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1
[ APPLICATION NOTE ]
ウォーターズのソリューション
Oasis? PRiME HLB ?Elution プレート
(製品番号 186008052)
ACQUITY? 96 ウェル
サンプルコレクションプレート、
700 ?L、円型
(製品番号 186005837)
ACQUITY UPLC? BEH C18 カラム、
130 ?、1.7 ?m、2.1 × 50 mm
(製品番号 186002350)
ACQUITY UPLC I-Class システム
Xevo? TQ-S 質量分析計
キーワード
THC および代謝物、
Oasis PRiME HLB 抽出物、全血、
ACQUITY UPLC I-Class、Xevo TQ-S、
法医中毒学
アプリケーションのメリット
■■ 従来のSPE充塡剤と比較して、より速く、
容易なサンプル前処理ワークフロー
■■ 優れた一定の回収率で、最小限のマトリッ
クス効果
■■ ?Elutionフォーマットにより乾固および再
溶解不要
■■ 全ての分析種に関して直線性が高く、精密、
正確
■■ リン脂質を99%以上除去することによる、
よりクリーンな溶出液
はじめに
大麻は娯楽目的に広く使用されている乱用薬物であり、米国では多くの州で医
療目的での合法化が進み、これに伴い娯楽目的についても合法化する流れがあ
ります。このような状況下でΔ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)や活性
型の代謝物11-ヒドロキシ-Δ-9- THC(THC-OH)、不活性型の11-ノル-9-カル
ボキシ-Δ-9-THC(THC-COOH)の定量分析法への要求が高まっています。さ
らに、毒物学、法医学の観点から、多くの研究所において、全血中のTHCおよ
び代謝物の定量への関心が高まっています。全血の複雑な性質により、一定で
再現性のある結果を得るには多くの工夫が必要です。
法医中毒学において、バイオアナリシスでのLC-MS/MS分析法におけるサン
プル前処理は重要な考慮点です。ウォーターズは、従来のSPE充塡剤と比較し、
多くのメリットを持つ新規の前処理充塡剤、Oasis PRiME HLBを開発しました。
コンディショニングおよび平衡化が必要ないため従来のSPE製品と比較し迅速
なワークフローを実現します。また、特にリン脂質のような妨害成分をより多
く除去することが可能であるため、よりクリーンな抽出物が得られ、カラム寿
命の延長およびMSイオンソースの汚染防止も期待されます。
本法では、Oasis PRiME HLB ?Elutionプレートを用いて全血中のΔ-9-テ
トラヒドロカンナビノール(THC)および代謝物である11-ヒドロキシ-Δ-9-
THC(THC-OH)、11-ノル-9-カルボキシ-Δ-9-THC(THC-COOH)1
を抽出し、
UPLC?-MS/MSシステムにて分析した結果を報告します。SPE工程は容易で非
常に効率的であると同時に、LCに適合する溶媒での溶離が可能で、サンプルの
乾固と再溶解も不要であるため、直接注入が可能です。UPLCによる分析は迅
速で非常に一貫性があり、全分析種は3分以内で溶出しました。全分析種で優
れた回収率が得られ、マトリックス効果も最小限に抑えられました。定量結果は、
高い再現性を示し、品質管理試験の結果は、期待値の10%以内であり、%RSD
は平均2-4 %でした。定量分析にはUPLC-MS/MSシステムを使用しましたが、
HPLC-MS/MSユーザーのためにTHCおよび代謝物のHPLC分析法も開発しま
した。
毒物学、法医学ラボに向けた全血中THC
および代謝物のLC-MS/MS定量分析
Xin Zhang, Jonathan P. Danaceau, and Erin E. Chambers
Waters Corporation, Milford, MA, USA
Oasis PRiME HLB ?Elutionプレートを用いた尿中THCおよび代謝物の簡便、迅速、クリーンな定量分析
[ APPLICATION NOTE ]
2
実験方法
%回収率 =
( )x 100%
マトリックス効果 =
(( ))-1 x 100%
面積値A
面積値B
マトリックス有りのピーク面積値
マトリックス無しのピーク面積値
試薬
全ての標準物質と安定同位体標識された内部標準はCerilliant社
(Round Rock、TX、USA)から購入しました。100 ?g/mLのストッ
ク標準溶液は40%メタノール水溶液で調製しました(THC、THC-
OH、THC-COOH)。100 ng/mLのTHC-D3、THC-OH-D3、THC-
COOH-D3を40%メタノール水溶液で調製し、作業内部標準溶液
としました。検量線作成のための各濃度標準溶液および品質管理
標準溶液は40%メタノール水溶液で用時調製しました。
全血スパイク試料
1800 ?Lのラット全血に、100 ?Lの作業標準溶液あるいはQC標
準溶液、および10 ?Lの内部標準溶液(I.S.)を加え、検量線作成の
ための標準溶液およびQCサンプルを作成しました。全成分につ
いて検量線範囲は0.05 ~ 100 ng/mLとしました。QCサンプルは、
全血中で0.375、2、7.5、20 ng/mLの濃度となるよう調製しました。
サンプル前処理
サンプル前処理
試料はOasis PRiME HLB ?Elutionプレートにて抽出しました。
100 ?Lの全血スパイク試料を25 ?Lの0.1 M 硫酸亜鉛/酢酸アン
モニウム水溶液に加え、5秒間ボルテックスミキサーにて撹拌し、
細胞を溶解しました。続いて375 ?Lの0.1 %ギ酸含有アセトニト
リルを加え、10秒間ボルテックスミキサーにて撹拌し、7000 rcf
で5分遠心分離を行いました。上清を回収し、水で800?Lとしま
した。
Oasis PRiME HLB ?Elutionプレートによる抽出
コンディショニングおよび平衡化をせず、調製済みサンプルの全
量を2回に分けて直接Oasis PRiME HLB ?Elutionプレートにロー
ドしました。250 ?Lの25%メタノール水溶液で2回洗浄し、25
?Lの90 : 10 アセトニトリル:イソプロピルアルコールで2回溶
離した後、50 ?Lの水で希釈しました。UPLC-MS/MSシステムに
5 ?L注入しました。SPEでの抽出工程を図1にまとめました。
Aは抽出サンプルのピーク面積値に相当し、Bは抽出後に分析種を
添加したブランクマトリックスサンプルのピーク面積値に相当し
ます。
マトリックス効果は下記の式より求めました:
ロード
2回に分けた調製済み全血サンプル
洗浄
2×250 ?L 25%メタノール水溶液
溶離?
2×25 ?L
(90:10 アセトニトリル:イソプロピルアルコール)
図 1. 全 血 中 の THC、THC-COOH、THC-OH の Oasis
PRiME HLB による抽出法。コンディショニングと平衡
化の工程を無くし、3 ステップに単純化。
分析種の回収率は下記の式より求めました:
マトリックス有りのピーク面積値は、抽出前に分析種を添加し、
抽出処理を行ったマトリックスサンプルの面積値に相当します。
マトリックス無しのピーク面積値は、マトリックスを含まない溶
液中の分析種の面積値に相当します。
[ APPLICATION NOTE ]
3Oasis PRiME HLB ?Elutionプレートを用いた尿中THCおよび代謝物の簡便、迅速、クリーンな定量分析
UPLC条件
システム: ACQUITY UPLC
I-Classシステム
カラム:? ACQUITY UPLC BEH C18 カラム、
1.7 ?m、2.1×50 mm
カラム温度: 40℃
サンプル温度: 10℃
移動相A(MPA):0.1%ギ酸水溶液
移動相B(MPB):0.1%ギ酸含有アセトニトリル
強洗浄溶媒: 70:30
アセトニトリル:2%ギ酸水溶液
弱洗浄溶媒: 10%アセトニトリル水溶液
注入量: 5 ?L
グラジエント条件は表1に示しました。
MS分析条件
MSシステム: Xevo TQ-S質量分析計
イオン化モード: ESIポジティブ
キャピラリー電圧:2.0 kV
コーン電圧: 分析種毎に最適化
脱溶媒ガス: 1000 L/hr
コーンガス: 150 L/hr
脱溶媒温度: 500℃
イオンソース温度:150℃
MassLynx?ソフトウェア(V4.1)を使用してデー
タ取り込みおよび分析を行いました。定量には
TargetLynx? ソフトウェアを使用しました。
結果および考察
クロマトグラフィー
図2Aに、1 ng/mLの3種類のカンナビノイドを添加、抽出した全血試料の
UPLCクロマトグラムを示しました。全ての分析種は3分以内に溶出し、ピーク
幅はベースライン5 %高さで2.2 ~ 2.6秒でした。全てのピーク形状は良好で
あり、シンメトリーファクターは0.95 ~ 1.15でした。図2Bに、XBridge? BEH
C18 カ ラ ム、2.5 ?m、2.1 × 50 mmを 用 い、ACQUITY UPLC H-Class/Xevo
TQDで分析したHPLCクロマトグラムを示しました。最大システム圧力は
4000 psiでした。全ての分析種のピーク幅はベースライン5 %高さで3.6~ 4.8
秒であり、UPLCクロマトグラムと比較し平均60%以上増加しましたが、同様
のピーク対称性が得られました。UPLC、HPLC間の分析種の保持時間のわずか
な違いは、システムのデュエルボリュームの違いに起因します(システムデュエ
ルボリュームは、ACQUITY UPLC I-Classでは100 ?L程度であり、H-Classで
は300 ?Lです)。
Time
1.50 2.00 2.50 3.00 3.50
%
0
100
1.50 2.00 2.50 3.00 3.50
%
0
100
1.50 2.00 2.50 3.00 3.50
%
0
100
2.04
1.97
2.81
THC-COOH
THC
THC-OH
THC-COOH
Time
1.50 2.00 2.50 3.00 3.50
%
0
100
1.50 2.00 2.50 3.00 3.50
%
0
100
1.50 2.00 2.50 3.00 3.50
%
0
100
2.19
2.06
3.14
THC-OH
THC
2A
2B
図 2. 抽出された全血サンプル中の THC-
OH、THC-COOH、THCのクロマトグラム。
図2A; ACQUITY UPLC I-Class/XevoTQ-S、
BEHC18 カラム、1.7 ?m、2.1×50 mm を
使用。システム背圧は約 6,500psi。全
分析種濃度は 1 ng/mL。
図 2B; ACQUITY UPLC H-Class/Xevo
TQD、XBridge BEH C18 カラム、2.5 ?m、
2.1 × 50 mm を使用。システム背圧は
約 4,000 psi。LC グラジエントおよび
流速は UPLC カラム使用時と同一。
表 1. 移動相グラジエント。MPA と MPB の組成は上記の
通りです。
	 時間 流速	 %A	 %B
	(min)	(mL/min)
	 0	 0.6	 50 	 50
	 1.0 	 0.6	 50 	 50
	 3.0 	 0.6	 5 	 95
	 3.5	 0.6	 5 	 95
	 3.6	 0.6	 50 	 50
	 4.0	 0.6	 50 	 50
[ APPLICATION NOTE ]
4Oasis PRiME HLB ?Elutionプレートを用いた尿中THCおよび代謝物の簡便、迅速、クリーンな定量分析
表2に、保持時間、カンナビノイドと安定同位体標
識された内部標準のMRMトランジッション、コー
ン電圧、コリジョンエネルギーを含むMSパラメー
ターを示しました。各分析種に対して定量イオン(リ
ストの上段)と確認イオン(リストの下段)の2種類
のMRMトランジッションを用いました。
HPLCと比較して、UPLCでは分離能および感度が
改善され、より効率的で、より短時間での分析が可
能であると同時に、溶媒使用量も削減されました。
このため、本アプリケーションでは、回収率、マ
トリックス効果、リン脂質除去を確認する分析お
よびメソッドバリデーションを、ACQUITY UPLC
I-Class/Xevo TQ-Sシステムで行いました。
回収率とマトリックス効果
抽出回収率は高く、一貫性のあるものでした。図3
に示したように、全分析種の回収率は85%以上で
あ り、 平 均%RSDは4-7%で、Oasis PRiME HLB
の高い再現性が証明されました。マトリックス効果
は最小限であり、全ての分析種で15%以下を示しま
した。この低い相対標準偏差(平均4-7%)は、Oasis
PRiME HLBでの抽出とクリーンアップの一貫性を
証明しています。表3に全ての回収率とマトリック
ス効果のデータをまとめました。Oasis PRiME HLB
は、既に報告されているミックスモードSPEと比較
し、より簡単な工程で、より優れた回収率、再現性、
最小限のマトリックス効果を実現しました3
。
分析種
保持
時間
(min)
MRM
トランジッション
(m/z)
コーン
電圧
(V)
コリジョン
エネルギー
(eV)
THC-OH 1.84
331.3>313.1
331.3>193.1
40
40
18
30
THC-OH-d3 1.84 334.3>316.1 40 18
THC-COOH 1.92
345.3>327.3
345.3>299.3
50
50
20
25
THC-COOH-d3 1.92 348.3>330.3 50 20
THC 2.72
315.1>193.2
315.1>135.1
40
40
25
25
THC-d3 2.72 318.1>196.2 40 25
表 2. 全分析種と内部標準物質の質量分析パラメーター
-20
0
20
40
60
80
100
THC-OH THC-COOH THC
回収率
マトリックス効果
図 3. THC-OH、THC-COOH、THC の Oasis PRiME HLB ?Elution プレートによる抽出後の回収
率およびマトリックス効果。全ての分析種で平均 4-7% の低い %RSD。マトリックス効果は 15%
以下であり、%RSD は 12% 以下でした。
%回収率 %マトリックス効果
平均 %RSD 平均 %RSD
THC-OH 87 7 12 7
THC-COOH 88 4 -10 9
THC 85 5 2 11
表 3. THC および代謝物の回収率とマトリックス効果(全ての試験において N=4)
[ APPLICATION NOTE ]
5Oasis PRiME HLB ?Elutionプレートを用いた尿中THCおよび代謝物の簡便、迅速、クリーンな定量分析
リン脂質除去
Oasis PRiME HLBの特長の一つとして、他のサンプル前処理法よりもクリーンな抽出物が得られることが挙げられます。これは、内因
性のリン脂質を除去する事により達成されます。図4は、Oasis PRiME HLBにより精製した試料(B)、同一サンプルをタンパク沈澱によ
り精製した試料(C)のリン脂質のクロマトグラムを示します。タンパク沈澱(PPT)と比較すると、Oasis PRiME HLBは99%以上のリン
脂質を除去しており、よりクリーンな抽出物が得られます。クリーンな試料を分析に使用できることは、マトリックス効果の低減、カ
ラム寿命の延長、MSイオンソースの汚染防止にもつながります。
目的成分のクロマトグラム(A)も重ね書きで表示しました。タンパク沈殿のみの精製ではリン脂質が除去されず、目的成分の定量に大き
な支障が生じることが明らかとなりました。
定量結果
Oasis PRiME HLBを用いたSPEにより、全血を試料とした場合にも、一貫した高い抽出回収率が得られる事が示されました。2 ~ 3 ng/mL
のTHC類が大麻暴露の指標になる事が報告されています(カットオフ濃度)1
が、本法により、THCおよび代謝物を、短期間の最近の大麻
暴露の判定基準値より十分低い0.1 ng/mLまで検出する事が可能です。
Time
1.00 2.00 3.00 4.00 5.00
%
-5
95
2: MRM of 11 Channels ES+
TIC
4.80e8
C:PPT処理した
全血(黒)
A:3種類の
分析種(赤)
B:SPE処理した
全血(青)
1.00 2.00 3.00 4.00 5.00
%
-5
95 2: MRM of 11 Channels ES+
TIC
4.80e8
図 4. Oasis PRiME HLB vs. タンパク沈澱による精製後に、試料に残存するリン脂質クロマトグ
ラム。スケールは同一。重ね書きクロマトグラムより、残存リン脂質が THC-OH、THC-COOH、
THC と共溶出している事が分かります。A:3 種類の目的成分のクロマトグラム;B:SPE 処理
した全血;C:PPT 処理した全血。
R2 平均標準偏差
範囲
(ng/mL)
検量線の種類
THC-OH 0.998 7.8 0.1–100 直線
THC-COOH 0.999 4.0 0.05–100 直線
THC 0.998 2.4 0.05–100 直線
表 4. 1/x の重み付けでの THC および代謝物の検量線データ
[ APPLICATION NOTE ]
6Oasis PRiME HLB ?Elutionプレートを用いた尿中THCおよび代謝物の簡便、迅速、クリーンな定量分析
検量線作成に用いた標準サンプルは前述の実験方法の通りに調製しました。検量線範囲は、THC-OHでは0.1~100 ng/mL、THCおよび
THC-COOHでは0.05~100 ng/mLとしました。全ての分析種は全検量線範囲において直線的に応答し、R2
値は、1/xの重み付けを使用
して0.99以上を示しました。図5には検量線を、表4には全分析種の検量線データの概略を示しました。定量下限値(LLOQ)はTHC-OH
では0.1 ng/mL、THCおよびTHC-COOHでは0.05 ng/mL であり、カットオフ濃度(2-3 ng/mL)よりも十分低い値でした。真度、精度、
直線性、分析感度における分析結果は、すべてFDAが求める要件に適合しました2
。
品質管理サンプルは、検量線範囲に対して適切となるよう、低、中、高濃度で調製しました。分析結果は正確で精密であり、全ての結果
において、期待値の10%以内、平均%RSDは2-4%でした(N=6)。優れた真度と精度が、Oasis PRiME HLBの一貫性と頑健性を証明します。
Compound name: THC-COOH
Correlation coefficient: r = 0.999661, r2
= 0.999322
Calibration curve: 21.2358 * x + 1.5691
Response type: Internal Std (Ref 5), Area * (IS Conc./IS Area)
Curve type: Linear, Origin: Exclude, Weighting: 1/x, Axis trans: None
Conc
-0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
Response
-0
500
1000
1500
2000
Compound name: THC
Correlation coefficient: r = 0.998930, r2
= 0.997861
Calibration curve: 27.8363 * x + 0.165145
Response type: Internal Std (Ref 6), Area * (IS Conc./IS Area)
Curve type: Linear, Origin: Exclude, Weighting: 1/x, Axis trans: None
Conc
-0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
Response
-0
1000
2000
Compound name: THC-OH
Correlation coefficient: r = 0.999214, r2 = 0.998428
Calibration curve: 27.1578 * x + 4.8392
Response type: Internal Std (Ref 4), Area * (IS Conc./IS Area)
Curve type: Linear, Origin: Exclude, Weighting: 1/x, Axis trans: None
Conc
-0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
Response
-0
500
1000
1500
2000
2500
図 5. 1/x 重み付けの直線で R2
>0.99 である THC および代謝物の検量線
[ APPLICATION NOTE ]
結論
本アプリケーションノートでは、法医中毒学研究に向けたアプリケーションとし
て、新規充塡剤、Oasis PRiME HLBの?Elutionフォーマットを用いた、全血サ
ンプル中のTHCおよび代謝物の抽出について報告しました。Oasis PRiME HLB
は、その独自の性質によりコンディショニングおよび平衡化が不要で、抽出工程
を簡略化し、サンプル前処理工程を迅速化します。さらに、?Elutionフォーマッ
トを用いることにより、乾固、再溶解が不要のため抽出物の直接注入が可能であ
り、非特異的な吸着によるリスクも最小限に抑えます。Oasis PRiME HLBの特
性の一つに、リン脂質の保持が挙げられます。前述したとおり、また、図4に示
したように、本法の採用により、目的の分析種と共溶出していたリン脂質を、抽
出サンプルから99%以上除去することが可能でした。
回収率は一貫して、85 %以上であり、平均%RSDは4-7 %でした。マトリッ
クス効果は全ての分析種で15 %以下を示しました。全分析種について、優れた
直線性、真度、精度、分析感度が認められ、QCサンプルでは、全成分において、
真度は期待値の10 %以内、平均%RSDは2 ~ 4 %であり、Oasis PRiME HLB
とUPLC-MS/MS分析法を合わせて用いることにより高い再現性が実現される事
を証明しています。結論として、Oasis PRiME HLBを用いることにより、安定
した回収率と最小限のマトリックス効果が達成され、4桁の濃度範囲にわたって
全血サンプル中のカンナビノイドの定量が可能となりました。
本アプリケーションでは、UPLC条件を用いて分析を行いましたが、図2Bに示
したクロマトグラムの通り、本法はHPLCカラムを用い、低い背圧下でHPLCシ
ステムを用いて運用することも可能です。
参考文献
1.	 Huestis, M.A., J.E. Henningfield, E.J. Cone: Blood
Cannabinoids. I. Absorption of THC and Formation
of 11-OH-THC and THCCOOH During and After
Smoking Marijuana. Journal of Analytical Toxicology
16(5), 276–282 (1992).
2.	 Bansal, S., A. DeStefano: Key elements of
bioanalytical method validation for small molecules.
The AAPS Journal 9(1), E109-E114 (2007).
3.	 Lee, R., Saussereau, E., Lacroix C., and Wood
M.: Quantitative Analysis of Cannabinoids in
Whole Blood using UPLC-MS/MS for Forensic
Laboratories. Waters Application Note
720004700EN, (2013).
Waters、Oasis、ACQUITY UPLC、ACQUITY、Xevo、MassLynx および The Science of What’s Possible は Waters Corporation の登録商標です。
TargetLynx はWaters Corporation の商標です。その他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。
?2017 Waters Corporation. Produced in Japan.?2017 年 6月 720005769JA PDF
日本ウォーターズ株式会社 www.waters.com
東京本社 〒140-0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5 小池ビル?TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118
大阪支社 〒532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734
ショールーム 東京?大阪
サービス拠点 東京?大阪?札幌?福島?静岡?富山?名古屋?徳島?福岡???
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THC

  • 1. 1 [ APPLICATION NOTE ] ウォーターズのソリューション Oasis? PRiME HLB ?Elution プレート (製品番号 186008052) ACQUITY? 96 ウェル サンプルコレクションプレート、 700 ?L、円型 (製品番号 186005837) ACQUITY UPLC? BEH C18 カラム、 130 ?、1.7 ?m、2.1 × 50 mm (製品番号 186002350) ACQUITY UPLC I-Class システム Xevo? TQ-S 質量分析計 キーワード THC および代謝物、 Oasis PRiME HLB 抽出物、全血、 ACQUITY UPLC I-Class、Xevo TQ-S、 法医中毒学 アプリケーションのメリット ■■ 従来のSPE充塡剤と比較して、より速く、 容易なサンプル前処理ワークフロー ■■ 優れた一定の回収率で、最小限のマトリッ クス効果 ■■ ?Elutionフォーマットにより乾固および再 溶解不要 ■■ 全ての分析種に関して直線性が高く、精密、 正確 ■■ リン脂質を99%以上除去することによる、 よりクリーンな溶出液 はじめに 大麻は娯楽目的に広く使用されている乱用薬物であり、米国では多くの州で医 療目的での合法化が進み、これに伴い娯楽目的についても合法化する流れがあ ります。このような状況下でΔ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)や活性 型の代謝物11-ヒドロキシ-Δ-9- THC(THC-OH)、不活性型の11-ノル-9-カル ボキシ-Δ-9-THC(THC-COOH)の定量分析法への要求が高まっています。さ らに、毒物学、法医学の観点から、多くの研究所において、全血中のTHCおよ び代謝物の定量への関心が高まっています。全血の複雑な性質により、一定で 再現性のある結果を得るには多くの工夫が必要です。 法医中毒学において、バイオアナリシスでのLC-MS/MS分析法におけるサン プル前処理は重要な考慮点です。ウォーターズは、従来のSPE充塡剤と比較し、 多くのメリットを持つ新規の前処理充塡剤、Oasis PRiME HLBを開発しました。 コンディショニングおよび平衡化が必要ないため従来のSPE製品と比較し迅速 なワークフローを実現します。また、特にリン脂質のような妨害成分をより多 く除去することが可能であるため、よりクリーンな抽出物が得られ、カラム寿 命の延長およびMSイオンソースの汚染防止も期待されます。 本法では、Oasis PRiME HLB ?Elutionプレートを用いて全血中のΔ-9-テ トラヒドロカンナビノール(THC)および代謝物である11-ヒドロキシ-Δ-9- THC(THC-OH)、11-ノル-9-カルボキシ-Δ-9-THC(THC-COOH)1 を抽出し、 UPLC?-MS/MSシステムにて分析した結果を報告します。SPE工程は容易で非 常に効率的であると同時に、LCに適合する溶媒での溶離が可能で、サンプルの 乾固と再溶解も不要であるため、直接注入が可能です。UPLCによる分析は迅 速で非常に一貫性があり、全分析種は3分以内で溶出しました。全分析種で優 れた回収率が得られ、マトリックス効果も最小限に抑えられました。定量結果は、 高い再現性を示し、品質管理試験の結果は、期待値の10%以内であり、%RSD は平均2-4 %でした。定量分析にはUPLC-MS/MSシステムを使用しましたが、 HPLC-MS/MSユーザーのためにTHCおよび代謝物のHPLC分析法も開発しま した。 毒物学、法医学ラボに向けた全血中THC および代謝物のLC-MS/MS定量分析 Xin Zhang, Jonathan P. Danaceau, and Erin E. Chambers Waters Corporation, Milford, MA, USA
  • 2. Oasis PRiME HLB ?Elutionプレートを用いた尿中THCおよび代謝物の簡便、迅速、クリーンな定量分析 [ APPLICATION NOTE ] 2 実験方法 %回収率 = ( )x 100% マトリックス効果 = (( ))-1 x 100% 面積値A 面積値B マトリックス有りのピーク面積値 マトリックス無しのピーク面積値 試薬 全ての標準物質と安定同位体標識された内部標準はCerilliant社 (Round Rock、TX、USA)から購入しました。100 ?g/mLのストッ ク標準溶液は40%メタノール水溶液で調製しました(THC、THC- OH、THC-COOH)。100 ng/mLのTHC-D3、THC-OH-D3、THC- COOH-D3を40%メタノール水溶液で調製し、作業内部標準溶液 としました。検量線作成のための各濃度標準溶液および品質管理 標準溶液は40%メタノール水溶液で用時調製しました。 全血スパイク試料 1800 ?Lのラット全血に、100 ?Lの作業標準溶液あるいはQC標 準溶液、および10 ?Lの内部標準溶液(I.S.)を加え、検量線作成の ための標準溶液およびQCサンプルを作成しました。全成分につ いて検量線範囲は0.05 ~ 100 ng/mLとしました。QCサンプルは、 全血中で0.375、2、7.5、20 ng/mLの濃度となるよう調製しました。 サンプル前処理 サンプル前処理 試料はOasis PRiME HLB ?Elutionプレートにて抽出しました。 100 ?Lの全血スパイク試料を25 ?Lの0.1 M 硫酸亜鉛/酢酸アン モニウム水溶液に加え、5秒間ボルテックスミキサーにて撹拌し、 細胞を溶解しました。続いて375 ?Lの0.1 %ギ酸含有アセトニト リルを加え、10秒間ボルテックスミキサーにて撹拌し、7000 rcf で5分遠心分離を行いました。上清を回収し、水で800?Lとしま した。 Oasis PRiME HLB ?Elutionプレートによる抽出 コンディショニングおよび平衡化をせず、調製済みサンプルの全 量を2回に分けて直接Oasis PRiME HLB ?Elutionプレートにロー ドしました。250 ?Lの25%メタノール水溶液で2回洗浄し、25 ?Lの90 : 10 アセトニトリル:イソプロピルアルコールで2回溶 離した後、50 ?Lの水で希釈しました。UPLC-MS/MSシステムに 5 ?L注入しました。SPEでの抽出工程を図1にまとめました。 Aは抽出サンプルのピーク面積値に相当し、Bは抽出後に分析種を 添加したブランクマトリックスサンプルのピーク面積値に相当し ます。 マトリックス効果は下記の式より求めました: ロード 2回に分けた調製済み全血サンプル 洗浄 2×250 ?L 25%メタノール水溶液 溶離? 2×25 ?L (90:10 アセトニトリル:イソプロピルアルコール) 図 1. 全 血 中 の THC、THC-COOH、THC-OH の Oasis PRiME HLB による抽出法。コンディショニングと平衡 化の工程を無くし、3 ステップに単純化。 分析種の回収率は下記の式より求めました: マトリックス有りのピーク面積値は、抽出前に分析種を添加し、 抽出処理を行ったマトリックスサンプルの面積値に相当します。 マトリックス無しのピーク面積値は、マトリックスを含まない溶 液中の分析種の面積値に相当します。
  • 3. [ APPLICATION NOTE ] 3Oasis PRiME HLB ?Elutionプレートを用いた尿中THCおよび代謝物の簡便、迅速、クリーンな定量分析 UPLC条件 システム: ACQUITY UPLC I-Classシステム カラム:? ACQUITY UPLC BEH C18 カラム、 1.7 ?m、2.1×50 mm カラム温度: 40℃ サンプル温度: 10℃ 移動相A(MPA):0.1%ギ酸水溶液 移動相B(MPB):0.1%ギ酸含有アセトニトリル 強洗浄溶媒: 70:30 アセトニトリル:2%ギ酸水溶液 弱洗浄溶媒: 10%アセトニトリル水溶液 注入量: 5 ?L グラジエント条件は表1に示しました。 MS分析条件 MSシステム: Xevo TQ-S質量分析計 イオン化モード: ESIポジティブ キャピラリー電圧:2.0 kV コーン電圧: 分析種毎に最適化 脱溶媒ガス: 1000 L/hr コーンガス: 150 L/hr 脱溶媒温度: 500℃ イオンソース温度:150℃ MassLynx?ソフトウェア(V4.1)を使用してデー タ取り込みおよび分析を行いました。定量には TargetLynx? ソフトウェアを使用しました。 結果および考察 クロマトグラフィー 図2Aに、1 ng/mLの3種類のカンナビノイドを添加、抽出した全血試料の UPLCクロマトグラムを示しました。全ての分析種は3分以内に溶出し、ピーク 幅はベースライン5 %高さで2.2 ~ 2.6秒でした。全てのピーク形状は良好で あり、シンメトリーファクターは0.95 ~ 1.15でした。図2Bに、XBridge? BEH C18 カ ラ ム、2.5 ?m、2.1 × 50 mmを 用 い、ACQUITY UPLC H-Class/Xevo TQDで分析したHPLCクロマトグラムを示しました。最大システム圧力は 4000 psiでした。全ての分析種のピーク幅はベースライン5 %高さで3.6~ 4.8 秒であり、UPLCクロマトグラムと比較し平均60%以上増加しましたが、同様 のピーク対称性が得られました。UPLC、HPLC間の分析種の保持時間のわずか な違いは、システムのデュエルボリュームの違いに起因します(システムデュエ ルボリュームは、ACQUITY UPLC I-Classでは100 ?L程度であり、H-Classで は300 ?Lです)。 Time 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 % 0 100 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 % 0 100 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 % 0 100 2.04 1.97 2.81 THC-COOH THC THC-OH THC-COOH Time 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 % 0 100 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 % 0 100 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 % 0 100 2.19 2.06 3.14 THC-OH THC 2A 2B 図 2. 抽出された全血サンプル中の THC- OH、THC-COOH、THCのクロマトグラム。 図2A; ACQUITY UPLC I-Class/XevoTQ-S、 BEHC18 カラム、1.7 ?m、2.1×50 mm を 使用。システム背圧は約 6,500psi。全 分析種濃度は 1 ng/mL。 図 2B; ACQUITY UPLC H-Class/Xevo TQD、XBridge BEH C18 カラム、2.5 ?m、 2.1 × 50 mm を使用。システム背圧は 約 4,000 psi。LC グラジエントおよび 流速は UPLC カラム使用時と同一。 表 1. 移動相グラジエント。MPA と MPB の組成は上記の 通りです。 時間 流速 %A %B (min) (mL/min) 0 0.6 50 50 1.0 0.6 50 50 3.0 0.6 5 95 3.5 0.6 5 95 3.6 0.6 50 50 4.0 0.6 50 50
  • 4. [ APPLICATION NOTE ] 4Oasis PRiME HLB ?Elutionプレートを用いた尿中THCおよび代謝物の簡便、迅速、クリーンな定量分析 表2に、保持時間、カンナビノイドと安定同位体標 識された内部標準のMRMトランジッション、コー ン電圧、コリジョンエネルギーを含むMSパラメー ターを示しました。各分析種に対して定量イオン(リ ストの上段)と確認イオン(リストの下段)の2種類 のMRMトランジッションを用いました。 HPLCと比較して、UPLCでは分離能および感度が 改善され、より効率的で、より短時間での分析が可 能であると同時に、溶媒使用量も削減されました。 このため、本アプリケーションでは、回収率、マ トリックス効果、リン脂質除去を確認する分析お よびメソッドバリデーションを、ACQUITY UPLC I-Class/Xevo TQ-Sシステムで行いました。 回収率とマトリックス効果 抽出回収率は高く、一貫性のあるものでした。図3 に示したように、全分析種の回収率は85%以上で あ り、 平 均%RSDは4-7%で、Oasis PRiME HLB の高い再現性が証明されました。マトリックス効果 は最小限であり、全ての分析種で15%以下を示しま した。この低い相対標準偏差(平均4-7%)は、Oasis PRiME HLBでの抽出とクリーンアップの一貫性を 証明しています。表3に全ての回収率とマトリック ス効果のデータをまとめました。Oasis PRiME HLB は、既に報告されているミックスモードSPEと比較 し、より簡単な工程で、より優れた回収率、再現性、 最小限のマトリックス効果を実現しました3 。 分析種 保持 時間 (min) MRM トランジッション (m/z) コーン 電圧 (V) コリジョン エネルギー (eV) THC-OH 1.84 331.3>313.1 331.3>193.1 40 40 18 30 THC-OH-d3 1.84 334.3>316.1 40 18 THC-COOH 1.92 345.3>327.3 345.3>299.3 50 50 20 25 THC-COOH-d3 1.92 348.3>330.3 50 20 THC 2.72 315.1>193.2 315.1>135.1 40 40 25 25 THC-d3 2.72 318.1>196.2 40 25 表 2. 全分析種と内部標準物質の質量分析パラメーター -20 0 20 40 60 80 100 THC-OH THC-COOH THC 回収率 マトリックス効果 図 3. THC-OH、THC-COOH、THC の Oasis PRiME HLB ?Elution プレートによる抽出後の回収 率およびマトリックス効果。全ての分析種で平均 4-7% の低い %RSD。マトリックス効果は 15% 以下であり、%RSD は 12% 以下でした。 %回収率 %マトリックス効果 平均 %RSD 平均 %RSD THC-OH 87 7 12 7 THC-COOH 88 4 -10 9 THC 85 5 2 11 表 3. THC および代謝物の回収率とマトリックス効果(全ての試験において N=4)
  • 5. [ APPLICATION NOTE ] 5Oasis PRiME HLB ?Elutionプレートを用いた尿中THCおよび代謝物の簡便、迅速、クリーンな定量分析 リン脂質除去 Oasis PRiME HLBの特長の一つとして、他のサンプル前処理法よりもクリーンな抽出物が得られることが挙げられます。これは、内因 性のリン脂質を除去する事により達成されます。図4は、Oasis PRiME HLBにより精製した試料(B)、同一サンプルをタンパク沈澱によ り精製した試料(C)のリン脂質のクロマトグラムを示します。タンパク沈澱(PPT)と比較すると、Oasis PRiME HLBは99%以上のリン 脂質を除去しており、よりクリーンな抽出物が得られます。クリーンな試料を分析に使用できることは、マトリックス効果の低減、カ ラム寿命の延長、MSイオンソースの汚染防止にもつながります。 目的成分のクロマトグラム(A)も重ね書きで表示しました。タンパク沈殿のみの精製ではリン脂質が除去されず、目的成分の定量に大き な支障が生じることが明らかとなりました。 定量結果 Oasis PRiME HLBを用いたSPEにより、全血を試料とした場合にも、一貫した高い抽出回収率が得られる事が示されました。2 ~ 3 ng/mL のTHC類が大麻暴露の指標になる事が報告されています(カットオフ濃度)1 が、本法により、THCおよび代謝物を、短期間の最近の大麻 暴露の判定基準値より十分低い0.1 ng/mLまで検出する事が可能です。 Time 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 % -5 95 2: MRM of 11 Channels ES+ TIC 4.80e8 C:PPT処理した 全血(黒) A:3種類の 分析種(赤) B:SPE処理した 全血(青) 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 % -5 95 2: MRM of 11 Channels ES+ TIC 4.80e8 図 4. Oasis PRiME HLB vs. タンパク沈澱による精製後に、試料に残存するリン脂質クロマトグ ラム。スケールは同一。重ね書きクロマトグラムより、残存リン脂質が THC-OH、THC-COOH、 THC と共溶出している事が分かります。A:3 種類の目的成分のクロマトグラム;B:SPE 処理 した全血;C:PPT 処理した全血。 R2 平均標準偏差 範囲 (ng/mL) 検量線の種類 THC-OH 0.998 7.8 0.1–100 直線 THC-COOH 0.999 4.0 0.05–100 直線 THC 0.998 2.4 0.05–100 直線 表 4. 1/x の重み付けでの THC および代謝物の検量線データ
  • 6. [ APPLICATION NOTE ] 6Oasis PRiME HLB ?Elutionプレートを用いた尿中THCおよび代謝物の簡便、迅速、クリーンな定量分析 検量線作成に用いた標準サンプルは前述の実験方法の通りに調製しました。検量線範囲は、THC-OHでは0.1~100 ng/mL、THCおよび THC-COOHでは0.05~100 ng/mLとしました。全ての分析種は全検量線範囲において直線的に応答し、R2 値は、1/xの重み付けを使用 して0.99以上を示しました。図5には検量線を、表4には全分析種の検量線データの概略を示しました。定量下限値(LLOQ)はTHC-OH では0.1 ng/mL、THCおよびTHC-COOHでは0.05 ng/mL であり、カットオフ濃度(2-3 ng/mL)よりも十分低い値でした。真度、精度、 直線性、分析感度における分析結果は、すべてFDAが求める要件に適合しました2 。 品質管理サンプルは、検量線範囲に対して適切となるよう、低、中、高濃度で調製しました。分析結果は正確で精密であり、全ての結果 において、期待値の10%以内、平均%RSDは2-4%でした(N=6)。優れた真度と精度が、Oasis PRiME HLBの一貫性と頑健性を証明します。 Compound name: THC-COOH Correlation coefficient: r = 0.999661, r2 = 0.999322 Calibration curve: 21.2358 * x + 1.5691 Response type: Internal Std (Ref 5), Area * (IS Conc./IS Area) Curve type: Linear, Origin: Exclude, Weighting: 1/x, Axis trans: None Conc -0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 Response -0 500 1000 1500 2000 Compound name: THC Correlation coefficient: r = 0.998930, r2 = 0.997861 Calibration curve: 27.8363 * x + 0.165145 Response type: Internal Std (Ref 6), Area * (IS Conc./IS Area) Curve type: Linear, Origin: Exclude, Weighting: 1/x, Axis trans: None Conc -0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 Response -0 1000 2000 Compound name: THC-OH Correlation coefficient: r = 0.999214, r2 = 0.998428 Calibration curve: 27.1578 * x + 4.8392 Response type: Internal Std (Ref 4), Area * (IS Conc./IS Area) Curve type: Linear, Origin: Exclude, Weighting: 1/x, Axis trans: None Conc -0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 Response -0 500 1000 1500 2000 2500 図 5. 1/x 重み付けの直線で R2 >0.99 である THC および代謝物の検量線
  • 7. [ APPLICATION NOTE ] 結論 本アプリケーションノートでは、法医中毒学研究に向けたアプリケーションとし て、新規充塡剤、Oasis PRiME HLBの?Elutionフォーマットを用いた、全血サ ンプル中のTHCおよび代謝物の抽出について報告しました。Oasis PRiME HLB は、その独自の性質によりコンディショニングおよび平衡化が不要で、抽出工程 を簡略化し、サンプル前処理工程を迅速化します。さらに、?Elutionフォーマッ トを用いることにより、乾固、再溶解が不要のため抽出物の直接注入が可能であ り、非特異的な吸着によるリスクも最小限に抑えます。Oasis PRiME HLBの特 性の一つに、リン脂質の保持が挙げられます。前述したとおり、また、図4に示 したように、本法の採用により、目的の分析種と共溶出していたリン脂質を、抽 出サンプルから99%以上除去することが可能でした。 回収率は一貫して、85 %以上であり、平均%RSDは4-7 %でした。マトリッ クス効果は全ての分析種で15 %以下を示しました。全分析種について、優れた 直線性、真度、精度、分析感度が認められ、QCサンプルでは、全成分において、 真度は期待値の10 %以内、平均%RSDは2 ~ 4 %であり、Oasis PRiME HLB とUPLC-MS/MS分析法を合わせて用いることにより高い再現性が実現される事 を証明しています。結論として、Oasis PRiME HLBを用いることにより、安定 した回収率と最小限のマトリックス効果が達成され、4桁の濃度範囲にわたって 全血サンプル中のカンナビノイドの定量が可能となりました。 本アプリケーションでは、UPLC条件を用いて分析を行いましたが、図2Bに示 したクロマトグラムの通り、本法はHPLCカラムを用い、低い背圧下でHPLCシ ステムを用いて運用することも可能です。 参考文献 1. Huestis, M.A., J.E. Henningfield, E.J. Cone: Blood Cannabinoids. I. Absorption of THC and Formation of 11-OH-THC and THCCOOH During and After Smoking Marijuana. Journal of Analytical Toxicology 16(5), 276–282 (1992). 2. Bansal, S., A. DeStefano: Key elements of bioanalytical method validation for small molecules. The AAPS Journal 9(1), E109-E114 (2007). 3. Lee, R., Saussereau, E., Lacroix C., and Wood M.: Quantitative Analysis of Cannabinoids in Whole Blood using UPLC-MS/MS for Forensic Laboratories. Waters Application Note 720004700EN, (2013). Waters、Oasis、ACQUITY UPLC、ACQUITY、Xevo、MassLynx および The Science of What’s Possible は Waters Corporation の登録商標です。 TargetLynx はWaters Corporation の商標です。その他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。 ?2017 Waters Corporation. Produced in Japan.?2017 年 6月 720005769JA PDF 日本ウォーターズ株式会社 www.waters.com 東京本社 〒140-0001 東京都品川区北品川1-3-12 第5 小池ビル?TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118 大阪支社 〒532-0011 大阪市淀川区西中島5-14-10 新大阪トヨタビル11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734 ショールーム 東京?大阪 サービス拠点 東京?大阪?札幌?福島?静岡?富山?名古屋?徳島?福岡???