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2019/7/1
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gb
手のひらの感覚器官としての重要性が示唆する
保育実践における触感覚利用の将来性
「ペンフィールドの地図」
(出典)
Wikipedia 体性感覚
(出典)
Image by Mike
冒頭から少し入り組んだ画像から始まっているが、まずはご容赦いただきたい。
左の図は「ペンフィールドの図」と呼ばれ、人体の各部位からの感覚入力が、大脳皮質のどの部分と関
係しているのかを示している。赤丸で囲んだ部分が、手のひらに対応している部分だ。右の図は、対応す
る大脳皮質の広さに合わせて、人体の各部位の大きさを設定した人体模型でホムンクルスと呼ばれるも
のだ。この模型を見ると、感覚器官としての手のひらの重要性が一目瞭然だ。
手のひらの感覚器官としての重要性を反映してか、アメリカでは、手袋形状の触感センサーも開発され
ている。
<参考>
MIT のセンサー手袋、たった 10 ドルなのに握ったものを認識
https://www.gizmodo.jp/2019/06/mit-cheap-sensor-glove.html
ペン、マグカップなどの日常的なアイテムを学習したデータセットを基に、この手袋センサーでものを
握ると、そのアイテムを見ることなく、76%の精度で何を握っているのか当てることが出来るそうだ。精
gb Opinion Report 株式会社 social solutions 石塚 康志
2019/7/1
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度は当然劣るものの、550 のセンサーでそれなりに人間の手のひらの感覚が再現できてしまうというか
ら驚きである。「研究者たちは、人間を手助けするロボットには、こうした触覚から来る感覚を習得して
おく必要があると考えているのだろう」とも報道されている。
生物とは「水の詰まった袋」であり、実は、その袋の表面、つまり皮膚には、ものすごい数のセンサー
が張り巡らされている。そもそも、網膜も光のセンシングに特化した皮膚センサーとも言えるし、聴覚も
鼓膜という皮膚の振動を検知している。現在のロボットには、この皮膚がないので、複雑な環境の中で動
くことができないという面があるとも言われており、その打開策として、手袋センサーのようなデバイ
スが開発されたのは、前述の通りだ。
さて、保育園という施設は、その養護という機能の性質上、園児との身体接触の密度が高くなる。
となれば、この身体接触によって、子どもたちのことを「知る」=センシングすることに、積極的な意
味があることになる。実際に、お昼寝の際には、一定の間隔で、子どもの体に手のひらを当てて、子ども
の呼吸の状況などを確認している。
ただ現状では、手のひらを当てて子どもの状態を確認しても、その結果は、文字通りの感覚的なものに
とどまり、定量的に評価することができない。また、その子どもの状態に関する情報を蓄積することもで
きない。しかし、手袋センサーのような触感をセンシングするデバイスで、保育士の手のひらで集めた情
報を、定量化し、蓄積できるようになれば、子どもたちの状態をより精緻に把握する手段の新しい可能性
が開けるのではないだろうか。
さらに、このセンサーを子どもたちが装着して、初めて粘土遊びをしたときの驚きだったり、鉛筆やハ
サミを初めて使ったときの違和感だったりを記録化し、保育士や保護者が追体験できれば、そこから新
しい子どもの発達を促す仕組みや方法を発見できるのではないだろうか。
人間の知覚する情報の中で、最も多いのは視覚情報だと言われることが多い。とはいえ、感覚器官と対
応する大脳皮質で評価したホムンクルス模型における、手のひらの存在感は圧倒的で、その触感から得
られる情報は、生物の生存にとって不可欠なものだ。しかし、これまでは、その情報を定量化し蓄積する
ことができなかったために、そのセンシング情報は等閑視されてきたのだろう。
技術進歩により、「手のひらの触感」をデータとして活用できるようになる今後、身体接触が多い保育
実践の場でも、子どもの発達のために、「手のひらセンサー」を有効活用する試みが進むことを期待して
いきたいところだ。
●当レポートは、信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するもので
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