発表者:内藤靖統 Yasunori NAITO / ユーザベース SPEEDA
こちらのスライドは、コンサルティングファームの経営競争基盤および東南アジアVCのKKファンド主催のセミナーにて、東南アジアで事業開発を行う日系企業のオーディエンス向けに行った発表資料です。(説明時間:20分)
テーマ「東南アジアでの「越境型」事業開発の最新事例」
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These slides are from a presentation I gave to an audience of business planning professionals of Japanese enterprises in Japan and in Southeast Asia at a seminar organised by the consulting firm IGPI and SEA based VC firm KK Fund.
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発表のアウトライン
(1)(2)略
(3)東南アジアにおけるDXと日系企業の商機
こちら過去3年くらい、いろいろなセミナーで使っている発表スライドです。ご覧になった方もいるかもしれません。巷でDXといわれますが、過去のITによるオペレーション改善とは全く違うよ、という話をさせていただいております。
真ん中にまとめているような、「技術革新と消費者動向の変化」がその周りを囲む新しい事業機会を生んでいる。SNSやIoT端末から生成される大量のデータ、高速?安定的なデータ交換、ビッグデータ分析、サブスクモデル?シェアリングモデルの普及が、新しい世界のドアを開けました。
新しい事業機会が生まれる一方、それによって淘汰される古いビジネスもある。なので、DXは提供する付加価値の再定義、DXは事業そのものの再定義ですよね、と。例えば、FintechやEdutech、Healthcare-techに代表されるようなX-tech(クロステック)やスマートファシリティ、スマートパッケージ、スマートメンテナンスに代表されるようなスマートほにゃららが、その典型かとおもいます。As-a-serviceモデルの普及も、伝統的なハードウェアの販売すらもサービス化する可能性につながっています。
では、東南アジアではどのような事業機会が生まれているのでしょうか。SPEEDAの東南アジア地域のお客様やよく見聞きするニュース内容を踏まえてまとめています。
日本企業の勝ち筋でいうと、ハードウェアを組み込んだサービス化(ソフトウェア完結型でない)、都市設計や物流要件など緻密なサービス要件の作りこみなど経験が活きる、一定の時間をかけた事業立上げが必要でカスタマーサクセスが重要な領域です。次のセクションで具体的な案件も紹介しますが、やはりこれらの強みが活かされている事例が多いように思えます。SPEEDAでも、該当のASEANフォーカスレポートを提供しています。
(4)東南アジアでの「越境型」事業開発例
今回、本セミナーの企画の際に「越境型」の開発について話しますね、と約束をしてましたので、そもそも何をもって「越境型」と話すのか、説明いたします。
出来る限り簡略化しています。既存事業のバリューチェーン内の位置づけと市場を現在地としたときに、同一バリューチェーン内で上流または下流に進取するような垂直統合的な越境があります。
また、同一事業でも、他の市場に飛び出す、端的には海外市場に攻め入る際も越境型の事業開発としましょう。日本で勝てている事業でも国外で勝てることが保証されていないのはご認識の通りです。なので、新規事業開発と同じくらいの気構えが必要だと思っています。
さらに、両社の掛け算になるような、飛び地への越境をするような事業開発もありそうです。当然ながら、飛び地への越境型の事業開発の難易度は、前の2つに比べると高いといえそうです。
さらに、既存事業のバリューチェーンの全く外の、「ド新規」と言える領域での事業開発もありえます。その場合、既存技術を他業界へ展開(技術の越境)のケース、例えば、富士フィルムの化粧品業界への越境、が挙げられます。また、既存オペレーションの強みを他業界に適用、例えば、海外旅行者向けのWifi端末貸出事業者の「イモトのWifi」の会社が、海外渡航がほぼゼロになった昨年、PRCテストのオペレーション事業を立ち上げていました。
ただ、既存事業の消滅の危機という非常事態ゆえに上記は自社でド新規領域に踏み込んでおり、通常はVCファンドへの参画を通じて様子を見ていくケースが多いのではないでしょうか。
ここから、SPEEDAのニュース機能でザッピングしたアセアンでの事例を紹介していきます。
(事例省略)
こうしてみると、当然ながら、各社の「越境」事例では、各社の強みの新市場へ横展開、日系企業群としての攻め/日本政府?現地政府との連携、ローカル企業とのアライアンス、極度に分散型の市場に合わせた対応が特徴と言えそうです。
(5)最後に、アジャイル経営のすすめ
日系企業の事業開発界隈では、「両利きの経営」がよく話題に上ります。既存事業の「深化」だけでなく、新規の事業機会を「探索」の双方にリソースを割く必要がある、と。ただ、この両方を一つの中で実現するのは、互いに対立しがちなモードを一つの身体の中に宿すわけで、なかなか困難です。そのため、「探索」チームには一定の独立性が必要、という。
一方で、私が外資系のお客さんとの会話やセミナーを聞いていて、事業開発においてよく聞く表現は、「(Achieving) Strategic Agility」です。Agilityとは、いわゆるアジャイル?敏捷な、という意味で、何とも訳しがたい表現なので、そのままStrategic Agilityといいます。不確実性が高く技術革新で競争環境の土台が大きく揺るぐ可能性がある状態では、環境変化に、俊敏に?アジャイルに反応できるように、組織を作り変える必要がある、と。「両利きの経営」の実現のための組織の在り方に着目した表現なのかな、と私なりに理解しています。
効果的な「探索」を可能にする組織の在り方とリーダーシップについては、IGPI坂田さんのプレゼンテーションに譲りますが、東南アジアの海外拠点はまさに本社機能からほどよく独立した「探索部隊」ではないかと思います。既存事業と異なり、勝率が必ずしも高くない探索領域では1勝9敗も辞さず、アジャイルに新しい取り組み取り組めるのではないか/取り組むべきでないかと思っております。
発表者:内藤靖統 Yasunori NAITO / ユーザベース SPEEDA
こちらのスライドは、コンサルティングファームの経営競争基盤および東南アジアVCのKKファンド主催のセミナーにて、東南アジアで事業開発を行う日系企業のオーディエンス向けに行った発表資料です。(説明時間:20分)
テーマ「東南アジアでの「越境型」事業開発の最新事例」
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These slides are from a presentation I gave to an audience of business planning professionals of Japanese enterprises in Japan and in Southeast Asia at a seminar organised by the consulting firm IGPI and SEA based VC firm KK Fund.
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発表のアウトライン
(1)(2)略
(3)東南アジアにおけるDXと日系企業の商機
こちら過去3年くらい、いろいろなセミナーで使っている発表スライドです。ご覧になった方もいるかもしれません。巷でDXといわれますが、過去のITによるオペレーション改善とは全く違うよ、という話をさせていただいております。
真ん中にまとめているような、「技術革新と消費者動向の変化」がその周りを囲む新しい事業機会を生んでいる。SNSやIoT端末から生成される大量のデータ、高速?安定的なデータ交換、ビッグデータ分析、サブスクモデル?シェアリングモデルの普及が、新しい世界のドアを開けました。
新しい事業機会が生まれる一方、それによって淘汰される古いビジネスもある。なので、DXは提供する付加価値の再定義、DXは事業そのものの再定義ですよね、と。例えば、FintechやEdutech、Healthcare-techに代表されるようなX-tech(クロステック)やスマートファシリティ、スマートパッケージ、スマートメンテナンスに代表されるようなスマートほにゃららが、その典型かとおもいます。As-a-serviceモデルの普及も、伝統的なハードウェアの販売すらもサービス化する可能性につながっています。
では、東南アジアではどのような事業機会が生まれているのでしょうか。SPEEDAの東南アジア地域のお客様やよく見聞きするニュース内容を踏まえてまとめています。
日本企業の勝ち筋でいうと、ハードウェアを組み込んだサービス化(ソフトウェア完結型でない)、都市設計や物流要件など緻密なサービス要件の作りこみなど経験が活きる、一定の時間をかけた事業立上げが必要でカスタマーサクセスが重要な領域です。次のセクションで具体的な案件も紹介しますが、やはりこれらの強みが活かされている事例が多いように思えます。SPEEDAでも、該当のASEANフォーカスレポートを提供しています。
(4)東南アジアでの「越境型」事業開発例
今回、本セミナーの企画の際に「越境型」の開発について話しますね、と約束をしてましたので、そもそも何をもって「越境型」と話すのか、説明いたします。
出来る限り簡略化しています。既存事業のバリューチェーン内の位置づけと市場を現在地としたときに、同一バリューチェーン内で上流または下流に進取するような垂直統合的な越境があります。
また、同一事業でも、他の市場に飛び出す、端的には海外市場に攻め入る際も越境型の事業開発としましょう。日本で勝てている事業でも国外で勝てることが保証されていないのはご認識の通りです。なので、新規事業開発と同じくらいの気構えが必要だと思っています。
さらに、両社の掛け算になるような、飛び地への越境をするような事業開発もありそうです。当然ながら、飛び地への越境型の事業開発の難易度は、前の2つに比べると高いといえそうです。
さらに、既存事業のバリューチェーンの全く外の、「ド新規」と言える領域での事業開発もありえます。その場合、既存技術を他業界へ展開(技術の越境)のケース、例えば、富士フィルムの化粧品業界への越境、が挙げられます。また、既存オペレーションの強みを他業界に適用、例えば、海外旅行者向けのWifi端末貸出事業者の「イモトのWifi」の会社が、海外渡航がほぼゼロになった昨年、PRCテストのオペレーション事業を立ち上げていました。
ただ、既存事業の消滅の危機という非常事態ゆえに上記は自社でド新規領域に踏み込んでおり、通常はVCファンドへの参画を通じて様子を見ていくケースが多いのではないでしょうか。
ここから、SPEEDAのニュース機能でザッピングしたアセアンでの事例を紹介していきます。
(事例省略)
こうしてみると、当然ながら、各社の「越境」事例では、各社の強みの新市場へ横展開、日系企業群としての攻め/日本政府?現地政府との連携、ローカル企業とのアライアンス、極度に分散型の市場に合わせた対応が特徴と言えそうです。
(5)最後に、アジャイル経営のすすめ
日系企業の事業開発界隈では、「両利きの経営」がよく話題に上ります。既存事業の「深化」だけでなく、新規の事業機会を「探索」の双方にリソースを割く必要がある、と。ただ、この両方を一つの中で実現するのは、互いに対立しがちなモードを一つの身体の中に宿すわけで、なかなか困難です。そのため、「探索」チームには一定の独立性が必要、という。
一方で、私が外資系のお客さんとの会話やセミナーを聞いていて、事業開発においてよく聞く表現は、「(Achieving) Strategic Agility」です。Agilityとは、いわゆるアジャイル?敏捷な、という意味で、何とも訳しがたい表現なので、そのままStrategic Agilityといいます。不確実性が高く技術革新で競争環境の土台が大きく揺るぐ可能性がある状態では、環境変化に、俊敏に?アジャイルに反応できるように、組織を作り変える必要がある、と。「両利きの経営」の実現のための組織の在り方に着目した表現なのかな、と私なりに理解しています。
効果的な「探索」を可能にする組織の在り方とリーダーシップについては、IGPI坂田さんのプレゼンテーションに譲りますが、東南アジアの海外拠点はまさに本社機能からほどよく独立した「探索部隊」ではないかと思います。既存事業と異なり、勝率が必ずしも高くない探索領域では1勝9敗も辞さず、アジャイルに新しい取り組み取り組めるのではないか/取り組むべきでないかと思っております。
WIT Impact Report 2016 illustrates how WIT has accelerated the impact of social entrepreneurs of disaster-hit areas of Japan and beyond, in collaboration with global expertise.