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内耳性めまい疾患
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
? 薬剤性
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
? 薬剤性
末梢性めまい疾患の中で最も頻度が多い。
めまいの診断基準化のための資料(日本めまい平衡
医学会)
2.病歴からの診断
1)特定の頭位をとると,回転性ないしは動揺性の
めまいがおこる(めまい頭位)。
2)めまいはめまい頭位において次第に増強し,次
いで減弱ないし消失する。
3)引続いて同じ頭位をとると,めまいは軽くなるか,
おこらなくなる。
4)難聴,耳鳴,体のふらつきは自覚しないことが多
い。
1),2),3)が存在するときは,「良性発作性頭位め
まい症疑い例」と診断する。
良性発作性頭位めまい症
(Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV)
*
*
*
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
? 薬剤性
病態)
? 耳石器から剥脱した浮遊耳石が内リンパ液
よりも重いため頭位変換によって重力に従
い半規管内を移動することでリンパ流を生
じる。リンパ流で膨大部の有毛細胞が刺激
されてめまいが生じる。
? 耳石が剥脱する原因は不明である。メニ
エール病や突発性難聴などの内耳疾患の
経過中や罹患後に患側耳に生じることがあ
る。
? 外傷や長期臥床が原因の例もある。
? 責任部位としては後半規管が多く(約6-7
割)、次に外側半規管(2-3割)で、前半規
管は稀とされている。
良性発作性頭位めまい症
(Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV)
後半規管
外側半規管
卵形嚢
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
? 薬剤性
症状)特定の頭位をとると、数秒程度の潜時の後、持続が数分程度のめまいが
生じる。再び元の頭位に戻す際にもめまいが生じる。浮遊耳石の移動が止まると
リンパ流も停止するので、めまいの持続時間は数分以内である。
疫学)中高年の女性に多い。
良性発作性頭位めまい症
(Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV)
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
? 薬剤性
どんな検査が必要か)
頭位眼振検査と頭位変換眼振検査。責任半規管によって眼
振所見が異なる。数秒の潜時の後、眼振が観察され、同じ頭
位をとり続けると減衰する。
右後半規管型では、座位から右耳下懸垂位になると患側向
きの回旋性の眼振。右耳下懸垂位から座位にすると反対向
きである。
良性発作性頭位めまい症
(Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV)
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
? 薬剤性
数秒の潜時の後、眼振が観察され、同じ頭位をとり続けると
減衰する。
左後半規管型では、座位から左耳下懸垂位になると患側向
きの回旋性の眼振。左耳下懸垂位から座位にすると反対向
きである。
良性発作性頭位めまい症
(Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV)
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
? 薬剤性
外側半規管の半規管結石症では方向交代
性向地性(下向性)眼振。めまいや眼振の強
い頭位が患側と推定される。
耳石がクプラに付着しているクプラ結石症の
場合は、方向交代性排地性(上向性)眼振が
見られる。クプラ結石の場合は、眼振の潜時
は短く、持続時間が長いこともある。
良性発作性頭位めまい症
(Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV)
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
? 薬剤性
外側半規管の半規管結石症では方向交代
性向地性(下向性)眼振。めまいや眼振の強
い頭位が患側と推定される。
良性発作性頭位めまい症
(Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV)
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? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
? 薬剤性
耳石がクプラに付着しているクプラ結石症の
場合は、方向交代性排地性(上向性)眼振が
見られる。クプラ結石の場合は、眼振の潜時
は短く、持続時間が長いこともある。
良性発作性頭位めまい症
(Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV)
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
? 薬剤性
治療)自然治癒も多い。剥脱した耳石を移動させて元の耳石器に戻す浮遊耳石
置換法。後半規管型にはEpley法、外側半規管型にはLempert法がよく行われる。
良性発作性頭位めまい症
(Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV)
メダカの耳石
耳石は炭酸カルシウムの結晶塊。
耳石の形は種や属によって異なっており、1個の耳石から魚の種を同定できることもある。
卵形嚢の耳石は小石(Lapillus)
球形嚢の耳石は矢(Sagitta)
壷斑の耳石は星型(Asteriscus)
内耳性めまい疾患
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
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メニエール病診療ガイドライン 2011年度版
Ⅰ.メニエール病確実例
難聴、耳鳴、耳閉感などの聴覚症状を伴うめまい発作を反復する。
Ⅱ.メニエール病非定型例
下記の症候を示す症例をメニエール病非定型例と診断する。
① メニエール病非定型例(蝸牛型)
聴覚症状の増悪?軽快を反復するが、めまい発作を伴わない。
② メニエール病非定型例(前庭型)
メニエール病確実例に類似しためまい発作を反復する。一側または両側の難聴など
の聴覚症状を合併している場合があるが、この聴覚症状は固定性で、めまい発作に関
連して変動することはない。
この病型の診断には、めまい発作の反復の状況を慎重に評価し、内リンパ水腫による反復性めまいの可能性
が高いと判断された場合にメニエール病非定型例(前庭型)と診断すべきである。
○原因既知の疾患の除外
メニエール病
(厚生省研究班による診断基準 1974)
1)回転性めまい発作を反復すること。
2)耳鳴り、難聴などの蝸牛症状が反復、消長すること。
3)1.2.の証拠をきたす中枢神経疾患、ならびに原因既知
のめまい?難聴を主訴とする疾患が除外できる。
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
? 薬剤性
病態) 内リンパ水腫
内リンパ水腫がなぜ生じるかに
ついては、内耳循環障害、内耳
感染、アレルギー、自己免疫、耳
石落下による閉塞、内耳の水代
謝異常、解剖学的要因、外傷、
心身的側面、遺伝要因などが考
えられているが、なぜ発作を繰り
返すかなど詳細は不明である。
メニエール病
メニエール病の側頭骨病理組織学所見(蝸牛中回転)
内リンパ水腫によってReissner膜が伸展している(矢印)
鼓室階
前庭階
蝸牛管
コルチ器
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
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? 外リンパ瘻
? 薬剤性
症状)
難聴?耳鳴、耳閉塞感などの蝸牛症状とめまい発作を繰り返
すのが特徴である。
めまい発作は、数十分程度から数時間持続することが多い。
メニエール病
頭位眼振検査:発作初期には患側向きの刺激性
眼振が見られ、発作後期には健側向きの麻痺性眼
振が見られる。
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
? 薬剤性
純音聴力検査:難聴は初期では低音域を
中心とする感音難聴であるが、進行すると
全音域で難聴となる。
グリセオール内服で聴力の改善があれば
診断に有用である。
カロリックテスト:半規管麻痺(Canal paresis:
CP)を認めるものと正常のものとがある。
フロセミドテスト:フロセミド(ラシックス)静
脈注射後に眼振の最大緩徐相速度が10%
以上増加する。
蝸電図:Negative SP振幅の増大。
メニエール病
低音?高音
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
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? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
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治療)
急性期には重曹水の点滴や抗めまい薬、鎮静剤、制吐剤など。
発作間欠期には抗めまい薬や浸透圧利尿薬、聴力低下時にはステロイドホルモンも投
与する。
食事療法:塩分制限
心理療法:抗不安薬、抗うつ薬
外科的治療(発作のコントロール不良例):
ステロイド鼓室内投与
ゲンタマイシン鼓室内投与、前庭神経切断術
内リンパ嚢解放
メニエール病
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
? 薬剤性
前庭神経炎
病態)
一側の前庭機能が突然消失し、蝸牛障害が全くない。ウイ
ルス感染や血管障害などが病因として推定されているが
詳細は不明である。上気道感染が先行することもある。
症状)
激しい回転性めまいは数日でおさまるが、不快な頭重感と、
体動時あるいは歩行時のふらつき感が数週から数か月残
存することが多い。めまい発作は反復しない。難聴や耳鳴
といった蝸牛症状はない。
疫学)30-50歳に多く、性差はない。
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
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? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
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前庭神経炎
眼振は発作開始から一貫して健側向きの眼
振(麻痺性眼振)が見られる。
高度障害の場合には発作直後にはⅢ度の注
視眼振が見られが、数日でⅠ度まで減弱して
消失する。
頭位眼振は発作後2-3週間経過しても残存
することが多い。
カロリックテストで半規管麻痺(Canal paresis:
CP)を認める。
下前庭神経系の機能評価にVEMPが使われ、
約1/3の症例で反応低下あるいは無反応であ
る。
治療)急性期には重曹水の点滴や抗めまい
薬、鎮静剤、制吐剤など。ステロイドホルモン
を使用することもある。急性期を過ぎたらでき
るだけ早期に離床し、平衡訓練を行って前庭
代償の促進を図る。
発作1日目
発作3日目
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
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突発性難聴にともなうめまい
病態)
突発性難聴は急性の内耳障害による感音難聴である。突発性難聴の原因は不明であ
るが、虚血やウイルス感染が推測されており、これが蝸牛のみでなく前庭器官にも及
んだ場合にめまいが生じると考えられている。
症状)
めまいは難聴と同時に発症するが多い。数時間から数日で軽快する。難聴の程度は、
めまいを伴わない突発性難聴より高度であることが多い。
疫学)突発性難聴のうちめまいを伴うものは3-5割程度。
どんな検査が必要か)
健側向きの眼振(麻痺性眼振)が見られる。カロリックテストで半規管麻痺(Canal
paresis: CP)を認めることが多い。
治療)
突発性難聴と同様にステロイド、循環改善薬、ビタミンB群など。めまいは数時間から
数日で軽快するが、難聴や耳鳴は治りにくいことが多い。
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
? 薬剤性
ハント症候群
病態)Varicella zoster virus: VZVの初感染が水痘症であるが、成
人の免疫低下時などに同ウイルスの再活性化により帯状疱疹
が生じる。このうち外耳の疱疹に第7?8脳神経領域の障害をとも
なったものがハント症候群である。
症状)耳介?外耳道の水疱状発赤(帯状疱疹)を生じた側の顔面
神経麻痺。しばしば難聴?耳鳴?めまいを伴う。帯状疱疹?顔面神
経麻痺?内耳症状の3症状のうちいずれかを欠く不全型もある。
疫学)50-60代に多い。
どんな検査が必要か)
健側向きの水平回旋混合性眼振(麻痺性眼振)。カロリックテス
トでは患側の半規管麻痺。聴力検査では感音難聴。顔面神経麻
痺に関しては障害部位に応じてアブミ骨筋反射の減弱や味覚検
査の反応低下。血液検査でVZV抗体価の上昇がみられることも
ある。
治療)顔面神経麻痺に対してステロイドと抗ウイルス剤投与。他
に循環改善薬、ビタミンB群など。
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
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? 外リンパ瘻
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迷路瘻孔によるめまい
病態)
慢性中耳炎や側頭骨骨折で骨経路に瘻孔
が生じることがある。
先天奇形としてありうるのが上半規管裂隙
症候群。
音刺激や圧刺激などの外的刺激によって
リンパ流を生じてままいやふらつきが生じ
る。
症状)
強大音を聴いたときや発声時にめまいが
生じることがある(Tullio現象)。
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
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? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
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迷路瘻孔によるめまい
どんな検査が必要か)
側頭骨CTで診断できる。鼓膜を空気で加圧?減圧する
ことによりめまいや眼振が生じることがある(瘻孔症
状)。
慢性中耳炎による瘻孔の好発部位は外側半規管であ
り、鼓膜を介して中耳に加圧すると患側向きの眼振が
誘発される。骨折の場合は感音難聴が起こることもあ
る。
治療)瘻孔?裂隙の閉鎖を行う。
真珠腫性中耳炎による左外側半規管瘻孔。右向きの自発眼振あり。
軸位断 冠状断
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
? 薬剤性
外リンパ瘻
病態)
内耳窓(前庭窓/蝸牛窓)が破綻するこ
とにより、外リンパ液が鼓室へ漏出する。
? 重い物を持ち上げたりしたときに脳
脊髄液圧が急激に上昇し、蝸牛小管
または内耳道経由で外リンパ腔の圧
も上がって内耳窓が損傷する場合
? 強く鼻かみやダイビングにより中耳
腔の圧が急激に上昇して外側から内
耳窓が損傷を受ける場合
? 耳かきによる直達外傷やアブミ骨手
術
などがきっかけである。
症状)
回転性めまいよりもふらつきが多い。難
聴は急激に高度感音難聴になることが
多いが、数日かけて進行することもある。
膜の破綻の際にプチッというpop音や水
が流れるような音を聴取することもある。
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? 薬剤性
外リンパ瘻
どんな検査が必要か)
外傷や手術が原因の場合は鼓膜所見やCTによる診
断が可能である。
頭位眼振検査では患側下で眼振が見られることが多
い。外耳道から鼓膜を加圧?減圧することにより瘻孔
症状が見られることもある。
感音難聴は徐々に進行したり変動したりするので複数
回の聴力検査が必要である。コクリン蛋白の存在を証
明すれば診断に有用である。
治療)
頭部を30度挙上してベッド上安静とし、脳脊髄液圧を
下げて瘻孔の自然閉鎖を期待する。ステロイドを投与
しても難聴?めまいが改善しないときは瘻孔閉鎖術を
行う。
? 良性発作性頭位めまい症
? メニエール病
? 前庭神経炎
? 突発性難聴にともなうめまい
? ハント症候群
? 迷路瘻孔によるめまい
? 外リンパ瘻
? 薬剤性
薬剤性
病態)
アミノ配糖体系抗生物質(ストレプトマイシンなど)、抗癌剤(シスプラチンなど)、利尿剤(フ
ロセミドなど)などで内耳の感覚細胞が傷害されることがある。ミトコンドリア遺伝子1555変
異ではアミノ配糖体による内耳障害がおきやすい)
症状)
末梢前庭障害の多くは緩徐に進行する。初期にはふらつきや浮動性めまいで、回転性め
まいはまれ。難聴?耳鳴をともなうこともある。多くは両側性。両側前庭障害が高度になる
と体動時の動揺視(Jumbling現象)。
どんな検査が必要か)
カロリックテストでは両側反応低下。頭位眼振の出現率は低いが、頭位変換時に通常見ら
れる前庭動眼反射が低下していることが多い。両側前庭機能の高度低下の場合には立ち
直り反射が障害される。閉眼時に著明でありRomberg陽性となる。
治療)
原因薬剤の早期中止と薬物治療。障害は不可逆性が多い。前庭代償を促進するため平
衡訓練を行う。
内耳性めまい疾患
内耳性めまい疾患

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内耳性めまい疾患

  • 1. 内耳性めまい疾患 ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性
  • 2. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 末梢性めまい疾患の中で最も頻度が多い。 めまいの診断基準化のための資料(日本めまい平衡 医学会) 2.病歴からの診断 1)特定の頭位をとると,回転性ないしは動揺性の めまいがおこる(めまい頭位)。 2)めまいはめまい頭位において次第に増強し,次 いで減弱ないし消失する。 3)引続いて同じ頭位をとると,めまいは軽くなるか, おこらなくなる。 4)難聴,耳鳴,体のふらつきは自覚しないことが多 い。 1),2),3)が存在するときは,「良性発作性頭位め まい症疑い例」と診断する。 良性発作性頭位めまい症 (Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV) * * *
  • 3. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 病態) ? 耳石器から剥脱した浮遊耳石が内リンパ液 よりも重いため頭位変換によって重力に従 い半規管内を移動することでリンパ流を生 じる。リンパ流で膨大部の有毛細胞が刺激 されてめまいが生じる。 ? 耳石が剥脱する原因は不明である。メニ エール病や突発性難聴などの内耳疾患の 経過中や罹患後に患側耳に生じることがあ る。 ? 外傷や長期臥床が原因の例もある。 ? 責任部位としては後半規管が多く(約6-7 割)、次に外側半規管(2-3割)で、前半規 管は稀とされている。 良性発作性頭位めまい症 (Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV) 後半規管 外側半規管 卵形嚢
  • 4. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 症状)特定の頭位をとると、数秒程度の潜時の後、持続が数分程度のめまいが 生じる。再び元の頭位に戻す際にもめまいが生じる。浮遊耳石の移動が止まると リンパ流も停止するので、めまいの持続時間は数分以内である。 疫学)中高年の女性に多い。 良性発作性頭位めまい症 (Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV)
  • 5. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 どんな検査が必要か) 頭位眼振検査と頭位変換眼振検査。責任半規管によって眼 振所見が異なる。数秒の潜時の後、眼振が観察され、同じ頭 位をとり続けると減衰する。 右後半規管型では、座位から右耳下懸垂位になると患側向 きの回旋性の眼振。右耳下懸垂位から座位にすると反対向 きである。 良性発作性頭位めまい症 (Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV)
  • 6. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 数秒の潜時の後、眼振が観察され、同じ頭位をとり続けると 減衰する。 左後半規管型では、座位から左耳下懸垂位になると患側向 きの回旋性の眼振。左耳下懸垂位から座位にすると反対向 きである。 良性発作性頭位めまい症 (Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV)
  • 7. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 外側半規管の半規管結石症では方向交代 性向地性(下向性)眼振。めまいや眼振の強 い頭位が患側と推定される。 耳石がクプラに付着しているクプラ結石症の 場合は、方向交代性排地性(上向性)眼振が 見られる。クプラ結石の場合は、眼振の潜時 は短く、持続時間が長いこともある。 良性発作性頭位めまい症 (Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV)
  • 8. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 外側半規管の半規管結石症では方向交代 性向地性(下向性)眼振。めまいや眼振の強 い頭位が患側と推定される。 良性発作性頭位めまい症 (Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV)
  • 9. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 耳石がクプラに付着しているクプラ結石症の 場合は、方向交代性排地性(上向性)眼振が 見られる。クプラ結石の場合は、眼振の潜時 は短く、持続時間が長いこともある。 良性発作性頭位めまい症 (Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV)
  • 10. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 治療)自然治癒も多い。剥脱した耳石を移動させて元の耳石器に戻す浮遊耳石 置換法。後半規管型にはEpley法、外側半規管型にはLempert法がよく行われる。 良性発作性頭位めまい症 (Benign Paroxysmal Positional Vertigo: BPPV)
  • 13. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 メニエール病診療ガイドライン 2011年度版 Ⅰ.メニエール病確実例 難聴、耳鳴、耳閉感などの聴覚症状を伴うめまい発作を反復する。 Ⅱ.メニエール病非定型例 下記の症候を示す症例をメニエール病非定型例と診断する。 ① メニエール病非定型例(蝸牛型) 聴覚症状の増悪?軽快を反復するが、めまい発作を伴わない。 ② メニエール病非定型例(前庭型) メニエール病確実例に類似しためまい発作を反復する。一側または両側の難聴など の聴覚症状を合併している場合があるが、この聴覚症状は固定性で、めまい発作に関 連して変動することはない。 この病型の診断には、めまい発作の反復の状況を慎重に評価し、内リンパ水腫による反復性めまいの可能性 が高いと判断された場合にメニエール病非定型例(前庭型)と診断すべきである。 ○原因既知の疾患の除外 メニエール病 (厚生省研究班による診断基準 1974) 1)回転性めまい発作を反復すること。 2)耳鳴り、難聴などの蝸牛症状が反復、消長すること。 3)1.2.の証拠をきたす中枢神経疾患、ならびに原因既知 のめまい?難聴を主訴とする疾患が除外できる。
  • 14. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 病態) 内リンパ水腫 内リンパ水腫がなぜ生じるかに ついては、内耳循環障害、内耳 感染、アレルギー、自己免疫、耳 石落下による閉塞、内耳の水代 謝異常、解剖学的要因、外傷、 心身的側面、遺伝要因などが考 えられているが、なぜ発作を繰り 返すかなど詳細は不明である。 メニエール病 メニエール病の側頭骨病理組織学所見(蝸牛中回転) 内リンパ水腫によってReissner膜が伸展している(矢印) 鼓室階 前庭階 蝸牛管 コルチ器
  • 15. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 症状) 難聴?耳鳴、耳閉塞感などの蝸牛症状とめまい発作を繰り返 すのが特徴である。 めまい発作は、数十分程度から数時間持続することが多い。 メニエール病 頭位眼振検査:発作初期には患側向きの刺激性 眼振が見られ、発作後期には健側向きの麻痺性眼 振が見られる。
  • 16. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 純音聴力検査:難聴は初期では低音域を 中心とする感音難聴であるが、進行すると 全音域で難聴となる。 グリセオール内服で聴力の改善があれば 診断に有用である。 カロリックテスト:半規管麻痺(Canal paresis: CP)を認めるものと正常のものとがある。 フロセミドテスト:フロセミド(ラシックス)静 脈注射後に眼振の最大緩徐相速度が10% 以上増加する。 蝸電図:Negative SP振幅の増大。 メニエール病 低音?高音
  • 17. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 治療) 急性期には重曹水の点滴や抗めまい薬、鎮静剤、制吐剤など。 発作間欠期には抗めまい薬や浸透圧利尿薬、聴力低下時にはステロイドホルモンも投 与する。 食事療法:塩分制限 心理療法:抗不安薬、抗うつ薬 外科的治療(発作のコントロール不良例): ステロイド鼓室内投与 ゲンタマイシン鼓室内投与、前庭神経切断術 内リンパ嚢解放 メニエール病
  • 18. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 前庭神経炎 病態) 一側の前庭機能が突然消失し、蝸牛障害が全くない。ウイ ルス感染や血管障害などが病因として推定されているが 詳細は不明である。上気道感染が先行することもある。 症状) 激しい回転性めまいは数日でおさまるが、不快な頭重感と、 体動時あるいは歩行時のふらつき感が数週から数か月残 存することが多い。めまい発作は反復しない。難聴や耳鳴 といった蝸牛症状はない。 疫学)30-50歳に多く、性差はない。
  • 19. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 前庭神経炎 眼振は発作開始から一貫して健側向きの眼 振(麻痺性眼振)が見られる。 高度障害の場合には発作直後にはⅢ度の注 視眼振が見られが、数日でⅠ度まで減弱して 消失する。 頭位眼振は発作後2-3週間経過しても残存 することが多い。 カロリックテストで半規管麻痺(Canal paresis: CP)を認める。 下前庭神経系の機能評価にVEMPが使われ、 約1/3の症例で反応低下あるいは無反応であ る。 治療)急性期には重曹水の点滴や抗めまい 薬、鎮静剤、制吐剤など。ステロイドホルモン を使用することもある。急性期を過ぎたらでき るだけ早期に離床し、平衡訓練を行って前庭 代償の促進を図る。 発作1日目 発作3日目
  • 20. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 突発性難聴にともなうめまい 病態) 突発性難聴は急性の内耳障害による感音難聴である。突発性難聴の原因は不明であ るが、虚血やウイルス感染が推測されており、これが蝸牛のみでなく前庭器官にも及 んだ場合にめまいが生じると考えられている。 症状) めまいは難聴と同時に発症するが多い。数時間から数日で軽快する。難聴の程度は、 めまいを伴わない突発性難聴より高度であることが多い。 疫学)突発性難聴のうちめまいを伴うものは3-5割程度。 どんな検査が必要か) 健側向きの眼振(麻痺性眼振)が見られる。カロリックテストで半規管麻痺(Canal paresis: CP)を認めることが多い。 治療) 突発性難聴と同様にステロイド、循環改善薬、ビタミンB群など。めまいは数時間から 数日で軽快するが、難聴や耳鳴は治りにくいことが多い。
  • 21. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 ハント症候群 病態)Varicella zoster virus: VZVの初感染が水痘症であるが、成 人の免疫低下時などに同ウイルスの再活性化により帯状疱疹 が生じる。このうち外耳の疱疹に第7?8脳神経領域の障害をとも なったものがハント症候群である。 症状)耳介?外耳道の水疱状発赤(帯状疱疹)を生じた側の顔面 神経麻痺。しばしば難聴?耳鳴?めまいを伴う。帯状疱疹?顔面神 経麻痺?内耳症状の3症状のうちいずれかを欠く不全型もある。 疫学)50-60代に多い。 どんな検査が必要か) 健側向きの水平回旋混合性眼振(麻痺性眼振)。カロリックテス トでは患側の半規管麻痺。聴力検査では感音難聴。顔面神経麻 痺に関しては障害部位に応じてアブミ骨筋反射の減弱や味覚検 査の反応低下。血液検査でVZV抗体価の上昇がみられることも ある。 治療)顔面神経麻痺に対してステロイドと抗ウイルス剤投与。他 に循環改善薬、ビタミンB群など。
  • 22. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 迷路瘻孔によるめまい 病態) 慢性中耳炎や側頭骨骨折で骨経路に瘻孔 が生じることがある。 先天奇形としてありうるのが上半規管裂隙 症候群。 音刺激や圧刺激などの外的刺激によって リンパ流を生じてままいやふらつきが生じ る。 症状) 強大音を聴いたときや発声時にめまいが 生じることがある(Tullio現象)。
  • 23. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 迷路瘻孔によるめまい どんな検査が必要か) 側頭骨CTで診断できる。鼓膜を空気で加圧?減圧する ことによりめまいや眼振が生じることがある(瘻孔症 状)。 慢性中耳炎による瘻孔の好発部位は外側半規管であ り、鼓膜を介して中耳に加圧すると患側向きの眼振が 誘発される。骨折の場合は感音難聴が起こることもあ る。 治療)瘻孔?裂隙の閉鎖を行う。 真珠腫性中耳炎による左外側半規管瘻孔。右向きの自発眼振あり。 軸位断 冠状断
  • 24. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 外リンパ瘻 病態) 内耳窓(前庭窓/蝸牛窓)が破綻するこ とにより、外リンパ液が鼓室へ漏出する。 ? 重い物を持ち上げたりしたときに脳 脊髄液圧が急激に上昇し、蝸牛小管 または内耳道経由で外リンパ腔の圧 も上がって内耳窓が損傷する場合 ? 強く鼻かみやダイビングにより中耳 腔の圧が急激に上昇して外側から内 耳窓が損傷を受ける場合 ? 耳かきによる直達外傷やアブミ骨手 術 などがきっかけである。 症状) 回転性めまいよりもふらつきが多い。難 聴は急激に高度感音難聴になることが 多いが、数日かけて進行することもある。 膜の破綻の際にプチッというpop音や水 が流れるような音を聴取することもある。
  • 25. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 外リンパ瘻 どんな検査が必要か) 外傷や手術が原因の場合は鼓膜所見やCTによる診 断が可能である。 頭位眼振検査では患側下で眼振が見られることが多 い。外耳道から鼓膜を加圧?減圧することにより瘻孔 症状が見られることもある。 感音難聴は徐々に進行したり変動したりするので複数 回の聴力検査が必要である。コクリン蛋白の存在を証 明すれば診断に有用である。 治療) 頭部を30度挙上してベッド上安静とし、脳脊髄液圧を 下げて瘻孔の自然閉鎖を期待する。ステロイドを投与 しても難聴?めまいが改善しないときは瘻孔閉鎖術を 行う。
  • 26. ? 良性発作性頭位めまい症 ? メニエール病 ? 前庭神経炎 ? 突発性難聴にともなうめまい ? ハント症候群 ? 迷路瘻孔によるめまい ? 外リンパ瘻 ? 薬剤性 薬剤性 病態) アミノ配糖体系抗生物質(ストレプトマイシンなど)、抗癌剤(シスプラチンなど)、利尿剤(フ ロセミドなど)などで内耳の感覚細胞が傷害されることがある。ミトコンドリア遺伝子1555変 異ではアミノ配糖体による内耳障害がおきやすい) 症状) 末梢前庭障害の多くは緩徐に進行する。初期にはふらつきや浮動性めまいで、回転性め まいはまれ。難聴?耳鳴をともなうこともある。多くは両側性。両側前庭障害が高度になる と体動時の動揺視(Jumbling現象)。 どんな検査が必要か) カロリックテストでは両側反応低下。頭位眼振の出現率は低いが、頭位変換時に通常見ら れる前庭動眼反射が低下していることが多い。両側前庭機能の高度低下の場合には立ち 直り反射が障害される。閉眼時に著明でありRomberg陽性となる。 治療) 原因薬剤の早期中止と薬物治療。障害は不可逆性が多い。前庭代償を促進するため平 衡訓練を行う。