Mutio nikkeimonozukuri1506
- 1. 第4回:低価格3Dプリンターで実製品を造る - 設計?生産 -
日経テクノロジーオンライン
3Dプリンティング技術を実製品の製造に活用する事例が、日本でも増えてきている。精度や材質、造
形速度などの点で不十分だと思われがちな低価格3Dプリンターを採用しつつも、きちんとした機能を持
たせた製品を提供するメーカーや、発売と同時に3Dデータの公開に踏み切るメーカーも出てきており、
3Dプリンティングによるものづくり革新がさらに加速しそうだ。
高性能なトランペット用ミュート
MORITA(本社仙台市)が発売した「Mutio」はトランペット練習用ミュート(消音器)だ(図1)。
トランペットの先端に差し込んで取り付けることで、操作感を損なうことなく消音できる。唇を振動させ
ながら息の吹き込むバズィングに使うマウスピース用のアタッチメントも組み合わせてある。
図1 MORITAの「Mutio」とその使用イメージ
トランペット練習用のミュートと、バズィング用のマウスピース?アタッチメントの
セットで提供する(a)。(b)はミュートをトランペットの先端に差し込んだ状態、
(c)はマウスピースをアタッチメントに差し込み、さらにミュート本体に差し込ん
だところ。
当初は主にネット経由での販売だったが、2015年4月からは全国の楽器店での販売も開始した。吹い
た際の抵抗感の軽さや低音域の安定性といった点が、世界各国のプロのトランペット奏者から高く評価さ
れているという。
このMutioは、3Dプリンターで造っている(スポンジ部を除く)。しかも、100万円以上するような
業務用ではなく、ヒーター内蔵の可動ヘッドから熱可塑性樹脂を吐出する樹脂溶解積層法を採用した20
万円前後の低価格3Dプリンターでだ。製品立ち上げ時の初期投資が少なくて済むことや、発売後にも多
品種少量生産が可能な点で3Dプリンターを使っている。