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バイオビジネスについて
2014/2/21
沢井悠
バイオベンチャーとは
「バイオベンチャー」と呼ばれる企業たち
? 上場しているバイオベンチャー企業
バイオベンチャーの定義
? 講師の勝手な理解
? バイオテクノロジー(生命現象にまつわる技術?サイエンス)を
柱に事業展開している
? 「wet技術」(=ラボ?実験室)を持つ会社が多い
? ほとんどが創薬事業
(バイオベンチャー = 創薬ベンチャーだと思っている人も)

? 海外では、”Biotech”と呼ばれる
バイオテクノロジーとは何か?
バイオテクノロジーとは何か?
ガリガリ君の青色の正体
スピルリナ
? スピルリナ : 「藻」の一种
ガリガリ君の青色の正体
バイオテクノロジーを利用している公司
身近なバイオテクノロジー
? 食品?化学品?製薬業の企業で、利用していない企業はほ
とんどない

? 古くは、発酵?醸造技術
? 酒造りや醤油製造と密接に関係
? 人類の歴史が始まった頃から利用されていたもの

? 70年ほど前に実用化された「ペニシリン」はカビの毒素
バイオベンチャーの特徴
バイオベンチャーの業態分布
? 約8割が創薬ベンチャー

1

2

1
医療支援

研究支援
食品

16

創薬
代表者の年齢分布
? 50代~60代が80%を占める

1

3

8

8

30代
40代
50代
60代
売上高?経常利益
? 売上がなく、赤字幅の大きい企業も多い
(典型的な創薬ベンチャーの収益構造)
売上高
(百万円)

6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
(1,000)
(2,000)
(3,000)

経常利益
創薬ベンチャーのビジネスモデル
? 画期的新薬を開発し、「一発当てる」モデル

(出典)オンコリスバイオファーマIR資料
バイオベンチャー事例

? 2013年に上場
? エイズやがんの治療薬を開発
? 大手製薬会社(Bristol Myers)とライセンス契約
? 開発の進捗に応じて合計280億円を得られる契約
バイオベンチャー事例

(ライセンス契約の内容)

開発段階の手取り金

上市後の手取り金

契約期間

? 契約時に一時金として250万米ドル
? 開発マイルストーンの達成毎に総額1億850万米ドル
? 予め設定した純売上高の達成に応じて、
最大1億7,500万米ドルの販売マイルストーン
? 純売上高の達成レベルに応じて、
純売上高に対する8%~10%のロイヤリティ
? 許諾された国ごとに、以下のいずれか遅い方まで
? 製品の販売開始から10年間
? 特許の有効期間
IT系スタートアップとの違い?類似点

ITスタートアップ

バイオベンチャー

投資額

?1000万円

1億?100億円

差別化ポイント

アイデア

科学水準、技術

経営陣

若い(20代?30代)

業界経験者(50代?60代)

実用化期間

数ヶ月?1年

5~10年

実用化
ビジネスモデル

大手への導出、M&A

大手製薬への導出
(多くは自社販路を持たない)
リスク要因
? 資金
? 製品を1つ完成させるまでに多大な投資が要る
(通常、10億円~100億円)

? 規制環境
? 医薬品?医療制度に関する各国の規制環境
? 特許政策に関する各国の規制環境

? 科学的水準
? 科学的?技術的な要素が事業の足枷となることが多い
バイオベンチャーが生まれた
歴史的経緯
(1)製薬産業の構造変化
? 製薬業における垂直統合ビジネスモデルの解体
? 基礎研究、臨床開発などの機能がバイオベンチャーに
とってのビジネスチャンスに
むかし

いま

臨床開発
基
礎
研
究

臨床開発
製
造

薬事申請

販
売

基
礎
研
究

製
造
薬事申請

販
売
(2)バイオ技術の発達
? バイオテクノロジーの発展
? 1985年: PCR法(polymerase chain reaction)
? 生命の設計図”DNA”を人工的に合成できるようになった
セントラルドグマ
? 設計図: DNA
注文書: mRNA
体の部品: タンパク質
DNA
(設計図)

mRNA
(注文書)

タンパク質
(体の部品)
DNA
(設計図)

A4換算
200万ページ

mRNA
(注文書)

A4換算
数ページ
(必要な部分のみ)

タンパク質
(体の部品)
IT技術の貢献
? IT?情報処理技術の発展で
「ゲノム解析」が可能になった

? 1個体全部のDNA情報を
「ゲノム」と呼ぶ

? 人間の場合、30億文字の
A, T, G, Cの組み合わせ
?3ギガバイトのテキスト情報
(実際には4bitくらいで表現できるので200MBで足りるが)

? ゲノム解析
= ギガバイトサイズの
テキストマイニング作業
ヒトゲノム計画(Human genome project)
? 1990年より開始された国際プロジェクト
? 米国を中心に3000億円を投下、
ヒトの標準的なゲノム配列を解読することが目標

? 2000年にヒトゲノム概要(ドラフト)の解読完了
? 2003年にヒトゲノム解読が
「完了」した
ゲノム解析による病気の診断

? 2003年にすい臓がんと診断
? スタンフォード大、ジョンズホプ
キンス大の医療チームによる
ゲノム解析が実施された

? 治療可能ながん種であることが
分かり、延命に成功
(3)実験手法の共通化?効率化
? 「ラボ?オートメーション」
(4)シリコンバレーの成長
? バイオベンチャーには多くのテック系VCが投資
? 適切なリスクマネーの供給がバイオベンチャーにとって必須
? 米では多くのバイオベンチャーがカリフォルニア近辺に立地
最近の业界动向と今后の展开
バイオベンチャーの工夫
? バイオベンチャーのLean Startup
? Vertual Biotechのモデル
? 多数の受託機関が登場し、ファブレスモデルを取り易くなった
? CRO: Contract research organization
? CMO: Manufacturing
? CSO: Sales

臨床開発
基
礎
研
究

初
期
製
造
薬事申請

工
業
的
製
造

販
売
創薬ベンチャーの工夫
? シーズの導入
? 大学や研究所から導入(目利き力)
? 大手製薬会社が捨てたものを導入
? 開発能力がない
? フォーカス領域外
? 市場規模が小さい、など
今後の可能性
? 新エネルギー開発
? 食糧生産

? 个别化医疗/个别化予防
(1)新エネルギー開発

? 「藻」をバイオ燃料源として活用する研究を行っている
(「ミドリムシ」ではないが???)

? JX、日立プラントテクノロジーと提携
? ANAがバイオジェット燃料を
試験飛行に採用
国内の藻類新エネ開発の陣営
? IHI NeoG Algae
? JX日鉱日石?日立プラントテクノロジー?ユーグレナ
? デンソー?出光興産
(2)食糧生産への応用
? 「緑の革命」
? 1940年?1960年代に起こった変化
? 新品種の投入、化学肥料の使用、灌漑技術向上により
食糧の増産を実現
? 東南アジアでは単位面積あたりの収量が2~3倍に
? 世界的な食糧危機を回避
ゲノム解析による生態解明
? 水産業、養殖への応用
ゲノム育種
? 動物、高等植物のゲノム解析
生物種
牛

解読年
2009年

備考

豚
イネ
大豆
イチゴ

2012年
2002年
2010年
2011年

コムギ
トマト

2012年
2012年

Heinzなど

カカオ

2013年

M&Mなど

その後、様々な品種のゲノム解析へ
「遺伝子組み換え食品」
? 人為的な生物の「改良」は大昔から行われている
? 品種改良、交配
?
?
?
?

小麦、トウモロコシ、ジャガイモ
コウジカビ
犬、猫、牛、豚
競走馬(サラブレッド)

? どこからが「組み替え」なのか?
? 人為的に「進化」を起こさせる方法
? 遺伝子組み換え
(「遺伝子組み換え」と「セルフクローニング」の境界線)
? 超高速育種
(3)個別化医療(個別化予防)
? 製薬産業のビジネスモデル(薬を作って売る)は
崩壊の危機に瀕していると言われる

? 個人個人に合わせた治療法が求められる時代に

? 「医疗」から「ヘルスケア」への领域の拡大
病気のプロセス
? 病気にはプロセスがあるため、早めの介入(予防)の重要
性が叫ばれている

健康

半病気

病気

死
ヒト一人のゲノム解析コスト
? ほんの10年前には10億円を要したが、今では100万円以下
ゲノム解析のいま
? 遺伝子診断の普及
? 費用は数十万円レベル
?一般の人の手が届く範囲

? 将来の自分の病気リスクが
予め予測できる時代に

(TIME, 2013/5/27号)
再生医療への期待
? iPS細胞
? 2006年に樹立
? 4つの遺伝子(山中ファクター)を導入
し、細胞を「初期化」

? 樹立当時はがん化リスクが高く、また
作製効率も低かった

? その後、品質向上の努力が図られた
? 細胞のがん化リスク低下
? 作成効率の向上
? 臨床応用の研究が進行中
? 網膜色素上皮細胞
再生医療への行政側の後押し
? 2013年は3件の再生医療関連法案が国会に提出された
再生医療推進法(略称)

4月26日成立

? 安全な研究開発や普及に向けての基本理念を確立
再生医療等の安全性の確保等に関する法律

11月20日成立

? 細胞培養加工が医療機関から外部業者に委託可能に

薬事法等の一部を改正する法律案

? 再生医療製品の条件?期限付き承認か?可能に

11月20日成立
第二のゲノム(Second Genome)
? 一生変わらないゲノム情報に対して、第二のゲノムとして
「人体に棲みつく細菌叢」が注目されている。
? 人体と細菌は「共生」している
という考え方

? 人間の体の細胞は60兆個
人体に共生する細菌は1000兆個!

? 日本人はワカメを代謝できる
?日本人に特有の腸内細菌のせい
健康管理は自己責任の時代へ
? 医療費抑制圧力のため、
健康管理が自己責任となるのはほぼ既定路線

? 超低金利、年功序列崩壊などで、マネーについては
自己責任との意識が普及してきた
?「健康管理」も同じになる?

? ファイナンシャルプランニング、ライフプランニング
は将来への経済的課題だけでなく、
健康管理問題を扱うトピックになるのでは?

? 個別化医療、個別化予防は上記路線中に
位置づけられており、バイオ?ヘルスケア各社は
これをビジネスチャンスと捉えている

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