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「研究すること」について
「論文」を書くことに向けて
是永 論(これなが?ろん)
立教大学社会学部メディア社会学科
2015/4/30
自己紹介(自分の研究)
? 専門:情報行動論?コミュニケーション論
近著『コミュニケーション論をつかむ』有斐閣
? 代表的な調査経験
東京大学情報学環『日本人の情報行動』調査
BPO青少年委員会『”デジタルネイティブ”はテ
レビをどう見ているか?』
ほかに
社会「劣化」の言説分析(テキストマイニング)
工事現場での携帯電話利用のフィールドワーク
家庭内コミュニケーションのビデオ分析 など 2
はじめに:情報行動調査から
? 東京大学情報学環 橋元研究室
「日本人の情報行動調査」since 1995
? 一般の人々の日常的なメディア利用
? 情報機器の所有
? 情報源としているもの
? 情報に対する信頼
など
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メディアの信頼度 (n=3,297)
中央調査社 第5回メディアに関する世論調査(2012年)より
情報への「信頼」とは?
? 読んでないけど信頼できる?
→なぜこうなるのか
? 答える側の問題
「正しく」(想定通りに)答えているか
+質問する側の問題
なぜ信頼をたずねるのか?
質問の仕方/調査方法を選択した問題
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本日の内容
1. 「研究すること」
2. 論証の手続き
3. 研究によって得られるもの
4. まとめ
5. データについて
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1「研究すること」とは?
? 論文を書くこと=「研究する」ことの内容
1)問いがあること=問うこと
2)主張(答え)があること=答えを出すこと
3)論証があること=手続きをもって論じること
主張を論理的に裏付けるための根拠を示す
①理論から導くこと(演繹)
②データとして示すこと(帰納)
=論文を構成する内容
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1「研究すること」とは?
? 「問いのフィールド」を持つこと
「5W1H」と「ネットワーク」
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1 論文とは?
?問題を出すこと
フィールドから生じた問題か?
×好きだから
みんながそう思っているから
例:情報の信頼を問うこと
「メディア企業の不祥事」から生じたもの
→「今だから」生じてくる問い
※「話題」から考えることの功罪
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2 論証の手続き
? 主張にかなった論証に向けて
①仮説検証
? 主張を仮説として構成
→仮説の正しさから主張を導く(演繹の一種)
「Hという仮説が正しいならBが成り立つ
Bが正しい→たぶんHは正しい」
? 結果からの後づけを防ぐ
※「説明的調査」としてのモデル化
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2 論証の手続き
? 主張にかなった論証に向けて
②信頼性?妥当性
×偶然(場合)によって変化する
×調べる対象が定まらない(不安定)
→「社会調査」を基盤としたデータ(後述)
?信頼性を確かめることができる(検定)
?質問と回答について洗練されたパターン
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2 論証の手続き
? 主張にかなった論証に向けて
③仮説検証に対応したデータの取得
? 20世紀アメリカからの量的調査の拡大
→「態度」として計量可能なデータの確立
※投票決定と映画の選択が等価物に
? 質問に対応した回答の構成(北田 2014)
=相互行為にしたがった意味を持つ(仮説構成)
概念
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2 論証の手続き
? (社会調査としての)方法の選択
量的調査/質的調査=「数値化」の違い
? 主張が数値によって保証されるのか?
×一般的/具体的(「生の声」)
数値によってまとめないと対象化できないもの
対象のまとまりが数的な概念で保証できないもの
例:「親子」が似ていること(カテゴリー化装置)
→選択を行った背景の確認
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2 論証に向けた手続き
例:情報メディアの「信頼」を問うこと
「態度」として構成することは正当
質問と回答の対応に基づく仮説構成
? セルフ?チェック(振り返り)
?主張がどこにある?
?数値によって保証されるものか?
?対象の理解が何によってもたらされる?
ことばの問題
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参考:2010年データより
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3 研究によって得られるもの
? 外部(社会)とのかかわり
→「5W1H」:誰にとっての何を明らかに?
「ネットワーク」:問いが広がる可能性
=「問いのフィールド」の共有
①問い(主張)に至った思考過程の共有
先行研究の位置づけ
②対象との関わり
対象についての知識を得る
対象とのコミュニケーション
③結果の公表:論文として 16
まとめ
? 研究すること=論文を書くこと
「問い」からの主張と論証
? 論証の手続き
主張にかなったデータと方法の選択
? 研究によって得られるもの
問いのフィールドの共有
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データについて
? 先行研究論文
図書館OPAC 特にCiNii Articles
? 調査レポート
『放送研究と調査』
広告:電通総研編『情報メディア白書 』
? データベース
新聞?雑誌記事:図書館?オンラインデータベース
放送:放送ライブラリー?NHKアーカイヴス
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データについて
? 量的データ
社会調査データベース:RUDA
総務省情報通信統計データベース
情報通信白書
NHK国民生活時間調査
社会生活基本調査
インターネット白書
など
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参考資料
【文献】
戸田山 和久 2012 『新版?論文の教室』、NHKブックス
北田 暁大 2014 「 社会学にとって「アメリカ化」とは何か ポール?ラザース
フェルドと「アメリカ社会学」 」、『現代思想』42-1
原 純輔ほか 2009 『社会調査』、放送大学教材
轟亮?杉野勇 2010 『入門?社会調査法』、法律文化社
【サイト】
筒井淳也 『社会学者の研究メモ』 http://d.hatena.ne.jp/jtsutsui/
「質的研究と量的研究について」
http://d.hatena.ne.jp/jtsutsui/20110509/1304911179
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