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第一回土壌学輪講

~第2章 土壌は「環境の産物」~
               11月9日(月)中嶋 譲
~第2章 土壌は「環境の産物」~
土壌とは


  土壌とは

  ?森林や耕地を構成している土壌
               ─『土壌学の基礎』における定義

  ?環境要因(気候?動植物、岩石の組成、地形 など)の総合的
  作用の結果、地表に生成する独立した歴史的自然体
                    ─ドクチャーエフ(要約)
~第2章 土壌は「環境の産物」~
岩石から土壌へ


  岩石(母岩)          母材(レゴリス)           土壌
                             風化作用




           風化作用
                         土壌生成作用




?風化作用=岩石の細かい破砕

?土壌生成作用(土壌化作用)=生物的作用による土壌生成
~第2章 土壌は「環境の産物」~
岩石から土壌へ -風化作用-
物理的風化
1)除荷作用
表面物質の荷重が除去    拘束圧減少     岩石の膨張            破裂

2)温度変化による膨張

3)亀裂に染み込んだ水の凍結、植物根の圧力による破砕

4)スレーキング
細粒質岩石の乾湿の繰り返しによる岩石の細かい崩壊
5)塩類風化作用
岩石の割れ目に塩類が集積し、結晶化することで岩石に圧力を与え、崩壊

化学的風化
1)二酸化炭素が溶解し弱酸性となった雨水による風化
2)水和作用
鉱物に水が水和      膨張
3)アリット化作用、シアリット化作用、脱ケイ酸作用
湿潤熱帯?温帯における長期に渡る風化。
塩基類やケイ酸が溶脱、難分解性のアルミナと酸化鉄が残留?富化

                      http://home.hiroshima-u.ac.jp/er/ES_W_F6A.html
~第2章 土壌は「環境の産物」~
岩石から土壌へ -土壌生成作用-

                葉状地衣         イネ科草本
  微生物   固着地衣           蘚苔類     雑草
               樹枝状地衣
                             植物起源粒子


                         新成鉱物




                  変質鉱物                 土壌へ




    残留一次鉱物
~第2章 土壌は「環境の産物」~
成帯性土壌と成帯内性土壌
成帯性土壌:緯度に沿って土壌が帯状に分布
成帯内性土壌:局所的な地形、母材、地下水などに影響
~第2章 土壌は「環境の産物」~
いろいろな土壌生成作用

1)高緯度地域の土壌-有機物蓄積型

   植物の生育=不十分
                    有機物の堆積
   気候=湿潤             腐植層形成
   微生物の働き=弱い         暗黒色土壌
~第2章 土壌は「環境の産物」~
いろいろな土壌生成作用

2)低緯度地域の土壌-有機物消耗型-

   植物の生育=活発
                        有機物消耗
   気候=湿潤                 薄い土壌
   微生物の働き=活発          黄褐色?赤褐色土壌




                     黄褐色土壌


                 痩せている
~第2章 土壌は「環境の産物」~
いろいろな土壌生成作用

3)中緯度草原地域の有機物蓄積土壌-チェルノーゼム-

   植物の生育=中程度
                    有機物の超堆積
   気候=乾燥             腐植層形成
   微生物の働き=多少弱い       黒色土壌
~第2章 土壌は「環境の産物」~
いろいろな土壌生成作用

4)ポドソル化作用(亜寒帯針葉樹林)
                            ポドソル化
                        塩基類(Ca,Mg,K,Na)と
             余剰水分       鉄?アルミニウムの溶脱
降雨>蒸発?蒸散   土壌下方への浸透

           有機物堆積
  寒冷?湿潤    有機酸?有機化合物       漂白層(灰色)
                           集積層(赤褐色)
~第2章 土壌は「環境の産物」~
いろいろな土壌生成作用

5)鉄?アルミナ富化作用(高温多湿な低緯度地域)



 微生物の働き     有機物の分解
                         塩基?ケイ酸の溶脱
                        鉄、アルミニウムの残留
鉱物の化学的風化    塩基類の放出




                        暗赤色の厚い下層土
                          オキシソル
~第2章 土壌は「環境の産物」~
土層の分化

『土層(土壌層位)』とは
土壌断面において、土壌の深さに沿って一連の関連性を持った特徴が生じ
ている層状の構造


               O層:地面より上に堆積する有機質層
               A層:腐植化した有機質を含む無機質層
               (E層:ケイ酸塩粘土、鉄、アルミニウム
                   などが溶脱している層)

               B層:A層?E層から溶脱したアルミニウム、有機物、
                  粘土などが集積する層


               C層:母材の層
~第2章 土壌は「環境の産物」~
土壌断面が語る水分環境

 1)鉄の斑紋
                     酸化鉄
多少排水の悪い土壌                             還元鉄

             還元状態              徐々に
                       還元鉄     排水
                     (水に溶け、           酸化鉄
 多量の降雨              部分的に集合)

                        地下水の影響を受けたことを示す

 2)グライ層
                     酸化鉄
粘質で排水の悪い土壌

             還元状態               還元鉄として安定
                       還元鉄     青灰色、青緑色の土層
                     (水に溶け、
 多量の降雨              部分的に集合)

                     土層が地下水位以下にあったことを示す
~第2章 土壌は「環境の産物」~
土壌断面が語る水分環境

 2)グライ層




            中粗粒グライ土
                         細粒グライ土
  細粒強グライ土
~第2章 土壌は「環境の産物」~
世界の土壌

1)世界共通の土壌分類の難しさ
土壌は環境によって生成過程が変わる→各地の都合

 2)ドクチャーエフの土壌分類体系
 3)ソイルタクソノミー
 4)世界の土壌分布
~第2章 土壌は「環境の産物」~
日本の土壌

造成土
いわゆる人口土壌

泥炭土                         黒泥土(黒色)
低温湿潤    植物遺体(完全に分解されていない)   低温湿潤      植物遺体(完全分解)


ポドゾル(漂白層or集積層)
低温湿潤    降雨>蒸発?蒸散


砂丘未熟土       火山放出物未熟土
土層分化不十分な砂   土層分化不十分な火山放出物

黒ボク土
土壌分化した火山灰由来の土壌。いずれもリン酸吸収係数が高い。


 火山灰に含まれる活性アルミナと有機物が結合するため、日本国内の他の土壌と比べると有機
 物の含有量が非常に多く、有機物の効力で植物に適した団粒構造をなす。ただしアルミナの影
 響でリン酸分の吸着力が高いため、リン酸分が不足しやすく、施肥をおこなわないとやせた土壌
 となる。
~第2章 土壌は「環境の産物」~
日本の土壌

低地土
沖積堆積物   低地水田土
        グライ低地土
        灰色低地土
        褐色低地土
        未熟低地土


山地、丘陵地、台地
岩屑土
陸成未熟土
暗赤色土(石灰岩由来)
赤色土(腐食に乏しくA層が黒色ではない)
黄色土(腐食に乏しくA層が黒色ではない)
~第2章 土壌は「環境の産物」~
日本の土壌

3)日本の農耕地における土壌分布


           灰色低地土?グライ土で68%(+多湿黒ボク土で80%)
   水田      =排水の悪い土壌




  普通畑      黒ボク土?多湿黒ボク土(いずれも火山灰由来)=50%




 果樹園?茶園    褐色森林土=37%


 日本の農地全体     灰色低地土+グライ土+黒ボク土=60%

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