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マクロ的テクノロジー考察①
人工知能と経済学
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本書の目的
将来重要度が増すテクノロジーの考察と個人的な未来予測。
「科学やテクノロジーをテコにして、世界に非常に大きなインパクト
を与えられる機会がそこらじゅうにころがっている。
君たち一人ひとりが個性に応じたそれぞれの機会を追求できる。
君たちみんなが、そのことに興奮すべきだ。」
ラリー?ペイジ
「自分が大学生だったとき、いつも世界を変えてしまうようなことに夢中になっていた
んだ。そして、今それを実現している。」
イーロン?マスク
未来は正確に予測できないと言われている。それはある程度カオス理論の初期値鋭敏性によって証明されている。
しかし、アバウトな将来予測はできると思う。社会は、「テクノロジー」「お金」「社会システム」「世界観」
によって規定されたベクトル上を進んでいると考えるからだ。将来は正確に予測できない。しかし、
社会の進んでいく方向性は定義することができる。本書は、上記四要素の中で関心度が一番高いテクノロジー
を主題にとり、個人的な考察を行う為に作成した。
ビルバクストンという偉人は言った
なのであれば、将来のイノベイションを牽引するテクノロジーはすでに存在している。
一方で発明が10年以上前に提唱されていたとしても、そのどれがイノベーションに結びつくかはわからないともバクストンは言っている。
でも、数を打てば当たる確率は必ず伸びる。その初動としてまずは確度の高いテクノロジーをまとめたいと思う。
次の10年に重大な影響をもたらすテクノロジーのあらゆるものは、
少なくとも10年前には存在している。
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なぜテクノロジーなのか?
政治や社会は、9.11やトランプの当選、東日本大震災など、
外れ値による影響が強すぎるので従来の統計学的手法を用
いた未来予測は意味を持ちえない。一方で、テクノロジー
はイノベイションによる断絶はあるものの、大体線形的な
進化を辿るので、未来予測はできる。テクノロジーの予測
をすることで将来の予測の手がかりになると考えた。
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実際に空を飛ぶ機械が、数学者と機械工の協力と不断の努力によって
発明されるまでには、百万年から一千万年かかるだろう。
1903年のニューヨーク?タイムズ記事
1903年ライト兄弟が飛行に成功。
コンピュータは、売れても世界全体で5台だろう。
1943年 IBM社長トーマス?ワトソン
未来予測の難しさと楽しさ
5ロジスティック曲線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E6%96%B9%E7%
A8%8B%E5%BC%8F
1800 1900 1995
第3次産業革命
第2次産業革命
①GPT=蒸気機関
②GPT=内燃エンジン
③GPT=インターネット
④GPT=AI
GPT(汎用目的技術)
技
術
の
蓄
積
度
NOW
2030 特化型人工知能から汎用人工知能へのシフト
テクノロジーの歴史
2045
シンギュラリティー
第4次産業革命
Source: http://m.thecureisnow.org/our-strategy/tcin-philosophy/technological-singularity/
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変化の速度は加速している
参考:レイ?カーツワイル「シンギュラリティーは近い」
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これからの30年
AIの歴史
参考:ネットコマース株式会社
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AIの認識
Harvard Business Review 安宅和人
AIは機械学習、自然言語処理、画像認識等の情報科学が実装され高い性能をもつ計算環境がデータによって訓練されることに
よって初めて特化型AIになる。つまりデータこそがAIの鍵である。IoTによってデータ量は指数関数的に増加するのでデータ量に問
題はないだろう。データを分析する人材の方には不足が予想される。
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AIの経済へのインパクト
変化のスピードは増加し、AIによる変化は既存システムに適応しない可能性がある。
汎用型人工知能
現在の1つしかタスクができない人工知能ではなく、様々なタスクが
できるより人間に近い人工知能。
技術的失業?新しい技術のもたらす失業。
労働移動??ある業種から別の業種にあるいはある企業から
別の企業へ労働者が移動すること。
資本主義においてこれまでの歴史の中で技術的失業は新しい
職業が生まれ、労働移動によって絶えず解消されてきた。
しかし、AIは解消されない可能性がある。
新しい技術や商品が開発されてから社会に普及するようになるにはある
程度の時間がかかる。 (ディフュージョン)
ディフュージョンの分だけ新しい商品が実際に労働者を
駆逐するまでには時間がかかる。
ただし、最近はディフュージョンの期間はかなり短くなってきている。
アメリカでは自動車が人口の50%まで 普及するには80年以上が必要だった。
テレビやビデオは30年ほど。携帯電話は10年ほど。
ディフュージョンの期間は今後もっと短くなってくる。
経済へのインパクト
変化の加速度の増加(デジタルスピードの例)
citiによる調査
5000万人のユーザーを獲得するまでにかかった時間
電話:75年
Web:7年
Facebook:4年
Instagram:2年
Pockemon Go:1ヶ月
Angry Bird : 35日
デジタルで人と
マシーンが繋がり
新しいサービスが
生まれる。
参考:http://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/reports/Citi_GPS_Technology_Work.pdf
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AIの経済へのインパクト
グレートデカップリング は今世紀最大の問題となりうる。
GDPは上がっているのに中央値は下がっている。
一般的な労働者は貧しくなっているのに金持ちは
それに余りあるほどお金持ちになっている。
技術的失業を受けているのは中間労働者層。
失業した中間層は知的労働よりも肉体労働に
流れる人数の方が多い。そうすると更に格差
が広がる。
参考:人工知能と経済の未来
*量子コンピューターはAIの進化を加速させる可能性が高い。
これらの社会問題が予想よりも早くやって来る可能性がある。
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人工知能×量子コンピューター
最適化問題に関して、量子コンピューターの威力は従来のコンピューターの1億倍。
量子コンピューターとはなにか?
電圧の強弱で0と1(ビット)で表現されていた従来の
コンピューターとは異なり、量子力学でいう
原子と量子の関係を波の性質を利用し表現されたコンピューター
波の性質を利用するため、「0であり1である状態(量子ビット)」
を表現できる。
(波を重ねて表現する)
性能
組み合わせ最適化問題に関して量子コンピューターは従
来のコンピューターに比べ、1億倍高速。
(従来3年2ヶ月かかる計算を1秒でこなす)
背景
量子コンピューターは「量子アニーリング方式」で動いている。
現時点では量子アニーリングで動いているマシンは従来のPCにくらべ
汎用的ではないが、 人工知能や物流や金融という分野で応用が可能である。
量子アニーリングとは?
最適化問題のような従来どおりに計算をしていたらとても時間のかかる
問題を量子力学の波の現象をもちいることで 超高速に計算をすること。
人工知能への応用
従来のPCは組み合わせ最適化問題を
解くことが苦手。 計算量が指数関数的に
伸びる計算は不向き。量子コンピューターは
莫大な計算処理に向いている。
人工知能の開発には「機械学習」が必要。
機械学習の処理では、どの要素が重要な役割
を示すのかを判別する「変数選択」
データがどのグループに分類されるのかを
判別する「クラスタリング」など、
組み合わせ最適化問題を含むものが多い。
機械学習における組み合わせ最適化問題は、
既存のコンピュータで解こうとすると非常
に長い時間がかかるので、 本当の正解である
「厳密解」ではなく、厳密解に近い「近似解」を求
めることで済ましているのが現状。
量子コンピューターにより、機械学習の
処理で厳密解が見つかる可能性が高くなる。
(なこともある。)
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量子コンピューターの難題
依然として膨大なデータ量に対して、記憶装置をどうするのかという問題はある。
Googleは2022年までに、量子コンピューターの一般販売を目標にしているが、量子コンピューターに適切な記憶保存システムは未だ無い。
参考:http://wired.jp/2017/05/17/quantum-computer-drives/
量子コンピューターはその性質上、内部に情報を保存したり複製したりすることができない(量子複製不可能定理)
どれだけ演算能力が高くても、バックアップデータをつくれないのでは用途は限られる。
量子データを変換して、従来型の記憶装置に残すことはできるが、変換したデータは膨大な容量を食う。
その中で候補に上がっているのは「DNA」と「原子」の構造を模倣した保存システム。
従来のハードディスクは2次元の平面にしかデータを保存できないが、
DNAは3次元分子であるため、高さの次元が追加され、単位容積あたりに
保存できるデータ量が劇的に増加する。
1グラムのDNAに215ペタバイト、2億1,500万ギガバイト
の情報を保存できる。
これだけ圧縮できれば、全人類のもてるすべてのデータをトラック数台に
積み込むことさえ可能。
またDNAは長持ちするという利点もある。

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