3. リスク
COURSE AND PREDICTORS OF PAIN AND PHYSICAL FUNCTIONING IN
PATIENTS WITH HIP OSTEOARTHRITIS: SR AND META-ANALYSIS
Mari?tte de Rooij, J Rehabil Med, 2016
【目的】 股関節OAの痛みと運動機能の経過と悪化の予測をまとめること.
【結果①】 15文献(高い質:11文献,低い質:4文献)
? 属性や方法論の不均一により結論は出せないが???
? 痛みの悪化要因
弱いエビデンス:個人特性(多くの合併症や膝OA),健康関連(非
運動指導や不活動),社会的要因(低い教育)
関連なし:年齢,性別,BMI,K&L grade
5. 筋力
Muscle Weakness in Hip Osteoarthritis: A Systematic Review
ADERSON LOUREIRO, American College of Rheumatology, 2013
【目的】 片側股関節OA側の下肢筋と, 健側あるいは健常対象者の下肢筋を筋力,サイズ,質の違
いから比較すること.
【方法】 システマティックレビュー
【文献数】 最終引用13文献
【結果】 ?strength:健側に比べ患側の筋力は低い.股?膝関節筋の主な差異はない
?size:筋力低下となるメカニズムは筋サイズの減少(萎縮)と報告
Grimaldiら:中殿筋,梨状筋,大殿筋はより小さい
?quality:健側より患側の方が筋の密度が低い(radiologic density)
【限界】 文献数の不足, 調査方法が文献によって異なる
下肢筋力低下に対する介入の必要性を示唆
6. 歩行①
Hip joint motion and gluteal muscle activation differences between healthy controls
and those with varying degrees of hip osteoarthritis during walking
Derek J. Rutherford, Journal of Electromyography and Kinesiology, 2015
【目的】 Hip OAの重症度によって歩行中の殿筋活動パターンと股関節運動が異なるか
【方法】 快適歩行速度でのトレッドミル歩行中の股関節角度とGmed,Gmaxの筋電図を計測
【対象】 重度OA 20名 (KL ⅢorⅣ), 中等度OA 20名(KLⅠorⅡ,※Ⅲ2名, Ⅳ1名)
健常者 20名 ※KL: Kellgren-Lawrence Grade
【結果】 矢状面の股関節角度はOA重症度高いほど減少 (立脚後期の伸展角度の減少顕著)
前額面と水平面の角度は重度OAとその他2群間の差あり (重度OAで減少)
筋電図 重度OA群にて
?Gmaxの活動遷延
?Gmedの活動遷延と立脚中期の活動低下あり(2峰性パターンの欠如)
重度OAにて歩行中の股関節角度減少と筋活動パターン変化あり
7. 歩行②
Frontal plane kinematics in walking with moderate hip osteoarthritis: Stability
and fall riskFrontal plane kinematics in walking with moderate hip osteoarthritis:
Stability and fall risk
XiaoBin Lin, Clinical Biomechanics, 2015
【目的】 片側疼痛がある中等度Hip OAの歩行中前額面上の運動変化と転倒リスクの関係を明らかにする
【方法】 転倒回数と股関節外転筋の筋力,転倒恐怖感,Harris Hip Scoreと疼痛を計測
トレッドミル歩行の速度を上げつつ歩行動作を計測し運動学的に解析
転倒回数と各パラメータを重回帰分析し転倒関連因子を探った
【対象】 過去1年に転倒した中等度Hip OA 12名(KL Ⅱor Ⅲ),同年代の健常者12名,若年者12名
【結果】 Hip OA群は両側の股関節外転筋力の低下,歩隔の増加,患側立脚時間の短縮,身体重心の前額
面移動速度の増大(特に健常側へ)
目的変数「OA群の過去一年間の転倒回数」 説明変数「各パラメータ」で重回帰分析
→Harris Hip Scoreと健常側への身体重心移動速度で決定係数R2 0.83
Harris Hip Scoreと健側への身体重心移動速度で転倒リスクを予測可能
8. 運動療法①:SR
Exercise for osteoarthritis of the hip
Marlene Fransen,Cochrane review, 2014
【目的】 股関節OAに対してエクササイズが関節痛や身体機能,QOLの向上に有益であるか
【方法】 2013年2月,エクササイズを行わない対照群と比較
システマティックレビュー
【文献数】 10文献 RCT
【結果】 10文献のうち9文献の研究で高い質のエビデンス
痛みの軽減と身体機能の改善に有意差が認められた
痛みの軽減は治療介入後3~6か月効果が持続した(5文献)
QOLについては低いエビデンスで変化がなかった
エクササイズは痛みと身体機能改善に短期効果あり
9. 運動療法②:Review
Ottawa Panel evidence-based clinical practice guidelines for therapeutic
exercise in the management of hip osteoarthritis
Lucie Brosseau, Clinical Rehabilitation, 2015
【目的】 変形性股関節症に対する推奨される運動療法を明らかにすること.?
【方法】 コクランレビューを用いて,運動療法の比較対象研究に関して検証した.これらを研究デザ
イン及び結果の有意差及び臨床的意義からランク付けを行った(A?B?C+?C?D+?D?D-).?
【結果】 質の高い研究は4つ(4/562).?
?Strength:短期的(8-24wks)
機能不全:(A?C+),疼痛?身体機能?スティッフネス?可動域:(A)
?Stretch:身体機能:(A)
?Flexibility exercises:疼痛?可動域?身体機能:(A)?スティッフネス:(C+)
Strengthが股関節OAの短期的な疼痛?身体機能?
スティッフネス?可動域の改善に有効
10. 運動療法③:RCT
Effectiveness of exercise therapy added to general practitioner care in
patients with hip osteoarthritis: RCT
C.H. Teirlinck, Osteoarthritis and Cartilage, 2016
【目的】 開業医単独の指導と,開業医の指導+運動療法で股関節の疼痛と機能に変化がある
かを検討
【方法】 HOOS(Hip disability Osteoarthritis Outcome Score)とNRS,ICOAP(Intermittent and
Constant Osteoarthritis Pain)を6週,3,6,9,12ヶ月で測定
【対象】 開業医のケアのみ群102人
開業医のケア+運動療法101人
【結果】 HOOS,NRS共に有意差は得られなかった.
3か月間のフォローでICOAPに運動療法介入群で有意差が認められた
運動療法は有用な可能性がある
11. 徒手療法
Manual Therapy for Hip Osteoarthritis: A Systematic Review and Meta-
analysis
Qiong Wang, Pain Physician 2015
【目的】 股関節OAに対する徒手療法の介入効果を比較
【方法】 プラセボ,介入なし,最小限の介入を短?中?長期でフォローアップ
RCTのSR, Meta-analysis, 2014年10月 言語制限なし
【文献数】 6文献のうち5文献が高い質のエビデンス
【結果】 痛みの軽減はできなかった(低い質のエビデンス)
身体機能向上はできなかった(中等度のエビデンス)
満足度とコストについては報告なし
【限界】 文献数の不足 徒手療法に対する効果は否定的
12. 徒手療法と運動療法の効果
Manual therapy and therapeutic exercise in the treatment of osteoarthritis of the
hip: SR
A. Romeo, Reumatismo, 2013
【目的】 股関節OAの治療における運動療法及び,または徒手療法の役割を調査
【方法】 2007年5月~2012年4月 英語またはイタリア語
【文献数】 10文献 RCT
【結果】 エクササイズは身体機能には効果的だが疼痛とQOLに対する有効性は不十分
水中エクササイズと機能的エクササイズは転倒リスクを減少させる
徒手療法は短期的な疼痛を軽減させ, 長期的な投薬量を減らす
OAのGradeとの関係については調査されていない
理学療法は効果的