医療情報学会学術大会
2019年11月21日 友滝爱
? REporting of studies Conducted using Observational Routinely-collected Data
https://www.record-statement.org/
? RECORD日本語訳:日々観察されて集められている診療情報を用いた研究の報告基準
? 論説(医療の質 ? 安全学会誌. 2017;12(4):413-417.)
http://qsh.jp/wp/wp-content/uploads/2017/11/0b4cc8701aa68b29986ab76c03705a49.pdf
? チェックリスト(医療の質 ? 安全学会誌. 2017;12(4):478-480.)
http://qsh.jp/wp/wp-content/uploads/2017/11/3b4a04fb2e95125f5914368cf9be9308.pdf
? RECORD-PE日本語訳:日常的に観察されて集められる健康情報を用いて行われる薬剤疫学研
究の報告に関する声明
? 論説(医療の質 ? 安全学会誌. 2019;14(2):133-138.)
http://qsh.jp/wp/wp-content/uploads/2019/04/f7941ce6ee51603d7489f5795dbec867.pdf
? E&Eおよびチェックリスト(医療の質 ? 安全学会誌. 2019;14(2):212-233.)
http://qsh.jp/wp/wp-content/uploads/2019/04/b423577cf97f198d3d824ac794b93259-1.pdf
参考

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