横浜市の待机児童のケーススタディ
- 1. SIB ケーススタディ:横浜市の待機児童のケース
株式会社ソーシャルインパクト?リサーチ 熊沢 拓
概要
横浜市は今年 4 月 1 日現在で市内の認可保育所の待機児童数がゼロ(前年同期比 179 人減)
を達成したと発表した。平成 22 年には全国で最も多い 1552 人を数えた同市の待機児童数は、
林市長による積極的な施策により、短期間で解消された。林市長は「一つの成功モデルができ
たということで、(全国の自治体へ)大いに情報公開していきたい」と話した。
林市長は(1)民間企業の参入促進による認可保育所の整備(2)認可外だが同市が保育士
数や面積などの基準を定めて認定する「横浜保育室」の増設(3)ニーズに応じた保育施設の
紹介を行う「保育コンシェルジュ」の導入-などを進めた。
同市の施策に政府も注目し、安倍晋三首相は成長戦略に関する演説で、女性の雇用促進に向
けて「横浜方式」による 29 年度までの待機児童ゼロを目指すと表明した。
表. 待機児童減少にかかるコスト
横浜市の公表資料をもとに作成(単位:百万円)
(問い)
① 横浜市の取り組みは成功と言えるでしょうか? それとも失敗でしょうか? あなたの判
断基準は何でしょうか?
② 待機児童 1 人を減少させる行政コストはいくらでしょうか?その行政コストは持続可能な
ものでしょうか? いくらだったら横浜市民は納得するでしょうか? 行政コストは生み
出した便益を上回っているでしょうか?
③ 待機児童削減の取り組みによって影響を受けるステークホルダーは誰でしょうか?
④ 待機児童の施策に SIB を導入することはできるでしょうか? SIB 導入することによって、
ステークホルダーにどのような影響を与えるでしょうか? SIB を導入する場合、どのよ
うな成果指標を用いるべきでしょうか?
⑤ 例えば、待機児童減少数(入園者数)のみを成果指標にした場合、どのような問題が生じ
る可能性があるでしょうか?