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ユマニチュードの哲学
~介護者とは何か~
輪講会(2015/07/15)
M1 小俣
もくじ
第六章“ユマニチュードの哲学~介護者とは何か~” 329
1. 信頼 331
2. 人間を介護する者 337
3. 介護の序列 340
4. けっして害を与えない 344
5. 初めての経験 346
6. いくつかの基本原則 348
信頼(P329~331)
生きる力 知識技術信頼
介護者高齢者
Positiveな意思表示
態度,しぐさ,
まなざし,
話を聴く姿勢,
気配り,など 判断
確立
徐々に
信頼を確立
信頼 = 介護という共通の作業を遂行する基盤
1. 障害や病気のある人が当然のごとく介護者を信頼することはない.
2. 介護者に対する信頼は,相手のために尽くしていることがわかる意思表示
から判断し,初めて確立されていく.
3. 信頼を高め,決して無にすることがないようにすることが介護者の務め.
人間を介護する者(P333~337)
“介護者というものは人を介護する職業人であって,
動物を介護する職業人ではない.”
食欲
味
習慣 文化
人間が欲求を抱く動物であるという認識だけに
固執していたとしたら,どうなるか?
? 当たり前のように食事に薬を入れられる
? 鼻をつまんで口を開けられ,強制的に食べさせられる
? 食事の間,便器の上に座らされる
人であると感じることができるであろうか?
環境
生物学的欲求
社会的意味
象徴的意味
精神的意味
“食事”
味,習慣,文化,環境に基づいて食事を段
取りし,人を招待し,何かしらのルールを
尊重しながら食べる.
栄養を摂るためだけに
食べているのではない
介護の序列(P337~340)
これまで…
維持
寄り添い 寄り添い
維持
回復
単に生命(健康)を維持
する行為
健康,幸福感,能力の改善の
手助け
ただ苦しんでいる存在とみなされる
健康を維持することをまず考える
能力が失われたと頭から決め込むようなことをしない
健康を改善することをまず考える
健康,幸福感,能力を維持
する行為
非常に良い介護と思われていたものが,
健康状態を悪化させる可能性
“ベッドにいるL氏を監視し,床ズレを防ぐために1時間半毎に体を返
し,特別な教育を受けた補助介護師と看護師が定期的にやってきて,
優しい仕草で足や背中をマッサージした.”
従来 ユマニチュード
けっして害を与えない(P340~344)
睡眠を尊重することは老年学と人間主義の方法には不可欠であり,
介護の組織化を通じて認識し,尊重しなければならない技術規範である.
存在理由と使命を忘れた介護の行く末
“B氏は静かに眠っていて,おむつの交換に
真夜中に起こされる.突然,知らない人の2
本の手が股間のあたりをまさぐっているの
を感じて目を覚まし,目を開けると知らな
い人がふたり,自分にかぶさるように近づ
いてくるのが見える.B氏は泣き出し,交換
の間中,抵抗した.”
幸福の要因介護
遂行しなければならない
目的
清潔にすること,
食べること
清潔でなければならない,
食べさせなければならない
方法を含めて,
目的が置き換えられている
幸福を摘み取ってしまうここで,健康を損なうのは,
眠っている人を起こす行為であって
交換をしないことではない
※不快を感じて目覚めたのであれば,交換をうながすのは道
理である
初めての経験(P344~346)
われわれは初めて遂行しなければならない介護を前にして,無意識のうちに
自分たちの知っていることに頼ろうとする.
?
=身体的能力ない
自律性ない
身体的能力ない
自律性ある
高齢者赤ちゃん
赤ちゃんの頃の記憶を呼び覚ます
大人たちが自分をユマニチュードの一員に加えて
くれた言葉,しぐさ,まなざしの記憶
つながりの記憶(感情記憶)を呼
び覚ますことで
穏やかに介護を行なうことが可能
自律性を考慮に入れない場合
介護のやり方を勝手に決めるようなことをすると
その人たちの人格や尊厳を侵害
することになる.
いくつかの基本原則(P346~348)
第一原則
いかなる介護の技術規範も,いかなる介護の行為も,人の権利と病人の権利を侵
害する事はできず,介護という業種の運営について定めた法律に反することはでき
ない.
生命保護の原則
生命が温存され,われわれの介護によって健康が損なわれず,改善ないし維持さ
れて初めて尊重される.
自律性と個人の尊重の原則
自律性と個人の自由を尊重することは,本人の同意を考慮に入れることであり,
力ずくで介護をするのではなく,決定を下すのに必要な情報を提供し,選択の余地
がある状況を醸成することでもある.
本人と介護を作り上げていくということは,他人を尊重するだけにとどまらない.
本人の障害や病気で失われた自身や自分の生活への支配力を復元することでもある.

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