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女性医师に対する妊娠?出产?育児中
    のサポートについて

 大阪赤十字病院 新生児?未熟児科兼救急部
         坂本晴子
今日お話しする内容
自己&家族紹介
これまでの仕事と家庭生活のあらまし
現在の1日のタイムスケジュール
妊娠、出産、育児中に利用できる制度
女性医師 VOICE
おわりに
自己&家族紹介

1999  京都大学医学部卒              1999  結婚
                            2001  長女出産
1999-2004  神戸市立中央市
民病院                         2006  次女出産
2003  救急医学会認定医、小児科学会認定医取得   2009  三女出産
2004- 現在 大阪赤十字病院
2007  小児神経科専門医取得
2009   AHA PALS インストラクター
2012  周産期新生児専門医取得  
研修医時代(1ー2年目)

救急部、麻酔科、小児科をローテート
朝6時?8時半出勤、夜9時?11時まで                       洗濯は2日に1回
                                          程度
救急部当直を月4回程度
救急医学会、小児科学会に入会、研修開始                       掃除は週末のみ
学会発表(運転席のパワーウィンドウで頚部圧迫され心
肺停止を来した4歳男児例、焼き鳥の串による口腔内外                 朝食は夫と簡単に
傷が原因と考えられる Streptococcus salivarius 髄膜炎   、
の1例)                                      夕食は夫と外食ま
                                          たは病院で弁当
熱傷、インフルエンザ脳症 (Hemorrhagic shock
encephalopathy) 、溶血性尿毒症症候群、 Leigh 脳症、
先天性全タイプ1線維ミオパチー、 新生児粟粒結核、
超低出生体重児の患者さんとの出会い
第1子妊娠判明( 2年目の冬)
 まず不安
 同期産婦人科医からの励まし
 上司との面談
 先輩医師からのアドバイス
 主治医(同時期出産予定の産婦人科医)
 からの励まし
 先輩医師や看護師からのこころづかい
第1子出産前後( 3年目)
小児神経学会入会
産前休暇1ヶ月。産前休暇中に初めての論文を完成(
焼き鳥の串による口腔内外傷が原因と考えられる
Streptococcus salivarius 髄膜炎の1例)
産後休暇2ヶ月
                                   出産前から「保活」を開
院内保育所は当時は医師のこどもは入所できず、仕事中
                                   始
は授乳できなかったため、毎日病院で搾乳し、医局の冷
                                   母子手帳交付時に保育所
凍庫で保存して持ち帰っていた。
                                   について相談
当直は産前は分娩予定日1ヶ月前まで、産後は4ヶ月か          保育所の見学
ら再開。                               新年度からの保育所入所
生後8ヶ月までは実家から通勤していたため時間外勤務          申し込み、嘆願書作成
                                   復職してゆっくり一人で昼ご飯
も可能であった。                           を食べたのがとてもうれしかっ
                                   た!小児科医の仕事がそれまで
                                   と全く違うように感じられた。
専攻医時代 ( 4?5年
       目)
フルタイムおよび時間外勤務、当直月に5?6
回、 NICU on call 週に1?2回
周産期カンファレンス立ち上げ
学会発表(当院小児科における過去10年間の
誤飲?中毒?過量投与症例について、超低出生
                          生後8ヶ月より 病院近くに
体重児の症候性高トリグリセライド血症)
                          転居、私立認可保育園入園
論文発表(ソマトスタチンアナログが奏効した
外傷性膵炎後膵仮性嚢胞の1例)           主に夫が朝の送り、私が夜
                          のお迎えと食事作りを担当
被虐待児症候群の患者さんの診療と裁判
PALS プロバイダーコース受講、救急医学会認   掃除は週末
定医、小児科学会認定医取得             約1年は近くの公団を借り
保育所で事故予防や小児の疾患について講義      て母に住み込んでもらった
                          その後はファミリーサポー
                          ト制度を頻繁に利用
                          時間外子連れ出勤もあり
                          保育園のママ友、パパ友と
                          の交流、地域とのつながり
女性医师サポートシェア版
スタッフ医師となって(6?7年
大阪赤十字病院小児科に異動、救急部兼務となる
                  目)
2年間小児科病棟、 NICU 、麻酔科(主に小児手術の
麻酔)、大手前整肢学園をローテート
フルタイム勤務、救急または NICU 当直月4?5回、
時間外勤務
朝の勉強会の立ち上げ (PALS/APLS 、 問診と診察)
児童虐待予防院内ネットワーク委員                           通勤片道約1時間
                                           1年間は車通勤
超?極低出生体重児、低酸素性虚血性脳症、重症心身
                                           1年後に転居、食洗機あり
障害児者、代理ミュンヒハウゼン症候群の患者さんの
                                           。公立保育所に転園
診療
                                           急な時間外は夫、実家の母
論文発表( A case of congenital neuromuscular   やファミリーサポートの方
disease with uniform type 1 fibers)        に電話して調整
周産期新生児専門医研修開始                              1年して時間外は当直医や
                                           上級スタッフに任せて帰宅
                                           してよいと部長から言って
                                           いただく
第2子出産前後(7?9年目)
妊娠7週から出血あり、1週間自宅安静、その後当
直免除。つわりや出血で妊娠20週頃までは1ー数
日単位で休む。研修医の指導担当を断念。
産前休暇6週、産後休暇8週。
育児休暇7ヶ月。育休後1ヶ月間は淀川キリスト教
病院 NICU で研修。フルタイム。
                                   出血があり、安定するまでは不安で
大阪日赤復職後は、 新生児?未熟児科に所属。 フ           あった。
レックス勤務を利用、1歳までは当直免除。時間外            つわりの時期の電車通勤がつらかっ
勤務あり、 on call なし。1歳以降 NICU 当直月4回   た。
                                   当直免除のおかげで体力的にはずい
。                                  ぶん楽になった。
                                   育児休暇は満喫させていただき、第
学会発表( 当院における児童虐待症例の検討と児童           1子のときよりもずっと育児を楽し
虐待予防連絡院内ネットワーク委員会の役割)              めた。この楽しさが第3子の妊娠出
                                   産につながったと感じている。
小児神経学会専門医取得
                                   生後9ヶ月より第1子と同
                                   じ保育所に入所。
                                   時間外勤務は夫、母、ファ
                                   ミリーサポートの方に対応
                                   を依頼。
第3子出産前後(10?14年目)


10年目はフレックス勤務、 NICU 当直月4回、時間外あり。堺    10年目、第1子が
市子ども虐待検証部会委員となる。                    入学。保護者運営の
11年目の春、第3子妊娠。当直免除となる。 PALS インストラ    学童保育の利用を開
クターコース受講。学会発表(羊水過多と重症新生児仮死を呈し       始し、お迎えが2カ
た Moebius 症候群の女児例)。産前休暇6週、産後休暇8週、   所となる。
育児休暇6ヶ月。                            小1の壁
12年目、復帰後半年間、大阪市立総合医療センター新生児科で       12年目、生後8ヶ
研修。フルタイム。                           月より第3子が第2
13年目、大阪日赤復職後は育児短時間勤務制度を利用し週25       子と同じ保育所に入
時間勤務。時間外勤務あり。                       所。小学校のプール
                                    専任指導員になる。
14年目より当直月2回再開。周産期新生児専門医取得。 PALS
                                    ルンバを購入
プロバイダー?リニューアルコースを大阪日赤で初開催。現在
NICU 病棟業務、神経外来、未熟児フォローアップ外来、整肢学
                                    13年目、小学校の
園リハビリ診察を担当。                         PTA 役員を務める。
1日のタイムスケジュール
   勤務時間 8:00-13:30              勤務時間 12:00-

5:00
         の日                       17:00 の日
                               6:00
             起床                                起床
         片付け、こどもたちの登校?登園準備、朝            朝食準備、片付け、 こどもたちの登

               食準備、身支度                   校?登園準備、 夕食下ごしらえ
6:45           自宅出発            7:30          長女出発
          病院到着、周産期カンファ         8:30       夫?次女?三女出発
8:00
                 kann                       掃除、洗い物
9:00-            外来
12:00-                         10:30         自宅出発
               病棟業務
                               12:00-
                                           病棟?外来業務
13:30-                         17:00
               病院出発
15:00                          17:00-
                                         カンファレンス?勉強会
           帰宅後夕食準備、お迎え         17:30
19:30-           夕食                     病院出発、保育所?習い事お迎え、帰

21:00-       入浴、翌日の準備                           宅
                               19:30-
22:00                                    夕食、入浴、翌日準備
              洗い物、就寝
                               22:00        洗い物、就寝
妊娠出産時に利用できる制度


妊婦健診
母性健康管理指導事項連絡カードの利用
時間外、休日労働、深夜業の制限(免
除)
産前?産後休業、出産手当金、出産育児
一時金
育児中に利用できる勤務制度

育児休業制度(1歳ー1歳6ヶ月まで)、育児休業給付金
育児時間(1歳未満)
時間外、休日労働、深夜業の制限(免除)(1歳未満)
短時間勤務制度(3歳未満)
所定外労働の制限(免除)(3歳未満)
時間外労働の制限、深夜業の免除(就学前)
フレックスタイム、時差出勤、事業所内保育施設のいずれか
(就学前)
看護休暇(就学前)
子育て支援制度など
   (地域によってかなり異なる)
   (地域によってかなり異なる)



乳児保育、0歳児保育
認可保育所、認可外保育施設
休日保育
一時保育
ファミリーサポートセンター
病児保育
その他民間の家事代行サービス、ベビーシッター
女性医师サポートシェア版
現在の課題

私自身の課題
                 病院の体制としての課題

学術活動が不十分         女性医師支援が小児科、産婦人科、整
後輩指導が不十分         形外科以外にあまり広がっていない
カンファレンスなどへの参加が   チーム主治医制度が浸透していない
不十分              時間外の業務(カンファレンス、会議
                 など)がある
3年後にはフルタイム+当直が
                 一部の小児科医に負担をかけている(
出来るか不安
                 時間外、セカンドコール)
家族の体調不良時の脆弱性     休業中の代替要員が確保されていない
                 病児保育が併設されていない
テキスト
より重要度の高い支援策

病児保育、学童保育など医師の長時間労働をサポートする保育体制の整備と質的
向上
1.   医師の長時間労働の法的制限、時間外労働の制限と金銭的保証
2.   女性医師の育児休業、短時間勤務に対する補充要員の確保
3.   女性医師の管理職への登用
4.   男性の育児休業、育児部分休業などの取得促進
5.   長時間労働を前提としない新しい評価軸の構築
6.   医師の勤務内容の見直しと他のメディカルスタッフへの仕事の分担
女性医師に求められる戦略

自分で必要な情報を収集し、必要な環境を確保する
1 .家事も育児も仕事も完璧にはできないことを認識し、外
注するなど効率化をはかる
2.心理的葛藤は誰にでもあると認識し、共有することで解
決策をはかる
3.仕事を辞めないという強い意志を持つ
4.退職せず、出産後にはなるべく早く元の職場に復帰して
時短、部分休業などから段階的に仕事を増やしていく
おわりに?女性医師へのメッセージ?



小児科は、女性医師が自分の人生での経験を十分に生かすことの出来る分
野です。
できるときに一生懸命勉強して臨床能力を身につけ、それを維持し伸ばし
ていくことを常に心がけましょう。ライフサイクルのその時々での自分の
ベストを尽くしましょう。継続は力なり。
パートナーの理解と協力は不可欠です。家事が出来る人なら素晴らしいで
す!感謝の気持ちを伝えることを忘れずに。
いつも仕事をカバーしてくれる同僚や上司への感謝を忘れずに、自分が出
来る仕事、やるべき仕事は積極的にやりましょう。いつでも仕事を引き継
げるようサマライズする習慣を付け、報告?連絡?相談を心がけましょう
。

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Editor's Notes

  1. 参加者のバックグラウンドは?学生?初期研修医?後期研修医?小児科スタッフ?管理職? 基本的に楽天家。サラリーマン家庭の専業主婦の母親に育てられて成長。大学生時代は学年 100 人中女性 13 名。 女子医学生の会が開催されるもピンと来ず。 しかしポリクリ中に外科や泌尿器科で男子学生とは異なる扱いを先生方から受けて、違和感を持った。 そもそも医師を目指したのは生命誕生の不思議に惹かれたためだったが、病気であってもこどもたちのもつ生きるポジティブなパワーに魅力を感じて、産婦人科と小児科の選択を悩みつつ、最終的に幅広い疾患を扱える小児科を選んだ。
  2. 不安が大きくて、妊娠がわかった瞬間(研修医2年目の冬)には泣いてしまいました。同期の内科専攻医には、中絶するの?とも言われ、みんなそんな必死な思いで研修していたんだなあと思います。 その時点では他科のスタッフ Dr 2名以外に出産経験のある女性 Dr はおらず、とても不安でした。ほぼ同時期に出産予定の産婦人科のスタッフ Dr といろいろ相談しながら乗り越えました。部長との関係が元々あまりよくはなかったので、精神的にしんどかったですが、他の小児科 Dr はいろいろと気遣ってくださりありがたかったです。夜当直をしていると、看護師さんに切迫流産や早産をされた方が多くて、気遣う言葉をかけてもらいました。勤務している病院で出産し、同期の産婦人科 Dr に主治医をしてもらい、娘を取り上げてもらえ、また私も出血が多かったのですが上の先生がすぐに来てくれたり、新生児の先生がすぐに診察に来てくれたり、心強かったです。 つわりもひどくて、タクシーで往復通勤していた時期もありました。まだ給料も安かったし、いつ終わるのかもわからずつらかったです。第2子の時は少し出血もあったので休みを取らせてもらいましたが、第1子のときは休むあるいは業務を軽減してもらうということは知識もなかったので全く思いつきませんでした。さすがに救急当直は同期に2回ほどかわってもらいました。 元部長の副院長の先生が、事務が作成した産休についての簡単な文書を見せてくれて、産後休暇は2ヶ月で、専攻医には育休はないということで、産後2か月で復帰することが決まりました。当直は産前は臨月までしていましたが、産後は4ヶ月まで免除してもらいました。8ヶ月になって保育所に入れるまでは私と娘だけ実家に住んで、実家から通勤していました。
  3. 産前休暇1ヶ月、産後休暇2ヶ月(この間は基本無給となるが、これまでの有給休暇を消化したため1ヶ月分はお給料が出た) 自分の病院でお産したため、とても安心感があった。弛緩出血があり産科の上級医の先生が来てくれ、赤ちゃんの 24 時間診察には NICU の上級医の先生が来てくれた。授乳中にサマリーが出来てないから書けと、カルテを持って来た上級医もいた。
  4. 夫の海外出張時、母の手術入院時の破綻 保育所の先生との出会い、ファミサポを紹介してもらう 事故予防や疾患についての講義、逆に NICU 同窓会に来て子どもとの遊びを指導してもらう
  5. オリエンテーションで職員就業規則が配布され、その後も熟読している。 当初はスタッフ8人、レジデント1人体制。現在は小児科新生児科あわせてスタッフ9人、レジデント6人。小児病棟 55 床、 NICU 6床、 GCU 6床。 とりあえず1年間は新しい環境に慣れるのに必死。 台風で夜 9 時までお迎えにいけないこともあった。
  6. 育児休暇中に、生まれるときから担当していた脳性麻痺の患者さんが亡くなり、こどもをベビーカーにのせてお见送りにいった。
  7. 3人目妊娠前後に担当したメビウス症候群の児は、帝王切開、診断、リハビリと在宅移行を主治医として担当できてとても勉強できた患者さんです。 医療センターにお世話になっている間に、長女が不登校気味になってしまい、朝一緒に学校まで行ってから出勤するために、 30 分ほど遅刻させて頂いたりした時期もありました。
  8. 保育料二人で 12 万円弱、学童保育料 2 万円 一時保育1日 2400 円から 3600 円 ファミリーサポートセンター 協力会員 1時間700?800円、兄弟割引あり 病児保育 1日 2000 円
  9. 京都府立医大医学教育センター田邉智子先生 女性医師 VOICE :8人の女性医師へのインタビュー