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高専ロボコンの
ルールの記述不足に対する
合意形成について
@Yazee1120
※筆者は大会事務局や運営とは一切関係なく、
競技参加者に指導または要望する立場ではありません 。
また、本スライドは効果を保証したり運営内情を示すものではなく、
外部から推察される課題とその対策の一例を示すに過ぎません。
発表の観点
?ルールの穴をふさぐ必要性
?ルールはなぜ成立するか
?適正な運用のために何ができるか
ルールの穴
穴(グレーゾーン):
どちらでもない
※ただし大会当日には
どちらかに決める必要あり
黒:
ルールで
禁止されている
白:
ルールで
認められている
穴のまま放置するリスク
大会直前まで自チームの有利/不利が不確実
=自チームの目標達成の不確実性を上げてしまう
(事前に明確になっていれば対応できたのに)
グレーをついた過去の面白いロボット
記録に残るのは
グレーを突くギャンブルに勝った
幸運(?)な氷山の一角に過ぎない
大会直前に突然不利になる
半年間信じてきたルールは何だったのか?
そもそもルールはどう成立するか?
ルールとは合意である(社会契約論)
ルールは為政者に一方的に押し付けられるもの
ではなく、社会に参加するための合意である。
ジャン?ジャック?ルソー
(1712-1778)
→合意によってルール自体を変えられる。
ロボコンの前提
高専ロボコンへの出場権は、
高専生に無条件で保証された権利ではなく、
ルールブックに基づいた契約に過ぎない。
(ロボコンへの参加は自由意志であり、
社会契約論を否定する既存の論拠の介入余地ない)
契約成立の瞬間
ロボコンにエントリーする瞬間
ルールという契約に合意している。
?契約は毎年新規
=過去の判例は根拠とならない
?契約(※)後に一方的に契約内容を変えるべきでない
※:エントリーシート提出(2017年度は8/28)
ルールの責任
契約当事者= ルールの当事者
=参加者側(学生)も
ルールが正しく運用される
責任の一端を担っている
合意形成の手段
2017年度ルールブック抜粋:
?質問は指導教員がメールで送る
?質問は1チーム5個/回
?事務局から回答が来るまで次の質問はできない
?第1回締め切り5月12日、5月下旬回答
?競技の円滑な進行や安全確保のために
変更されることがある
?全国大会の際、ルールを一部修正することがある
Q&Aで明確化する
Q&Aの運用
2017年度ルールブック抜粋:
?質問は指導教員がメールで送る
?質問は1チーム5個/回
?事務局から回答が来るまで次の質問はできない
?第1回締め切り5月12日、5月下旬回答
?競技の円滑な進行や安全確保のために
変更されることがある
?全国大会の際、ルールを一部修正することがある
Q&Aの運用(初回)
質問件数:620件
5個/チーム×124チーム
検討期間:15日
5/15~5/末までの平日
穴まで熟考した回答が可能か?
Q&Aにかけられる時間の試算(初回)
質問件数:500件(5個/チーム×124チーム×実行率0.8で計算)
稼働日:15日(5/15~5/末までの平日)
稼働人数:2~3人(現実的には困難だが独立して回答できると仮定)
日当たり労働時間:8時間(実際は残業していると考えられる)
Q&Aに割ける割合:10%
(学生ロボコン開催準備時期と重なるため現実的には相当低く見積もるべき)
1件当たり 4分19秒で回答しなければならない。
※あくまで試算であり実体を保証しない
逆説的に
4分19秒
で回答できる質問でなければ
期待する回答は得られない。
Q&Aによって穴をふさぐためには、
回答者が短時間で問題理解する必要あり。
一般的なQの例
質問文:
「腕による妨害は可ですか?」
質問の意図:
「腕の展開無制限」「故意による破壊は反則」
「腕による妨害」の3連コンボで
相手の動きを全て無効にしてやろう
一般的なQ&Aの例
質問文:
「腕による妨害は可ですか?」
回答文:
「認めます」(想定不足)
学生「認めると言ったから作る」
不本意な回答
=大会直前に訂正される可能性高い
想定不足の要因
“(ルールは)競技の円滑な進行や安全確保のために
変更されることがある”2017年度ルールブック抜粋
→円滑に進行される前提でいる
→進行しなくなる側を想像することが難しい。
(思考にバイアスがかかる)
対策例
質問文:
「腕による妨害は可ですか?
故意の破壊は反則とありますが、
展開無制限の腕による妨害を許可した場合、
相手の腕を破壊して突破しなければ
競技を進行できない状況が想定されます。」
→コンボ、矛盾の競技破壊性を説明する
※効果を保証するものではありません
安易な回答への対応
回答例:
「破壊せず競技を進行してください」
上記のような非合理的な回答されぬよう、
質問時点で非合理的さを図説するのが望ましい。
「妨害を跳び越えれば破壊せず競技を進行できる」
「跳び越えられないような妨害をする」のような
イタチごっこの許容は、
当初の競技課題と一切関係ない完全なる競技性破壊である
(本質的に妨害には制約を設けるのが望ましい)
Q&Aの目的
当初の競技課題の定義を明確化
すること
放置しがちな一般的な語
例) 一般的な「拘束」の定義:
Weblio「捕らえて,行動の自由を奪うこと。」
広義:自由が少しでも制限された状態
→ロボット同士の直接対決自体が不可
狭義:指一本動けない状態
→反則を取られることがほぼありえない
解釈によって反則が左右される。
大会が“カイシャク対決ロボットコンテスト”に堕ちる。
語をどう定義すべきか
例)2017年の「拘束」の定義:
相手の本陣に届かない、
または攻撃できない状態になった
(と審判が判断できる)時に反則となる
(事前に聞けば納得できる定義だが
大会本番に紛糾していたのが非常に勿体ない)
大会中「どう判定可能か」で定義すべき
(判定不可では定義する意味ない)
適切なルール運用のために
審判アピールも練習をする
?手を上げる
?大声で叫ぶ
?軽く叩いて気付かせる
(大会当日で案内されるものの、
普段やっていないとすぐできない)
まとめ
アイディア発揮を損失しない方策
?数分で回答できる質問にする
?競技破壊性を図付きで指摘する
?ルールは合意によって適正化する
?一般的な語も無定義にしない
?判定用語は判定観点で明確化する
?審判アピールを練習する
以上 4分19秒エヴァンジェリスト
@Yazee1120
以下、聴讲者质疑
質疑1
「大会に不満があるなら参加しなければいいのではないか」
参加するかの判断は参加者の意思によるが、
ルールが合意なく変更されることは参加者の意思によらない不公正である。
また、高専ロボコンは母体の公共性が高く、大会の代替可能性も低い(※)ため、
無理のない範囲で公正な大会とすべきと考える。
※:世間一般の注目度の高さやそれに伴う学校や地域の支援体制の強さなど
質疑2
「質問を詳述化することで、自チームのアイディアが
他チームに流出してしまうのではないか」
本来FAQは頻出した質問への回答であるため公約数的になる。
現状FAQとして全体に公開されている回答もとても簡素であり、
アイディア流出に配慮されていると考える。
質問の際に、“禁止する際は詳細を公開して欲しいが、
許容する際は詳細まで公開しないで欲しい”と伝えるのが望ましい
と考える。
質疑3
「交流イベントで、ロボコンのルールを作る側だが、
大会本番まで穴をふさぎきれなかった場合どうすればよいのか」
最終的な合意であるアイディアシート、エントリーシートに
記述が無い部分には厳しい対処もやむを得ない。
予め“不正確な記述は記述者の不利益となるため正しく記述する”
よう呼びかけるのが望ましいと考える。
(本来は悪質か故意かを時間をかけて議論するべきだが、
直前にしか実物を確認できない大会ではその期間を持てない。)
質疑4
「地区大会のローカルルールは認められるべきか
その後の他地区と共有するべきか」
全国大会で同じルールで競うことを前提とする以上、
そこへの進出をかけた地区大会のルールも同じであるべき。
地区間の不平等を助長する行為は避けるべきと考える。

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