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UAV
2017年1月28日
第三回 広島県土地家屋調査士会研修会
IT委員 山中 匠
このスライドは https://doc.co/BK9wgH で閲覧可能です
TY
ドローンの業務活用事例紹介 その2
1. MOTIVATION:UAV利用に至る動機
2. OPPORTUNITY 1:SfM/MVS技術が身近に
3. OPPORTUNITY 2:UAV普及による測量利用への試み
4. PRACTICE & VISION:許可承認申請、実地検証とこれから
5. CONCLUSION:おわりに
1.
Google Earth 国土地理院 空中写真閲覧サービス
400dpi画像取得が可能に
1200dpi画像も購入可能
直近十数年の空中写真の経緯が充実
新しい形の筆界の調査鑑定の可能性
Potentialities of uav applicaion for cadastral surveying
? 筆界の調査検討にあたって
? 中心投影による周辺部の歪み
? 高低差による縮尺の違い
等を補正しなくては資料としての価
値はない。
(単写真の利用はナンセンス)
…そこで必要なのが空中写真
の
オルソ(正射投影)画像化
出典:国土地理院サイト
Potentialities of uav applicaion for cadastral surveying
2.
? SfM/MVSとは?
Structure from Motion/Multi-View Stereoの略。動画や複数の連
続した画像からカメラ位置を計算し三次元形状を復元する。
Potentialities of uav applicaion for cadastral surveying
? 地理院等の所謂「空中写真」は上空1000メートルを越える高度
から撮影されており、調査士業務に利用する平面としては地上解
像度が低い。GoogleEarthの空中写真についても概ね同じ。
※昭和初期等、過去の空中写真については諦めるしかない。しかしそれでも分限
図に描かれた筆界の妥当性を判断したり14条1項の国土調査地図を作成当時に近
い空中写真に重ねてみたりするには十分。
? 道路工事や開発、災害などで数年前と現況が変わってしまってい
て「今の姿」を写した空中写真がない場合もある
地理院やGoogleEarth、Bing等の空中写真に頼るとその情報更新性に頼らざるを
得なくなる。(但し、最近は地理院もGoogleEarthも災害時の情報更新対応は非
常に早い。地理院はOpenStreetMapへの背景画像提供も。)
3.
2014年 月刊測量5月号
「空撮測量に適したマルチローターヘリコプタの現状と展望」
2014年7月 Phantom2 Vision+ 発表
2015年5月 首相官邸無人機落下事件
2015年12月 改正航空法施行
2016年4月 国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、
外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の
飛行の禁止に関する法律施行
4.
? 低空(30m~80m)からの写真撮影によって調査士に
とっても実用的な正射画像(オルソフォト)作成が可能と
思われたが???
1. 運用面:そもそもドローンを安全に飛ばす事が出来るのか?
2. 法律面:改正航空法等に抵触せずに飛行出来るのか?
3. 技術面:実際どの程度の平面精度の正射画像が作成出来るのか?
運用
1. おもちゃのミニ?ドローンで室内練習
? 高級機よりも操縦難易度が高く練習になる
? 墜落時の被害がほぼ無い(家族には注意)
2. フライトシミュレータでの練習
? 高級機とほぼ同じ操作感
? 墜落時の被害が全くない
3. 資格試験で知識を身につける
? 基礎力学や気象、バッテリーについての知識
? ごく基礎的な航空力学や飛行機、ヘリコプターとの飛行原理の違い
? 航空法?電波法といった普段馴染みのない法令
4. 他のドローン利用者との情報交換
? Facebookでの情報交換
? 勉強会?研究会への参加 (他分野実務者?大学教授?研究員等と)
? 他国実務者との情報交換(逢甲大学GIS研究所?韓国国土情報公社)
改正航空法
? 国土交通省
? 航空法第132条但し書きの“許可”
? 航空法第132条の2但し書きの“承認”
出典:国交省webサイト
出典:国交省webサイト
加えて???
適法な飛行であっても万が一通報された場合に備えて、
出来れば地元や飛行予定地域管轄警察署の担当者と打ち
合わせ、事前に通知の上飛行するなどの対策を。
土地家屋調査士の品位、社会的地位保持の為にも他業者よりも高い
ハードルを自らに課し、それによって行政と良い関係を築いて行く
ことで先端を行きながら諸先輩方の築いてきた信頼を守りたい。
検証
? 使用機体 DJI社製 Phantom4
? 飛行時期 平成28年10月27日
(許可承認前)
? DID地区外、他人物から30m以上を保ち
目視内を保っての飛行(許可承認不要)
? 飛行はマニュアル飛行で地表から
約30m~80mまで
(高低差が大きい事等から自動航行は行っていない)
? 撮影枚数289枚
? 飛行エリア面積???約12000㎡
(申請地及び地権者所有地)
? 飛行による画像取得範囲面積???約40000㎡
背
景
空
中
写
真
の
解
像
度
が
低
く
世
界
測
地
系
で
の
現
況
測
量
結
果
と
の
ズ
レ
も
見
受
け
ら
れ
る
背
景
空
中
写
真
の
解
像
度
は
上
が
っ
た
が
UAV
搭
載
の
GNSS
を
基
に
し
た
位
置
精
度
が
低
く
、
相
変
わ
ら
ず
現
況
測
量
結
果
と
の
ズ
レ
が
見
受
け
ら
れ
る
地
上
基
準
点
の
設
定
に
よ
り
、
高
い
解
像
度
と
位
置
精
度
を
実
現
? 個人レベル
? UAV利用には適?不適があり現場毎に判断する必要がある
? さらに慎重なカメラ(レンズ)キャリブレーションの必要
? オーバーラップ?サイドラップや地上解像度がなるべく等しい画像撮影を行って検証
(現場の高低差?マニュアル/自動運行それぞれの問題)
? UAV を用いた公共測量マニュアル(案)への準拠
? 自動認識対空標識使用による作業効率化(Phantom4では高度30m程度から露出設定難、白飛びが出やすく)
? 自動運行(MissionPlanner/Litch利用)→ 今年1月3日 DJI GS proリリースにより航路設定も許可申請も楽に?
? 解析PCのハイスペック化(特にグラフィックボードとメモリ)
? 土地家屋調査士組織レベル
? 測量業者に比べての導入率の低さ???28%の測量業者がUAVを導入
→全国測量設計業協会連合会加盟事業者2537社に対するアンケート結果から(平成27年10月国土地理院実施)
? 特に災害時などには大きな力を発揮出来ると見込まれる中、国土地理院の“ランドバード”やCrisis
mappersの“Drone Bird”のような組織的なチームで情報共有しながらの研究と研鑽、社会貢献へのアプ
ローチを。(折角、知識?技能?組織のバックグラウンドがしっかりし土地家屋調査士だからこそ、散在した個人が
バラバラに活動してゆくことは様々な意味でソースが勿体無い)
? 専門家であり測量技術者でもある私達が、UAV登場によって初めて測量に新規参入しようとする個人?業者
達に知識?技能において劣る様なことがあってはならないし、その為には今のうちからの研究?対応が必要
出典:GIM international 2016年12月号
5.
? 既存業務だけの枠に囚われる事なく、拡がってゆく「測量の可能
性」としてUAV、そしてSfM/MVSの研究を続けてゆきたい。
? UAV利用による測量は測量士やその他、測量系ライセンスのない新規参
入業者とも競争に。しかし、土地家屋調査士の知識?技術で活用に関し
て研究しておくことは“今なら”大きなアドバンテージとなる。
? 操縦(パイロット)や解析を下請けにするとしても技術者として「知ら
ない?分からない」は避けたい。
? (ドローンに限らず)一人よりも調査士集団として皆で。
? 情報や経験を共有しながら共感、応援、そして協働してくれる仲間を
もっと作りたい。
御清聴有難うございました。

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Editor's Notes

  • #6: 「土地家屋調査士の業務と制度」(三省堂2004年)307頁「裁判所から見た土地家屋調査士」 『例えば、土地家屋調査士が公図、分筆時の図面や係争地の航空写真等を拡大し、これを現在の実測図面に投影ないし対比されるという作業をした上で境界の判定をした意見書がある。これは一見すると、まことに論理的な技法であるように思える。しかしながら、この立論は、過去の図面作成過程において不可避的に発生した計測誤差、線分が拡大されることによって発生する一定の幅等の存在を考慮していない。専門家を前にして恐縮であるが、航空写真すら、空中から一定の角度で、球状である地上を撮影したものであるから、それを二次元の図面に投影すれば、一定の歪みが生じることが避けられない。ところが、修正要素について何ら考慮することなく、既存の書類を絶対視し、これに全面的に依拠(いきょ)して解決を見出そうとする技法は上述した制約を無視した議論であり、たとえ計算それ事態が性格であっても、その結論は実体から離れていて採用することが出来ないばかりか、ときとして、土地家屋調査士という職業自体に対する国民の深刻な不信感すら与えかねない。』
  • #7: 最后の一枚は、鲍础痴撮影によるオルソ画像を背景に
  • #8: 一言で言えば、ステレオ写真実体视をコンピュータ処理で行うようなもの。
  • #14: おもちゃのGPS無しドローン=マニュアル車 最新のPhantom等=衝突回避機能等付きのオートマ車(より実際性能上) フライトシミュレータもGPSを入れる、切るといった設定が可能。
  • #19: フライト範囲の中心部付近の検証点(4級基準点杭)で誤差4~4.5cm フライト範囲の際(の直下)近辺の検証点(ワッシャー付金属鋲)で誤差5~6cm フライト範囲直下より外側の検証点(コンクリート杭)で誤差8~9cm
  • #21: 韓国LX、国土情報公社は外国での地籍測量にも進出。 ウルグアイではUAVでの空撮により都市部12万平方キロメートルをGCP150点、150メートル高度からの撮影で平面精度5cmの画像を作成、既存地籍図の幾何変換接合等を行う。 GIM International記事はアフリカやインドネシア等。オルソフォトを作成した後、地域参加型地図作成。
  • #22: 色々な形で土地家屋調査士の分野も専門性が広がりながら細分化してゆくと思われる。 それぞれが、テーマを持って得意を伸ばしてゆくことで専門性が深まると同時に、土地家屋調査士そのものの可能性も広がってゆくと考える。