2. 第七章 声调(2)
序章 壮语とは
…塞音の声调
第八章 統語論(1)
第一章 文字表記
…等位文?平叙文?否定文?疑問文
第二章 母音の発音(1) 第九章 統語論(2)
…短母音 …命令文?合文
第三章 母音の発音(2) 第十章 統語論(3)
…開音節と鼻音の複母音 …複文?使役?受身?比較
第四章 母音の発音(3) 第十一章 語の構造(1)
…塞音の複母音 …名詞?代名詞?数詞?量詞
第十二章 語の構造(2)
第五章 子音の発音
…動詞?助動詞?形容詞
第十三章 語の構造(3)
第六章 声调(1)
…副詞?前置詞?接続詞?語気詞
參考文獻:
張元生 覃曉航 編著《現代壯漢語比較語法》中央民族學院出版社,1993
覃國生 梁庭望 韋星朗 著《民族知識叢書 壯族》民族出版社,1984
廣西壯族自治區少數民族語言文字工作委員會編
《漢壯詞匯》廣西民族出版社,1983
廣西壯族自治區少數民族語言文字工作委員會編譯
《廣西壯族自治區小學壯文試用課本 思想品徳課》廣西民族出版社,1983
廣西壯文學校文藝班編《壯族民間故事》廣西民族出版社,1983
《中國的文字》人民教育出版社,1989
大野徹編『東南アジア大陸の言語』大学書林,1987
Links:
The River Missions Ministry : The Zhuang of China
Chinatown-online Ethnic Minorities in China : Zhuang
ChinaSource The Zhuang People
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「チワン語」
第一章 文字表記
序章で述べたとおり、現代壮语はローマ字で表記されます。
3. 正書法に用いられる文字?記号は全て日本でも普通に使われているものばかりなので、
日本のパソコン上で扱うとき、特別なフォントは必要ありません。
アルファベット 26 文字のうち、6個が母音字、15 個が子音字、4個が声调符号、そし
て1個が子音字と声调符号を兼ねています。
6個の母音字: a e i o u w
15 個の子音字: b c d f g k l m n p r s t v y
4個の声调符号: j q x z
1個の子音字と声调符号を兼ねる文字: h
「声调符号」の意味がわからない方がいるかもしれませんが、これは後で説明します。
ここではとりあえず、声の高さを表す記号であると思ってください。
次に標点符号については、基本的に英語と同じ使用法です。「. ? ! ; : “”‘’- () …」な
ど。
ただし、以下の3点は壮语特有のものです。
1. 「,」と「、」の併用
これは実は漢語と共通なのですが、「,」は文節を区切るとき、「、」は単語を列挙す
るとき、と両者を使い分けます。
2. 「’」の用法
これも実は漢語(ピンイン)と共通なのですが、複数の音節からなる単語に母音で始ま
る音節がある場合に「’」を用います。
seng + eiq → seng'eiq
(sen + geiq → sengeiq と区別するため。)
3. 書籍名?歌曲名などを表すとき、「」、《》のような括弧でくくらず、すべて大
文字で表記します。
1. 「,」と「、」の併用
これは実は漢語と共通なのですが、「,」は文節を区切るとき、「、」は単語を列挙す
るとき、と両者を使い分けます。
2. 「’」の用法
これも実は漢語(ピンイン)と共通なのですが、複数の音節からなる単語に母音で始ま
る音節がある場合に「’」を用います。
seng + eiq → seng'eiq
(sen + geiq → sengeiq と区別するため。)
3. 書籍名?歌曲名などを表すとき、「」、《》のような括弧でくくらず、すべて大
文字で表記します。
お?ま?け
5. 塞音の複母音(高い声) 30 個
ap, aep, ep, iep, ip, op, oep, uep, up, at, aet, et, iet, it, ot, oet, uet, ut, wet,
wt, ak, aek, ek, iek, ik, ok, oek, uek, uk, wk
塞音の複母音(低い声) 30 個
ab, aeb, eb, ieb, ib, ob, oeb, ueb, ub, ad, aed, ed, ied, id, od, oed, ued, ud,
wed, wd, ag, aeg, eg, ieg, ig, og, oeg, ueg, ug, wg
複母音の具体的な発音方法は次章で解説します。
第三章 母音の発音(2)
壮语の母音には長く発音するものと短く発音するものの区別があります。日本語の
「鳥」と「通り」が違う単語であるように、母音の長短を間違えると違う意味になって
しまうので、しっかり区別するようにしましょう。
開音節の複母音の発音方法
ai 「アーイ」と長く発音。漢語の「ai」に対応します。
ae 「アイ」と短く発音。
ei 「エイ」と短く発音。漢語の「ei」に対応します。
oi 「オーイ」と長く発音。
ui 「ウーイ」と長く発音。唇を突き出すのを忘れずに。
「ウーイ」と長く発音。上の ui と区別しましょう。こちらは唇を突き出しませ
wi
ん。
au 「アーウ」と長く発音。漢語の「ao」に対応します。
aeu 「アウ」と短く発音。
eu 「エーウ」と長く発音。
iu 「イーウ」と長く発音。漢語の「iao」に対応します。
ou 「オウ」と短く発音。漢語の「ou」に対応します。
aw 「アウ」と短く発音。上の aeu と区別しましょう。こちらは唇を突き出しません。
鼻音の複母音の発音方法
am 「アーム」と長く発音。最後は唇を閉じたままにします。
日本語式に/a:mu/とならないように(以下同)。
aem 「アム」と短く発音。
em 「エーム」と長く発音。
iem 「イーム」と長く発音。「イエム」とか「イム」とはならないので注意しましょう。
im 「イム」と短く発音。
om 「オーム」と長く発音。
oem 「オム」と短く発音。
uem 「ウーム」と長く発音。「ウエム」とか「ウム」とはならないので注意しましょう。
6. um 「ウム」と短く発音。
an 「アーヌ」と長く発音。最後は舌先を歯茎につけたままにします。
日本語式に/a:nu/とならないように(以下同)。漢語の「an」に対応します。
aen 「アヌ」と短く発音。漢語の「en」に対応します。
en 「エーヌ」と長く発音。漢語の「ian」に対応します。
ien 「イーヌ」と長く発音。漢語の「in」に対応します。
in 「イヌ」と短く発音。
on 「オーヌ」と長く発音。漢語の「uan」に対応します。
oen 「オヌ」と短く発音。
uen 「ウーヌ」と長く発音。唇を突き出すのを忘れずに。
un 「ウヌ」と短く発音。
wen 「ウーヌ」と長く発音。唇は突き出しません。漢語の「uen」に対応します。
wn 「ウヌ」と短く発音。漢語の「en」に対応します。
ang 「アーング」と長く発音。最後は軟口蓋を閉じたままにします。
日本語式に/a:ngu/とならないように(以下同)。漢語の「ang」に対応します。
aeng 「アング」と短く発音。
eng 「エーング」と長く発音。
ieng 「イーング」と長く発音。漢語の「iang」に対応します。
ing 「イング」と短く発音。漢語の「ing」に対応します。
ong 「オーング」と長く発音。
oeng 「オング」と短く発音。
ueng 「ウーング」と長く発音。
ung 「ウング」と短く発音。漢語の「ong」に対応します。
wng 「ウング」と短く発音。漢語の「eng」に対応します。
第四章 母音の発音(3)
塞音の複母音は「高い声」と「低い声」の区別がありますが、文字通り声の高さの違い
だけで、発声法は全く同じです。
塞音の複母音(高い声)の発音方法
ap 「アープ」と長く発音。最後は唇を閉じたままにします。
日本語式に/a:pu/とならないように(以下同)。
aep 「アプ」と短く発音。
ep 「エープ」と長く発音。
iep 「イープ」と長く発音。
ip 「イプ」と短く発音。
op 「オープ」と長く発音。
uep 「ウープ」と長く発音。
up 「ウプ」と短く発音。
at 「アート」と長く発音。最後は舌先を歯茎につけたままにします。
7. 日本語式に/a:to/とならないように(以下同)。
aet 「アト」と短く発音。
et 「エート」と長く発音。
iet 「イート」と長く発音。
it 「イト」と短く発音。
ot 「オート」と長く発音。
oet 「オト」と短く発音。
uet 「ウート」と長く発音。唇を突き出します。
ut 「ウト」と短く発音。
wet 「ウート」と長く発音。唇は突き出しません。
wt 「ウト」と短く発音。
ak 「アーク」と長く発音。最後は軟口蓋を閉じたままにします。
日本語式に/a:ku/とならないように(以下同)。
aek 「アク」と短く発音。
ek 「エーク」と長く発音。
iek 「イーク」と長く発音。
ik 「イク」と短く発音。
ok 「オーク」と長く発音。
oek 「オク」と短く発音。
uek 「ウーク」と長く発音。唇を突き出します。
uk 「ウク」と短く発音。
wk 「ウク」と短く発音。唇は突き出しません。
塞音の複母音(低い声)の発音方法
ab 「アープ」と長く発音。最後は唇を閉じたままにします。
日本語式に/a:pu/とならないように(以下同)。
aeb 「アプ」と短く発音。
eb 「エープ」と長く発音。
ieb 「イープ」と長く発音。
ib 「イプ」と短く発音。
ob 「オープ」と長く発音。
ueb 「ウープ」と長く発音。
ub 「ウプ」と短く発音。
ad 「アート」と長く発音。最後は舌先を歯茎につけたままにします。
日本語式に/a:to/とならないように(以下同)。
aed 「アト」と短く発音。
ed 「エート」と長く発音。
ied 「イート」と長く発音。
id 「イト」と短く発音。
od 「オート」と長く発音。
oed 「オト」と短く発音。
ued 「ウート」と長く発音。唇を突き出します。
8. ud 「ウト」と短く発音。
wed 「ウート」と長く発音。唇は突き出しません。
wd 「ウト」と短く発音。
ag 「アーク」と長く発音。最後は軟口蓋を閉じたままにします。
日本語式に/a:ku/とならないように(以下同)。
aeg 「アク」と短く発音。
eg 「エーク」と長く発音。
ieg 「イーク」と長く発音。
ig 「イク」と短く発音。
og 「オーク」と長く発音。
oeg 「オク」と短く発音。
ueg 「ウーク」と長く発音。唇を突き出します。
ug 「ウク」と短く発音。
wg 「ウク」と短く発音。唇は突き出しません。
音節の後ろの部分(これを韻尾という)が p, t, k となっていれば高い音、 b, d, g と
なっていれば低い音を表します。
お?ま?け
塞音というのは漢語の「入声」と同じものです。広東語や福建語、客家語を学んだこと
のある方なら既におなじみのものだと思います。中国語以外でも、韓国語やベトナム語、
タイ語にも同様の発音があります。音節の終わりの p,t,k の音は実際には飲み込まれ
てしまって、日本人の耳にはなかなか聞き取れません。これは現地の人が話すのを繰り
返し聞いて慣れるしか対策はなさそうです。
第五章 子音の発音
壮语には 22 個の子音があります。
b パ行の音。濁音ではありません。漢語の「b」に対応します。
mb バ行の音。少し息を詰めて「ッバ」と発音すると、より近くなります。
マ行の音。
m
漢語の「m」に対応します。
英語の「f」と同じ音。
f
漢語の「f」に対応します。
英語の「v」と同じ音。
v
漢語の「h」に対応します。
タ行の音。
d
漢語の「d」に対応します。
nd ダ行の音。少し息を詰めて「ッダ」と発音すると、より近くなります。
9. ナ行の音。
n
漢語の「n」に対応します。
サ行の音。
s
漢語の「s」、「c」に対応します。
英語の「l」と同じ音。
l
漢語の「l」に対応します。
カ行の音。
g
漢語の「g」に対応します。
gv 二重子音です。「クヴ」/kv/と発音します。
ng 鼻に抜けた音で「ング」と発音します。
ハ行の音。
h
漢語の「h」に対応します。
フランス語の「r」に近い音です。
r
漢語の「l」に対応します。
c シャ行の音。日本語の「シャ」よりも上下の歯に隙間を空けて、
「ヒャ」に近い感じで発音すると近くなります。漢語の「x」に対応します。
ヤ行の音。
y
漢語の「r」に対応します。
ny ニャ行の音。
ngv 二重子音です。「ングヴ」/ngv/と発音します。
by ピャ行の音。
キャ行の音。
gy
漢語の「j」に対応します。
my ミャ行の音。
お?ま?け
壮语には漢語のような有気音?無気音の区別がありません。だから b,d,g,gv,by,gy
といった子音は、それぞれ p,t,k,kv,py,ky と表記してもよいはずです。これは漢語と
の対応を優先させたようです。
第六章 声调(1)
壮语は漢語と同じく単音節型声调言語(monosyllabic tonal language)と呼ばれ、
ひとつひとつの音節に固有の高低?上下の调子がついています。日本語で「はし」と
「はし」で意味が異なるように、壮语でも声の高さによって単語を区別するのですが、
日本語とちがって一つの音節の中で声が高くなったり低くなったりします。漢語を習っ
た方は四声の練習をしたことがあると思います。壮语の声调は6種類あります。
声调番号 第一声 第二声 第三声 第四声 第五声 第六声
调値 24 31 55 42 35 33
声调符号 なし z j x q h