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GNU AGPLv3について 
八田真行 
駿河台大学経済経営学部 
mhatta@gnu.org 
2014/11/27
GNU Affero General Public License Version 3
経緯 
● Afferoというのは元はといえば社名 
● 2007年11月公開 
● 「ASPループホール」をふさぐのが目的
ASPループホールとは 
● 自由な/リブレ/オープンソースソフトウェア(FLOSS)ライセンスは、 
著作権者の複製(を双方が同意した条件の下で許諾する)権がベース 
● 従来は(オブジェクトコードの)配布(distribution)→複製が不可避的 
に発生 
● ところが、最近ではウェブサービス、クラウド、SaaS等と呼ばれるよ 
うな、サーバ上でプログラムの実行が完結して(結果だけブラウザへ送 
られてくる)、配布が発生しない形態が増えてきた 
● こうしたものは著作権ライセンスでコントロールできない
困ること 
● サーバ上で動いているプログラムが、コピーレ 
フトが主張されるライセンスの下で公開されて 
いたとしても、そのプログラムに完全に対応す 
るソースコードが入手できない 
● 結果として「ソフトウェアの自由」が大いに損 
なわれる
ソフトウェアの自由とは 
● どんな目的に対しても、プログラムを望むままに実行する自 
由 (第零の自由)。 
● プログラムがどのように動作しているか研究し、必要に応じ 
て改造する自由 (第一の自由)。ソースコードへのアクセス 
は、この前提条件となります。 
● 身近な人を助けられるよう、コピーを再配布する自由 (第二 
の自由)。 
● 改変した版を他に配布する自由 (第三の自由)。これにより、 
変更がコミュニティ全体にとって利益となる機会を提供でき 
ます。ソースコードへのアクセスは、この前提条件となりま 
す。
コピーレフト 
● ようするに、ある(オブジェクト)コードに関 
して、それを受け取ったすべての人が、自由に 
利用や改変ができることを保証すること(= 
ソースコードを引き渡す)
中身 
● 序文(Preamble)のわずかな文面の違いを除 
き、第13项まで骋笔尝惫3と同じ
GNU AGPLv3 Sec.13 
Notwithstanding any other provision of this 
License, if you modify the Program, your modified 
version must prominently offer all users 
interacting with it remotely through a computer 
network (if your version supports such interaction) 
an opportunity to receive the Corresponding 
Source of your version by providing access to the 
Corresponding Source from a network server at 
no charge, through some standard or customary 
means of facilitating copying of software.
GNU AGPLv3について(On GNU AGPLv3)
AGPLv3'dなFLOSSの例 
● CiviCRM 
● Diaspora* 
● Ghostscript 
● Gitorious 
● iText 
● Launchpad 
● MediaGoblin 
● MongoDB 
● OpenERP 
● ownCloud 
● Pelican 
● Pov-Ray 
● StatusNet 
● SugarCRM
メリット 
● 大ざっぱに言えばGPLv3+α 
● 伝播性は健在 
– Corresponding Source=ようするに必要なソース 
コード一式 
– AGPLv3なコードを改変してウェブサービスを構築 
→改変部分も含めてソースコードを公開する義務
メリット 
● フォークによる「自らの過去との競争」を避け 
られる 
– e.g. MongoDB のライセンシング戦略(コアは 
AGPLv3、ウェブアプリとやりとりするドライバは 
Apache)
まとめ 
● しばらく鳴かず飛ばずだったが、このところ採用する 
プロジェクトが増えてきた 
– PRISMスキャンダルなど、ウェブサービス運営者への不信 
● 今後皆さんが直面することも増えるだろう 
● AGPLv3は最強のcopyleftライセンスである 
– それはアンチビジネスを意味しない 
– SaaS用途を念頭においたソフトウェア製品で、オープン 
ソースで商売がしたいならば、AGPLv3と何かのデュアルラ 
イセンシングの採用を考慮すべき
ご静聴ありがとうございました 
mhatta@gnu.org 
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http://about.me/mhatta

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