狠狠撸

狠狠撸Share a Scribd company logo
広告プラットフォーム立ち上げ百鬼夜行
小越崇広
株式会社AJA 取締役
自己紹介
妻と、息子と娘と暮らす37歳
株式会社AJAのプロダクト
担当役員。ゲーマー。
サイバーエージェントに
12年勤務。
シャドウバース
Grand Master(WLD環境)
スプラトゥーン2
ウデマエ:A-
サーモンラン:たつじん
自己紹介(経歴)
0→1なシチュエーションに良く居ます。
ネットトレンド研究室立ち上げメンバー
CAテクノロジー開発チーム立ち上げ
CAアドバンス仙台拠点立ち上げ
AmebaDMP立ち上げ
Amebaアドサーバー立ち上げ
AmebaInfeed立ち上げ
AJA-SSP立ち上げ
本業はマネジメントの
非エンジニアです
今日のテーマ
広告プラットフォーム立ち上げで起こる
課題とその対応策を事例で学ぶ
自己紹介(経歴)
0→1なシチュエーションに良く居ます。
2005年にサイバーエージェントに入社
ネットトレンド研究室立ち上げメンバー
CAテクノロジー開発チーム立ち上げ
CAアドバンス仙台拠点立ち上げ
AmebaDMP立ち上げ
Amebaアドサーバー立ち上げ
AmebaInfeed立ち上げ
AJA-SSP立ち上げ
流れ
1.事前情报の整理
2.0→1期に起こった課題と解決
3.1→10期に起こった課題と解決
4.10→100期に起こった課題と解決
5.まとめ
事前情报の整理
AmebaInfeed
要するに、Amebaの広告です。
サード?パーティのサーバーを使って、純広告を販売して
いたのですが、これを100%内製の運用型広告にしました。
サイバーエージェントには、
「メディア」「広告代理事業」「ゲーム」「投資育成」
と4セグメント存在していますが、
我々はメディアの中で広告を扱っています。
AmebaInfeed
要するに、Amebaの広告です。
サード?パーティのサーバーを使って、純広告を販売して
いたのですが、これを100%内製の運用型広告にしました。
サイバーエージェントには、
「メディア」「広告代理事業」「ゲーム」「投資育成」
と4セグメント存在していますが、
我々はメディアの中で広告を扱っています。
伏線です。
前提:CAにおけるPM
ビジネスデベロップ プロダクトデベロップ
営
業
運
用
B.
O.
エンジニア ディレクター
CAでは、ビジネスデベロップとプロダクトデベロップに
それぞれ責任者が立つことが多い。
今日はこっちの話
デザイナー サイエンティスト
前提:PMの仕事
○プロダクト開発
プロダクトの競争力を高める
○組織開発
チーム力が最大限になるように
マネジメントする
前提:プロダクトのフェーズ
プロダクトがどの段階にあるかによって
課題が変わるので、以下のように
便宜上分類させていただきます。
「0→1」「1→10」「10→100」
前提:プロダクトのフェーズ
「0→1」
立ち上げ最初期のフェーズ。
フィジビリティ期間。
ここでもたつくと撤退判断がされる。
前提:プロダクトのフェーズ
「1→10」
どうやら本当に市場がありそうな事が
分かったフェーズ。
勝つ為にどこに向けてアクセルを
踏むかを決めて仕込みを始める。
前提:プロダクトのフェーズ
「10→100」
スケールを目指すフェーズ。
仕込みが開花して本格的に
業績が伸び始める。
だいたい、この地点まで来ると私は次
のプロジェクトにアサインされます(笑)
広告プラットフォームのレシピ
○プロダクト開発
?ID体系の整備
?DMPの構築
?アドサーバーの構築
?配信ロジックの開発
?管理画面の開発
?レポート基盤の整備
?分析基盤の整備
○組織開発
?採用
?ディレクション体制の整備
?開発プロセスの整備
?各種制度の拡充
?申込みフローの構築
?広告審査フローの構築
?入出金フローの構築
+営業&運用フロー
広告プラットフォームを立ち上げるには戦略立案の他、
以下の項目が具体的に必要になります。
「0→1」
成長著しい運用型広告の予算を
取り込むため、内製広告をリリース
することに決めた。
リードエンジニアとPMの私のアサインが
決まり、PJTがスタートした。
しかし???っ!
リリースターゲットが決まってるのに
最終仕様が確定しない問題
[課題]
[課題]
戦略策定と同時に仕様を検討してて、
なかなか最終FIXしなかった。
だけど、事業計画上どのタイミングで
出したいかは決まっている???っ!
摆解闭
作っちゃう。
摆解闭
摆解闭
やらないという判断がなさそうなので、
リードエンジニアと相談して開発をスタートした。
例えばimpとかアカウント構造とか、
最終GOを待たずとも「これは絶対いるだろ」
という要素は結構ある
流れ的に体制構築も遅れそうなので、
自分達で採用してエンジニアも入れ始めた。
前部署から懇意にしてた人材会社を通じて、
立ち上げ特化の野武士人材を業務委託で
集めた。
摆解闭
多ドメイン、多ID問題。
[課題]
多ドメイン、多ID問題。
[課題]
アメブロだけとっても、ameba.jpとかameblo.jpとか
複数のドメインがあり、メディアも多岐に渡っている。
しかも、ID体系が複数存在していて、
誰も全容を把握していない状態だった。
小細工は通用しない。ここは正面突破
既存のIDを以下の観点で検証した。
摆解闭
小細工は通用しない。ここは正面突破
既存のIDを以下の観点で検証した。
?IDのカバレッジ(会員/非会員、デバイス???)
?属性情報のカバレッジ
?広告で管理するIDとのsyncの可否
?運用状態(あるけど運用されてないとかあるかも)
状態によっては既存のID体系に紐づく情報は
全く利用しない事も検討しましょう。
摆解闭
さばけない!問題。
[課題]
さばけない!問題。
[課題]
野武士達と必死に配信システムを
作って仕上がってきた年末。
負荷試験を実施するものの、何故か
QPSがある一定以上さばけない><
なんでだ!スケールしないぞ!!!
AWSのプレウォーム申請忘れてました(笑)
しましょう。
摆解闭
0→1はとにかく立ち上げ無いと
始まらないフェーズ。
神の手だろうがゴールを決める事に
こだわろう。
「1→10」
なんとかリリースして、事業がスタート。
立ち上げならではのトラブルは
もちろんあったが、ビジネスは順調に
拡大し立ち上げ期を脱した。
しかし???っ!
誰も広告なんてやりたくないよ問題
[課題]
誰も広告なんてやりたくないよ問題
[課題]
業務委託主体のチームだとさすがにリスクが出てき
そうなので、社員採用をするべく、人事に相談した。
誰も広告なんてやりたくないよ問題
[課題]
業務委託主体のチームだとさすがにリスクが出てき
そうなので、社員採用をするべく、人事に相談した。
そしたら人事に「小越さんここメディア管轄ですよ?
広告やりたいエンジニアなんていませんよ。」
と真顔で返された。
まじかよ???。
応募の少なさは仕方ない。
採用ターゲットを定め、
刺さるようなコアバリューの文化を作り、
会いさえすれば採れるを目指した。
摆解闭
応募の少なさは仕方ない。
採用ターゲットを定め、
刺さるようなコアバリューの文化を作り、
会いさえすれば採れるを目指した。
我々は、この方向を目指すし、
そういう人と働きたい、という価値観。
摆解闭
部署にもプロダクトにも魅力が無いので、
我々は以下のターゲットを狙う事にした。
1.社内でもやもやしてるエンジニア
2.SIerでもやもやしてるエンジニア
摆解闭
部署にもプロダクトにも魅力が無いので、
我々は以下のターゲットを狙う事にした。
1.社内でもやもやしてるエンジニア
2.SIerでもやもやしてるエンジニア
そして、彼らが抱えている欲求を想定し、
そこに刺さる文化をつくることにした。
摆解闭
我々がした想定
1.社内でもやもやしてるエンジニア
摆解闭
我々がした想定
1.社内でもやもやしてるエンジニア
?技術が分からないPやDのムチャ振りに
ふりまわされてウンザリ。やらされ仕事。
摆解闭
我々がした想定
1.社内でもやもやしてるエンジニア
?技術が分からないPやDのムチャ振りに
ふりまわされてウンザリ。やらされ仕事。
?使っている技術がかなり枯れていて、
期間も長いしこのままで良いか漠然と不安
摆解闭
我々がした想定
2.SIerでもやもやしてるエンジニア
摆解闭
我々がした想定
2.SIerでもやもやしてるエンジニア
?技術選定がガチガチで、技術的欲求が
満たされない
摆解闭
我々がした想定
2.SIerでもやもやしてるエンジニア
?技術選定がガチガチで、技術的欲求が
満たされない
?営業と客先が絶対。より良い方法を議論できない
摆解闭
我々がした想定
2.SIerでもやもやしてるエンジニア
?技術選定がガチガチで、技術的欲求が
満たされない
?営業と客先が絶対。より良い方法を議論できない
?所詮他人のもの。自社サービスをやりたい
摆解闭
そして、作ったコアバリュー
摆解闭
1.技術的挑戦をする
2.目的に向かって開発をする
3.マーケットインパクトを出す
4.自慢できるチームを、みんなでつくる
5.チームエンゲージメントを重視する
体現できる人を採用する事にした
そして、作ったコアバリュー
摆解闭
1.技術的挑戦をする
2.目的に向かって開発をする
3.マーケットインパクトを出す
4.自慢できるチームを、みんなでつくる
5.チームエンゲージメントを重視する
体現できる人を採用する事にした
摆解闭
1.技術的挑戦をする
エンジニアは知的アスリートである。
一線で戦い続けるためには常に向上が必要。
我々は技術的挑戦を通じてエンジニアがスキルを
磨く機会と新しい価値を実現する機会を提供する。
摆解闭
2.目的に向かって開発をする
誰かが言ったから作る、はしない。
開発する上で必ず目的を確認し、
そこに向かって開発を行う。
時には違うものも作るし、時には作らない。
目的に合致していればどちらも正解である。
コアバリューも事例がなければ説得力が
ない。なので、事例を作った。
?新規言語やフレームワークの採用
?チケットの改善
摆解闭
チケットの雛形摆解闭
項目 記載する内容
?何を作るか? 開発する機能そのものの説明
?誰が使うか? この機能を利用するユーザーやシステムを記載する
?なぜ必要か?
この機能を開発する背景を説明する(最重要)
この背景次第では作るものを変えたり、やめたりする。
?完了定義
正常な場合の挙動を明らかにする。
ボタンやフォームなどが存在している場合には
押下時の動作やバリデーションも全て記載する
?成功定義
この機能がリリースされた時の「成功とはなにか?」を
定量的に規定する。
?論点 あいまいな点、決めないといけない点を記載する
採用や異動の面接で事例を紹介すると、
かなりの確率で採用できた。
人事も、不人気部署だったのに
かなり頑張って社内のエンジニアを
紹介してくれました。
摆解闭
アドテクおじさん問題
[課題]
アドテクおじさん問題
[課題]
「アドテクに詳しい」おじさんやおばさんが、
10年は先行してる競合プロダクトを持ち出してきて、
自分たちの商品をディスってくる。
やっかいな事に身内にこういう人もいた。
摆解闭
うるせえ。
摆解闭
摆解闭
情報をくれるのはうれしいんだけど、
騒いだところでプロダクトは改善しないし、
その人がプロダクトを改善してくれるわけでも無い。
後発だなんて百も承知。
自分と、顧客と、ユーザーを見て歯を食いしばり
ながら改善と攻め先の選定を続けるしか、道はない。
1→10は勝ち筋をなんとか探りながら
チームの基礎を作っていく段階。
ここで入れた人がコアになるので、
採用にはしっかり関与しよう。
「10→100」
戦う方向が見えてきて、
いよいよスケールする段階に。
チームサイズもエンジニアだけで
25名を超えてきた。
戦う方向が見えてきて、
いよいよスケールする段階に。
チームサイズもエンジニアだけで
25名を超えてきた。
ここで起こる組織の問題は、
今までとちょっと毛色が変わる。
いわゆる、30人の壁。
30人の壁は
「一人が信頼で組織を引っ張る」こと
が不可能になる事に起因する。
牧歌的なグループは、
ここに至って組織への脱皮が
必要になってくる。
?以心伝心から制度やルールへ
?暗黙知からドキュメントへ
?マネジメントはツールがないと辛い
?リーダーシップチームを組成して
100名規模のスケールに備える。
30人の壁にぶつかると、
典型的な問題が出てきます。
新人が活躍するまでなんか時間が
かかるぞ、問題。
[課題]
新人が活躍するには条件がある
?心理的安全性の確保
?明確なミッション
?小さな成功体験をする
[課題]
シンプルに制度を整えた。
?心理的安全性の確保
→バディ制度
?明確なミッション
?小さな成功体験をする
→ファーストバイトを用意する
摆解闭
心理的安全性の確保とバディ制度
摆解闭
中途社員や異動社員にはまず、
「自分はここにいて大丈夫」
「ここでなら安心して働ける」
という実感をもってもらう必要がある。
心理的安全性の確保とバディ制度
摆解闭
具体的には、新入社員にひとりバディをつけて、
毎日、2週間、振り返りを行う。
内容は、「何か聞きたいことや困った事がないか」
仕事の話はこちらからはしない。
新入社員は意外なところが気になってたりする。
うまくいくと、2週間後には「特に話す事ないねー」
となる。こういう状態の時は大体OK。
ファーストバイトを用意する
摆解闭
中途社員や異動社員が本当にチームの一員に
なれたと実感するのは、小さくてもいいので、
自分の仕事で成果が出た時。
ファーストバイトを用意する
摆解闭
中途社員や異動社員が本当にチームの一員に
なれたと実感するのは、小さくてもいいので、
自分の仕事で成果が出た時。
なので、かなり長期のミッションを期待していたとしても
入社/異動直後の最初の案件は「短期で」
「成果が見えやすい」ものにする。
「一番最初に何を任せるか?」はリーダー陣で
毎回かなり議論した。
サプライズ退職問題。
[課題]
サプライズ退職問題。
[課題]
期待してたエンジニアの突然の退職。
やな予感はしてた。してたんだ???っ!
マネジメントをツール化していく
摆解闭
マネジメントをツール化していく
VisionSurvey&NPS
月一面談のシート整備
OKR
摆解闭
VisionSurvey&NPS
摆解闭
自分達の部署が、コアバリューを
どれくらい実現できているかのアンケート。
ぶっちゃけグーグルガイストのパクリ
最後にNPSを図る為に「この部署で働く事を
自分の知り合いや友人に進めたいですか?」も
聞いています。
VisionSurvey&NPS
摆解闭
潜在的な組織の弱点の発見
異動/退職リスクの早期発見
月一面談
摆解闭
自分で全部できないので必ず聞く項目を決めて
リーダーに委譲していく。
体力/モチベーション
OKRの進捗
キャリア
困ってる事?気になる事
とりあえずの仕様が最終仕様問題
[課題]
「時間無いし、とりあえずこの仕様で
いこう!」とした箇所がずーっと残る。
しかもそいつがボトルネックになっていく
[課題]
例:配信案件の制御機構
リリース前「これは仮。3ヶ月で捨てよう」
[課題]
例:配信案件の制御機構
リリース前「これは仮。3ヶ月で捨てよう」
実際→3年間現役。
ついに看過ができないレベルに
遅くなって、先日リプレースした
[課題]
そもそも攻めと守りのバランスは
とても難しい。
僕らはエースエンジニアを2枚アサインした
コアテクチームを作って、彼らが負債の
返済だけに集中する体制で乗り切った。
摆解闭
30人の壁は「単にいいやつ」でも「成
果が出せる人」でも乗り越えられない。
事業をここからスケールさせていくには
PMを変えるか、あなたが成長して
マネジメントを進化させるしかない
まとめ
立ち上げは
楽しい!
このプレゼンで使っている画像は、
「ダ鳥獣戯画」さんの画像を使用させていだきました。
http://www.chojugiga.com/
和紙っぽい壁紙はpaper-coさんの配布素材です。
http://free-paper-texture.com/about-paper-co/
『広告プラットフォーム立ち上げ百鬼夜行』
小越崇広
株式会社AJA取締役
ありがとうございました!

More Related Content

広告プラットフォーム立ち上げ百鬼夜行