狠狠撸

狠狠撸Share a Scribd company logo
障害者差别解消法と社会的养护
千葉県中央障害者相談センター
佐名隆徳
H28.2.14 里親の学校
本日の流れ
1.障害者差別解消法 概要
2.障害者差别の事例
3.社会的养护とのかかわり
1.障害者差别解消法とは
“障害者”と“社会的障壁”
? 障害者
障害および社会的障壁により、継続的に日
常生活?社会生活に制限を受ける状態にあ
る者。
?(当法は)障害者手帳の有無は問わない。
? 社会的障壁
生活を営む上で障壁となるような、社会に
おける事物?制度?観念その他一切のもの。
障害者差別とは
? 障害者に対する暴力や名誉毀損、障害
者の意思を無視した強要など。
? 障害を理由として社会参加等が制限され
るような制度的或は運用上の差別及び
排除。
?具体的には、隔離、欠格条項等による
就学?就職差別、介護放棄など。
障害者差別解消法 定義
? 第1項:障害を理由とする差別等の権利侵害行為の禁止
行政機関?事業者等は、障害を理由として、障害者で
ない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害
者の権利利益を侵害してはならない。
? 第2項:社会的障壁の除去を怠ることによる権利侵害の防止
“社会的障壁の除去”の実施に伴う負担が過重でな
い際は、その実施を怠ることによって前項(不当な差
別取り扱い禁止)の規定に違反することとならないよう、
社会的障壁の除去について必要かつ合理的な配慮
がされなければならない。
事業者の範囲
? 事業者 :商業その他の事業を行う者(国、
独立行政法人等、地方公共団体及び地
方独立行政法人を除く。)をいう。
? 事業者は、その事業を行うに当たり、(中
略)社会的障壁の除去の実施について必
要かつ合理的な配慮をするように努めな
ければならない。 (本法第8条2項)
法的義務or努力義務
? 不当な差別的取扱いの禁止
国?地方公共団体等→法的義務
事業者→法的義務
? 合理的配慮の提供
国?地方公共団体等→法的義務
事業者→努力義務
不当な差別取り扱い
? 定義
障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由と
して、財?サービスや各種機会の提供を拒否など
による、障害者の権利利益の侵害 (障害者が不
利になる対応)を禁止するというもの。
? 留意点
障害者の事実上の平等を促進し、又は達成する
ために必要な特別の措置は、不当な差別的取
扱いではない。
不当な差別取り扱い例
? 本人若しくは保護者が希望していないのに,特
別支援学校?学級に措置されること。
? 遠足や修学旅行は保護者の付き添いがないと
連れていってもらえないこと。
? 遠足や修学旅行で一部待機や別コースを強いら
れること。
? 映画館、野球場等で,見えづらい最前列や最後
列など、特定の座席位置を強いられること。
? 各種障害などを理由に、あるいは障害が原因で
家賃を払ってもらえない心配があるから等の理
由で、アパートの賃貸を拒否されること。
合理的配慮
? 定義
障害者と健常者の平等な機会を確保するために、
障害の状態や性別?年齢などを考慮した変更や
調整、サービスを提供すること。
? 留意点
?行政機関等及び事業者の業務の目的等に照らし、
必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限る。
?健常者と同等の機会の提供を受けるためのもの。
?業務の目的?内容?機能の本質的な変更には及ばない。
合理的配慮の例(変更や調整)
? 校内移動を容易にするバリアフリー等の施設整
備をすること(設備?施設の形を変更)。
? 点字や拡大文字による教科書及びデジタル教科
書等の、個々の障害に応じた教科書や教材を提
供すること(補助器具やサービスの提供)。
? 本人の理解度に合わせて、わかりやすい言葉で
噛み砕いてゆっくり説明すること。絵カード、写真、
ビデオ等の方法を用いること(時間や順番、ルー
ルの変更)。
過重な負担の基本的な考え方
? 行政機関等及び事業者は、過重な負担につい
て、個別の事案毎に以下の要素等を考慮し、具
体的場面や状況に応じて総合的?客観的に判断。
?事務?事業の目的?内容?機能を損なうか否か
?物理的?技術的制約、人的?体制上の制約
?費用?負担の程度 、事務?事業規模
過重な負担と認められる事例
? 規模の小さな会社の社員が要車椅子に。
「会社にスロープ等を作成して欲しい」と
要望
?改修工事の費用が会社に負担できる
限度を超えており、要求された合理的配
慮は過重な負担と判断。
? 小さな事業所等では配慮の限界がある
ため、障害者の希望が必ずしも通るわけ
ではないのが現状。
禁止される差別に該当しない場合
? 積極的な差別是正措置として、障害者を
有利に取り扱うこと。
ex)障害者専用求人
? 合理的配慮を提供し、能力を適正に評価
した結果、健常者と異なる取り扱いをする。
ex)労働の能力が健常者A>障害者Bの
場合、評価の優れているAを昇進させた
2.障害者差别の事例
知的障害者差別
? 知的障害がある子に対し、学校が「障害者
は訓練してくれる所に通いなさい」と言って
普通級在籍を拒否した。
?合理的配慮とも不当差別取り扱いとも
? 中学校の同級生に、知的障害があるため
に悪口を言われました。
?これは「障害者虐待」の枠組みか。
精神障害者差別
? バイトの面接で、「精神科に通っている方
はちょっと…」という理由で不採用になっ
た。
?不当な差別取り扱い事例
? 本人が糖尿病で通う医療機関で受診し
たとき、入院の必要がある場合、精神疾
患があるので受け入れられないと看護師
から言われたことがある。
?不当な差別取り扱い事例
発達障害者差別
? 仕事中に物事の順序が決められずに混乱してい
たら、仕事を全て奪われてしまい、何もやらせて
もらえなかった。
?合理的配慮を行うべき事例
? 復職の際に「自閉的特性と刺激過敏性とそれに
伴う混乱状態に陥りやすいことに対する環境調
整が職場として可能であれば、復職を許可する」
という主治医からの診断書を提出したが、「周り
の社員へ配慮しなくてはいけないので」と言われ、
ほとんど調整してもらえなかった。
?合理的配慮を行うべき事例
3.社会的养护とのかかわり
里親委託までの流れ
? 里親候補者へ連絡し、委託児童の紹介
を行う(児童のおおまかな状態像(心理
診断結果や医学診断結果等)や成育歴
を伝えることを含む)
? 子供との面会?交流を行い、双方が今後
生活できそうか検討する
? 里亲の委託→数ヵ月后、経过の确认
里親委託時の問題
? 児童相談所の書類のみでは児童の状態像把握
を十分に把握することが困難。(特に被虐待の
影響等について、日常的に関わりのない里親は
正確に把握することが困難。)
? 面会?交流時は里子となる児童の緊張は極めて
強く、本来の姿がほぼ見えない。
? 委託した後の児童相談所からのフォローとして、
子どもの専門である心理職が関わるのは、多く
が半年後の1回のみ。
? 里親が里子との関係?里子の特徴などで悩んだ
際に、即座に連絡し合える構造とは言い難い。
参考)社会的養護と子どもへの影響
? 精神発達面の影響
? 愛着面への影響
? (虐待ケースの場合)虐待の連鎖
? 親との分離による、子ども自身の存在に
ついて連続性の欠落
参考)被虐待児の共通特徴
? 親から負の感情(+身体感覚)を否定される経験
?感情制御の脳機能の健全な発達を困難に。
? 負の感情を①伝える方法を知らない
②伝えて拒まれることへの不安
?負の感情を抑圧
?攻撃行動などに行動化
? 子どもの負の感情?身体感覚を承認するコミュニ
ケーションの回復によって,感情制御の力を育
める。
参考)被虐待児の脳
? 全体の傾向
海馬?サイズ小:長期記憶に何らかの困難
扁桃体?サイズ小:情動?記憶調節の困難
小脳虫部?血流量小:海馬や扁桃体の異常制御
困難+精神疾患とも関係?
? 暴言虐待
聴覚野の機能が弱い
? DV暴露
視覚野?サイズ小+血流量増
? 身体?心理的虐待
前頭前野?サイズ小:本能的な欲求をつかさどる
辺縁系へ抑制をかける機能が弱い
委託時に必要なフォローとは
? 児童の状態像?診断の意味をより詳細に伝える
:“思っていたのと違う”を回避
? 心理司と里親の関係構築
:里親から、疑問や不安を伝えてもらうハードル
を下げる。
? 里親?里子間の適切な距離を考える
:バーンアウトや過度の期待と裏切りの回避
? 他には????
養護施設措置 架空事例
? 小学生男児
? 知的には高くなく、IQ70程度
? 療育手帳を取得し、特別支援の方向で
今後を検討していた
? 入所予定先の施設
「知的障害児は受け入れたくない」と拒否
?他の養護施設を検討するため、
一時保護期間が延びる結果に…
養護施設措置事例 今後
? ①障害の有無を理由に、入所拒否は可能か。
? ②小さくはない施設で、職員数も問題はない。
IQ70程度では日常生活にさほど多くの支援
は要しない。
? 入所したとして、合理的配慮を行うこと
は過重な負担の範囲になるか。
? 入所拒否について検討の余地はあり?
? 普通教育に力を入れている施設の場合、入
所後は障害児に配慮した個別の指導(特別
支援系)を検討する必要はある。
里親委託架空事例1 男児
? 身体的虐待で一時保護→里親委託。
? 本人は強い愛着障害をもつ。知的には境界レ
ベル。
? 委託後は、里親に不満があっても何も言えな
い状態であった。不満をうまく言葉にできず、ま
た言葉にすること自体抵抗も強く、フラストレー
ションを少しずつ蓄積させていた。
? そしてフラストレーションが問題行動として発反
抗的な態度を見せることが増え、里親より「もう
面倒を見れない」と話があり、里親委託解除と
なった。
里親委託架空事例2 未就学男児
? 母親によるネグレクトとして一時保護。
? 母は外国籍。本児は日本語をほとんど話せない状態。
? 医学診断では反応性愛着障害疑い、ADHD疑いの診断。知的に
は普通域。
? 面会交流の後、里親委託となった。しかし面会交流の際は本人の
緊張の強さもあり、里親には“大人しくていい子”に映ったそう。
? しかし後日、「こんなだとは思わなかった」と申し出があり、里親委
託解除となった。里親の話では、“指導しても理解しているのか分
からず、何度も同じことをする?反抗的な態度をとり、暴言を吐い
てくる?言うことを聞かない?しつこい”
など、「上述の障害の特性+第1次反抗期の特性+日本語の不
自由さ」のため、里親が、自身の能力の限界を超えていると判断。
里親委託事例 今後
? ①障害への理解はあったか。
? ②里親は可能な限り本人に配慮していたか。
? ③児童相談所等は里親?児童の関係構築のため、適切な
フォロー等を行ったか。
? 里親に対して処罰等は恐らく困難。
? 障害特性のため委託解除を申し出たとしたら、検討の余地
はある。
? 里親宅の環境が児童の障害により適切と言い難いとしても、
合理的配慮は過重な負担とみなされる可能性はある。
? (愛着障害は精神障害等の範囲に入るか微妙ではあるが、
障害に対する配慮を要するケースといえるかもしれない。)

More Related Content

障害者差别解消法と社会的养护