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モンゴル国の动向と北东アジア
モンゴル国の动向と北东アジア
モンゴル国の动向と北东アジア
モンゴル国の动向と北东アジア
モンゴル国の地理?人口
国名:「モンゴル国」(Mongolia)
面積:156万4100?
全国人口:324万人(2018年末
現在)
首都:ウランバートル(人口149万
人)
言語:現代モンゴル語(一部カザフ
語も通用)
資料:「白地図専門店」
URL: http://www.freemap.jp/
モンゴル国の政治(1) 概要(2019年11月1日時点)
? 政体:半大統領制(拒否権を有する大統
領と国会が指名する内閣が行政を担当)
? 国家元首:Kh. バトトルガ大統領(民主
党)
? 内閣首班:U. フレルスフ首相(モンゴル人
民党)
? 国会:一院制「国家大会議」(任期4年、
定数76)
? 主要政党:モンゴル人民党(国会内64議
席)、民主党(7議席)、正義市民統一
同盟(2議席)、モンゴル人民革命党(1
議席)
写真:モンゴルの立法?行政の中心
「政府宮殿」
モンゴル国の政治(2) 特徴と近年の動向
? アジアでは比較的民主化が進展(フリーダム?ハウスによる2019年自由度スコ
アは85、アジアでは日本?台湾に次ぐ3位)
? 政権はあまり安定せず(選挙のたびに政権枠組み変化、首相が任期を全うし
た例は少数)
? 直近の総選挙(2016年)では人民党圧勝も、その後に内紛勃発。2017年
には首相交代、2018年には新首相不信任案をめぐり内閣分裂、2019年には
国会議長解任
? この間に最大野党民主党でも内部対立露呈。一部国会議員が離党して新党
設立、員数不足で国会議員団(会派)解消の事態に
? 2020年に総選挙予定。与党人民党が過半数を維持できるかが焦点だが、選
挙制度の決定が先決
モンゴル国の経済(1) マクロ経済指標
? 通貨:トゥグルグ、?1=24.87?(2019年
12月15日モンゴル銀行当日レート)
? 国内総生産:114億3363万ドル
(日本4兆8599億5056万ドル)
? 1人当たり国民所得:3270ドル
(日本38470ドル)
? 物価上昇率:10.6%(日本0.5%)
? 失業率:6.4%(日本2.8%)
? 経済成長率:5.3%(日本1.9%)
資料:World Development Indicator [n.d.]
(通貨除き2017年の値).
写真:首都ウランバートルの発電所?
工業群
モンゴル国の経済(2) 産業
? 2011年に過去最大の経済成長を記
録も、その後は伸び鈍化
? 2017年にIMF支援下で経済再建開
始、以後成長回復
? 最大の生産部門は鉱業?採石
? 第3次産業の生産が第1次?第2次
産業を上回る
9
資料:Mongolian Statistical Information Service
[n.d.](2018年は予測値).
モンゴル国の経済
(3) 対外貿易
10
資料:National Statistical Office of Mongolia
[2018]. Socio-economic Situation of
Mongolia, December 2018, Ulaanbaatar.
? 圧倒的な鉱物資源依存
(特に石炭、銅精鉱)
? 輸入に占める燃料、輸送機器の
比重大
? 圧倒的な対中国貿易依存
? 対日本貿易は大幅な輸入超過
その他のポイント
? かつては世界で2番目の社会主義国
? 1992年までの国名は「モンゴル人民共和国」
? 第2次世界大戦後は長らく旧ソ連?東欧ブロックの一員
? 中国にあるのは「内モンゴル自治区」
? モンゴル国とは若干~かなり言語が異なる
? ロシアにもモンゴル系の人々は多く居住
? 遊牧民?世帯は少数派
? 20世紀に近代化、産業化進展
? 1990年代に一時遊牧回帰が見られるもその後は首都一極化加速
? 現在では人口の半数程度が首都ウランバートルに集中
モンゴル国の动向と北东アジア
北東アジアとモンゴル(1) 対立の中の北東アジア
既存の対立構造
+
同盟国?同一陣営内の利害対立
+
アメリカのプレゼンス低下
↓
対立と火種だらけの地域に
北東アジアとモンゴル(2) 全方位の友好国モンゴル
社会主義時代からの友好関係
+
ペレストロイカ?民主化以降の
全方位外交
↓
(ほぼ)全ての国?地域と友
好関係の構築に成功
モンゴル国対外関係の基本的特徴
? 隣国ロシア?中国との善隣関係が基本
? 他の主要国とは「第三の隣国政策」により関係強化
? さらに全方位外交も展開、全国連加盟国との国交樹立を目指す
? 軍事面では他国との同盟に参加せず、国際協力を基軸に(国際平和維
持活動への部隊派遣、国際軍事演習の実施)
? 地域安全保障問題へは積極的に関与、仲介者として存在感をアピール
? 最近は地域経済統合への動きにも関心を示す
モンゴル国の対外関係(1) ロシア
? 社会主義時代は庇護者?支援者(旧ソ連)と「16番目の共和国」の関係
? 1990年代からは債務問題等で対立も、現在は既に解決
? 国民の対ロシア世論もきわめて親和的 16
モンゴル国の対外関係(2) 中国
? 中ソ対立時代は激しく敵対、その後経済を中心に関係拡大
? 2014年には全面的戦略パートナーシップ宣言
? しかし経済?人口規模の圧倒的さを前に、国民感情は複雑
17
モンゴル国の対外関係(3) その他の主要な国際関係
? アメリカ
? 民主主義国としてのよしみ、 文化面での影響力も大
? 経済関係はこれから、モンゴルからの輸出関税大幅削減に期待
? ヨーロッパ諸国
? 中東欧諸国はかつての「兄弟国」
? 他の諸国とも基本的に関係良好
? 韓国
? 1990年代にモンゴルからの出稼ぎ労働者急増、結婚移住者も現れる
? 輸入製品、帰国者?韓国からの渡航者を通じて韓国文化も浸透
? 北朝鮮
? 北朝鮮成立直後から現在まで国交維持、要人もしばしば往来 18
モンゴルと北東アジア(1) 朝鮮半島問題へのコミット
? 南北双方とのパイプの存在が強み
? 国際会議開催、日朝間の交渉や接触の場?
機会提供等を通じて平和的仲介者としての
存在感をアピール
? 2018年にはエルベグドルジ前大統領が米朝
首脳会談のウランバートル開催を呼びかけ
(左ツイート参照)
モンゴルと北東アジア(2) 経済統合への参加
? (モンゴル?ロシア?中国)3ヶ国経済回廊構想
? 2016年の3ヶ国首脳会談でモンゴルから提案
? モンゴル経由のロシア?中国間トランジット輸送路開発が主旨
? 北東アジア統一エネルギースーパーネットワーク
? 2018年にバトトルガ大統領が提唱
? 北東アジア諸国にまたがる電力網構築を構想
? ロシア?モンゴル?中国間天然ガスパイプライン建設事業
? モンゴル政府積年の念願
? 2019年のフレルスフ首相ロシア訪問でプーチン?ロシア大統領から合意、
事業化の見込み
直面する課題(1)インフラ整備の遅れ
? 鉄道建設の遅れ
? 舗装道の未整備
? 特に南部の大規模鉱山からの資源
輸送はトラック頼み、環境破壊や国境
での渋滞が問題に
? 電力網、上下水道も未発達
資料:モンゴルの鉄道路線、アジア経済研究所編集『アジア動向年報2019』
アジア経済研究所より
直面する課題(2)外国投資?国際金融取引面の不安
? 対外債務の膨張
? 通貨不安から2017年にIMF管理下に
? 法体制の未整備
? 2019年に「マネーロンダリングおよびテロ資
金供与防止のための国際機関である金融
活動作業部会」(FATF)グレーリスト入り
? 「資源ナショナリズム」+環境不安
? 「天然資源は国民のもの」という意識
? 環境問題への潜在的不安
? ナショナリズムが環境不安を吸収、外資主
導の資源開発への反感煽る
写真:モンゴル最大の銅山を運営
するオヨー?トルゴイ社
今後の焦点
? 上海協力機構(SCO)への正式加盟
? 中国?ロシア?中央アジア4ヶ国?インド?パキスタンによる地域協力機構
? モンゴルは現在オブザーバー。正式メンバー化を目指す動きが表面化も
? ただし国内は賛否両論
? ユーラシア経済連合(ECU)との経済協定締結
? ロシア?ベラルーシ?カザフスタン?アルメニア?キルギスによる経済同盟
? フレルスフ首相が2019年訪ロ時に統一市場構築の意向を明らかに
↓
どちらもロシア?中国との関係強化に向けた動き
モンゴル国の动向と北东アジア
日本?モンゴル関係の概要
? 1972年に国交樹立
? 民主化以後関係が急拡大
? 現在日本は対モンゴル最大援助国(表参照)
? 日本はモンゴルの「第三の隣国」の1つ
? モンゴルでの対日本感情は概して良好
25
表 2015年対モンゴル経済協力実績上位5ヶ国(単位:100万ドル)
国 金額 国 金額 国 金額 国 金額 国 金額
日本 100.7 韓国 26.14 ドイツ 25.23 スイス 25.22 オーストラリア 10.41 216.76
70.29
資料:外務省ウェブサイト(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/region/e_asia/mongolia/index.html)
合計
(参考)国際機関援助総計
1位 2位 3位 4位 5位
モンゴル?日本関係史(1)モンゴル再独立と日本
? 清朝の勢力下に置かれていたモンゴルは
1911年の辛亥革命に乗じて独立宣言
→日本は黙殺、独立頓挫
? 1921年の人民革命で北部のみ独立回復、
1924年にモンゴル人民共和国(現モンゴ
ル国の前身)成立
? 当初は日本との関係構築を目指す動きも見
られたが、結局はソ連の衛星国に
? 満州国成立によりモンゴル?ソ連と満洲?
日本が直接対峙。国境付近での競り合いも
? モ?満間で交渉による解決を目指す動きも
結局は抑圧される 26
写真:人民革命の英雄D. スフ
バータルの像
モンゴル?日本関係史(2)
二度の対日交戦
? 1939年:ハルハ河戦争(ノモンハン事件)
→モ?ソ連合軍が満?日を撃退
? 1945年:モンゴルの対日参戦「解放戦争」
→モ?ソ連合軍が満州国?南モンゴルに進撃、
一時は勢力下に
27
左上写真:ロシア大使館前のハルハ河戦争戦勝80周年記念
ボード
左下写真:1945年のソ連?モンゴル軍の進撃
モンゴル?日本関係史(3)日本人のモンゴル抑留
? 第2次世界大戦終戦後にソ連?モン
ゴルが占領地の日本人を抑留、シベ
リア?モンゴルに連行
? モンゴルではウランバートル中心部
の建設、地方都市建設等に使役
? 抑留者の労働により政府宮殿、オペ
ラ劇場、文化ホール等、ウランバー
トル市内の核となる施設が完成
? モンゴル全国で約17,000人の日本
人が強制抑留。うち1,600人余りが
現地で死亡
28
写真:ウランバートル北部ダンバダルジャー
の日本人抑留者記念公園(旧日本人墓地)
モンゴル?日本関係史(4) 冷戦期の隔絶
? 第2次世界大戦後もモンゴルはソ連の
衛星国に、日本との交流はほぼ無し
? 1972年の国交樹立後も関係は深まらず
? 当時の証言より:
「日本が『敵である』というイメージ、また、日
本人に対する『サムライ戦士』というイメージは、
過去数十年間、一般のモンゴル人の心の中
で、非常に強くやしなわれてきた感情である。
それは、あらゆるイデオロギー的な手段(文
学、映画、テレビ)を用いて、なされてきた」
※ B.バトバヤル著、田中克彦?芦村京訳(2002)『モンゴル現代
史』明石書店、p.151
29
写真:ウランバートル市街地南部ザイサ
ン?トルゴイにある戦勝記念モニュメント。
ソ連?モンゴル両国の兵士が旭日旗を踏み
つけている
モンゴル?日本関係史(5) 体制転換と関係拡大
? 冷戦終結、中ソ和解、民主化で両国間の障
壁消滅
? 市場経済化とソ連消滅からモンゴル経済混
乱、日本が主導で国際支援実施 → 対日感
情好転
30
上写真:朝青龍(当時)大関昇進を祝う大看板
左写真:村上春樹『1Q84』モンゴル語版出版の宣伝
? モンゴル人力士の大相撲登場と席巻 → モ
ンゴルでも盛んに報道、日本が身近に
? 近年では相撲以外の日本文化の紹介も進む
日本?モンゴル関係の今後の焦点
1. 経済関係の拡大
? 2015年に経済連携協定(EPA)締結、2018年に入って貿易拡大
? 日本の地方企業でモンゴルへの進出を図る動きも
2. モンゴルからの人材受け入れ
? 2019年6年時点で日本全国に約12,000名のモンゴル人が在留(法務
省在留外国人統計)。
? 在留モンゴル人は留学生、家族滞在者、技能実習生が主
? 同時点でのモンゴル人技能実習生は1,846名(上掲書)。今後は「特定
技能」人材受け入れも見込まれる
? 高知県内のモンゴル人在留者は36名。技能実習生の受け入れも既に開始
→ どちらも高知県にとって、決して無縁ではない!
本講のまとめ
本資料中の写真はすべて講師(湊)が撮影したものです。また、地図および国旗は著作権フリー素材を使用しております。
講師が特に許可した場合を除き、本資料の一部または全部の転載、インターネットへの投稿等による公開はお控えください。

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