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誤嚥性肺炎
2017年7月10日
本日の内容
1. 誤嚥性肺炎についての概要
2. 嚥下に関する知識の確認
3. 嚥下障害を呈する疾患に対する治疗の文献绍介
本日の内容
1. 誤嚥性肺炎についての概要
2. 嚥下に関する知識の確認
3. 嚥下障害を呈する疾患に対する治疗の文献绍介
誤嚥性肺炎とは
(日本呼吸器学会ホームページ资料より引用)
◆定義
嚥下機能障害のため唾液や食物, あるいは胃液などと
一緒に細菌を気道に誤って吸引することにより発症
◆誤嚥の種類
?顕性誤嚥 : 食物の飲み込み時
?不顕性誤嚥 : 夜間就寝時、無意識下
◆疫学
(寺本.日本医事新報 No.4710 2014)
→ 高齢者に多い
(厚生労働省 平成29年 我が国の人口動態より引用)
1位
2位
3位
4位
(厚生労働省 平成29年 我が国の人口動態より引用)
1位:ガン
2位:心臓病
3位:肺炎
4位:脳卒中
(厚生労働省 平成29年 我が国の人口動態より引用)
1位:ガン
2位:心臓病
3位:肺炎
4位:脳卒中
96.6%
65歳以上
本日の内容
1. 誤嚥性肺炎についての概要
2. 嚥下に関する知識の確認
3. 嚥下障害を呈する疾患に対する治疗の文献绍介
摂食?嚥下とは
連載第4回 嚥下と姿勢および呼吸の関係*
https://www.youtube.com/watch?v=ojOzHJW1_cc
食物を認知し咀嚼?嚥下をすることにより
食物を口腔から胃まで運搬する一連の運動
◆ 先行期
食物を認識?判断
◆ 準備期
咀嚼と食塊形成
◆口腔期
奥舌への移送 ,咽頭への送り込み
◆咽頭期
咽頭通過,食道への送り込み
◆食道期
食道から胃へ送り込み(蠕動運動)
摂食?嚥下とは
連載第4回 嚥下と姿勢および呼吸の関係*
https://www.youtube.com/watch?v=ojOzHJW1_cc
食物を認知し咀嚼?嚥下をすることにより
食物を口腔から胃まで運搬する一連の運動
◆ 先行期
食べ物を認識?判断
◆ 準備期
咀嚼と食塊形成
◆口腔期
奥舌への移送 ,咽頭への送り込み
◆咽頭期
咽頭通過,食道への送り込み
◆食道期
関与筋
閉口(下顎を挙上):咀嚼筋
開口(下顎を下制):舌骨上筋群
↓
舌骨の円滑な運動に関与
摂食?嚥下とは
連載第4回 嚥下と姿勢および呼吸の関係*
https://www.youtube.com/watch?v=ojOzHJW1_cc
食物を認知し咀嚼?嚥下をすることにより
食物を口腔から胃まで運搬する一連の運動
◆ 先行期
食べ物を認識?判断
◆ 準備期
咀嚼と食塊形成
◆口腔期
奥舌への移送 ,咽頭への送り込み
◆咽頭期
咽頭通過,食道への送り込み
◆食道期
軟口蓋が上方へ移動
?鼻咽腔閉鎖
舌が後方に引きさがり
食塊を後方へ送り込む
(随意的)
摂食?嚥下とは
連載第4回 嚥下と姿勢および呼吸の関係*
https://www.youtube.com/watch?v=ojOzHJW1_cc
食物を認知し咀嚼?嚥下をすることにより
食物を口腔から胃まで運搬する一連の運動
◆ 先行期
食べ物を認識?判断
◆ 準備期
咀嚼と食塊形成
◆口腔期
奥舌への移送 ,咽頭への送り込み
◆咽頭期
咽頭通過,食道への送り込み
◆食道期
咽頭の粘膜に触れることに
より嚥下反射を誘発
↓
口蓋挙上
喉頭蓋後方へ倒れる
気管への通路が閉鎖して誤嚥を防ぐ
摂食?嚥下とは
連載第4回 嚥下と姿勢および呼吸の関係*
https://www.youtube.com/watch?v=ojOzHJW1_cc
食物を認知し咀嚼?嚥下をすることにより
食物を口腔から胃まで運搬する一連の運動
◆ 先行期
食べ物を認識?判断
◆ 準備期
咀嚼と食塊形成
◆口腔期
奥舌への移送 ,咽頭への送り込み
◆咽頭期
咽頭通過,食道への送り込み
◆食道期
食道から胃へ送り込む(蠕動運動)
咽頭収縮筋弛緩
(上→中→下)
↓
輪状咽頭筋弛緩
関与筋
これらの機能が破綻すると
誤嚥性肺炎を発症するリスクが高まる
柳澤幸夫:高齢者の嚥下機能と理学療法士の役割
口腔衛生の不良
栄養不良
免疫機能低下
嚥下機能低下因子細菌の増殖因子
舌骨及び喉頭の下降
舌骨筋群の筋線維の筋力低下
胃?腸?食道 の機能低下
口腔?咽頭内感覚低下
誤嚥性肺炎リスクファクター
疫学
脳梗塞後遺症
パーキンソン病などの神経疾患
寝たきり患者?高齢者
舌骨運動が減少している者は正常群と比較し3倍誤嚥するリスクが高まる
誤嚥性肺炎の発症メカニズム
誤嚥性肺炎の発症は侵襲と抵抗のバランスで決まる
(理学療法学40.7.p497引用)
侵襲
抵抗
誤嚥の量?質
呼吸?喀出能力?免疫力
侵襲
抵抗
誤嚥 ≠ 誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎 発症
医療?介護関連肺炎ガイドラインより
理学療法と関連
がある領域
口腔衛生のチェックポイント
(高山, BRAIN NURSING 2016 vol.32 no.9(857)より引用)
気道/食道の位置と頚部肢位
(高山, BRAIN NURSING 2016 vol.32 no.9(857)より引用)
摂食機能評価
連載第4回 嚥下と姿勢および呼吸の関係*
◆ 改訂水飲みテスト(Water Swallowing Test:WST)
口腔内に3mlの冷水を入れて嚥下を行わせ
嚥下反射誘発の有無などを評価
◆ 反復唾液嚥下テスト(Repetitive Saliva Swallowing Test:RSST)
示指で舌骨,中指で甲状軟骨を触知した状態で
空嚥下を指示
陽性:30秒間に3回未満
◆ 頸部聴診法:(Cervical Auscultation:CA)
主に咽頭期における嚥下状態を判定する方法
上記2つと併用することで信憑性が高まる
反復唾液嚥下テスト
頸部聴診法
嚥下運動の評価
◆ 頸部可動性
頸部の可動性や筋緊張の差異は喉頭や舌骨運動にも影響を与える
嚥下の代償法としての横向き嚥下やchin downなどにも頸部の可動性は
必要
◆ 舌運動 / 舌骨?喉頭の位置
挺舌?左右?舌尖挙上などの可動性を評価
舌骨上筋群の触診を行いながら,舌骨の動きや可動性も併せて評価する
◆ 頸部?体幹機能,座位の評価
非対称的な座位姿勢や脊柱の分節的活動が乏しい場合
上肢との協調動作や頭頸部伸展の動きも困難となり,
喉頭挙上や舌骨運動が阻害されやすいため、体幹機能?座位の評価は重要
トレーニング方法
※参照:日本摂食嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会 訓練法のまとめ(2014版)
頭部挙上訓練(シャキア法)
◆ 目的
喉頭挙上筋の筋力強化を行い、喉頭の前上方運動を
改善して食道入口部の開大を図る
◆ 主な対象者
喉頭の前方や上方への運動が低下し、その結果
食道入口部の開大が減少している患者
球麻痺,一般高齢者
◆方法
背臥位で頭部だけを持ち上げ足趾を見る状態を
30秒間保持
休憩をはさみながら3回繰り返す(目安:3セット/日)
◆注意点
無理のない範囲で行う
頸部?腰部の疾患,痛みがある者は実施しない
日本本摂食嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会 訓練法のまとめ(2014版)
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%AD%E3%82%
A2%E6%B3%95+%E7%94%BB%E5%83%8F&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUK
Ewi1n8D3rPnUAhWKXbwKHQ7ZBTgQ_AUIBigB&biw=2160&bih=1419#imgrc=pTzk9ma
CZS1DZM:&spf=1499505408882
Chin down 定義が混在
誤嚥の防止に有効であることは一般に広く知られており
摂食?嚥下リハビリテー ションの臨床において頻繁に用いられている
嚥下造影からみた摂食?嚥下の運動 学-二次元動作解析ソフトを用いた VF 画像解析-
*昭和大学医学部リハビリテーション医学教室 依田 光正
Chin down 頭頸部肢位別
シンポジウム 依田
◆ 舌根部や咽頭の動きが低下している場合は
頭部屈曲位などの chin down が有効
◆ 頸部屈曲位においては舌根.咽頭後壁間距離が
拡大し嚥下圧が低下する恐れがあり注意を要する
◆ 食塊咽頭通過時間が短縮していることからも
頭部屈曲位や複合屈曲位が嚥下には有利
Chin down 頭頸部肢位別
◆ 舌根部や咽頭の動きが低下している場合は
頭部屈曲位などの chin down が有効
◆ 頸部屈曲位においては舌根.咽頭後壁間距離が
拡大し嚥下圧が低下する恐れがあり注意を要する
◆ 食塊咽頭通過時間が短縮していることからも
頭部屈曲位や複合屈曲位が嚥下には有利
シンポジウム 依田頸部屈曲位でのChin down はなるべく避けるべき
注目
参考 e-larning 介護予防総論 资料より引用
本日の内容
1. 誤嚥性肺炎についての概要
2. 嚥下に関する知識の確認
3. 嚥下障害を呈する疾患に対する治疗の文献绍介
文献検索方法
?サーチエンジン: PEDro
?検索語: dysphagia
?ヒット数: 87
?過去5年のシステマティックレビューをピックアップ
?4論文紹介
脳血管障害による嚥下障害に対する治療
?研究デザイン
systematic review
?目的
急性?亜急性期脳卒中患者の嚥下療法と栄養?液状サプリメントについての
効果を評価すること
?方法
発症後6ヶ月以内で嚥下療法(注射や投薬、電気刺激、触圧刺激、経頭蓋刺激)
または栄養サプリメントの介入を行った2012までのRCTの文献を選択
?結果
?33 文献、6779 の対象者
?嚥下療法は死亡率や合併症、依存症には明らかな効果はないが
注射は最終評価時の患者数と介護を減らす
?栄養?液状サプリメントは死亡率や合併症、依存症に対して明らかな効果はない
栄養サプリメントはエネルギー摂取量とタンパク質摂取量の増加があるため
褥瘡の減少が見込める
Interventions for dysphagia and nutritional support in acute and subacute stroke
Geeganage et al. Cochrane Database of Systematic Reviews 2012, Issue 10.
脳血管障害による嚥下障害に対する治療
The effects of surface neuromuscular electrical stimulation on post-stroke dysphagia:
a systemic review and meta analysis. Chen et al. Clin Rehabil. 2016 Jan;30(1):24-35
?研究デザイン
systematic review, mete analysis
?目的
嚥下療法に加えての神経筋電気刺激療法の有無、神経筋電気刺激のみと
嚥下療法とでいずれか優れているかを調査すること
?方法
脳卒中後の嚥下療法で神経筋電気刺激を用いた2014までのRCTまたは
準RCTの文献を選択
?結果
?8文献が採択
?嚥下療法に加えての神経筋電気刺激療法の有無の比較は
電気刺激有り群が有意な平均値の差と不均質性を認めた
?神経筋電気刺激のみと嚥下療法との比較では明らかな違いはなかった
嚥下と误嚥性肺炎について
パーキンソン病による嚥下障害に対する治療
?研究デザイン
systematic review
?目的
パーキンソン病の嚥下障害に対する治療効果の文献をまとめること
?方法
2013年までの論文を検索しレビュー
?結果
?12論文採用
?メタアナリシスできず
?呼吸筋強化トレーニングとVideo-Assisted Swallowing Therapyは
単独 or ドーパミン補充療法に加えることで効果がある可能性
Treatment effects for dysphagia in Parkinson’s disease:
A systematic review Hooren et al. Parkinsonism and Related Disorders, 2014
遺伝性運動失調による嚥下障害に対する治療
?研究デザイン
systematic review
?目的
遺伝性運動失調の嚥下障害に対する治療効果の文献をまとめること
?方法
2015年までの論文を検索しレビュー
?結果
?RCTなし
?治療関連5論文あったが採用基準満たさず
現状エビデンスは全くない状態
?コントロールされた治療介入の試験が必要
Treatment for dysphagia (swallowing dif?culties) in hereditary ataxia
Vogel AP et al.Cochrane Datebase of Systematic Reviews, 2015
最後に
◆ 誤嚥性肺炎は予防することが可能
◆ 摂食?嚥下リハビリテーションの効果は十分にあり
理学療法士の介入の余地はある
◆ 特に訪問分野では該当する方もいると思うので、
今後理解を深めていく必要性がある
PT?OTのための嚥下?栄養マネジメント
参考になりそうな書籍紹介
新編 内部障害のリハビリテーション 第2版
摂食嚥下ビジュアルリハビリテーション
※日本本摂食嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会
訓練法のまとめ(2014版)

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嚥下と误嚥性肺炎について

Editor's Notes

  • #3: 今回のテーマは誤嚥性肺炎ということで、 まず誤嚥性肺炎についての概要 そして嚥下に関する知識の再確認 最後に嚥下障害を呈する疾患に関する治療の文献をいくつかご紹介させて頂きます。 よろしくお願いします。
  • #4: まず误嚥性肺炎とは…
  • #5: 嚥下機能障害により唾液や食べ物、あるいは胃液などと一緒に、細菌を気道に誤って吸引することにより発症します。 誤嚥には食べ物の飲み込み時に誤嚥する顕性誤嚥、夜間就寝時、無意識下に誤嚥する不顕性誤嚥などがあり、 このうち不顕性誤嚥は / 高齢者に多いとされています。 次に疫学なんですが…
  • #6: みなさんは現在肺炎が何位がご存知でしょうか これは昭和22年から平成27年までの死亡率の推移のグラフなんですが 平成27年現在の死亡率の順位わかる方いらっしゃいますか? 死因:何位が何か知ってる?
  • #7: …4位 脳卒中となっており、肺炎は近年増加傾向にあります。 この肺炎の中で…
  • #8: 96.6%は65歳の高齢者となっています。 全死亡率 65歳以上:96.6% 高齢者ほど高い
  • #9: 次に嚥下に関する知识を确认の意味でご绍介させて顶きます。
  • #10: 摂食?嚥下とは/食物を認知し咀噌?嚥下をすることにより食物を口腔から胃まで運搬するこの一連の運動であり, 先行期,準備期,口腔期、咽頭期,食道期の5期から成り立っています。 それぞれの期を詳しくみていくと…  
  • #11: まず先行期では目で食べ物を認識し、それがどのような大きさや位置にあるかを判断します。/ そして実際に口に運び、咀嚼し食塊を形成するまでが準備期と定義されています。 咀嚼というのは閉口と開口、言い換えれば下顎の挙上と下制によって行われていますが、下顎の挙上を咀嚼筋群、下制を舌骨上筋群が担っています。 この舌骨上筋群は舌骨に付着しており、舌骨の円滑な運動にも関与しています。
  • #12: 次に口腔期とは口腔から咽頭へ送られるまでを指し、 準備期で形成した食塊を舌が後方へ引き下がることによって送り込みます。 このとき軟口蓋が上方へ移動することで鼻腔と咽頭の通路が閉鎖し、逆流を防ぎます。
  • #13: そして咽頭を通過し、食道へ送り込む時期を咽頭期と言い、 食物が咽頭の粘膜に触れることにより、軟口蓋が挙上?喉頭蓋が後方へ倒れます。 喉頭蓋に注目して見て頂くとわかりやすいと思うんですが…/ このように後方へ倒れることによって気管への通路が閉鎖して誤嚥を防ぎます。 わからん。保留 舌骨:喉頭蓋の動きと関連(舌骨上筋群:嚥下時に舌骨を介して喉頭を前上方へ挙上し,食道入口部を開大させ食塊を食道へ円滑に移動):これ絶対言え
  • #14: そして最後に食道から胃へ送られる時期を食道期と言います。 通過する際に上?中?下の咽頭収縮筋、輪状咽頭筋が順に弛緩することで胃へと送りこまれます。/
  • #15: これらの機能が破綻すると誤嚥性肺炎を発症するリスクが高まります。 それぞれの期で様々な障害が引きおこるため、どの段階で障害されているかを判断することが重要です。
  • #16: 具体的に誤嚥性肺炎を好発しやすい疾患として、脳梗塞の後遺症?パーキンソン病などの神経疾患?寝たきり患者?高齢者などが挙げられます。 また口腔の衛生不良?栄養不良?免疫機能低下などによる細菌の増殖、舌骨筋群の筋力低下や口腔?咽頭内の感覚低下を呈している場合も誤嚥性肺炎の 発症リスクが高まります。 特に舌骨運動が減少している者は正常群と比較し3倍誤嚥するリスクが高まるため注意が必要です これらの機能が破綻すると 誤嚥性肺炎を発症するリスクが高まる 細菌の増悪因子とは具体的に… 嚥下機能の低下因子の具体的な評価は後ほど…
  • #17: しかし万が一誤嚥してもそれに対応できるような呼吸?喀出能力?免疫力などがあれば発症しません。 この関係が逆転したときのみ/誤嚥性肺炎を引き起こします そのためこれらの抵抗力を身に着ければ、発症を十分防ぐことができる疾患だと言えます。 そのため誤嚥したからといって必ずしも誤嚥性肺炎を引き起こすとは限りません。
  • #18: 医療?介護関連肺炎ガイドラインでは誤嚥性肺炎の様々な治療方針が示されていますが、今回はその中で理学療法と直接関連がありそうな 項目に絞ると… ?口腔ケアを行うこと ?摂食?嚥下リハビリテーションを行うこと ?就寝時の体位は頭部の軽度挙上が望ましいと言われています。 まず、口腔ケアですが…
  • #19: 患者に合った口腔ケアを実施するためには、表に示しているような口腔内の状態を観察し、変化を把握することが必要不可欠です。 毎回、すべてをチェックすることも必要ですが、普段の会話の中から口腔内の状態に関心を持ってかかわる視点を持つことが大切です。 まただれが見ても評価できるよう、共通ツールなどを作ることも重要です。
  • #20: この口腔ケアを行う際の肢位は 「患者にとって楽な姿勢」、「体幹が安定している」「介助者が行いやすい」体位を、患者の状態に合わせて整えることが大切です。 麻痺や意識障害のある患者は嚥下反射や咳嗽反射が低下しており、少量の水で行う口腔ケアでも誤嚥のリスクがあることを念頭に置き、実施しなければなりません。  基本は、可能な限り座位や側臥位をとってもらいますが、やむを得ず仰臥位で実施する際には、注意が必要で、 頸部伸展位では咽頭と気管が直線的となり誤嚥しやすい肢位となるため、 頸部前屈位にし、咽頭と気管に角度がついた状態で行うのが望ましいとされています。 気道伸展位を避け、軽く頚部を前屈し、吸引がすぐ に行える環境または吸引器付き歯ブラシなどを 使用して、誤嚥予防を行いながら実施すること が大切です( 図2 これの前に座位と臥位での舌骨筋の作用の違い入れる。 臥位での頸部のポジショニングですが、頸部伸展位では咽頭と気管が直線的となり誤嚥しやすい肢位となっています。 対して、頸部前屈位では咽頭と気管に角度がつくため誤嚥しにくいとされています。 そのため誤嚥防止としてセミファーラー位を検討することが一般的ですが、臥位では座位に比べ喉頭挙上が弱くなるため、注意が必要です。 しかし座位と比較すると…舌骨上筋群の話? ◆こっから下予備 ポ ジショニングの際重力の影響を考慮する。座位では, 喉頭の重みや重力により舌骨上筋群がもっとも効率よく張力を発揮できる長さであり,嚥下時には努力を要する ことなく喉頭が挙上する。 しかし臥位では座位に比べ喉 頭への重力方向が変化するため,舌骨上筋群の張力が減 少し,嚥下反射の筋収縮のみに依存した喉頭挙上とな る。 そのため,臥位では座位に比べ舌骨上筋群の収縮効 率が低下し,努力を要する喉頭挙上となる。誤嚥防止の ためにセミファーラー位を検討することがあるが, 座位に比べ喉頭挙上が弱くなることに注意が必要である。
  • #21: 次に摂食機能の評価としては、改訂水飲みテスト、反復唾液嚥下テスト、頸部聴診法などがあります。 この中で、反復唾液嚥下テストは簡便に出来るので今やってみたいと思います。 みなさんまず、示指で舌骨を、中指で甲状軟骨を触ってみてください。 この状態で空嚥下を繰り返します。甲状軟骨が中指を乗り越えた場合のみをカ ウントし,30秒間で3回未満の場合を嚥下反射障害とします。 また頸部聴診法は主に咽頭期における嚥下状態を判定する方法なんですが、上記の2つと併用することで信憑性が高まると言われています。 今回提示したものはどれも簡便に出来るものですが、それぞれ感度や特異度が異なるためひとつの結果だけで判断せず, 複数の結果を総合して判断することが望ましいとされています。 ■反復唾液嚥下テスト:嚥下反射の随意的な惹起能力を評価する方法   示指で舌骨,中指で甲状軟骨を触知した状態で空嚥下を 指示 30秒間に何回空嚥下が行えるかを数える。 陽性:30秒間に3回未満   30秒間に何回嚥下運動が起こるかを見るテストで随意的な嚥下反射の惹起性を見ます。 ■改訂水飲みテスト:嚥下反射誘発の有無,むせ,呼吸の変化を評価   口腔内に3mlの冷水を入れて嚥下を行わせる。   評価は1~5点の5段階評価である。 ■頸部聴診法:主に咽頭期における嚥下状態を判定する方法   通常であれば清明な呼吸音の後に嚥下音が聴取され,嚥下後に清明 な呼気音が聴取される。異常がある場 合は,長い嚥下音や弱い嚥下音, 複数回の嚥下音,泡立ち音が聴取され喉頭挙上障害や誤嚥などが疑われる。
  • #22: 嚥下運動の評価としては、頸部の可動性、舌の運動、頸部?体幹機能、座位の評価が必要です。 頸部の可動性や筋緊張の差異は喉頭や舌骨の運動にも影響を与えるため、頸部可動域の確保は重要です。 また体幹の機能や、座位の評価も重要で 非対称的な座位姿勢や脊柱の分節的活動が乏しい場 合,摂食のための上肢と座位姿勢との協調動作が困難とな ります。 さらに食物へ口唇を近づけるための頭頸部伸展の 動きも困難となり,喉頭挙上や舌骨運動が阻害されやすいため、座位姿勢?体幹機能の評価は重要です。 ■頸部可動性 頸部の可動性は頸部の筋緊張の影響を受けやすいた め,屈曲?伸展?回旋?側屈の自動および他動的な可動域を測定し,同時に筋緊張も評価する。 頸部の可動性や筋緊張の差異は喉頭や舌骨運動にも影響を与えるため, 嚥下の代償法としての横向き嚥下やchin downなどにも頸部の可動性は必要である。 ■舌骨?喉頭の位置  安静時の舌骨および喉頭の位置を確認する。加齢により喉頭の位置が低下し,嚥下には不利な状態となる。ま た呼吸状態が不安定な場合,吸気時の喉頭下降が観察されることもある。  安静時に喉頭下降がみられる場合,嚥 下時の喉頭挙上距離の増加や喉頭挙上時間の延長がみら れ,喉頭挙上が不十分な場合は食道入口部開大の減少, 咽頭残留の増加に繋がりやすい。    喉頭および舌骨の下降 は舌根沈下となり,嚥下反射の惹起性にも不利な状態である。 ■舌運動 舌は食塊形成や口腔内保持,咽頭への送りこみに重要 であるため,挺舌?左右?舌尖挙上などの可動性を評価 する。舌骨上筋群の触診を行いながら, 舌骨の動きや可動性も併せて評価する。 ■頸部?体幹機能?座位の評価  実際の食事場面での座位を観察し,ベッド,車椅子,椅子など,座位の状態およびその姿勢が摂食動作に適しているか評価する。  通常,摂食動作は座位にて行われるため,座位の安楽 度を表情や心拍数呼吸数から確認する。また座位保持 の持続時間や疲労度時間経過に伴う姿勢の傾きや頭頸 部の位置関係,痛みの変化等を評価する。食事における 実用的な座位を考えると15~30分は必要であり,耐久 性に乏しい座位姿勢の場合,食事時の座位には適さない。  座位時において,頭頸部から肩甲帯にかけての筋緊張 を経時的に評価し,両上肢の自由度,上肢を動かした際 の体幹の傾きや修正の程度など,座位バランスも評価 する。  非対称的な座位姿勢や脊柱の分節的活動が乏しい場 合,座位と摂食のための上肢との協調動作が困難とな る。さらに食物へ口唇を近づけるための頭頸部伸展の 動きも困難となり,喉頭挙上や舌骨運動が阻害されやす い。座位姿勢における足底接地の有無が体幹保持と最大 咬合力に影響を及ぼすため15),座位での足底接地の有無を確認する
  • #23: 骨盤後傾位での座位の場合体幹と 頸部は屈曲位となり,骨盤後傾位のまま前方を見ると頸 部伸展位となる(図3)。
  • #24: 以上より,嚥下を円滑に行うためには舌骨筋群が効率 よく活動できるようにポジショニングが重要となる。 ポ ジショニングの際重力の影響を考慮する。座位では, 喉頭の重みや重力により舌骨上筋群がもっとも効率よく張力を発揮できる長さであり,嚥下時には努力を要する ことなく喉頭が挙上する。 しかし臥位では座位に比べ喉 頭への重力方向が変化するため,舌骨上筋群の張力が減 少し,嚥下反射の筋収縮のみに依存した喉頭挙上とな る。 そのため,臥位では座位に比べ舌骨上筋群の収縮効 率が低下し,努力を要する喉頭挙上となる。誤嚥防止の ためにセミファーラー位を検討することがあるが, 座位に比べ喉頭挙上が弱くなることに注意が必要である。
  • #25: 具体的なトレーニング法としては、表で示しているようにたくさんあるんですが、今回は簡便に出来て、有用性の高い頭部挙上訓練とチン ダウンをご紹介したいと思います。 その他のものに関しては、日本摂食嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会が訓練法のまとめを出していて、それには詳しく乗っていたので 興味のある方は一応ドロップボックスに入れておいたので見てみてください 臨床でよく用いられる嚥下手技chin downと舌の運動訓練について,機能解剖学的,運動学 的な背景をもとに,精度の高い訓練を実践するための方法を紹介した.Chin downは,機能解 剖学的に頭部屈曲位,頸部屈曲位,複合屈曲位に分類され,臨床的にはこの3種が区別なく用い られている.しかし,各肢位は嚥下機能に異なる影響をもたらすため,病態や個々の状態に応じ た使い分けが必要である.舌は筋の塊であり,すべての運動はその収縮によって行われる.した がって,舌訓練は筋力改善,運動改善の原則に従って行われなければならない.目的の運動を改 善させるためには,より実際の運動に近い運動を十分な負荷をかけ,一定期間継続することが必 須である.十分な効果を上げるためには,送り込み,咀囎,嚥下時の舌運動の特徴をよく理解 し,個々の問題に応じた訓練の実践が求められる.(精度の高い嚥下刮1練を目指して、より)
  • #26: まず、頭部挙上訓練もしくはシャキア法と呼ばれているものは、 球麻痺や高齢者のように喉頭の前上方への運動が低下している方を対象に行います。 背臥位で頭部だけを持ち上げ足趾を見る状態を30秒間保持し、休憩をはさみながらこれを3回繰り返すことで 喉頭挙上に関与する筋の筋力強化を図り、喉頭の前上方への運動を改善して食道の入口部を開大が期待できます。 ◆ 目的 舌骨上筋群など喉頭挙上にかかわる筋の筋力強化を行い、喉頭の前上方運動を改善して食道入口部の開大を図る目的で行います。 食道入口部の食塊通過を促進し、咽頭残留(特に下咽頭残留)を少なくする効果がありまう。
  • #27: これらの混乱の原因とし て,Okada 21) は日米の言語聴覚士にアンケート 調査を行い,「chin down」「chin tuck」「顎引き」 「頸部前屈位」など名称が混乱していることや chin down として頭部屈曲?頸部屈曲?複合屈曲 位(頭部頸部屈曲位)(図 8)が混在していることを挙げている. これまで,頭部屈曲位,頸部屈曲位,複合屈曲 位でどれが最も良いポジションであるかは明確に はされていない.ここでは健常成人のVF 像を解 析し,どのポジションが最も嚥下に有利であるか 検討した
  • #28: またChin downは誤嚥の防止に有効であることは一般に広く知られており摂食?嚥下リハビリテー ションの臨床において頻繁に用いられています。 しかしChin downは頭部屈曲?頸部屈曲?複合屈曲 位(頭部頸部屈曲位)など定義が混在している状況で、どれが最も良いポジションであるかは明確にはされていない. そのため岡田らはどのポジションが最も嚥下に有利であるかを検討しました。 その結果…
  • #29: 舌根と咽頭後壁間の距離が頸部屈曲位においては拡大してしまい、嚥下圧が低下してしまう恐れがあるため注意を要するという結果になっています。 一方… (言わない:ただ し,頸椎の骨棘などによる外部からの圧迫などの 際には有効である可能性は考えられる) chin down と呼ばれる全てのポジションで舌骨の移動 距離は短縮しており,特に複合屈曲位で顕著で あった.下顎.舌骨間距離の短縮の効果と考えら れるが,舌骨の移動距離が短縮することは舌骨運 動が小さくても嚥下が可能であることを示してい短縮は,咽頭腔が狭くなることにより咽頭内圧? 嚥下圧の増強に働くと考えられる.舌根部や咽頭 の動きが低下している場合は頭部屈曲位などの chin down が有効と考えられる.逆に, ◆ 目的   健常成人のVF 像を解析し,Chin Downにおけるどのポジションが   最も嚥下に有利であるかを検討 ◆ 対象   摂食?嚥下障害の既往ない健常成人10名(男性6名,女性4名) 平均年齢22.4歳(22歳8名,24歳2名)
  • #30: 食塊咽頭通過時間を見てみると頭部屈曲位?複合屈曲位では短縮していることから, 嚥下には頭部屈曲位や複合屈曲位が有利と考えられ、 チン ダウンを行う際にはこの肢位ですることが望ましいという結果になっています。 食塊咽頭通過時間が短縮していることからも, 頭部屈曲位や複合屈曲位が嚥下には有利と考えら れる 通常位と比較のまとめを図 15 に示す.chin down と呼ばれる全てのポジションで舌骨の移動 距離は短縮しており,特に複合屈曲位で顕著で あった.下顎.舌骨間距離の短縮の効果と考えら れるが,舌骨の移動距離が短縮することは舌骨運 動が小さくても嚥下が可能であることを示してい短縮は,咽頭腔が狭くなることにより咽頭内圧? 嚥下圧の増強に働くと考えられる.舌根部や咽頭 の動きが低下している場合は頭部屈曲位などの chin down が有効と考えられる.逆に,頸部屈曲 位においては舌根.咽頭後壁間距離が拡大し,嚥 下圧が低下する恐れがあり注意を要する.ただ し,頸椎の骨棘などによる外部からの圧迫などの 際には有効である可能性は考えられる. 食塊咽頭通過時間が短縮していることからも, 頭部屈曲位や複合屈曲位が嚥下には有利と考えら れる ◆ 目的   健常成人のVF 像を解析し,Chin Downにおけるどのポジションが   最も嚥下に有利であるかを検討 ◆ 対象   摂食?嚥下障害の既往ない健常成人10名(男性6名,女性4名) 平均年齢22.4歳(22歳8名,24歳2名)
  • #31: で、これまでお話した内容がこちらにまとまっているので後でご参照ください。 この一番下にも書いてありますが、誤嚥性肺炎は姿勢修正や舌骨などの位置の修正、関連筋の強化、呼吸機能へのアプローチなどを行うことで 予防をすることができるため、理学療法士の介入の余地は十分にあると思います
  • #32: 最后に嚥下障害を呈する疾患に対する治疗なんですが…
  • #33: 嚥下障害と検索してヒットした87文献のうち、过去5年分のシステマてぃくレビューをピックアップし、今回はその中の4论文をご绍介させて顶きます。
  • #34: まず急性期から亜急性期の脳卒中患者の嚥下療法と栄養?液状サプリメントについての効果を評価するため 発症後6か月以内で(注射や投薬、電気療法、触圧刺激、継頭蓋刺激などの嚥下療法 または栄養サプリメントの介入を行った2012年までのRCTの文献を選択した研究では、 嚥下療法は死亡率や合併症、依存症には明らかな効果はありませんが、注射は最終評価時の患者数と介護を減らすという結果が出ています。 また栄養?液状サプリメントも合併所などに明らか効果はありませんが、栄養サプリメントはエネルギー摂取量とタンパク質摂取量の増加があるため、褥瘡の減少が見込める 他に胃瘻やそのチューブについての効果も記載あり percutaneous endoscopic gastrostomy (PEG) and nasogastric tube (NGT) 、 looped NGT versus conventional NGT など
  • #35: 次に嚥下療法と併用して神経筋電気刺激療法を行った群と、行っていない群でどちらが優れているかを 調査すること目的に行った研究では、神経筋電気刺激療法を併用した群では有意な平均値の差と不均質性を認め、効果があることが示唆されました。 しかし、神経筋電気刺激?嚥下療法それぞれ単独で介入したものでは明らかな違いは認められませんでした。 次ページ図
  • #36: 上の図が併用した群 下が単独で介入した結果のグラフなんですが…
  • #37: 次にパーキンソン病の嚥下障害に対する治療効果の文献をまとめることを目的とした研究では、メタアナリシスできませんでしたが、 呼吸筋強化トレーニングとビデオ アシスティッド うわろーウィング セラピーではそれぞれ単独で介入したものでは効果がある可能性が示唆されました。 またそれぞれにドーパミン補充療法を併用した例でも効果が示唆されました。 Video-Assisted Swallowing Therapy: Based on a visual cueing mechanism to improve motor and coordination skills in swalloeingバイオフィードバック的な 筋電図 患者教育 安全?代償的な方法 この方法で練習して ビデオでとって説明
  • #38: 遺伝性の脊髄小脳など遺伝性運動失調による嚥下障害に対する治療効果を検討した文献は治療関連の論文は5論文ありましたが、 採用基準を満たさず、現状エビデンスは全くない状態です。 今後コントロールされた治療介入の試験が必要であると思われます。
  • #39: 最後に… 誤嚥性肺炎は姿勢や舌骨などの位置の修正、関連筋の強化、呼吸機能へのアプローチなどを行うことで 予防することができる疾患であることが明らかになりました。 この中で、姿勢の修正や関連筋の強化に携わる理学療法は非常に重要で、 理学療法士がこの分野に介入する余地は十分にあると思われます。 特に訪問分野では嚥下障害を呈している方や、座位保持が困難な方もいらっしゃるのではないかと思うので、 万が一誤嚥をしてしまった際にも対応できるよう今後理解を深めていく必要があるのではないかと感じました。