条件反射制御法を行动分析学から考える
- 1. サブタイトル 所属 その他 February 10, 2018 条件反射制御法を行动分析学から考える February 10, 2018 A consideration about the Conditioned Reflection Control Technique from Behavior Analysis 広島国際大学 首藤祐介 認知?行動療法コロキウム in 三浦半島
- 2. 条件反射制御法は”有効なセラピー”か？ この発表は条件反射制御法の有効性を支持するものではありません。 プログラムとしての有効性はRCTやMeta-analysisによって，目の前のク ライエントのへの有効性はSingle case experimental designによって確 認されるべきです。 同時に，条件反射制御法が理論的に正しいこと/正しくないことを述べ るものでもありません。どのようなメカニズムにより効果を示すのかは， 実験的検証により確認されるものだと考えています。 本発表は，関連する可能性のある研究を紹介することを通して，その メカニズムを説明する１つの仮説をあげているのに過ぎないことをご理 解ください。そして，このような仮説は今後検討を要するものだと考え ています。
- 6. 介入プロセスの整理 訓練後の生活状況 おまじない 反応 刺激 嗜癖行動 反応 薬物あり 刺激 近い枠組みのアディクションに関する基礎的研究 Conditioned inhibition of cocaine seeking in rats (Kearns et al., 2005) 生活状況 (含 誘発刺激)
- 7. Stage 1 クリック音 刺激 レバー押す 反応 コカイン 投与 刺激 クリック音 ＋光 刺激 レバー押す 反応 コカイン 投与なし 刺激 Conditioned inhibition of cocaine seeking in rats (Kearns et al., 2005)
- 8. Stage 2 別の誘発刺激 刺激 レバー押す 反応 別の誘発刺激 ＋光 刺激 レバー押す 反応 Conditioned inhibition of cocaine seeking in rats (Kearns et al., 2005) 頻度の違いは？
- 9. Conditioned inhibition of cocaine seeking in rats (Kearns et al., 2005) 92%減 results
- 10. 手続きの比較 クリック音 刺激 レバー押す 反応 コカイン投与 刺激 クリック音+光 刺激 レバー押す 反応 コカインなし 刺激 生活環境 嗜癖行動 薬物あり 生活+おまじない ? 薬物なし 誘発刺激+光 刺激 レバー押す 反応 生活+おまじない 嗜癖行動 頻度低下 Kearnsetal.,2005 条件反射制御法
- 11. -オペラント条件づけにおける条件性制止手続き →複数の研究で影響を確認 (i.e., Brown & Jenkins,1967; Bonardi, 1988） -治療への応用可能性が指摘されている。 負の刺激まとめ 条件性制止手続きによる 実践報告は？ 本研究の結果は，薬物乱用における cue-oriented behavioral treatments 発展の方法を示唆する (Kearns et al., 2005)。 (道具的条件づけに対する)条件性制止の手 続きは被治療者に身体的な苦痛を与える ことなく望ましくない行動を減少させる 方法として利用可能である (栗原?澤, 2012)
- 12. Functional Analysis and Treatment of Cigarette Pica (Piazza, Hanley, & Fisher, 1996) 事例: Don 17歳男性 診断: 精神遅滞，自閉症 問題: タバコの吸い殻を食べる。 アセスメントにより，タバコ成分が主 な強化子であることが明らかになっ ている
- 13. Functional Analysis and Treatment of Cigarette Pica (Piazza, Hanley, & Fisher, 1996) 治療的アセスメント?フェイズ -介入用のトレーニングルームで訓練を実施 -２つの条件を導入 1. non-contingent food condition (NCF) Donの好きな食べ物，パズル，ワークブック，そしてタバコにも自由にア クセス可能 2. NCF+Interrupt NCFに加え，異食行動が生じたらセラピストがそれを止める この条件の際には紫色のカードを提示する
- 14. Functional Analysis and Treatment of Cigarette Pica (Piazza, Hanley, & Fisher, 1996) 治療的アセスメント?フェイズ -介入用のトレーニングルームで訓練を実施 -２つの条件を導入 1. non-contingent food condition (NCF) Donの好きな食べ物，パズル，ワークブック，そしてタバコにも自由にア クセス可能 2. NCF+Interrupt NCFに加え，異食行動が生じたらセラピストがそれを止める この条件の際には紫色のカードを提示する タバコ接触 回数/min. 異食行動 回数/min. NCF NCF NCF+Interrupt NCF+Interrupt
- 15. Functional Analysis and Treatment of Cigarette Pica (Piazza, Hanley, & Fisher, 1996) 刺激性制御アセスメント?フェイズ -２つの条件を導入 1. NCF+部屋に黄色のカード掲示 2. NCF+部屋に紫色のカード掲示 -最初はトレーニングルームで実施 -後半では他の環境でも実施
- 16. Functional Analysis and Treatment of Cigarette Pica (Piazza, Hanley, & Fisher, 1996) 刺激性制御アセスメント?フェイズ -２つの条件を導入 1. NCF+部屋に黄色のカード掲示 2. NCF+部屋に紫色のカード掲示 -最初はトレーニングルームで実施 -後半では他の環境でも実施 異食行動 回数/min. 生化学的アセスメント（尿?血液中のcotinine） 介入前: 193 ng/ml（喫煙者の水準）→介入後：20 ng/ml（非喫煙者の水準） →大人が監督できない状況でこの手続きを使うように推奨
- 19. 行動連鎖として考える コンビニ アルコール購入 缶ビール 缶ビール 飲む アルコール摂取 弁別刺激 反応 (条件性)強化子 (最終的な強化子) 連鎖1 連鎖2 擬似ステージで扱う部分？ →「コンビニ」が飲酒行動のきっかけになる
- 20. responding in a two-response chain… (Kuhn et al, 2006) 行動連鎖を作る 発達の遅れがある児童に行動連鎖トレーニングを実施 R2を消去 -「eat」に対して食べ物を与えない -「open」はどうなる？ 箱 「open」 開いた箱 開いた箱 「eat」 食べ物 弁別刺激 反応 (条件性)強化子
- 21. responding in a two-response chain… (Kuhn et al, 2006) 実験 open eat
- 23. 条件反射制御法と行动分析学的実践
- 26. 参考文献 Brown, P. L., & Jenkins, H. M. Conditioned inhibition and excitation in operant discrimination learning. Journal of Experimental Psychology. 1967; 75: 255–266. Bonardi C. Mechanisms of inhibitory discriminative control. Anim Learn Behav. 1988;16: 445–450. doi:10.3758/BF03209385 Kearns DN, Weiss SJ, Schindler CW, Panlilio L V. Conditioned inhibition of cocaine seeking in rats. J Exp Psychol Anim Behav Process. 2005;31: 247–53. doi:10.1037/0097-7403.31.2.247 Kuhn SAC, Lerman DC, Vorndran CM, Addison L. Analysis of factors that affect responding in a two-response chain in children with developmental disabilities. J Appl Behav Anal. Society for the Experimental Analysis of Behavior; 2006;39: 263–80. doi: 10.1901/JABA.2006.118-05
- 27. 参考文献 栗原彬, 澤幸祐. 道具的条件づけにおける条件性制止訓練と興奮子消去 の効果. 基礎心理学研究. 2012;31: 35–41. doi:10.14947/ psychono.KJ0000842606 Piazza CC, Hanley GP, Fisher WW. Functional analysis and treatment of cigarette pica. J Appl Behav Anal. Society for the Experimental Analysis of Behavior; 1996;29: 437-49-50. doi: 10.1901/jaba.1996.29-437
- 28. ご清聴ありがとうございました