More Related Content
Viewers also liked (7)
More from heibei_marunouchi (7)
Recently uploaded (6)
教育の生产性へそれに辿りつかない物语
- 2. 2 「教育の生産性」を議論する私的モチベーション その１ ? 自身の小学5年生の息子（2015年8月現在）が塾に行っている。 ? 学校の標準時間以外にかなり多くの時間を塾に割いている。 なんと約80時間/月 ? 塾の授業時間 3hour×３日（月、火、木）= 9 hour/week ? 当該の行き帰り 20min × 2回（往復）×3日= 2 hour/week ? 週次テスト 3 hour × 1日（土） = 3 hour/week ? 塾の宿題 5 hour/week ? 76 hour/month = 19 hour/week × 4week/month ? 掛け替えの無い時間を消費しているのだけど、公立の学校は一体 何をしているのだろうか？と頭をかすめる。
- 3. 3 「教育の生産性」を議論する私的モチベーション その２ ? 「機械との競争」（日本語版）に「教育そのものの生産性を計測する系統的 な試みは殆ど行われていない。これでは、改善など望むべくもない。」 （Page123）に共感 ? それそのものを鵜呑みにするわけではないが、これからの時代に増々 教育の重要性が高まる中、このことが気に掛かっていた。 ? 確かに、調査開始時点において、「教育の生産性」という議論をTVであ まり耳にする事が無かった。 ? ICTの進展に伴い文教分野も世界的な流れとして、次世代型へ移行しつつ あった。教育の生産性（学習の生産性に関して）に注目は集まっている。 ? アダプティブ?ラーニング ? 反転授業 ? MOOC、カーン?アカデミー
- 5. 5 「教育の生産性」の定義（生産性のおさらい） ? 生産性についてざっとおさらい 生産プロセス 生産物 （アプトプット） 労力 （エフォート） 生産性 = 生産物の量／労力 原料 （インプット） 実行主体 実行主体が、当該の生産プロセスを実行す るに当り、投下するものの中から特に、議論 のテーマに合わせて選ばれる労力１単位で 生産できるものの量を示す。 必要としている生産物を手に入れるのに、 必要な労力を算出するのに用いられる。加 えて、その生産プロセスの効率性を表す指 標として使われる。 例： 作業員が作業時間当りにどのくらいの製品を組みた立てる事ができるか？」 ↓ 「組立」生産性＝ 「組立個数」／作業１時間
- 7. 7 「教育の生産性」の定義（補足の考察） ? 指導生産性 ? 数式に定義だけど、１０人の生徒に１分間に１個ずつ漢字を覚えこませられるとして、 同じ先生が１人の生徒に１分間で１０個覚えこませられると想定して良いのか？は疑問 が残る所。全く改良の余地はありそうだけど、指導能力という教師の力を指標にする事が できるだろう。 ? ただし、日本の公立学校だと、一クラスの人数などに上限があるし、受講形態が口伝？と 決められているので、自ずと上限値が決まっているように思える。 ? 指導生産性は積算して行けば、学年→学校→地域→国家として表現できるが、結局は先生 の積算でしかないのかとも思うが、実績を考えるとどこかで能力に差が存在するのだか ら、ちゃんと指標して機能するのだろうと想像する。 ? 教育生産性 ? これが一番正味の生産性と個人的にあ思う。ただし、専門家（職種）別で測定されるも の。例えば新任の医者の数など。全職種に渡る合計が、国家の生産性と定義できそう。 国の教育生産性 =（全職種合計）Σ教育生産性 ? 教育生産性と指導生産性の兼ね合い ? 1専門家?複数の知識?技能 ← 指導?カリキュラム（指導生産性） ? 「教育生産性」?「指導生産性」?「学習生産性」と双方向に式が展開できそう。 前ページの定義に関して、考察のコメントを記す
- 8. 8 「教育の生産性」を測定するための原単位 その１ ? 生産性を算出するための分母分子に使うための数字を、インターネットに 公開されている情報から収集した。 区分 原単位 情報源 調査結果 労力 教師数 文部科学統計要覧 or 学校基本調査報告書 76.2万人(平成元年) → 70.3万人(平成24年） ※間接的にまとめサイトから調査結果を転記。 生産量 生徒数 1,488万人(平成元年) → 991万人（平成24年） 生産性 生徒数 /教師数 19.5生徒/教師（平成元年) → 14.1（平成24年） 大幅に生産性が低下しているように見える 単に人間の数だけで議論するのは荒っぽい感じもする。そもそも教員人数のカウントルー ル自体が変動している可能性もありそうだと直感している。 労力 教師の 残業時間 教員勤務実態調査 小?中学校の教員は勤務日、休日ともに３時 間前後の残業と持ち帰り業務を行っている。 データから１ヵ月の残業時間を試算すると50 時間を超え、持ち帰り業務も30時間を超え る。 40年前に行った調査（1966年度調査）では、月の残業時間が10～20時間と少なかった。 個人的には、統計量の信頼性に疑問が沸く。労働時間総体を捉えるべきではある。
- 9. 9 「教育の生産性」を測定するための原単位 その２ ? 前ページの続き 区分 原単位 情報源 調査結果 生産量 新社会人 の数 学校基本調査 平成２４年度速報版 約６０万人 高卒での就職者 175,936人 大卒 357,208人 院卒 57,426人 博士 10,84４人 この数字の合計自体には意味がなさそう。食うために就職するであろうから。むしろ 高度教育を受けられている比率の経年変化を見るべきだろうか？ （★大学進学率の変化で代替する事も可能かもしれない） 労力 補助 学習費 子どもの学習費調査 平成12年から統計量有り。この期間でも大き な変動幅があるように見えない。 労力 公的財政 支出 （公的文教費） 政策会議 教育再生実行会議 資料 平成10年 24.0兆円→平成21年23.5兆円 ほぼ横這い。その前の年度が見たいが。 公的財政支出だけでは全数とならないので、見てみた。経年でまとまったものが 見つからない。やはりこれも文科省の調査結果だった。
- 10. 10 「教育の生産性」を測定するための原単位 その３ ? 前ページの続き 区分 原単位 情報源 調査結果 労力 家庭での 学習時間 （平日） ベネッセ 研究員リポート 外にも記載があるが代表で小学5年生 1990年 2001年 2006年 87.2分→71.5分→81.5分 一旦、減少後増えているのはゆとりへの対応。 下位層の勉強離れも見える結果に。高校は無償化 の影響で平成20年と22年が不連続に。 番外編 ●教育費用の負担額(家計に占める教育費の割合等） （ただしスポーツなどは除きたい） 【４】 教育費の負担―中?高生が２人いると年額100万円超も http://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/kyoikuhi/webreport/report04_01.html ●GDPおよび国家予算に占める教育費用 とりあえず他国と比較する際にGDP比を持ちだして情報を整理している。購買力平均などで補正 したデータもある。ベンチマークには必死に取り組んでいる。 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/bunka/dai3/dai1/siryou4.pdf むしろ他の国に比べて、教育生産性が良いと誇るべきでは？と別向きな議論も出来そうだ。 労力 教師の 平均年収 年収ラボ （民間サイト） 高等学校教員 800万円台前半（平成１３年）→700万円台前半（同 ２６年）
- 11. 11 「教育の生産性」を測定するための原単位（学習結果または到達度） ? 「生産量」に当たる原単位を調査した。個々の生徒の学習生産性を想定す ると、学習結果を定量的に評価する既存の指標がないかと探したが、適当 と思えるものが見つからなかった。欲しかったものの単純化されたイメージ は以下。 生徒A 生徒B ???? 教科A 単元1 60点 45点 ??? 単元2 55点 単元3 ??? 教科B 単元1 単元2 ? ? ? 生徒K 生徒M ???? 教科A 単元1 80点 単元2 67点 単元3 ??? 教科B 単元1 単元2 ? ? ? 学習結果 19XX年 学習結果 20XX年 学力を評価するための時間軸に対して、同じもので評価。生徒間の比較が目的では 無いので、習得度合いの単純合計を生徒数で割って平均。 習得度合い指数（表中合計） =（生徒合計）Σ単元別習得度/生徒数
- 12. 12 学習結果または到達度評価の現状 ? 同一学年（同一試験）での学生間の評価として、例えば偏差値がある。た だ、異なる年代間では評価は出来ない。センタテストなどは達成度を測る 指標では無いためある。 調査 内容 平成26年度 全国学力?学習状況調査 2007年から国立教育政策研究所が 実施している。県の間での偏差や施 策および正答率に与える学習の要因 などの影響度を統計分析している。 評価 安定度 ? →課題対応型の出題 構成 期間 ? →始まって短いので、イノ ベーションが与える長いスパンの インパクトが分からない。 PISA調査 (Programme for International Student Assessment) OECD（経済協力開発機構）が 1988年よりはじめた事業。国際的な 学習到達度に関する調査。15歳児を 対象に読解力、数学的リテラシー、科 学的リテラシーの三分野について、３ 年ごとに本調査を実施し。65の国と地 域が参加。 PISA調査の中身が分からない が、参加国での順位が着目されて いる。相対評価のようにも見える。 評価尺度?→同一国の年度間評 価ができなさそう。評価スキーム の変化して来ているようにも見え る。 現状、学力そののものを複数年 に渡り追跡できる尺度を人類は 持っていない 新社会人数と就業分野による 加重平均等から推定する方法 を検討する（後日の宿題）
- 15. 15 「教育の生産性」における稼働率の低下要因 ? 原単位のところで触れたが、「教育の生産性」は低下しているようにも見え る。 ? 「稼働率」が低下をマクロレベルで考えると以下の項目が有る。 ? 教師の中の若者や働き盛りの世代が減少 ? うつ等の傷病での稼働率減少 ? 労働環境の改善政策により、一人あたりの労働時間が減少 ? 間接作業等の増加で指導時間自体は減少 上記が要因であるかどうかの是非も含めて、丹念にデータを集めて、分析していく必要 がありそうだ。
- 17. 17 学習生産性（学習効率）を求めて 技術とコンセプト その１ 先に記載したとおり、全体の生産性の議論は、そのパラメータの複雑性などから一筋縄では行 かない。ただ、今回がICTの進展などから、効率及び学習生産性に対して、正面から議論できる ような素地が整いつつある。 ムークと呼ぶ。インターネット上で誰もが無料で受講できる大規模な 開かれた講義のことである。代表的なプラットフォームとしては 「Coursera」「edX」や、日本版としてはJMOOC（※）が提供する 「gacco」「OUJ MOOC」がある。 MOOC （Massive Open O nline Course) 内容 テクノロジ ／コンセプト MOOCの思想的な起源は、1971年にイリイチにまで遡る。現在の教育手法は硬直しており 教育を改善する必要があると考えた。その方法としてコンピュータ技術を用いて中央集権 化されていない'learning web'を構築し、多くの学生が参加可能な学習効率の高い教育シ ステムを作ることで、「学校のない社会」をつくろうと考えた。そして良い教育システムが持 つべき3つの目標を上げた。 （１）学びたい人はいつでもどこでも学習リソースにアクセスすることができる。 （２）学びたいと思っている人が何を知りたいかを共有することができる。 （３）公共の知識として広めたいと思っている知識を知りたい人に伝えることができる。 ※ JMOOC：オープンオンライン教育推進協議会
- 20. 20 学習生産性（学習効率）を求めて ICTの新たな波 その２ 前ページの続き 国立教育政策研究 所 教育情報共有 ポータルサイト （日本：非営利） 内容団体名等 https://www.contet.nier.go.jp/ 8700を超える教材が集まる。各県の「教育センター」の作成物を集 めている。 例「算数科６年学習指導案「分数のわり算を考えよう」とあり、教師 が直接利用するものとなっている。 Recuit社 受験サプ リ（日本：営利） https://jyukensapuri.jp/ ?「つまづいた分野に戻って復習したい。」「得意な分野はどんどん 先に進みたい」などの自分のペースで。 ?プロ講師による圧倒的に分かりやすい講義動画 2015年8月で30万人が登録（大学受験が対象と思われる）。 manabeeはこれに因ってその役割を終えたのかもしれない 東京大学 大規模 公開オンライン講座 （MOOC） http://www.u-tokyo.ac.jp/ext01/mooc_j.html 国境を越え世界に最先端の知を届ける方法の一つとして、コーセラ のプラットフォームを利用して、大規模公開オンライン講座(MOOC： Massive Open Online Course)を配信する実証実験を開始。 https://www.coursera.org/utokyo （東大のMOOCサイト） ハーバード大学やスタンフォード大学もMOOCを提供している