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戦争が起きたら
スウェーデン
心理防衛緊急対応委員会
目次
1. 警報
緊急警報
警報
重要メッセージ
警報解除
警報のない場合
2. 防護
シェルター
疎開
核兵器?生物化学兵器が使われたら
3. 皆さんとトータルディフェンス
動員 私有施設等の徴発
公的義務 戦時補償
病院 資産移動
育児 配給
入国者 情報
4. 警戒
5. 戦時のトータルディフェンス
6. 戦争法
7. 安全保障政策
何をすべきか
2
スウェーデン国民の皆さんへ
ブックレット「戦争が起きたら」は戦後、スウェーデン全世帯に2回、
配布された。最後は1961年である。
しかしながら、心理防衛緊急対応委員会は必要があれば、いつで
も国民に配布できるように、ブックレットを最新状態にしている。
この全面改訂された版は、トータルディフェンスの教育及び情報とし
て用いられることを意図している。
心理防衛緊急対応委員会
Per-Axel Landahl
スウェーデンは平和を求めている。
我が国にいる我々は世界が平和であり続けることを希
望し、国際対立が平和的に解決されることを望んでいる。
このために、我々は国連やそのほかの国際的努力を通
じて働いている。
平和的発展を希求しても、世界における対立は軍事力
増強を推し進めている。紛争が始まるリスクがある。し
たがって、我々は我が国を防衛する準備をしなければ
ならない。
世界で戦争が起きれば、全面戦争となるリスクがある。
我々はそれにトータルディフェンスで対処しなければな
らない。
誰もが、軍事防衛?民間防衛?治安?医療?その他の社
会機能?家庭で、トータルディフェンスに参加しなければ
ならない。政府や、平時において、市民を助ける準備を
既に整えている。しかし、誰もが、戦争によってもたらさ
れる被害と危険から身を守れるようになる必要がある。
このブックレットを読むこと。一部は電話帳に書かれてい
る。もし戦争が起きたら、皆さんと周りにいる人々がどう
行動するか考えておこう。
心理防衛緊急対応委員会
ビルガーヤール広場 5,1 tr
11128, ストックホルム
電話番号 08/230260
警報サイレン
3
緊急警報
は戦争の危機がまじかに迫ったことを警告する。
緊急警報は、トータルデイフェンス全体の動員命令である。
緊急警報はラジオやテレビや新聞やサイレンで広報される。
警報音30秒、15秒休止
警報は5分後に終了する。
緊急警報発令時には:
ラジオを聞いて、
重要情報を得る。
危険になったら、いつでも
家から避難できるように
準備する。
警報発令後の数時間は電
話を使わない。当局が使う
ための回線を空けておく。
トータルディフェンスにお
ける軍事あるいは民間防
衛の動員命令を受けてい
たら、任地に向かう。動
員命令を確認のこと。
空襲警報に備える。最も近いシェルターや防護され
た場所がどこにあるか判断する。
4
15
30 15
30
15
30
空襲警報発令時には:
警報解除を聞くまで、あるいはシェルターを出てもよい
と知らされるまで、シェルターに留まる
シェルターに急ぐ あるいは地下室のような
防護された場所に行く。他
に場所がないなら、1階に
防護された場所に行けな
い人の手助けをする
電池ラジオや必要なもの
を持って行く
5
空襲警報
は危険がまじかに迫ったことを警告する。ただちに、防護され
た場所を探す。
航空機や無人機による攻撃の可能性がある。空襲警報は、放
射性降下物や、毒ガスや細菌兵器による攻撃も意味する。
短い警報音が一分間。
空襲警報の情報はラジオでも広報される。
数時間から数日という長時間にわたって、シェルターに留まれ
る準備をする。
シェルター
重要メッセージ
ラジオを聴く
警報音6-7秒 休止12-14秒 警報は2分後に終了する。
重要メッセージ警報が出たら、ただちにラジオを聴く。
当局は非常に重要なメッセージを伝達する。
情報はテレビ及び文字放送でも広報される。
平時と戦時ともに緊急事態のときに「重要メッセージ」が使わ
れる。
6
12-14 6-7
12-14 6-7
12-14 6-7
12-14 6-7
6-7
重要
メッセージ
危険が去ったら、シェルターを出て、レスキューを手伝う。
その後は、通常の仕事に復帰する。
長い警報音。
30~40秒で終わる。
警報解除
消火活動を行う
迅速な消火が火災委の拡
大を防ぐ
警報解除後も電話を使わ
ない
民間防衛担当者の指示に従う
負傷者や動けな
い人を助ける
7
警報解除サイレンがある
か、シェルターを出てもよ
いと知らされたら、シェル
ターを出る。
8
ただちに伏せる。たとえば、
門や、穴の中や、壁など何
らかの防護手段となるもの
側など。屋内にいるなら、
何らかの防護手段となるも
のの背後で伏せる。
頭と腕と露出した肌を、
衣服で、防護する。
服に火がついてい
たら、火が消えるま
で、地面を転がる。
より適切な防護場所
に移動する。
警報のない場合
警報が出ていなくても攻撃を受けることがある。攻撃が
迅速すぎて探知できないかもしれない。警報システムが
壊れているかもしれない。
奇襲攻撃を受け、シェルターに到達できない場合、以下をすること:
伏せたまま、周囲を
飛散する石などが動
かなくなるまで待つ。
指示があるか、大
気中に毒ガスや有
害物質の危険が
あると思われる場
合は、防護マスク
をつける。
9
シェルター
シェルター
大きなダメージ
小さなダメージ
安全でない防護 安全な防護
屋外の防護のな
い場所に立って
いる
屋外の防護のな
い場所
窪みの防護
地下室内の防護
シェルター内の
防護
最善の防護はシェルターはいることである。シェルター
は火災?爆風?圧力?瓦礫などからの防護となるとともに、
放射線や有毒ガスに対する防護にもなる。周辺にシェ
ルターがない場合は、地下室や堅牢な場所などの防護
場所を探す。壁や窪みでも防護手段となる。直ちに防護
手段をとること。直接的な危険が去るまでは動いてはな
らない。単純な防護であっても、無防備よりはましである。
10
現代兵器は強力で破滅的な効果を持つ。負傷のリスクを
低減するには、自らを防護しなければならない。
シェルターに持ち込むために、
食料と飲み物をパックする。
持っているなら、防護マスク
も持って行く。
毛布や寝袋や電池ラジオを
持って行く。しかし、シェルター
内は混雑しているかもしれな
い。持ち物は最小限にするこ
と。
犬や猫やその他の動物
をシェルターに連れて行
かない。
医療や戦争の分野など、
労働義務がある場合は、
移動指示があるまで、
連絡を待つこと。
最も近いシェル
ターの場所を
知っておく。3~4
分で到達できる
ようにしておく。
家の中のシェルター整備
を手伝う。世帯主は48時
間以内にシェルターを整
備する。地域の民間防衛
部局が方法を教えてくれ
る。
火災の延焼リスクは様々な
方法で削減できる。家の周り
にある、家の中や外のm簡
単に火が付くものを片付ける。
ブラインドを閉める。窓に飾っ
てあるものを片付ける。バス
タブに水を溜める。
s
家にシェルターがない場
合は、地下室などのス
ペースを強化する。地下
室の屋根を強化し、窓の
前に土を積み上げる。窓
の内側に板を打ち付け
るか、白色に塗る。
11
シェルターや防護場所
が近隣にない場合は、
安全な場所にいる誰か
のところへいく。あるい
は、それほど危険では
ない場所へ移動する。
シェルター
自動車を持っていて、他に
生活する場所の準備がで
きるなら、そこへ行く。
自動車を持っていて、
他に生活する場所が
ないなら、電話帳を見
て、当局の指示する場
所に行く。
自分で疎開できない場合は、近
くの疎開拠点に行く。そこで、他
の場所への移動支援を受けら
れる。ストックホルムとヨーテボ
リとマルメでは、特別の疎開計
画があるので電話帳で確認の
こと。
疎開
地上戦や上陸あるいは侵略のリスクがある場合、疎開
が必要となる可能性がある。
攻撃目標となった都市に、住民を収容するのに、シェル
ターがないか、不足している場合に、疎開が必要となる。
疎開についての情報はラジオやテレビで、日々そして随
時に、広報される。
一部の地域では、疎開計画を緊急通知で行う。
情報は、地域の民間防衛部局から提供される。
自分で疎開拠点に行けな
い場合は、例外的に、地
域の民間防衛部局に連絡
すれば、疎開先住居への
移送が手配される。
12
持って行くもの
疎開するとき、これらを持って行く。これらを事前に
準備しておく:
? 数日分の食料と飲み物
? ナイフ?フォーク?スプーン?カップ?皿?魔法瓶
? 懐中電灯?ロウソク?マッチ
? 電池ラジオ(新しい電池か確認する)
? 着替え
? レインコート?長靴
? 寝袋か毛布
? 衛生用品(石鹸?歯ブラシ?タオル?トイレットペー
パー)
? 防護マスク(持っていれば)
? 貴重品(現金?IDカード?パスポート?保険証?配給
カード)
? ペンと紙
? 医薬品
背負えるもの以上には持って行けない。バックパッ
クに詰めて、常備しておくこと。
家を離れるときは:
? カーテンを外し、ブラインドを降ろす
? ブレーカーを落とす。これで火災のリスクを削減する。
? バスタブに水を溜める
宿泊
レセプションで、皆さんは個人の住宅での宿泊を割り当て
られる。ケアが必要な人は、宿泊施設を利用できる。受け
入れ自治体は食料と衣服を支給する。戦時補償として補
助を受けられる。
? 親戚等に、宿泊場所の住所を知らせておくこと。
13
核兵器や生物兵器や化学兵器
が使われたら
14
核兵器及び生物化学兵器(ABC兵器)が戦時に使わ
れ場合に、備えておかなければならない。
核兵器(A兵器)
核兵器は他の兵器よりも、はるかい大きな被害を与
える。核兵器は、部分的には別物のように見える。
しかしながら、爆発の近くにいないなら、核兵器から
身を守ることは可能である。核兵器がスウェーデンを
直撃しなかったとしても、他の国から風に流されてくる、
放射性降下物の被害を被る可能性がある。
効果
核爆発と同時に、次の現象が起きる。
強い閃光と熱線
ハリケーンのよう
な爆風を伴う強い
圧力波
爆発した兵器から
の直接的な放射
線(電離放射線)
眼が見なくなり、人間が火傷
し、住宅などに火をつける。
住宅が粉砕されたり、瓦礫に
当たったり、風に飛ばされたり
して、人間が負傷する。
人間に放射線障害を起こす。
15
あ
7 6 5 4 3 2 1
1 2 3 4 5 6 7 km
100%
50-100%
0-50%
100% 火災
50-100%
0-50%
破壊
爆心
約80%
約20%
約20%
破壊
閃光と熱線がただちに到達し、数秒後に圧力波が到
達し、数秒間続く。
核爆発の中では、大量の放射性物質が生成される。
爆発が地上近くで起きると、土や砂が雲に巻き上げら
れる。放射性物質がこれらに付着して、地上に降って
くる。爆心近くに、危険な放射性物質が降り積もる。
10kt
100kt
最小安全距離
完全破壊
爆発の後、10~15分で降り始め、遠い場所では1時
間から数時間後に降り始める。放射性物質は爆心か
ら数kmの範囲に降り積もりことがある。
10ktの核兵器では、100ktに比べ、0~50%程度となる。
放射線のリスク
爆心(グラウンドゼロ)から500メートルの範囲内では、破
壊は最大である。生存の可能性は非常に小さい。
グラウンドゼロから2500メートルでも、脆弱な家は崩壊
する。
1500メートルの範囲内では、事実上すべての家が火災
なり、2500メートルまでは火災を起こす家がある。
屋外にいれば、3000メートルまでは、重い火傷になる可
能性がある。
100ktの核爆弾では、この距離は2倍になる。(広島と長
崎に投下された核兵器は13kt及び22ktだった。)
核兵器に対する防御
すべての種類の効果からの最善の防護はシェルターで
ある。地下室は多くの場合に、とても良い防護手段とな
る。
典型的な建物では、建物が大きいほど、壁が厚く、重い
ほど、より良い防護が得られる。シェルターは、家の中
央部分か地下室にするのが最善である。
直接の熱線による火傷からの防御には、あらゆる種類
の影をつくるものが有効である。分厚い服も、少しは防
護手段となる。
16
強く放射線被曝すると、放射線障害になり、最悪の場合、
数週間以内に死亡する。長期的には、癌や遺伝障害な
どのリスクが増大する。
爆発からの直接の放射線と、放射性降下物からの放射
線の量は、おおよそ同程度である。放射線は服を透過
し、家の壁でも、ある程度は透過する。より厚く、重い壁
であれば、それだけ放射線を抑制する。
放射性降下物からの放射線は、爆発から数日で急速に
減衰する。放射線障害のリスクは、したがって、放射性
降下物が降り積もった直後は最も大きい。これは地上
のダストで、とても危険である。
屋外で閃光の奇襲にあったら、
ただちに伏せる。顔や露出した
皮膚をできるだけ防護する。よ
り良い防護場所を探して、時間
を無駄にしてはならない。圧力
波と爆風が通過するまで、伏せ
たまま待つこと。
熱を遮断できたとしても、普通
の家の中では、飛散する瓦礫で
負傷することがある。特に、衝
撃波で破壊されたガラスの破片
は、爆発から遠くても危険であ
る。
密閉された容器や閉じたスペース
に保管されたものなど、放射性降
下物に触れていない食料や飲料
は使える。配管内の水や密閉され
た容器の水や蓋をした井戸水も同
様である。
放射性ダストが皿やフライパンや食品
パッケージに付着したと思ったら、ダスト
を洗い流すか、カバーを取り外す。シェル
ターの外にある食品を食べる場合は、外
側をこそぎ落とすか、水洗いする。たとえ
ば、放射性ダストがある場所から、野菜や
果物を採ってきた場合に、そのようにする。
核攻撃警報や放射性降下物
警報は、サイレンやラジオや
テレビで広報される。
爆発から遠く離れていて、直接の
被害を避けることができるなら、
放射性降下物からの防護手段を
探す必要がある。5分以内に到達
できるなら、シェルターに急ぐ。い
かなる場合も、建物内への避難を
試みる。
放射性降下物が降っている場所を
移動しなければならないときは、屋
外にいる時間を最小限にする。放
射性ダストが直接に肌に付着しない
ように注意する。衣服では放射線か
ら防護できない。防護マスクも、防
護は十分ではない。
放射性ダストが付着したと思っ
たら、シェルターなどの部屋に
入る前に、建物の中で、衣服と
靴を脱ぐ。顔などダストが付着
した部分を洗う。洗った後の水
は捨てる。
17
水
シェルター
ラジオを聴く。どのくらい
の期間、シェルターに留
まるか、あるいは他にす
べきことを広報される。
食料や飲料
生物兵器(B兵器)
生物兵器は感染症や同様の症状を起こす生物から構
成される。国際法は生物兵器を禁じている。しかし、侵
略者が国際法を遵守するとは保証できない。おそらく、
開戦前から、侵略者が空気や水や食料を通して、生物
汚染物質を意図的にばらまいて、人々や動物や植物に
害をなすかもしれない。
以下のような方法で感染するかもしれない:
空気
接触
動物や昆虫
生物兵器に対する防護
衛生には特に注意する。
それが生物兵器に対する防護となる。
特に食料の取り扱い及び調理の時は重要である。
防護マスクで空気中の生物兵器に対して防護できる。
18
石鹸と水で手をよく洗う。
特に食事の前とトイレの後。
感染症に罹っている家族
がいる場合は、手を消毒剤
で洗う。
食料に触ったり、
調理したりする
前には必ず手
を洗う。
汚染されている場合に備え、
食べ物、皿、すすぎのため
に必要な水を10分間煮沸
する。
生物兵器警報はサイレンやラジオやテレビ
や新聞やポスターで広報される。取るべき
対策についての情報も提供される。
防護方法:
食料が汚染されていると思う
なら、煮ること。ローストした
り、揚げたりしても、感染性
因子を殺せないことがある。
飼っている動物の飲み
水は汚染されていないも
のに限る。
19
化学兵器(C兵器)
化学兵器は有毒なガスや液体や固体で、人々や動物
や植物を害することを目的としている。
化学兵器により、水が汚染され、植生が破壊され、人
や動物が大なり小なり影響を受ける。
化学兵器は、散布地点から数kmの範囲が最も危険で
ある。条件が悪いと、毒ガスが風に流されて15kmあた
りまで拡散する。
化学物質の中でも、神経ガスは最も危険である。それ
らは無臭であり、眼にも見えず、ダメージを受けるまで
気が付けない。その他のガスは、臭いがあるか、水や
地面の上で油滴のように見えるので、気が付ける。
直ちに起きることもあれば、数分後に起きることもある。
神経ガスが散布された場合、視覚障害や呼吸困難や
痙攣などが起きる。その他の化学物質は5~10時間後
にダメージを与える。皮膚に水膨れができたり、眼や肺
にダメージを受ける。
化学兵器に対する防護
最善の防護は、シェルターや防護された場所にいるこ
とである。
防護マスクで顔と肺を防護できる。衣服、特にレイン
コートと手袋で皮膚を防護できるが、それは短時間だ
けである。
シェルターや防護マスクがない場合、屋内に入り、で
きれば地下室に入る。窓や扉や換気口を閉じて、部
屋を目張りする。
化学兵器警報はラジオやテレビ
などで広報される。サイレンでも
C兵器警報が広報される。
20
急いで、防護マスクを着ける。
皮膚に付着した有毒物を拭
き取る。有毒物を拭き取った
布を投げ捨てる。
液体C兵器のない場所に
急ぐ。それまでは防護マス
クを着けたままにする。
シェルターに入る前に、
C兵器の付着した衣服
を脱ぐ
有毒物質の付着した
ものには触れない。
ただちに防護マスクを着
ける 屋外にいたら、喉と頭を何
かで覆い、手袋をするか、
手をポケットに入れる
急いで屋内シェルター、でき
れば地下室に入るり、扉と
窓と換気口を閉じる。上着を
脱ぐ
危険がなくなった
と通知されるか、
機密シェルター
に入るまで、防護
マスクを着けたま
まにする。ラジオ
を聴くこと
皮膚を拭いて、その布を
捨てるか処分する。石鹸
と水で洗う。洗った水は
捨てる。
危険が去ったと広報される
まで、防護マスクを着けた
ままにする。ラジオを聴くこ
と。
液体C兵器が付着したときの防護手段:
空気中に毒ガスがあると思ったら、すること:
21
H
警報解除
22
皆さんとトータルディフェンス
動員
23
スウェーデンに居住する者は誰もが、トータルディフェン
スの一部を担う。18~47歳の男性は兵役につき、16~
65歳の男女は民間防衛の義務(レスキュー隊への参
加義務)がある。あるいは医療活動や生産活動などの
社会的貢献を行う。
戦地郵便番号をもらったら、家族に知らせる。
命令された場所に到達できない場合、もっとも近い軍
駐屯地や、家庭防護協会長や民間防衛部局長のとこ
ろや、警察に行く。
軍の招集やその他の招集がかかっていない場合は、
通常の仕事を続ける。当局に指示に従う。
無職の場合は、公共職業安定所と連絡を取ること。
招集は、ラジオやテレビ放送、郵送、緊急警報、職場か
らの通知などにより行う。
戦時に招集がかかったら、できる限り速やかに戦時配
置場所に行く。命令を受け取ったら、それしたがって行
動する。軍やレスキュー隊の命令書は交通機関のチ
ケットとして使える。
労働義務
24
重要物資の生産及び重要サービスの確実に遂行する
ため、政府の決定に従い、労働義務が課される、さらに、
労働時間の延長や休暇の取り消しなどが行われる場合
がある。労働義務は、雇用サービス省のもとで労働する
ことを意味する。労働義務の適用により、許可なく、仕事
につかなかったり、仕事を変えたりできなくなる。労働義
務は、16~70歳のスウェーデンの居住者全員に課され
る。これはスウェーデン国籍をもなない者にも適用され
る。
医療や生産や通信などトータルディフェンスを担う労働
に就いている場合は、平時に政府及び雇用主から受け
ている指示にしたがうこと。対応事態が厳しくなる時は
追加指示が出される。
すべての人へ:
戦時及び危機時には、何にもまして、誰もが持ち場で能
力を発揮する必要がある。他に情報がないときは、自分
の仕事を続けること。
医療
医師や看護師の助けが必要な場合、居住地の保健所や医療セ
ンターや郡看護師協会や郡助産師協会に問い合わせること。病
院の救急医療を不必要に探さないように。
戦時には緊急病院が、入院別棟や手術別棟とともに増強され、
保健所や学校などに開設される。
医薬品や医療用品は、国境封鎖時と戦時で使用する
ために備蓄されている。
軍とレスキュー隊は共同拠点を設ける。そこで、負傷
者は応急措置を受けられる。
戦争では多くの人々
が負傷する。多くの
人々に輸血が必要
となる。献血すること。
被害地域 集結地点 救急病院
電話で救急車を呼ぶ。電話番号は:
あるいは誰かに搬送を依頼する。
25
応急処置
行先割当
戦時に自分や隣人が負傷した場合、自分で助けなけ
ればならない。
赤十字やスウェーデン民間防衛協会やスウェーデン消
防協会や成人教育協会は、自己防衛講座を開設して
いる。自己防衛の知識を高めておこう。ボランティア教
育に参加しよう。
些細な負傷で医師や医療従事者の手を煩わせないこ
と。医療従事者はまずもって重病患者や重傷者の治療
に当たらなければならない。
自己防衛 育児
平時に保育を担当する自治体部局は、戦時中も同様
に担当する。
トータルディフェンスに従事してる両親の子供で、自
分自身の面倒をみられないか、世話のできる親戚や
知人がいない場合、自治体は子供の世話について対
応する。
26
入国者
スウェーデン国籍が持っているなら、他のスウェーデン
人と同じ権利と義務がある。戦時動員されているなら、
軍事防衛あるいはトータルディフェンスの他の部分を担
う。そうでないなら、通常の仕事を続ける。
スウェーデン国籍を持たず、かつ戦時もスウェーデンに
滞在することを選択した入国者は、滞在を許可される。
望むなら、帰国できる。
スウェーデン国籍を持たない外国人に関して、特別法
規定が制定される可能性がある。
27
皆さんの私有物の使用
準備時及び戦時には、トータルディフェンスは、必要
に応じて、個人や組織や自治体などの所有物を徴発
する。皆さんは、家から疎開した人々を、自宅に受け
入れる必要があるかもしれない。トータルディフェンス
が皆さんの自家用車やボートや使役犬や食料などを
徴発する場合がある。
当局がそれらを行うための特別法制が定められてい
る。これらの法律により、政府はトータルディフェンス
に必要なものを徴発できる。皆さんは、私有資産を
トータルディフェンスに提供することで、補償給付と引
き換えに、スウェーデンを助けることになる。
28
戦時補償
皆さんは戦時に負傷する可能性が大いにある。政府は
補償するが、すべて補償できるわけではない。貴重品
リストを作成することが重要である。保険証券や有価証
券を安全な場所に置くこと。そうすることで、戦後に権
利を容易に得られる。
資産の移動
価値ある資産が戦闘行為や大量の敵によって破壊さ
れるのを防ぐために、政府は、そのような資産を安全な
場所や保管庫に移動させることがある。
配給
29
情報
各地方自治体は、準備時及び戦時に特別情報セン
ターを設置する。センターでは、育児や老人介護や配
給や食料や水や学校などについての問い合わせの答
えが得られる。
スウェーデンの食料を自給している。しかし、外国か
ら封鎖されれば、より簡単な食事で満足しなければな
らなくなる、
原油の輸入が止まれば、自家用車へのガソリンの供
給は配給となる。準備時及び戦時備蓄は、トータル
ディフェンス及び公共交通機関に使われる。家庭の
暖房温度も厳しく制限される。室内でも暖かい衣服を
着ること。
電力は割当になる可能性がある。短期あるいは長期
の停電を想定しなければならなくなる、特定用途の電
力使用を禁じる場合がある。
30
警戒
31
警戒
戦時には、侵略者は我々の防衛力を破壊しようとし
て、軍事力ばかりでなく、心理戦争も仕掛ける。軍と
民間人が集中的かつ意図的な影響を受ける。それ
は、政治的圧力や、ラジオ放送や、ビラや、噂の形
で行われる、侵略者は、抵抗は無駄であり、降伏す
るのが最善だという、
敵対的プロパガンダには、事実に基づく情報によっ
て対抗できる。新聞やラジオやテレビは迅速かつ真
実の報道を行う。侵略者が有利にならない報道の
みが行われる、政府を批判する権利は、戦時にも
維持される。
? いつも読んでいる信頼できる新聞や雑誌を読む。
? スウェーデンの新聞の偽物に注意。
? ビラを疑うこと。意図的にミスリードする情報が書
かれているかもしれない。
? いつも聞いているスウェーデンのラジオ(周波数)
を聞くこと。他のスウェーデンの放送局も聞いて
確認すること。
? 偽のラジオ放送を警戒すること。有名なラジオスターを
真似た放送がなされる可能性に注意すること。
? 噂を警戒し批判的に聞くこと。聞いた噂を広めないこと。
特に戦争の初期段階では、偽のメッセージや噂が広まり
やすい。そのことを銘記しておく、動員や抵抗が終わったと
いう情報を聞いたら、それは偽りである。
平時においても、スパイは我々のトータルディフェンスを調
べている。防衛について彼らに話せば、スウェーデンとそ
この住む人々をひどく損なうことになる。
? 機密事項や機密と思われることを話さないこと。
? 警戒を怠らないこと。防衛や公共的供給や通信や発電
所や工場などについての非公開情報を放置しないこと。
? スパイと思われる人物や破壊工作をしようとしている人
物がいたら、ただちに警察に通報すること。
32
戦争におけるトータルディフェンス
戦争法
スウェーデンの安全保障政策
しかし、侵略者はスウェーデンの一部を占領するかもしれな
い。
我々の国の一部が侵略者に占領されても、それは戦争の
終わりを意味しない。そのような地域でも、抵抗を継続しな
ければならない。侵略者たちが安全だと感じることは決して
ない。我々はスウェーデンが再び解放される日まで戦い続
ける。
占領地域に残留する、解体されたスウェーデン軍は、小規
模部隊として再編成され、解放闘争を実行する。彼らは敵
の輸送を攻撃し、敵の活動を困難にする、
敵に占領された地域の民間人も抵抗活動に参加できる。
武装闘争を通じて、敵の活動を混乱させ、地域の解放に貢
献する。これは、たとえば、通信を改竄したり、補給物資や
要員を奪ったりすることで実現できる。
これに加えて、抵抗活動は受動的な抵抗によっても実行で
きる、
33
戦争におけるトータルディフェンス
スウェーデンの統治方法は憲法に規定されている。それら
は平時と戦時の両方に適用される。それらに反して形成さ
れた政府は違憲である。
戦時には、議会の機能は、戦時代表団と呼ばれる国会議
員の集団によって担われる。誰が戦時代表団員となるか
は、平時にも選挙で選ばれる。
戦争が起きたら、国王や閣僚や議会や中央官庁は、より
脆弱でない場所に移動する。これは、我々のトータルディ
フェンスが確実に管理できるように、予め策定された計画
に基づく行動である。同様に、地方議会やその他の重要機
関も、その機能を通常とは別の場所に移動する準備をしな
ければならない。
戦時の行動及び戦争について特別法規定は、政府及び緊
急事態対応法の両方について適用される。これらはすべ
て、戦争及び戦争状態にあっても、合法的に地域社会が
機能することを目指している。
スウェーデン全土が防衛されなければならない。一部たり
とも、強く抵抗することなく放棄することはない。
34
経済防衛の準備は平時に行われる。食料や石油や工業原
材料の備蓄や、代替品製造の準備などにより、長期間対処
できる。
心理防衛
我が国の心理防衛は、戦争の危機の際、及び戦時に、抵抗
の意志と精神を維持向上させる。表現の自由と出版の自由
と放送の自由は、心理防衛の基礎である。平時同様に、国
家の安全保障と個人の安全について考慮にのみ制約を受
ける。
ラジオとテレビの放送は戦時体制下で機能するように準備
される。新聞の発行も継続される。
その他のトータルディフェンス
通信、医療、地方自治体のサービス、重要な社会機能を維
持する体制の維持を担う組織は、戦時においても同様に担
う。
軍事防衛
軍事防衛の任務は侵略者がスウェーデン領土へ侵入
するのを最大限防ぐことにある。それにもかかわらず、
侵略者がスウェーデン領土に侵入すれば、全土で抵
抗を受けることになる。
民間防衛
民間防衛は、人命の防護と救急を任務とする。した
がって、シェルターや防護マスクや警報体制により、戦
争の被害を削減する。
戦争に特に脆弱な地域では、疎開が必要となる場合
がある。被害が発生した場合、民間防衛は被害者を
救援する。レスキューは消防や残骸撤去や初期医療
などから構成される。
経済防衛
経済防衛には大半の産業活動が含まれる。戦時や貿
易封鎖時には、一定期間にわたり必需品の供給に対
処しなければならない。
35
戦時においても、戦闘員が遵守しなければならない
法がある。これらの法は、戦争時の人権の一部を言
構成し、戦時国際法と呼ばれる。
スウェーデンは、戦争行為を規制し、特定の人々を保
護する重要な条約に調印している。民間標的(民間
人や施設)を攻撃してはならない。しかし、軍事目標
への攻撃が付近にいる民間人に被害を与える可能
性がある。したがって、戦闘時に多くの民間人に被害
を与える場合、戦争法は、軍事目標への攻撃を禁じ
ている。これらの規定は以下を禁じている。
? 不必要に大規模な被害を与えたり、不必要に苦痛
を与えたり、長期間にわたり自然に被害を与える
ような、兵器の使用や戦闘方法
? 軍事目標と民間目標の両方に被害を与えるような
強力な攻撃
個人を非人道的扱いから保護する規定がある。これらの
規定は無条件に適用され、以下を定めている。
? すべての民間人は人道的に扱われなければならない。
? 人種や皮膚の色や宗教や性別や家族や財産により
差別待遇をしてはならない
そして以下を禁じている。
? 民間人に対する暴力をふるう
? 民間人を拘束する
? 尊厳を傷つけ、辱め、貶める
? 法的手続きなしに懲罰する(そのような裁判は、裁判
所が指名する裁判官による)
その他の重要事項:
? 民間人を軍事目標の防衛に使ってはならない
? 民間人を単独あるいは連帯責任で懲罰したり、何かを
しなかったことについて単独あるいは連帯責任で懲罰
してはならない
? 略奪は禁止
戦争法
36
? 占領地域の住民は、自らが望んだ場合を除き、他国
へ移動させられない
? 侵略国の民間人を占領地域に移動させてはならない
? 占領者は占領地域の施設等を破壊してはならない
戦時国際法で特に保護される人々:
? 他者を助ける人々(聖職者や医療関係者や消防救急
対応者)
? 病気の患者や負傷者や障碍者
? 老人や妊娠中の女性と7歳以下の子供の母親
民間人の中で、抵抗活動を扇動?組織すれば、国防の非
常に重要な任務を果たしていることになる。しかし、その
場合、国際法の保護を得られない。一方で、抵抗活動す
る戦闘部隊は以下を満たせば、国際法の保護を受ける。
? リーダー(責任者)がいる
? 攻撃前及び攻撃中に、武器を公然所持する
? 国際法を遵守している
これらの規定を遵守していれば、侵略者の捕虜となっても、
軍服を着た兵士とまったく同様に、戦闘員として遇される
資格がある。
抵抗活動に参加できる民間人は限られている。多くの民
間人は積極的に抵抗活動を支援できる、そのような支援
活動は非常に役立つが、支援活動を行う者は、国際法の
保護を得られない。
積極的に抵抗活動に参加しない全民間人は、敵に受動
的に抵抗し、敵の任務を遂行してはならない。敵への協
力は最小限にとどめ、意味のある行動をしてはならない。
可能な限り、敵の代表者に近づいてはならない。
戦争法は、侵略者が民間人を軍のための労働させること
を禁じている。スウェーデンのトータルディフェンス及びス
ウェーデンの抵抗活動について話してはならない。話した
場合、戦後に処罰される場合がある。スウェーデン当局
及び国民に不利益になることをしてはならない。
37
占領地域では、侵略者は独自の政府を設置できる。し
かし、それは占領地域が侵略者のものになったことを
意味しない。一時的に統治権を保有しているに過ぎな
い。その地域は、スウェーデンの領土である。
その地域に対して、スウェーデンの法律は効力を持っ
ている。国際法は、侵略者が占領地域の秩序を維持
し、自分自身を防護しなければならないことを定めて
いる。しかし、侵略者は占領地域の住民が食料供給と
医療を受けられるようにしなければならない。
他の地域に住む人々やスウェーデン当局との連絡を
続けること。侵略者の助けになるのでない限り、これま
で通り労働すること。スウェーデン当局の決定に従うこ
と。ただし、占領地域には侵略者に強力する人々がい
るかもしれない。注意すること。
国際法によれば、スウェーデン政府は占領地域にお
いて、次の規定に従って、統治権を持っている、
「占領地では、公的機関は、国際法の下で必要としな
い援助を占領国に残させるために国民全員に決定を
下したり、措置を取ることはできない」
スウェーデンの安全保障政策
38
スウェーデンの安全保障政策の最も重要な任務は、自由
と独立を維持し、将来の戦争から我が国を守ることである。
この目的を達成するために我々が追求する政策は、戦時
中立を目指す、平時の非同盟である。我々は非同盟中立
を選択した。国際的に他国から保障されているわけではな
いが、我々は軍事同盟を結んでおらず、同盟国に縛られ
ているよりも、戦時中立となる機会ははるかに多い。
中立政策が我々に利益をもたらす前提条件は、我々に戦
時中立を守る意志と能力があることを、他国が信じること
である。その尊敬を獲得し、独立を保つために、我々は十
分に準備された防衛力を保有している。防衛政策の意図
するところは、スウェーデンを攻撃しても、いかなる利益も
もたらさないと、考えられるだけの強さと構成を、我々の
トータルディフェンスが持たなければならないことである。
そうすれば、我々のトータルディフェンスが平和維持効果
を持つことになる。
スウェーデンの政策は平和のために働くことである。我々
の非同盟の立場は、特に国連平和維持活動に取り組むな
ど、良い機会を提供する。開発援助を通じてスウェーデン
の国際福祉への取り組みは、世界の安全保障と維持と創
造に貢献すると考えれる。
しかし、もし我が国が攻撃されるならば、我々のトータル
ディフェンスはそのすべての力をもって、国の自由を保つ
ことに注力しなければならない。政治的行動を通じても、
我々は事態が我々に有利になるように影響力を行使しよ
うとする。
緊急警報
戦争の可能性あり。全国民の動員
警報音30秒+休止15秒。
警報は5分後に終了する。
警報
ただちに危険。シェルターに急ぐ。
短い警報音が一分間。
重要メッセージ
ラジオを聴く。
警報音6~7秒+休止12~14秒。
平時及び戦時の緊急事態で使われる。
警報は2分後に終了。
警報解除
危険が去った
長い警報音。30~40秒で終わる。

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