10. 古代ギリシャにおける二つの幸福
タイムスパンによって、幸せの見え方は変わる
? ヘドニア(hedonia)
‐ 快楽、短期的、Happy的?
? エウダイモニア(Eudaimonia)(アリストテレスが重視)
‐ 理性の力を働かせ、能力を発揮した人生を送ること
‐ 長期的、well-being的?
‐ 実際には、短期的な快楽の多寡と長期的な満足度の間には関連が
見られる(Wirtz et al., 2003)
●Wirtz, D., Kruger, J., Scollon, C. N., & Diener, E. (2003). What to do on spring break? The role of predicted,
on-line, and remembered experience in future choice. Psychological Science, 14, 520-524.
11. (日本版)人生満足度尺度
世界中で最もよく使われる幸福感を測定するツールは、
人生満足度尺度(Diener et al., 1985)
1. ほとんどの面で、私の人生は私の理想に近い。
2. 私の人生は、とてもすばらしい状態だ。
3. 私は自分の人生に満足している。
4. 私はこれまで、自分の人生に求める大切なものを得てきた。
5. もう一度人生をやり直せるとしても、ほとんど何も変えないだろう。
※ まったく当てはまらない ~ 非常によく当てはまる、の7件法で回答
●Diener, E. D., Emmons, R. A., Larsen, R. J., & Griffin, S. (1985). The satisfaction with life scale. Journal of
Personality Assessment, 49, 71-75.
24. お金と幸福感の関係
幸せな人ほど稼ぐようになるかも?
? 根拠(Diener et al., 2002)
‐ アメリカのエリート大25校の
新入生を19年追跡(1976-95年)
‐ 性格の明るさ下位10%の年収:
約540万円
‐ 性格の明るさ上位10%の年収:
約627万円
‐ 平均的な明るさの年収:
‐ 約635万円
※1ドル100円で計算
大学入学時(N = 約13,000)
性格の明るさを測定
平均年齢37歳時点での
年収を測定
● Diener, E., Nickerson, C., Lucas, R. E., & Sandvik, E. (2002). Dispositional affect and job outcomes. Social Indicators
Research, 59, 229-259.
25. お金と幸福感の関係
幸せな人ほど、後々、社会的地位の高い職業につき、
稼ぐようになるかもしれない
? 根拠
‐ すでに紹介した研究以外にも、ニュージーランドにおけるコホート
調査(N = 約1000)でも、18歳時点で明るく幸せな人が、8年度
(26歳)の時点で社会的地位の高い仕事についていることが
示されている(Roberts et al., 2003)
‐ 能力に差がなければ、明るい人の方が暗い人よりも上司からの評価が
高い(Wright et al., 1999)
→ その人の持つ、幸せな雰囲気が他者からの評価を高め、
いい仕事につき、結果として稼ぐようになる?
● Roberts, B. W., Caspi, A., & Moffitt, T. E. (2003). Work experiences and personality development in young adulthood.
Journal of Personality & Social Psychology, 84, 582-593.
● Wright, T. A., & Staw, B. M. (1999). Affect and favorable work outcomes: Two longitudinal tests of the happy-
productive worker thesis. Journal of Organizational Behavior, 20, 1-23.
26. 結婚と幸福感の関係
幸せな人は結婚できる可能性が高いかも?
? 根拠(Harker et al., 2001)
‐ カリフォルニアのミルズ?カレッジ(女子大)の卒業写真を分析
(N = 141) ※笑顔で写っている人は幸せな人?
‐ 卒業写真に写っている人が27歳、43歳、52歳の時にも調査を実施
‐ 卒業写真の素敵な笑顔は、27歳までの結婚と関連する
‐ 卒業写真の素敵な笑顔は、52歳での結婚満足感?幸福感の高さと
関連する
→ 幸福感に包まれていることが他者からの評価を高める?
(それが結婚可能性の高さと関連する?)
● Harker, L., & Keltner, D. (2001). Expressions of positive emotion in women's college yearbook pictures and their
relationship to personality and life outcomes across adulthood. Journal of Personality & Social Psychology, 80, 112-124.
27. 健康と幸福感の関係
幸せな人は健康でいられる可能性が高いかも?
? 根拠(Cohen et al., 2003)
‐ 18~54歳の336人の男女が広告を見て実験に参加(対価は800ドル)
‐ 実験参加者が様々なアンケートに答えた後に、風邪の症状を
引き起こすウイルスを注入し、その後の症状を観察
‐ 感染前の社交性?外向性の高さが主観的な風邪の症状の報告の軽さ+
鼻中粘液量の少なさ(客観的な風邪の症状の軽さ)と関連
‐ 社交性が高い人は当然幸福感も高いはず
‐ であれば、幸せな人は風邪にも強く、健康か!?
● Cohen, S., Doyle, W. J., Turner, R., Alper, C. M., & Skoner, D. P. (2003). Sociability and susceptibility to the common
cold. Psychological Science, 14, 389-395.