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天文学におけるLL利用の過去と現在
東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構
(Kavli IPMU, Univ of Tokyo)
下農 淳司 (@himorin)
Agenda
? 観測天文学ってなにやってるの?
– “ソフトウェア”的にそんなに特殊ではないで
す!
? 観測データの処理?解析
– 写真の時代から電算処理
– 最近のトレンドとLLへのながれ
? 観測のための装置
– 望遠鏡から観測装置まで
観測天文学って?
観測を行うための装置を作るところから、
観測データを処理して物理量を求めるまで。
つまり、、
光学から、機械から、電装から、制御?解
析ソフトウェアから、当然ながら物理まで
全部やります。
???もちろん分担してですが
観測天文学って?
大雑把にいうと
– 望遠鏡 (光を集めるバケツ) で天体の光を集める
? より大口径の方がバケツの効率がいい!が、年に数日
しか使えないより占有の中口径望遠鏡がトータルでは
いいかも
– 集まった光を装置に流して加工(フィルター?分
光)
– 加工した光を検出器に入れて電子データ化する
? もっとも、大昔は眼視とか写真乾板だったわけです
? デジカメの親玉みたいなもん(サイズは桁で違います
が
– 観測で得たデータを解析ソフトで物理量に解析
? 基本的に生データは公開なので捏造できない
– たとえばすばるでは18ヵ月後から、太陽観測だと即時、と
か
? とはいえ、見えた!と思った天体を追観測したらノイ
ということで、、
データ解析って何やっているの?
から始めて
データ解析で使われているLL
に触れたあと
そのデータを取得するためのソフト
について説明します
質問などあれば休憩時間にどうぞ(答えられる範囲
なら)
観測データ処理?解析
天文学の観測 = 信号が受かれば何でも
電磁波に始まり宇宙線や重力波などま
で
ただ、それだとあまりに話が広すぎるので、
今回は可視光とその近辺(100nm~10umと
か)をメインに取り上げます。
天文データ取得の歴史
D. E. Groom, SPIE 4008-70, 2000
A. Tyson, AJ, 96, 1988
観測の電子化によるデータ解析の変化
IRAF : Image Reduction and Analysis Facilities
1980年代初頭からNOAOで開発が始まった、画像?データ処
理のためのソフトウェアパッケージ群+コマンド?スクリプ
ト機能
IDL : Interactive Data Language
1970年代後半から開発が始まった、ベクトル型数値データを
大量処理することに最適化された対話型のスクリプト実行環
境
組込?別途で配布されている、または作成したデータ
解析モジュールを呼び出す形で動作し、対話型処理と
その内容をスクリプトとして記述して自動的に処理す
る機能を持つ、のが基本。
(例)
↑対話型UI
↓clスクリプト
2000年~の画像データの大規模化と解析環境の変
化
とはいえ、大規模化といってもしょせん画像なので素粒
子業界ほどのデータにはなりません。(ただし、光量が捨
てるほどあってかつ大きい太陽や、電波?光学干渉計を
除く。)
1998 SDSS @ APO
(120M pixel)
1999 Suprime @ Subaru
(80M pixel)
2013 HSC @ Subaru
(832M pixel)
2000年~の画像データの大規模化と解析環境の変
化
2000年頃からイメージサイズの大容量化と自動化され
た大規模観測(サーベイ)が行われるようになり、デー
タ処理方式にも影響。
– 大容量画像を高速に扱えるようにという要望が
– サーベイが数十~数百晩分のデータになり自動解析へ
IRAFよりも高機能で移行しやすいLL処理系が出て、移
行する人も出てきた
– 自動解析環境を構築する上でやりやすい
– PythonとIRAFのモジュールの統合というpyrafパッケージ
– さまざまな基本的な処理をまとめたastropyパッケージ
使い勝手がいいのがでたから利用しよう!というだけ、ともいうかも
PyRAF
http://www.stsci.edu/institute/software_hardware/pyraf
? IRAFのコマンドライン(CL)をリプレース
– Pythonのネイティブのコマンドラインに、ではない
(!)
– IRAFのコマンド群はCLと同様に実行できる
? スクリプト機能はPythonに
– “import iraf”でコマンド群を関数として読み込む
– PyRAFのコマンドライン内でなくても利用可能
astropy
http://arxiv.org/abs/1307.6212
astro-ph/1307.6212 : Astropy: A Community Python Package for Astronomy
http://www.astropy.org/
Pythonがデータ解析やそれ以外にも幅広く利用されるよう
になり、さまざまな人がPythonモジュールを作成?公開す
るようになったので、インターフェースなどを統一的にし
て、かつ一つのパッケージにしよう、というコラボレー
ション。
天文業界では誰もが使うようなモジュールが数多く入って
いる。
逆に、ふつーは使わないからこうでもしないと不便ともい
astropy
astropy.time : 時間の取り扱い
UTC : 協定世界時
TT : 地球時
TAI : 国際原子時
TCG : 地心座標時
TDB : 太陽系力学時
TCB : 太陽系座標時
astropy.cosmology : 宇宙論パラメータの計算
cosmology.H(0) : デフォルトでは7year WMAPの観測結
果
FlatLambdaCDM : 曲率なしFLRWモデル
観測のための装置
"In addition, changing to a 2.4-meter
mirror would lessen fabrication costs by
using manufacturing technologies
developed for military spy satellites.“
(Marshall Space Flight Center,
Power to Explore,
Chap.12 The Hubble Space Telescope)
天文”光学”観測
いろいろな方式の観測を行えるよう、一つの望遠
鏡に複数の”観測装置”がつけられることが多い
→ 望遠鏡と観測装置は別制御
全体をまとめて制御するシステムも必要
それぞれの”観測装置”自体は
– メカもの (シャッター?フィルターや焦点合わせ機構)
– 検出器本体とその真空冷却装置
が主な構成要素です。
システムとしての望遠鏡の例
APO (USA) 3.5m 望遠鏡の制御システム構造図
すばる望遠鏡の観測制御室モニター
システム構築としての観測装置制御
大学?研究所での自家開発がかなり多い
– それぞれの機関ごとの趣味が反映される
地上?宇宙ではやはり違う
– 打ち上げたらオンサイトデバッグできないですし
– とはいえ4000mの高地でデバッグするのってのも意外と大
変
– 地上屋さんが打ち上げたり、打ち上げ屋さんが地上やると
大変
? 真面目に”It’s not a rocket science!”と叫んだこともあります。。
? そもそも文化とか大前提が違うので感覚が、、、
制御機械のすべてがネットワークにつながる時代
– 装置?OS依存というのはあまりない
– とはいえ、いまだに検出器周りはそれなりに大変です
? いろんな意味で。。
システムとしての”観測装置”の
例
システムとしての”観測装置”の
例
カメラ?検出器制御とデータの
扱い
Images from Teledyne Catalogue
(Cleared for Public Release by the DoD‘s Office of Security Review, Case 12-S-1869 / Case 12-S-1870)
お?し?ま?い
(backup)

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2013/08/24 LLまつり 天文学におけるLL利用の過去と現在